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患者芖点が眮き去りになった DPC/PDPS 制床
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           患者芖点が眮き去りになった DPC/PDPS 制床


           目次

           Chapter.1 包括払い制床は誰にずっおメリットがあるのか ___________________________________ 3
             ■倀段は”ほが”䞀緒_________________________________________________________________________________ 3

             ■入院費甚は包括払いの病院が埐々に増えおいる______________________________________________ 3

             ■患者はその皎率にふさわしいサヌビスを受けたのだろうか _______________________________ 5

           Chapter.2 患者芖点が眮き去りになった病院矀の蚭定 ____________________________________ 8
             ■90 病院がメゞャヌリヌグ入り _____________________________________________________________________ 8

             ■医垫の数が倚いずころほど有利な基準 __________________________________________________________ 9

             ■医療機関偎が感じる虚しさ、理䞍尜さ _________________________________________________________ 13

             ■うちの県にはひず぀もⅡ矀の病院がない _______________________________________________________ 17

           Chapter.3 DPC 病院矀 2 矀、3 矀が明暗を分ける珟実的なシナリオ _________________ 20
             ■増枛収むンパクト、費甚負担むンパクト _________________________________________________________ 20

             ■広がる栌差 _______________________________________________________________________________________ 23

             ■『医垫確保』が生むスパむラル __________________________________________________________________ 24

             ■はしご倖し _________________________________________________________________________________________ 25

             ■総合蚺療医の育成 ______________________________________________________________________________ 26

           Chapter.4 よりよい医療を期埅しお、患者、病院にできるこず ____________________________ 28
             ■実瞟芁件ぞの患者意向の反映 ________________________________________________________________ 28

             ■適正な医療費負担による医療の質の向䞊 ___________________________________________________ 30

             ■かかり぀け医・圚宅医療の重芁性認識ず、急性期医療の効率化進展_____________________ 31

             ■おわりに ___________________________________________________________________________________________ 32

           匕甚文献 ________________________________________________________________________________________ 33




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           Chapter.1 包括払い制床は誰にずっおメリットがあるのか


           ■倀段は”ほが”䞀緒                                      た堎合には、病院探しの旅に出るこずずなる。病
           囜民皆保険制床の日本においお、自由蚺療で                            気ずいう苊しみを抱えた䞊に、病院探しずいう負
           なく、保険蚺療を受ける以䞊は倀段がほが䞀                            担を匷いるのは、粟神的にも肉䜓的にも厳しい
           緒である厳密には異なる点は埌述。どうせ倀                          こずだ。しかも、この旅、結果が良ければただよ
           段が䞀緒なら、立掟な病院に行きたいのが正                            いものの、結果が玄束されおいるわけではない
           盎なずころだし、生死を賭ける倧病ならば、腕利                          ため、病院探しの旅に尜力したものの思うような
           きの医者に蚺おもらいたい、治しおもらいたいず                          結果に至らないこずもたたあるのが珟実だ。
           思うのは誰しも自然なこずだず思う。
           ただ、どこの病院がよいか、客芳的に分かるも                           ■入院費甚は包括払いの病院が埐々に
           のがないゆえ、患者はクリニックで玹介された病                          増えおいる
           院に行ったり、週刊誌や新聞、本などで特集さ                           あたり銎染みのない話かもしれないが、珟圚、
           れる病院ランキングを参考にしたり、テレビ番組                          日本では急性期病院の䞀郚病床数に占める
           の名医・スヌパヌドクタヌの玹介に心動かされ                           割合では 53.1%が、DPC/PDPS ずいう包括払
           たりする。患者が限られた情報で思い描く理想                           い制床ずなっおいる図 1、2 参照。
           の病院が身近なずころにあればよいが、無かっ


                                               DPC察象病院数の掚移

            1,600                                                                           1,505
                                                                                    1,447
            1,400                                                           1,388
                                                                    1,278
            1,200

            1,000

             800                                             713

             600
                                             359
             400
                               144
             200 82

                  0
                      2003     2004   2005   2006   2007    2008   2009     2010    2011     2012


                                         図 1 DPC 病院数の掚移 出所 [1]




                                                       3
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                                   䞀般病床に占めるDPC察象病床割合の掚移

                  100%
                  90%
                  80%
                  70%
                  60%                                                               53.1%
                  50%
                  40%
                  30%
                  20%
                  10%
                   0%
                     2003   2004   2005   2006   2007   2008   2009   2010   2011    2012


                               図 2 䞀般病床に占める DPC 病床割合 出所 [1]

           この包括払い制床は、虫垂炎であれば、13                        括払いでは、あらかじめ点数が決められおいる
           日目 35,250 円(1 日あたり、45 日目                   ため、なるべく無駄な治療はしないように努力
           23,760 円(1 日あたりずいったように、その病                  し、退院させようずする。䞀方で出来高払いは
           院で実斜する现かな治療内容ずは関係なく、入                        料金を䞊げるためには倚少過剰な治療をしがち
           院料が定められおいる。DPC/PDPS 制床でな                     である。やりすぎるずチェック機関からダメ出し
           い出来高払い制床は、ベッド代、点滎代、怜査                        を食らったり、䞀郚治療の請求自䜓が無効にな
           代ずいったように実斜した治療それぞれで点数                        ったりするが
           料金が蚈算され、請求される制床である。包




                                      図 3 DPC 制床抂芁 出所 [2]



                                                    4
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                          図 4 DPC 制床抂芁 階段状の点数蚭蚈 出所 [2]

           この包括払い制床自䜓は、どの病院も同じで、            携䜓制等の様々な病院の「枠組み」を評䟡した
           前述の虫垂炎であれば、どの病院も、1 日目            ものず、病院がどういった疟患を扱っおいるか、
           35,250 円は共通である。しかし、各病院の持っ        効率的な入退院をさせおいるか等の病院の
           おいる機胜や人員䜓制により、「係数」が定めら           「機胜」を評䟡したものにより定たる。
           れおいお、この 1 日 35,250 円に、おおよそ
           1.051.5 くらいの係数がかかる。すなわち、サ       ※サヌビス皎ず喩えるこずが䞍適切ず疑問を呈
           ヌビス皎が皎率 5の病院ず皎率 50の病院          される方もいるだろうが、医療埓事者の苊劎が
           があるのだ。                           適切に報酬に反映されるためには「サヌビス
           サヌビス皎の皎率は、簡単に蚀うず、看護垫の            皎」ず衚珟するこずが良いず考えおいる
           配眮や、地域の蚺療所・クリニック・病院ずの連



           ■患者はその皎率にふさわしいサヌビスを受けたのだろうか
           ぀のケヌスを考えおみよう。ずある地方の䞭栞病院。がんも心疟患も脳卒䞭も䜕でも蚺おくれる地
           域の芁的な病院。そこに 3 人の患者が入院したずする。


                  A さん。心臓のカテヌテル怜査海倖では日垰り怜査が䞀般的な囜もある
                  が、日本では入院するこずも倚い。日垰りでも平気な䜍だから、入院ず
                  蚀っおも、患者は䞇が䞀に備え安静にしおいるくらいで、無事怜査が終わ
                  れば、退屈な入院生掻怜査翌日に退院のずころが倚いが埅っおいる。
                  実際、食事もトむレも䞍自由なくでき、怜査翌日、退院を迎えた。


                  B さん。同じく心臓のカテヌテル怜査。ただ高霢で認知症もあり、食事も
                  トむレも、自分䞀人では䜕もできない。怜査自䜓は入院した日に終わった
                  ものの、翌日退院するたで、看護垫は床々呌ばれ、少々手を焌いた。



                                        5
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                  C さん。胃がんの胃を切陀する手術。手術前日に入院し、執刀医ず麻酔科
                  医から説明を受け、看護垫から説明を受け、翌日、手術に。麻酔から芚め
                  るずベッドの䞊。無事終わったこずを聞き、ホッずするも、身䜓には点滎
                  ず導尿甚のカテヌテルが繋がっおいる。麻酔が切れたのか痛みがキツくな
                  るず看護垫を呌んだり、䜕ずか萜ち着いおきたのは術埌 3 日目くらい。食
                  事も埐々に始たり、点滎が倖れ、2 週間匱の入院生掻が終わり、退院に。



           この 3 人。最埌に支払うずきのサヌビス皎係               る前提で日毎の点数が蚭定されおいるため、
           数は、どうなるのだろうか。実は、サヌビス皎率               胃がんの手術は、そもそもの 1 日あたりの点数
           は同じである。サヌビス皎率は病院ごずに蚭定                 自䜓が高く蚭定されおいる胃がん党摘術であ
           されるため、同じ病院であれば、倉わらない。                 れば、110 日目 26,610 円、1120 日目
           C さんは病院偎の負担が倧きかったように思う                19,670 円、2133 日目 16,720 円。心臓カ
           が、病気ごずにどの患者も同じような経過をたど                テヌテル怜査は 1・2 日目 34,900 円、3 日目


           21,240 円、4・5 日目 18,050 円。そのため、       䞀方、B さんは割安ず感じるかもしれない。
           病気ごずの違いは、サヌビス皎率で調敎する必
           芁はない。                                 このサヌビス皎ず喩えた医療機関別係数。医
           A さんず B さんが䞀緒ずいうのは、玍埗できるだ             療機関偎の芳点では、効率改善のむンセンティ
           ろうか。残念ながら、同じ皎率係数で、A さん              ブや、有する機胜に察する評䟡に基づいおい
           は B さんず比べれば倧した看護も受けおいない               る。䞋蚘、図 5 の抜粋資料を参照。図䞭の
           が B さんず同じ金額を負担しなければならず、               Ⅰ、Ⅱは機胜評䟡係数Ⅰ、Ⅱのこず




                          図 5 医療機関別係数の意味合い 出所 [3]より抜粋




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           ぀たり、この係数皎率は、そもそも個人個人
           の蚺療ず合臎しない性栌のものである。ずはい
           え、負担する偎にしおみれば、たたったものでは
           ない。


           包括制床。医療費増加を抑制し、効率的な医
           療を提䟛する芳点では良い制床だが、患者芖
           点で考えるず諞手を挙げお賛成できる内容では
           ない。なお、包括制床が患者芖点での䞍公平
           さを助長しおいるだけで、根本的な問題は 7 察
           1 入院基本料にあるずいう点は別の機䌚に改め
           お怜蚎しおみたい ただ、莫倧な医療費を負
           担するからには、その内容を理解し玍埗しお費
           甚を負担し、よりよい医療が実珟するこずを埌
           抌ししなければならない。そこで、分析等を亀え
           ながら、どうしたら、より良い制床になるか、患者
           が取るべきアクション、病院が取るべきアクショ
           ンを考えおいきたい。




                                     7
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           Chapter.2 患者芖点が眮き去りになった病院矀の蚭定



           ■90 病院がメゞャヌリヌグ入り
           そんなニュヌスが医療界を駆け巡ったのは、2012 幎床末のこずだ。䞀般垂民からしたら、DPC 制床
           すら銎染みがないのに、病院がⅠ矀倧孊病院、Ⅱ矀倧孊病院本院に準じた蚺療密床ず䞀定の
           機胜を有する病院、Ⅲ矀それ以倖の病院に分かれたず蚀われおも、さっぱりピンず来ないだろう。




                                図 6   DPC 病院矀の内蚳 出所 [4]




                          図 7 ある DPC 病院Ⅱ矀に指定された医療機関のホヌムペヌゞ




                                            8
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           Ⅰ矀は倧孊病院本院だけで、実質、雲の䞊、               おおけば、こぞっおⅡ矀を目指したりするこずは
           別䞖界であるがゆえに、倧孊病院本院を陀い               さほど起きなかったのではないだろうか。
           た DPC 病院 1,400 病院匷のうち、90 病院が
           入れたⅡ矀が「メゞャヌリヌグ」、Ⅲ矀が「マむナ            闘うには蚳がある。Chapter.1 で述べた係数サ
           ヌリヌグ」ずでも蚀えばよいだろうか。今、この玄            ヌビス皎率、Ⅱ矀になった斜蚭は、Ⅲ矀に比
           1,400 病院では、Ⅱ矀「メゞャヌリヌグ」を目指          べ少しだけ加点がなされおいお基瀎係数に差
           したすでにⅡ矀のずころは維持する熱い闘い             異があり、ゆくゆくは、この加点が倧きくなる予
           が始たっおいるずも蚀われおいる。䜙談だか、             定なのだ。各病院が、この加点だけを理由にⅡ
           1、2、3 ずいう名称は、誰もが、Ⅰ矀が良く、Ⅲ           矀を目指しおいるわけではないが、加点はⅡ矀
           矀が悪いず受け取る。各矀は良し悪しではなく              を目指す倧きな理由のひず぀だず思う。
           提䟛機胜が違うこずを明確にしたかったはずな
           のに、名称が仇ずなっおいる気がしおならない。             この熟烈な闘い、各病院はどのようにしおⅡ矀
           昚幎床の議論途䞭たで残っおいた名称である、              メゞャヌリヌグを目指しおいるのだろうか。
           倧孊病院矀、高密床蚺療病院矀、急性期病                たずは、その背景ずなる、Ⅱ矀、Ⅲ矀の明暗を
           院矀、ずいった感じで、甲乙぀けがたい名前にし             分けた基準を芋おいく。




           ■医垫の数が倚いずころほど有利な基準



             【実瞟芁件】蚺療密床 日圓たり包括範囲出来高実瞟点数党病院患者構成
             で補正
             圓該医療機関においお症䟋数が䞀定以䞊の1 症䟋/月極端な個別事䟋を陀倖するため蚺断
             矀分類に該圓する患者に぀いお、圓該医療機関が党 DPC 察象病院の平均的な患者構成ず同様
             な患者矀に察しお蚺療を行ったず仮定した堎合の日圓たり包括範囲出来高実瞟点数を算出。



           è¡š 1 を芋るず、蚺療密床は、怜査・画像・投薬・           はないが、医療資源の投入量が倚いこずは、単
           泚射・凊眮の各医療資源ず正の盞関が匷く、医              玔に良し悪しの指暙ずはなり埗ないのではない
           垫数ずも匷い盞関がある。患者からしおみれ               だろうか。
           ば、医垫が倚いのは䜕かず安心だし、悪いこずで




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Meditur Insight   vol.1




           è¡š 1 蚺療密床日圓たり包括範囲出来高点数、医垫密床及び蚺療報酬算定区分盞互の盞関
                          係数蚺療密床に圱響しおいる蚺療報酬区分を評䟡 出所 [5]



             【実瞟芁件】医垫研修の実斜 届出病床圓たりの医垫数免蚱取埗埌 2 幎目た
             で
             基幹型臚床研修指定病院に぀いおは、各医療機関が厚生劎働省に報告しおいる臚床研修医数
             ※ず地方厚生支局ぞ届け出おいる病床数様匏の「医療保険」総数届出病床総数によ
             り算出。 協力型臚床研修指定病院に぀いおは、平成 23 幎 11 月に調査した臚床研修医数幎
             床単䜍の垞勀換算倀により算出。
             ※「H23 研修医受入及び H24 募集意向調査」平成 23 幎 4 月実斜



           続いお、医垫研修は日本の医療の持続・維持               る。研修医が倚いこずは、医療機関にずっおみ
           には必芁䞍可欠であり、非垞に重芁なこずであ              れば、人材育成の負担がかかっおおり、䜕から

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           のむンセンティブが欲しいずころだろう。               いず思っおしたう。これが芁件になっおいるこず
           ただ、患者芖点では、「ベテランの人に手術しお            は、病院のむンセンティブずしおは理解できお
           もらえるかず思ったら、研修医だった」なんおいう           も、患者負担を匷いるこずずなる基瀎係数医
           ネガティブな話も聞いたこずがある。それゆえ、            療機関別係数の䞀郚。本論でいうずころのサヌ
           研修医の育成に関する費甚負担は、患者がす              ビス皎の䞀郚の加点条件になるこずは、理解し
           るのではなく、もっず倧きな噚で考えおもらいた            難い。



             【実瞟芁件】高床な医療技術の実斜以䞋぀のすべおを満たす
              (3a)手術 1 件あたりの倖保連手術指数協力医垫数補正埌
              (3b)DPC 算定病床圓たりの倖保連手術指数協力医垫数補正埌
              (3c)手術実斜件数
             「(3a)手術 1 件あたりの倖保連手術指数協力医垫数及び手術時間補正埌」は、倖保連手術
             指数※を「(3c)手術件数」で陀しお算出。
             「(3b)DPC 算定病床圓たりの同指数協力医垫数及び手術時間補正埌」は、倖保連手術指数
             を DPC 算定病床数で陀しお算出。
             「(3c)手術件数」に぀いおは、倖保連詊案第版においお技術難易床が蚭定されおいる手術を集
             蚈察象手術ずした。ただし、点数蚭定から同等の技術ず考えられるものも集蚈察象ずした。
             ※倖保連手術指数の算出方法
              ● 倖保連手術指数は、倖保連詊案第 8 版に蚘茉されおいる、協力医垫数を含めた時間あ
             たりの人件費の盞察倀䞋衚参照。難易床 B、協力医垫数人をずしおそれぞれ盞察化に手術
             時間数を加味しお各手術に重み付けし、集蚈察象手術それぞれに぀いお合算し、算出。



           次に、手術の評䟡。手術実斜件数が倚く、難易             が適切だず思う。
           床が高い手術を倚く実斜しおいる医療機関は、             䜙談だが、今回、Ⅱ矀に入れなかった病院の
           患者芖点からも信頌に倀する情報だ。しかし手             倚くは、この3aの基準がクリアできなかったず
           術の良し悪しは䞍明であり刀断ができないこず             のこず。心臓倖科難易床の非垞に高い手術
           ず、3a)件あたりの平均倀に䜕の意味がある           に匷い病院なのに、平均で評䟡しおしたうず、手
           のかが䞍明である。患者からしたら、胃がんの             術件数が倚いだけに、基準倀をクリアできなか
           手術も、ポリペクの手術も実斜しおくれお、䜕の            った暡様だ。これは誰が埗をする評䟡基準なの
           問題もないし、ポリペクの件数が倚くおも文句は            だろうか。甚だ疑問である。
           無い。平均で評䟡するより、難易床の高い手術
           も実斜できるか、できないか、ずいった評䟡の方




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             【実瞟芁件】重症患者に察する蚺療の実斜
             耇雑性指数重症 DPC 補正埌
             å…š DPC 参加病院デヌタの平均圚院日数より長い平均圚院日数を持぀ DPC で、か぀、1 日圓た
             り包括範囲出来高実瞟点数が平均倀より高い DPC を抜出。これらの DPC に぀いお耇雑性指数を
             算出。




                            図 8 重症補正察象疟患 出所 [6]




           この芁件は患者芖点で理解が難しい。そこで、            長いが必芁な患者DPCを重点的に評䟡す
           厚生劎働省 H23.11.7 の䞭医協の分科䌚資料        るような補正※を実斜。
           から抜粋した文蚀を芋おみよう。その意図を読            ※ 具䜓的には、党 DPC デヌタの平均圚院日
           み取るこずができる。                       数より長い平均圚院日数を持぀ DPC で、か
                                            ぀、1 日あたり平均出来高点数が党 DPC デ
           耇雑性指数は DPC 毎の 1 入院あたり包括          ヌタの平均倀より高い DPC に限定しおそれ以
           範囲出来高平均点数の倚寡を反映する指暙              倖の DPC は 0 で補正しお算出。 [7]
           であるこずから、医垫配眮を前提ずするような重           ぀たり、医垫配眮を評䟡する意図のようだ。前
           症患者を重点的に評䟡するため、怜査や薬剀             述の実瞟芁件ず重耇感は吊めない。この評䟡
           等の蚺療密床日圓たり出来高点数がより            方法による基準倀をクリアした病院は、重症患
           高く、か぀、より長期に及ぶ加療圚院日数が            者を受け入れおくれる病院である、ずいう実態を

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           衚しおいればよいが、聞いたずころでは、この基             病院に䌌た病院探し基準」であっお、「良い病
           準倀は倚くの病院がクリアしおいた暡様で、メゞ             院探し基準」ではない、ずいうこずだ。倧孊病院
           ャヌかマむナヌかの分岐点にはならなかったよ              に䌌た病院に䞎えるむンセンティブならば、その
           うだ。                                病院の患者に負担させるこずも然るこずながら、
                                              瀟䌚的に負担するこずも必芁であるず感じるだ
           さお、実瞟芁件 14 たでトヌタルで芋た時に            けに、DPC 病院を矀で分け、係数で差を぀ける
           蚀えるこずは、医垫数の倚いずころが有利な評              こずには倚少疑問を感じる。
           䟡になるような基準が倚く、結局のずころ「倧孊


           ■医療機関偎が感じる虚しさ、理䞍尜さ
           Ⅱ矀に入ったずころは良いが、萜ちたずころは僅             患者からしたら、Ⅱ矀でもⅢ矀でも、どちらでも
           かずはいえ係数で差の぀くこずや、そもそもの「メ            良いこずなのだが、圓の医療埓事者は結構倧き
           ゞャヌ萜ち」したずいうネガティブな印象から、倧            な問題に捉えおいる。
           きなショックを受けおいるのではないだろうか。


                            斜蚭名               DPC 参加幎床   病床総数    DPC 病院矀

              独立行政法人 囜立がん研究センタヌ䞭倮病院           平成 15 幎床     600     Ⅱ矀

              宮城県立がんセンタヌ                      平成 20 幎床     383     Ⅲ矀

              千葉県がんセンタヌ                       平成 20 幎床     341     Ⅱ矀

              神奈川県立がんセンタヌ                     平成 20 幎床     387     Ⅲ矀

              愛知県がんセンタヌ䞭倮病院                   平成 20 幎床     500     Ⅲ矀

              栃朚県立がんセンタヌ                      平成 21 幎床     324     Ⅲ矀

              新期県立がんセンタヌ新期病院                  平成 21 幎床     500     Ⅲ矀

              兵庫県立がんセンタヌ                      平成 21 幎床     400     Ⅲ矀

              独立行政法人囜立病院機構四囜がんセンタヌ            平成 21 幎床     405     Ⅲ矀

              独立行政法人囜立病院機構 九州がんセンタヌ           平成 22 幎床     411     Ⅲ矀

              静岡県立静岡がんセンタヌ                    平成 22 幎床     569     Ⅲ矀

              独立行政法人囜立がん研究センタヌ東病院             平成 23 幎床     425     Ⅲ矀

              公益財団法人 がん研究䌚 有明病院               平成 23 幎床     700     Ⅱ矀

                           è¡š 2   DPC 病院におけるがんセンタヌ※のⅡ矀、Ⅲ矀
           出所 [8]を元に䜜成 ※専門病院入院基本料か特定機胜病院入院基本料を算定しおいお病院
                          名称に「がん」が含たれる斜蚭、病床総数は医療保険察象病床


           実瞟芁件をクリアできなかった兞型的な病院ずしお、がんセンタヌが挙げられる。がんセンタヌず蚀え


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           ば、地域におけるがん蚺療の拠点ずなっおいるずころが倚いはずなのだが、䞊の衚 2 のずおり、Ⅱ矀は
           3 斜蚭のみで、それ以倖はⅢ矀になっおいる。なぜがんセンタヌはメゞャヌ入りできなかったのか。各
           病院の詳现な状況はわからないが、次の䞭医協 DPC 分科䌚の資料がその理由を瀺唆しおいる。




                  図 9、図 10 病床数ず実瞟芁件の関係性蚺療密床、手術指数 出所 [9]


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Meditur Insight   vol.1




                  図 11、図 12 病床数ず実瞟芁件の関係性耇雑性指数、医垫数 出所 [9]



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Meditur Insight   vol.1


           Ⅲ矀になったがん専門病院が黄色の○でプロッ              もそも、この基準でメゞャヌ、マむナヌの区分け
           トされおいる図 912 の぀のグラフから、医垫          をされおしたうず、どれだけ地域に貢献し、高床
           数以倖は、Ⅱ矀ず遜色ない実瞟・内容ずなっお              ながん医療を行なっおいようずもメゞャヌの倢は
           いるこずが分かる。぀たり、研修医が少ないこず             絶たれおしたっおいるのが実情だ。僅かずはい
           だけが理由でメゞャヌ入りできなかった、ずいう             え収入に差が出る仕組みなだけに、こういった
           病院が倚いこずが掚枬される。がんセンタヌは              がんセンタヌは虚しさを感じおいるのではないだ
           蚺療科目や救急医療の䜓制的な問題で初期                ろうか。
           研修医を受け入れおいないずころもあるため、そ
                          斜蚭名                 DPC 参加幎床   病床総数    DPC 病院矀

           聖マリア病院                             平成 16 幎床   1,342     Ⅲ矀

           財団法人 倉敷䞭倮病院                        平成 16 幎床   1,151     Ⅱ矀

           倧阪垂立総合医療センタヌ                       平成 21 幎床   1,052     Ⅲ矀

           飯塚病院                               平成 16 幎床   1,048     Ⅲ矀

           財団法人倪田綜合病院附属倪田西ノ内病院                平成 20 幎床   1,029     Ⅲ矀

           倧阪赀十字病院                            平成 20 幎床   1,021     Ⅲ矀

           総合病院 囜保旭䞭倮病院                       平成 20 幎床    961      Ⅲ矀

           医療法人鉄蕉䌚 亀田総合病院                     平成 16 幎床    925      Ⅲ矀

           埌玉医科倧孊 総合医療センタヌ                    平成 20 幎床    916      Ⅱ矀

           東京郜立駒蟌病院                           平成 21 幎床    906      Ⅲ矀

           総合病院土浊協同病院                         平成 20 幎床    896      Ⅱ矀

           虎の門病院                              平成 20 幎床    890      Ⅱ矀

           倧垣垂民病院                             平成 20 幎床    885      Ⅱ矀

           豊橋垂民病院                             平成 18 幎床    860      Ⅲ矀

           日本赀十字瀟 和歌山医療センタヌ                   平成 21 幎床    853      Ⅲ矀

           名叀屋第䞀赀十字病院                         平成 18 幎床    852      Ⅱ矀

           愛媛県立䞭倮病院                           平成 24 幎床    835      Ⅲ矀

           倧接赀十字病院                            平成 18 幎床    821      Ⅲ矀

           公益財団法人 倩理よろづ盞談所病院                  平成 21 幎床    815      Ⅱ矀

           名叀屋第二赀十字病院                         平成 20 幎床    812      Ⅱ矀

           独立行政法人 囜立囜際医療研究センタヌ病院              平成 24 幎床    801      Ⅲ矀
                          è¡š 3 病床総数 800 床、DPC 病床数 700 床以䞊の斜蚭
                              特定機胜病院を陀く。病床総数の倚い順
                          出所 [8]を元に䜜成 ※病床総数は医療保険察象病床


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Meditur Insight   vol.1


           次に病院芏暡を基準に考えおみる。病床総数            おいるこずが分かる。倧病院ずは蚀え、蚺療密
           800 床以䞊で、か぀急性期䞻䜓の病院DPC         床、1 件あたりの手術指数は単玔にクリアできる
           病床数 700 床以䞊、倧孊病院を陀くずなる         ものではないのだ。
           ず、それはいわゆる倧病院である。衚 3 は、お
           そらく誰からも疑問を持たれない倧病院が䞊ん           この珟実は、「倧病院ゆえ、その地域の医療を
           でいるはずである。そんな倧病院は、圓たり前の          䞀手に匕き受け、蚺療密床の䜎い患者も受け
           ようにメゞャヌ入りしおいるかずいうず、そんなこず        入れ、難易床の䜎い手術もする」、そんな実情
           もなく、玄 6 割の病院はマむナヌリヌグに留たっ        なのではないだろうか。もしそうであるならば、こ
           おいる。結果から分かるこずは、これらのⅢ矀の          れは患者から䞀番評䟡されるべき医療を提䟛
           倧病院は、䜕かしら実瞟芁件を満たせなかった           しおいる病院が、適切に評䟡されおいない可胜
           ずいうこずになるが、䞀䜓䜕がクリアできなかった         性がある。病院関係者からしたら、日々寝る間
           のだろうか。前出の党医療機関矀別にプロットし          を惜しんで患者を匕き受け、医療に貢献しおい
           た芁件のグラフを芋るず、蚺療密床ず件あた          るのに、「あんたらの病院は軜症患者も倚い」ず
           りの倖保連手術指数は、700、800 床以䞊の         難癖を぀けられたような結果で、非垞に理䞍尜
           病院でもクリアしおおらずⅢ矀の印でプロットされ         なのではないだろうか。



           ■うちの県にはひず぀もⅡ矀の病院がない
           次に地域性を芋おみる。図 13 で濃い黄色の          たりのⅠ矀Ⅱ矀の病院数は高知県3 病院
           県は、Ⅱ矀の病院が぀もないこずを瀺しおい           や青森県4 病院が倚くなっおいるが、郜道府
           る。関東を芋るず、北関東はⅡ矀斜蚭が少な            県別の状況を眺めおいるだけでは、この病院数
           く、南関東は倚い。たた西日本では、北陞・山           が倚い 2 県ず、それ以倖の他郜道府県ずの違
           陰が少なく、山陜が倚い。この傟向で蚀えば、           いを芋出すこずは困難である。
           人口の倚いずころ、倪平掋偎はⅡ矀の病院が
           倚くなっおいるように芋えなくもない。ただ、東北         ここたで、DPC 病院矀のⅡ矀の実瞟芁件は、医
           では秋田、宮城はないものの、青森は 3 病院、         垫の倚い病院を有利に刀定し、か぀軜症患者
           新期は 4 病院あるずいったように、明確な傟向         をあたり芋る必芁のない病院が評䟡されおいお、
           は芋えおこない。                        地域的な特性はないこずが芋えおきた。このよう
                                           な理解できる郚分もあり぀぀も、理解できない
           図 14 に瀺したⅠ矀倧孊病院本院を加えた
                                           郚分もある芁件によっお、メゞャヌかマむナヌが
           比范でも印象は倉わらない。北海道、南関東、
                                           決たっおしたう制床。この制床によりⅡ矀病院、
           東海、阪神、犏岡の病院数が倚くなっおいるも
                                           Ⅲ矀病院はそれぞれどういった扱いを受けるの
           のの、図 15 にお、人口あたりのⅠ矀Ⅱ矀の
                                           か。そしお、その扱いは患者にずっおメリットがあ
           病院数を比范するず、これらの地域が、突出し
                                           るのか、考えおいきたい。
           お倚いわけではないこずが芋お取れる。人口あ




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                           図 13 DPC 病院矀 郜道府県別Ⅱ矀病院数




                          図 14 DPC 病院矀 郜道府県別Ⅰ矀Ⅱ矀病院数


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                          図 15 人口あたり DPC 病院Ⅰ矀Ⅱ矀病院数




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           Chapter.3 DPC 病院矀 2 矀、3 矀が明暗を分ける珟実的なシナリオ



           ■増枛収むンパクト、費甚負担むンパクト
           Chapter.1、2 で、DPC/PDPS 制床包括払い        蚀えないのが実情であった。
           制床の抂芁ず、DPC 病院矀ずⅡ矀、Ⅲ矀の芁               ここでは、Ⅱ矀メゞャヌリヌグ、Ⅲ矀マむナ
           件を芋おきた。医療費を抑え぀぀、病院にずっ                 ヌリヌグの違いによる金銭的なむンパクトを比
           お金銭的むンセンティブを䞎え、その費甚負担                 范しおみる。たず、平成 30 幎床時点でのⅢ矀
           は患者にさせる制床であるため、いかに玍埗感                 ずⅡ矀の係数差異シミュレヌション図 16があ
           のある仕組みにするが重芁である。ただ、ここた                る。
           で芋おきた結果、決しお玍埗感のある制床ずは




                  図 16 Ⅲ矀からⅡ矀に移行した堎合の係数増枛シミュレヌション 出所 [9]


           このシミュレヌションによるず、倚くの斜蚭はⅡ矀               合は 52.8%ずなっおいる出所 平成 23 幎瀟
           に移行するず 0.020.03 皋床増加するこずが            䌚医療蚺療行為別調査 [10]より蚈算。たた、
           想定され、最倧では 0.06 以䞊の増加になるこ              病床床圓たり医業収益は 17,627 千円である
           ずが想定されおいる。                            出所平成 22 幎床病院の経営状況 [11])。
                                                 これらの数倀を参考に、病床芏暡別に医療機
           この係数の差異を金額に盎しおみよう。DPC 察               関別係数の増枛が䞎えるむンパクトを詊算する
           象病院の入院費に占める包括評䟡郚分の割                   ず、衚 4 のようになる。

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                       入院収入        入院収入のうち包

                     DPC 察象症䟋    括評䟡察象分        0.01         0.02      0.03     0.04      0.05      0.06

              100      1,762,700    931,054     9,311     18,621       27,932   37,242    46,553    55,863

              200      3,525,400    1,862,109   18,621    37,242       55,863   74,484    93,105    111,727

              300      5,288,100    2,793,163   27,932    55,863       83,795   111,727   139,658   167,590

              400      7,050,800    3,724,218   37,242    74,484      111,727   148,969   186,211   223,453
          病
              500      8,813,500    4,655,272   46,553    93,105      139,658   186,211   232,764   279,316
          床
              600     10,576,200    5,586,327   55,863    111,727     167,590   223,453   279,316   335,180
          数
              700     12,338,900    6,517,381   65,174    130,348     195,521   260,695   325,869   391,043

              800     14,101,600    7,448,436   74,484    148,969     223,453   297,937   372,422   446,906

              900     15,864,300    8,379,490   83,795    167,590     251,385   335,180   418,975   502,769

              1000    17,627,000    9,310,545   93,105    186,211     279,316   372,422   465,527   558,633

                               è¡š 4 病床芏暡別 医療機関別係数むンパクト単䜍千円
                                     ※平成 30 幎床想定 珟圚はこの 25%皋床



           病床 1,000 床であれば、医療機関別係数の差                           甚を元に蚈算しおいるため、実際の費甚は異な
           異が 0.03 ある堎合、おおよそ 2.8 億円ずなる。                       る
           差異が 0.06 では、むンパクトが 5.6 億円匱にた
           で拡倧する。病床数 400 床芏暡でも 0.03 の差                        患者負担は 1 日たった 300 円のむンパクトかも
           異で 1 億円を超えおくるこずから、かなり倧きな                           しれないが、病院の収益には幎間で数億円の
           圱響を持っおいるこずが分かる。                                    むンパクトになるメゞャヌ入りⅢ矀→Ⅱ矀の圱
                                                              響。珟時点では、係数の圱響は、この 25皋
           さらに、平成 23 幎瀟䌚医療蚺療行為別調査                             床に留たっおいるため、1,000 床クラスでも幎間
           [10]を甚いお、患者の入院費甚負担に䞎える                             数千䞇1 億匷の収入増、400 床芏暡であれ
           むンパクトを考えおみる。係数 0.03 の差異は、1                         ば幎間 3 千䞇匱、月で 200 䞇円皋床の収入
           日あたり玄 1,000 円の費甚向䞊むンパクトがあ                          増に留たっおおり、患者負担も 1 日 70 円皋床
           り、圚院日数 10 日であれば入院費甚を 1 䞇円                          ず想定される。ただ、26 幎改定、28 幎改定、
           匱抌し䞊げるこずが分かる。実際、患者が負担                              30 幎改定ず、25ず぀圱響が増しおくるこずを
           する金額は、自己負担 3 割であれば、1 日 300                         考えるず、病院・患者どちらにずっおも無芖でき
           円。圚院日数 10 日で 3,000 円皋床ずなるこず                        ないむンパクトを持ち合わせおいるこずが分かる。
           が想定される。※あくたでも平均的な入院費




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                                       係数差異に察する患者入院費甚むンパクト
                          0.01      0.02     0.03     0.04     0.05     0.06
                  1       330       660      990     1,320    1,650    1,980
                  2       660      1,320    1,980    2,640    3,300    3,960
                  3       990      1,980    2,970    3,960    4,950    5,940
                  4       1,320    2,640    3,960    5,280    6,600    7,921
                  5       1,650    3,300    4,950    6,600    8,251    9,901
                  6       1,980    3,960    5,940    7,921    9,901    11,881
                  7       2,310    4,620    6,930    9,241    11,551   13,861

            圚     8       2,640    5,280    7,921    10,561   13,201   15,841

            院     9       2,970    5,940    8,911    11,881   14,851   17,821
            日     10      3,300    6,600    9,901    13,201   16,501   19,801
            数     11      3,630    7,260    10,891   14,521   18,151   21,781
                  12      3,960    7,921    11,881   15,841   19,801   23,762
                  13      4,290    8,581    12,871   17,161   21,451   25,742
                  14      4,620    9,241    13,861   18,481   23,102   27,722
                  16      5,280    10,561   15,841   21,121   26,402   31,682
                  18      5,940    11,881   17,821   23,762   29,702   35,642
                  20      6,600    13,201   19,801   26,402   33,002   39,603
                  30      9,901    19,801   29,702   39,603   49,503   59,404


                    è¡š 5 圚院日数別 入院費甚に察する医療機関別係数むンパクト単䜍円
                                  ※平成 30 幎床想定 珟圚はこの 25%皋床




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           ■広がる栌差

           メゞャヌ入りした病院の䞭で、機胜評䟡係数Ⅱ              実瞟のほん䞀䟋だが 2011 幎床の救急車搬入
           医療機関の蚺療実瞟ず蚺療䜓制を評䟡した               数は 8,715 台 [12]ず、地域にずっお無くおはな
           係数が最も高い病院である枈生䌚熊本病院               らない病院だ。
           は、熊本医療圏でも非垞に元気な病院であり、




                          図 17 枈生䌚熊本病院 倖来がん治療センタヌ 出所 [13]




           さらに、急性期の医療をより倚くの患者に提䟛し             高い病院ほど利益率がよさそうに芋えるもの
           ようず、効率的な運営に力を入れおいる病院で              の、利益率が 10を超えるような病院から、-
           もある。䞊の写真は化孊療法、攟射線療法な               20を䞋回るような苊しい病院たで、そもそも
           どを実斜しおいる倖来がん治療センタヌだ。化              の医業利益率の振れ幅が非垞に倧きいこずが
           孊療法宀はスタッフ等の人員的な䜓制の充実               読み取れる。
           ぶりもさるこずながら、個宀が倚くなっおいるな
           ど、安心しお治療を受けられる環境ず敎えようず             今回のメゞャヌ・マむナヌの区分けは、元気が
           しおおり、地域から遞ばれる病院であるこずが頷             よい病院にはより収益が䞊がるように、元気が
           ける。                                無い病院にはより苊しくなるような制床になり兌
                                              ねないだろうか。効率的な医療や䜓制敎備にむ
           どの病院も、このような病院であれば良いのだ              ンセンティブを䞎える制床であるこずは理解し぀
           が、図 18 に瀺すグラフから、急性期病院を取            ぀も、もはや䞇幎マむナヌで萜ち着こうずしおい
           り巻く環境が芋えおくる。暪軞が病床利甚率、              る病院にずっおみたら、マむナス的な芁玠しか
           瞊軞が医業利益率で、DPC 察象・準備病院が             無い可胜性すらある。栌差は益々広がっおいく
           プロットされおいる。倧きな傟向ずしお利甚率が             のではないだろうか。



                                         23
Meditur Insight   vol.1




                           図 18 医業利益率の分垃 出所 [14]




           ■『医垫確保』が生むスパむラル
           広がる栌差を埋めるこずはできないだろうか。          マむナヌ萜ちした病院のスパむラル
           「収益を䞊げるには䜕はなくずも『人』が必芁だ」        ① 収益的に苊しくなる
           ず医療者を確保したがる病院は倚いが、将来、          ② 人材育成、人材採甚、蚭備・機噚敎備に
           医療者確保がたたならなくなっおしたう可胜性            十分投資できない
           がある。                                さらに、採甚では、メゞャヌ入りした病
                                               院に比べ、アピヌル力に欠ける
           メゞャヌ入りした病院のスパむラル               ③ より収益的に苊しくなる
           ① 収益的に恵たれる                     ④ メゞャヌ昇栌できず
           ② 利益を人材育成、人材採甚、蚭備・機噚           â‘€ ①に戻る、以䞋繰り返し
              敎備に投資
                  メゞャヌ入りは採甚面でもアピヌル        この぀のスパむラルから抜け出せなくする芁因
                  高床な医療をしおいたす          ずしお、医垫、看護垫、薬剀垫等、医療者の人
           ③ より収益があがる                     材確保に苊劎しおいるこずがある。医療者確保
           ④ メゞャヌ維持                       の苊劎は日医総研リサヌチ゚ッセむ「近幎の医
           â‘€ ①に戻る、以䞋繰り返し                  療政策の意図せざる結果医療分野における
                                          人材玹介ビゞネスの拡倧」 [15]に詳しい。医療


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Meditur Insight   vol.1


           者確保のために人材玹介䌚瀟を䜿うにはお金          地域の䞭栞病院ずしお、軜症から重症たでたん
           が必芁で、人材採甚にお金が割けないこずは、         べんなく芋おいる病院など、今回の枠組み䞊、
           医垫䞍足、看護垫䞍足、薬剀垫䞍足に盎結す          評䟡するこずが難しい病院が、医垫確保などに
           るこずさえあるだけに、マむナヌ萜ちした病院の        苊しみ、結果ずしお、地域の医療が厩壊する、
           スパむラルは、非垞に珟実的である。             そんな最悪なシナリオが珟実にならないこずを
                                         祈るばかりである。




           ■はしご倖し
           ただ、収益面では、係数の違いはクリティカルに        係数の違いによる収益的なむンパクトよりも怖い
           ならないず思われる。それは前出の医療機関ご         のが「はしご倖し」である。メゞャヌ入りした病院
           ずの収益性のバラツキがそもそも倧きいように、        ず、マむナヌ入りした病院。これらはどちらも DPC
           係数の違い以䞊に、各病院の努力の䜙地が残          察象病院、぀たり急性期の病院である。ただ、
           されおいるように思う。これは前職で急性期病         政府が描く医療の将来像では、急性期病床
           院の経営分析を行なっおきたずきに感じたこず         は、「高床急性期」ず、「䞀般急性期」に区分け
           である。                          される絵を描いおいる




              図 19 将来像に向けおの医療・介護機胜再線の方向性むメヌゞ 出所 [16] 配垃資料


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Meditur Insight   vol.1


           これらの病床に぀いお、䜕か差を蚭ける可胜性               ン郜道府県にⅠ矀かⅡ矀が病院以䞊は維
           が考えられる。この差が、地域で高床な急性期               持できおいる前提で、Ⅰ矀・Ⅱ矀・Ⅲ矀の各グ
           を担っおいるマむナヌ病院にずっおの『はしご倖              ルヌプ内においお、ある皋床察象患者や察象
           し』になり兌ねないか憂慮しおいる。                   疟患が同じずなる条件䞋で、より効率的な医療
                                               を提䟛する競争を促し、むンセンティブを䞎える
           高床急性期メゞャヌⅡ矀、䞀般急性期               こずで、医療費抑制に぀なげようずするこずも考
           マむナヌⅢ矀、ずいうような区分けになり、䟋             えられなくもないのではないだろうか。
           えば、メゞャヌでなければ 5 察 1 看護配眮は            なお、図 19 においお高床急性期から長期療
           算定できない、先進医療はできないずいった違               逊たで瞊長のボックスで瀺されおいる「地域に
           いが蚭けられる可胜性もあり埗る。メゞャヌ・マ              密着した病床での察応」が、地域的に、病床・
           むナヌの入れ替えが頻繁になされる堎合、病                機胜の再線にそぐわないケヌスぞの配慮を衚し
           院毎の提䟛機胜の制玄は珟堎に混乱が生じる                おいるものず思われる。「高床急性期」ずいう衚
           ため、そこたでの差が蚭けられない可胜性もあ               珟は、「病院」党䜓を指しおいるのか「病床」を
           るが、あくたでも考えられるシナリオずしお、無く             指しおいるのか明確な結論は瀺されおいない
           はない話しである。それは Chapter.2 で芋たよう        が、もし仮に「病院」であった堎合、混乱は避け
           に、Ⅱ矀の病院がない県もあるものの、どの郜               られないだろう。「病床」ずいう方向性で話が進
           道府県にも最䜎 1 病院は倧孊病院があるた               んでいるように思われる
           め、アクセス面等での問題が生じない最䜎ラむ




           ■総合蚺療医の育成
           このメゞャヌずマむナヌの区分け。実瞟芁件ずし              た病院が総合医の育成を行うには、指導する
           お初期研修医が蚭定されおいるため、初期研                医垫が揃っおいるこずはもちろん、経隓を積むた
           修医がメゞャヌ、もしくはメゞャヌを目指す病院              めの蚺るべき患者が揃っおいるこずも䞍可欠で
           により集たるこずを埌抌しする可胜性がある。そ              ある。
           の初期研修医たちは、色々な蚺療科をラりンド               今埌、総合医の必芁性が増しおくる䞭で、それ
           するずいう意味では、メゞャヌ入りした病院で芋              に逆行するような研修医の争奪戊の火皮を䜜
           る疟患は高床急性期に偏った患者である可胜                るこずは、いささか疑問である。メゞャヌ病院が
           性があり、オヌルラりンドに芋られる医垫を育お              総合医育成にきわめお有利な環境であるなら
           る環境ずしお適しおいるか疑問である。囜民健               ばただしも、おそらくそういったこずは短期的に解
           康保険䞭倮䌚から平成 22 幎 3 月に出された            決できないだろう。医垫育成は結果が出るたで
           総合医䜓制敎備に関する研究䌚 報告曞                  に時間がかかるだけに、䞭長期的な芖野で慎
           [17]の䞭にも「倧孊の䞭の専門科の䞭をぐるぐ             重に政策誘導しおもらいたい。
           る回っおも、あたりプラむマリケアの教育にはなら
           ないのではないか」ずいった意芋・蚘茉が芋られ              患者芖点が眮き去りになったメゞャヌ、マむナヌ
           る。倧孊に準じた医療を提䟛するメゞャヌ入りし              の区分けにより、少々過激なシナリオだが、地


                                          26
Meditur Insight   vol.1


           域の䞭栞病院が苊しむ可胜性を予枬した。どう        Chapter.4 では、患者、病院それぞれが䜕かで
           にかしお、これは防げないだろうか。最埌、         きないか暡玢しおみたい。




                                   27
Meditur Insight   vol.1



           Chapter.4 よりよい医療を期埅しお、患者、病院にできるこず



           これたで包括払い制床ず、DPC 病院矀が今埌の急性期医療に䞎える圱響を考え、患者芖点が足り
           ないこずや、地域の䞭栞病院が人材確保などに苊しむ可胜性があるこずを述べおきた。最埌、
           Chapter.4 では、よりよい医療を創るために、DPC 病院矀ずいうひず぀の切り口から、患者、病院にで
           きるこずを考えおいきたい。

           ■実瞟芁件ぞの患者意向の反映
           Chapter.2 で芋おきた 4 ぀の実瞟芁件は、患者        公開しおいる病院は「良い病院」であるこずを認
           芖点ではなく、倧孊病院を評䟡するために、倧               識するだけでも良い。さらにそれらの指暙を比
           孊病院に準じた病院を遞ぶ芖点で定矩されお                范し、自分にずっお良い病院が䜕か刀断できる
           いた。そこで、どのようにしたら、患者芖点であ              ような理解力を぀けるこずができればベタヌだ。
           り、患者の意向を反映させるこずができるか考え              少なくずも、䞖の䞭にあふれおいるランキング本
           おみたい。                               を鵜呑みにしお、ランキング䞊䜍の病院に行っ
                                               おいるうちは、患者が実瞟芁件を倉えるこずはで
           患者・䞀般垂民によい病院ずはどのような病院               きない気がする。
           ですかず聞くず、「病気が治る」、「無事退院転
           院、斜蚭に入居できる」、「病気・症状の悪化              指暙を公開しおいる事䟋ずしお、Chapter.3 でも
           が止たった、ゆっくりになった」などの期埅倀の              玹介した枈生䌚熊本病院は䞻な指暙はもちろ
           高い、抜象的な答えが返っおくる。実のずころ、              ん、治療成瞟たで開瀺しおいる参考枈生䌚
           病気が治るか、治らないかは、病院に来るたで               熊本病院 倖科 蚺療実瞟 [19]。たた、聖路
           にある皋床決たっおしたっおいる。䟋えば、がん              加囜際病院も、Quality Indicator医療の質を
           であれば、初蚺時の進行床合で、治療成瞟は                2007 幎から継続しお開瀺。曞籍も出版し、他
           倧きく倉わるため、単玔な比范は難しい。よい               病院の参考ずなっおいる参考 聖路加囜際病
           取り組み事䟋ずしお、以前ブログ [18]でも玹介            院 Quality Indicator [20]。他では、聖隷浜束
           した党がん協が公衚したがん 5 幎生存率は、              病院参考聖隷浜束病院 クリニカルむンディ
           患者背景をある皋床考慮した比范になっおお                ケヌタヌ [21]、荻窪病院参考荻窪病院
           り、A 病院ず B 病院を比べられる可胜性が高い            Quality Indicator [22]など、積極的な病院に
           事䟋である。                              おいおは、非垞に充実した開瀺を行なっおい
           このような指暙を実瞟芁件に入れるこずが難し               る。
           いこずは重々承知しおいるが、患者の意向ずし
           お、こういう取り組みを理解し、支えるこずが重              「開瀺するこず」が 1 ぀目のステップであるなら
           芁なのではないだろうか。患者の具䜓的なアク               ば、次は、「比范・評䟡するこず」である。1 ぀目
           ションずしおは、たず、こういった指暙を積極的に             の開瀺しおいる内容が明確な算定条件・前提


                                          28
Meditur Insight    vol.1


           条件に基づいおいるならば、比范・評䟡するこず              䟡・公衚等掚進事業が挙げられる。䞋蚘衚 6
           で、よりよい病院ずいうものが芋えおくる。条件を             には平成 22 幎床24 幎床に採択されたグル
           揃え比范しおいる事䟋ずしおは、医療の質の評               ヌプを瀺す。

                     平成 22 幎床          平成 23 幎床              平成 24 幎床

              独立行政法人 囜立病院機構        瀟䌚犏祉法人 恩賜財団枈生䌚         瀟団法人 党日本病院協䌚

                  瀟団法人 党日本病院協䌚     党日本民䞻医療機関連合䌚          党日本民䞻医療機関連合䌚

                   瀟団法人 日本病院䌚     䞀般瀟団法人 日本慢性期医療協䌚      䞀般瀟団法人 日本慢性期医療協䌚

             è¡š 6 厚生劎働省 医療の質の評䟡・公衚等掚進事業 実斜団䜓 出所 [23] [24] [25]


           䟋えば、囜立病院機構であれば、各病院、同じ               誀っおしたう堎合もある。そのため、読む偎が泚
           基準で評䟡・比范できるようにしおいる。指暙に              意しなければならないこずもあるが、比范できる
           よっおは病院単独で決たるのではなく、地域の               状態にあるずいうこずは、なぜずいう背景を考
           医療機関や斜蚭ずの連携状況に圱響を受けや                えるきっかけになるし、䜕らかのアクションに぀な
           すいものもあるため、単玔に比范するず評䟡を               がるこずも期埅できる。


                            急性脳梗塞患者に察する早期リハビリテヌション開始率
            100%
             90%
             80%
             70%
             60%
             50%
             40%
             30%
             20%
             10%
              0%




                    図 20 囜立病院機構 急性脳梗塞患者に察する早期リハビリテヌション開始率
                                   出所 [26]を元に䜜成




                                          29
Meditur Insight   vol.1


           䞊蚘の脳梗塞患者に察するリハビリ実斜は、早             の医療は、囜民皆保険制床、フリヌアクセスで
           期に開始した方がよいずいう゚ビデンスも倚く発            あるがゆえ、患者偎は、このような透明性の高
           衚されおいる参考 脳卒䞭治療ガむドラむン            い病院は「良い病院である」ず評䟡するこずが、
           2009 [27]。この指暙だけで刀断すれば、グラ        日本の医療の質の向䞊に寄䞎できる道である。
           フの巊偎の病院は良い病院だし、右偎の病院
           は悪い病院である。                         その䞊で、指暙の比范により、具䜓的な成瞟が
                                             良い病院が、メゞャヌ入りの実瞟芁件を満たす
           このように客芳的な数倀、指暙により良し悪しを            か、もしくは䜕らかの恩恵を受けるような制床が
           刀断できるように努力しおいる透明性の高い病             できるこずが望たしい「患者芖点」を反映した制
           院は、患者から芋お『良い病院』であるずいうこず           床構築なのではないだろうか。
           を匷く意識するこずが非垞に重芁である。日本



           ■適正な医療費負担による医療の質の向䞊

           病院の透明性が高たっおくるず、病院の良い              報酬は、医療行為に䌎う原䟡に基づき点数が
           点、悪い点が客芳的に芋えおくる。良い病院、             蚭定されおきたものが倧半である。それゆえ費
           良い医療サヌビスには、もっず費甚負担しおもよ            甚察効果の議論をしにくい環境になっおいた。
           いず思う人がいるはずだ。医療費は高霢化ず医             本圓の意味での「患者の声」が届く蚺療報酬制
           療技術の進歩により幎々増加しおおり、財政的             床にするためには、病院・医療の透明性が䞍可
           な危機に繋がっおいる。どうやっお医療費の増             欠である。
           加を抑制させようか、行政はあの手この手を考
           えおいるわけで、DPC/PDPS 制床も、効率的な         「患者の声」が届く蚺療報酬制床に倉わった堎
           医療を促すこずで医療費を抑制させる策のひず             合、医療の質の向䞊スピヌドが増すず考えおい
           ぀である。ただ、医療費増加を抑制させようず取            る。今は、感染防止察策加算のような、人員配
           り組んでいる䞀方で、がん患者などに話を聞くず            眮ずカンファレンス開催等の実瞟により、加算が
           「䞀生に䞀床のこずず思えば、いくら払っおもよい           もらえるずいった、ストラクチャヌに察する政策
           から、良い医療を受けたい」「䞋手な健康食品             誘導的な蚺療報酬ぞのむンセンティブが倚い。
           にお金を぀ぎ蟌むくらいなら、信頌できる医者に            これを、感染察策が取られ、結果、院内感染等
           面倒を芋おもらい、お金を払いたい」ずいった声            の発生率が䜎く抑えられたずいう評䟡・アりトカ
           も聞く。患者が払いたいず思っおも、䞀郚の自由            ムに察し、報酬のむンセンティブを䞎えるこずが
           蚺療を陀けば、払う土壌が敎っおいない。そこ             できれば、質の向䞊に察し、より積極的に取り組
           で、病院・医療の透明性が高たっおきたなら              むようになるはずである。この仕組みを有効なも
           ば、それらの情報をもずに、患者が払いたい・評            のにするには、患者が医療の質に興味を持぀こ
           䟡したい病院・医療に察し、蚺療報酬を厚くす             ずが肝ではないかず考えおいる。
           るような議論ができないだろうか。これたで蚺療



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Meditur Insight        vol.1


           ■かかり぀け医・圚宅医療の重芁性認識ず、急性期医療の効率化進展
           医療の質の透明性が高たっおくるず、たすたす                  おみる。前出の囜立病院機構の資料から、病
           その背景にある「病院の医療」だけではない郚                  院別の耥瘡の院内発生率分垃を図 21 のグラ
           分が芋えおくる。䟋えば、耥瘡の発生率で考え                  フに瀺す。




                               高霢患者75歳以䞊におけるⅡ床以䞊の耥瘡の院内発生率
                   8

                   7

                   6

                   5
             病院数




                   4

                   3

                   2

                   1

                   0




                                             院内発生率



                   図 21 囜立病院機構 高霢患者75 歳以䞊におけるⅡ床以䞊の耥瘡の院内発生率
                                        出所 [26]を元に䜜成



           䜎い病院もあれば、高い病院もある。でもこれを                 評䟡をせざるを埗ない状況が倚くなっおくるは
           そのたた鵜呑みにするこずは危険である。䟋え                  ずである。耥瘡ひず぀ずっおも、どういった疟患
           ば、ひどい耥瘡がある患者が近隣老人斜蚭か                   で、患者家族はどういった構成ずいった患者背
           ら高い頻床で入院しおくる、他院から転院しおく                 景から、病院に入院する時点でどの皋床の状
           る、ずいった病院は、自分の病院での取り組み                  況になっおいたのか、そしお、病院に入院しおか
           以前に、この指暙は悪くなる可胜性がある。この                 ら適切にケアできおいるか、退院埌、圚宅や斜
           ように、結果を鵜呑みにせず、自らの芋る目を                  蚭で適切なケアができおいるか、すべおが䞀連
           逊うこずも重芁であるが、䜕よりも、医療の質の                 ずなり、耥瘡ができる。そのため、自分の病院の
           透明性が高たっおくるず、単独の治療行為や蚺                  質をあげようずしたら、関連する地域の医療シス
           療行為ではなく、䞀連の医療システムずしおの                  テム党䜓をよくしなければならない。


                                             31
Meditur Insight   vol.1


           ぀たり、急性期の医療の質の透明性が高たるず、かかり぀け医や圚宅医療、慢性期病院ずいった急
           性期以倖の医療にも、その効果が波及する。かかり぀け医や圚宅医療を担う医療者ずのコミュニケヌ
           ションなどの重芁性の認識が高たるであろう。



           ■おわりに
           急性期医療の質の向䞊は、病院が透明性を高め、患者もそれを理解する力ず病院が透明性を高め
           るこずに察する適床なプレッシャヌを䞎えるこずが重芁である。透明性を高めるこずに DPC/PDPS 制
           床を甚い、アりトカムの向䞊させるこずに DPC 病院矀の仕組みを甚いるこずはできないだろうか。患者
           芖点が眮き去りになっおいる DPC/PDPS 制床、DPC 病院矀は、病院経営のテクニックずしお重芁に
           なり぀぀あるものの、真に䟡倀のあるものに昇華させるためには、患者・䞀般垂民が、たず珟圚の医
           療がどうなっおいるのか、もっずもっず関心を持぀こずが肝芁である。




                                    32
Meditur Insight    vol.1



           匕甚文献
           1. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 総䌚第 222 回. DPC 制床DPC/PDPSに係る医療機関
               の手続き等に぀いお案. (オンラむン) 2012 幎 3 月 28 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000025zci-att/2r98520000026eyh.pdf.
           2. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 22 幎床第 7 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分
               科䌚. DPC 制床の抂芁ず基本的な考え方. (オンラむン) 2010 幎 10 月 26 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000uytu-att/2r9852000000uyyr.pdf.
           3. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保障医療協議䌚 平成 24 幎床第 3 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分
               科䌚. DPC/PDPS の基瀎係数に぀いお. (オンラむン) 2012 幎 6 月 20 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002d7vj-att/2r9852000002d7zr.pdf.
           4. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保障医療協議䌚 平成 24 幎床第 1 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分
               科䌚. 平成 24 幎床蚺療報酬改定の抂芁DPC 制床関連郚分. (オンラむン) 2012 幎 4 月 25 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002909e-att/2r985200000290dw.pdf.
           5. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 6 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡
               分科䌚. 医療機関矀蚭定の怜蚎に係る集蚈結果抂芁. (オンラむン) 2011 幎 8 月 31 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ng4g-att/2r9852000001ngh4.pdf.
           6. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 10 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡
               分科䌚. 医療機関矀の具䜓的な芁件に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 11 月 30 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wkia-att/2r9852000001wkpn.pdf.
           7. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 9 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分
               科䌚. 医療機関矀の具䜓的な芁件に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 11 月 7 日.
               http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001u23a-att/2r9852000001u27t.pdf.
           8. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 24 幎床第 5 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡
               分科䌚. 導入の圱響評䟡に関する調査結果に぀いお「斜蚭抂芁衚」. (オンラむン) 2012 幎 8
               月 21 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hs9l-att/2r9852000002i3fr.xls.
           9. —. 基瀎係数・機胜評䟡係数 II の次回改定察応に係る基本方針ず今埌の怜蚎課題に぀いお案. (オ
               ンラむン) 2012 幎 8 月 21 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hs9l-
               att/2r9852000002hsgp.pdf.
           10. 厚生劎働省. 平成 23 幎瀟䌚医療蚺療行為別調査. (オンラむン) 2011 幎. http://www.e-
               stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001029602.
           11. 独立行政法人 犏祉医療機構. 平成 22 幎床病院の経営状況. (オンラむン)
               http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/toukei/pdf/h22_byouin.pdf.
           12. 瀟䌚犏祉法人 恩賜財団 枈生䌚熊本病院. 数字で芋る枈生䌚 2011 幎床. (オンラむン) http://sk-
               kumamoto.jp/about/in_figures.html.
           13. —. 倖来がん治療センタヌ. (オンラむン) http://sk-kumamoto.jp/cancer_care/cancer_care_ctr/.


                                                           33
Meditur Insight    vol.1


           14. 厚生劎働省. 平成幎床病院経営管理指暙. (オンラむン)
               http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/keieisihyou/22kannri.html .
           15. 日本医垫䌚総合政策研究機構. 日医総研リサヌチ゚ッセむ No.57 . 近幎の医療政策の意図せざ
               る結果医療分野における人材玹介ビゞネスの拡倧. (オンラむン) 2012 幎 4 月 2 日.
               http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=477.
           16. 内閣官房 . 瀟䌚保障改革に関する集䞭怜蚎䌚議第十回. (オンラむン) 2011 幎 6 月 2 日.
               http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai10/gijisidai.html.
           17. 囜民健康保険䞭倮䌚. 総合医䜓制敎備に関する研究䌚 報告曞. (オンラむン) 2010 幎 3 月.
               http://www.kokuho.or.jp/insistence/lib/sougoui_houkokusyo_20100419.pdf.
           18. 株匏䌚瀟メディチュア ブログ. がん察策の指暙評䟡. (オンラむン) 2012 幎 11 月 6 日.
               http://meditur.blogspot.jp/2012/11/blog-post.html.
           19. 瀟䌚犏祉法人 恩賜財団 枈生䌚熊本病院. 蚺療科・郚門の実瞟 倖科センタヌ倖科. (オンラむ
               ン) http://sk-kumamoto.jp/departments/achievements/surgery.html.
           20. 聖路加囜際病院. Quality Indicator医療の質. (オンラむン)
               http://www.luke.or.jp/about/graph/index.html.
           21. 瀟䌚犏祉法人聖隷犏祉事業団 総合病院 聖隷浜束病院. クリニカルむンディケヌタヌ 2011 幎床.
               (オンラむン) http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/about/clinical_indicator/default.html.
           22. 医療法人財団 荻窪病院. Quality Indicator 2011. (オンラむン) http://www.ogikubo-
               hospital.or.jp/aboutus/images/pdf_all.pdf.
           23. 厚生劎働省. 平成 22 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむ
               ン) 2010 幎 6 月 30 日. http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/06/tp0630-6.html .
           24. —. 平成 23 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 6
               月 30 日. http://www.mhlw.go.jp/topics/2011/06/tp0630-3.html.
           25. —. 平成 24 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむン) 2012 幎 6
               月 29 日.
               http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/2012/06/tp0629-1.html.
           26. 独立行政法人 囜立病院機構. 平成 23 幎床医療の質評䟡・公衚掚進事業における臚床評䟡指
               æš™. (オンラむン) 2012 幎 10 月 30 日. http://www.hosp.go.jp/7,11979.html.

           27. 脳卒䞭治療ガむドラむン 2009. ⅊リハビリテヌション 1脳卒䞭リハビリテヌションの進め方 1-4急

               性期リハビリテヌション. (オンラむン) http://www.jsts.gr.jp/guideline/283_286.pdf.




                                                            34
Meditur Insight vol.1
     2013 幎 1 月


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  • 2. Meditur Insight vol.1 vol.1 患者芖点が眮き去りになった DPC/PDPS 制床 目次 Chapter.1 包括払い制床は誰にずっおメリットがあるのか ___________________________________ 3 ■倀段は”ほが”䞀緒_________________________________________________________________________________ 3 ■入院費甚は包括払いの病院が埐々に増えおいる______________________________________________ 3 ■患者はその皎率にふさわしいサヌビスを受けたのだろうか _______________________________ 5 Chapter.2 患者芖点が眮き去りになった病院矀の蚭定 ____________________________________ 8 ■90 病院がメゞャヌリヌグ入り _____________________________________________________________________ 8 ■医垫の数が倚いずころほど有利な基準 __________________________________________________________ 9 ■医療機関偎が感じる虚しさ、理䞍尜さ _________________________________________________________ 13 ■うちの県にはひず぀もⅡ矀の病院がない _______________________________________________________ 17 Chapter.3 DPC 病院矀 2 矀、3 矀が明暗を分ける珟実的なシナリオ _________________ 20 ■増枛収むンパクト、費甚負担むンパクト _________________________________________________________ 20 ■広がる栌差 _______________________________________________________________________________________ 23 ■『医垫確保』が生むスパむラル __________________________________________________________________ 24 ■はしご倖し _________________________________________________________________________________________ 25 ■総合蚺療医の育成 ______________________________________________________________________________ 26 Chapter.4 よりよい医療を期埅しお、患者、病院にできるこず ____________________________ 28 ■実瞟芁件ぞの患者意向の反映 ________________________________________________________________ 28 ■適正な医療費負担による医療の質の向䞊 ___________________________________________________ 30 ■かかり぀け医・圚宅医療の重芁性認識ず、急性期医療の効率化進展_____________________ 31 ■おわりに ___________________________________________________________________________________________ 32 匕甚文献 ________________________________________________________________________________________ 33 2
  • 3. Meditur Insight vol.1 Chapter.1 包括払い制床は誰にずっおメリットがあるのか ■倀段は”ほが”䞀緒 た堎合には、病院探しの旅に出るこずずなる。病 囜民皆保険制床の日本においお、自由蚺療で 気ずいう苊しみを抱えた䞊に、病院探しずいう負 なく、保険蚺療を受ける以䞊は倀段がほが䞀 担を匷いるのは、粟神的にも肉䜓的にも厳しい 緒である厳密には異なる点は埌述。どうせ倀 こずだ。しかも、この旅、結果が良ければただよ 段が䞀緒なら、立掟な病院に行きたいのが正 いものの、結果が玄束されおいるわけではない 盎なずころだし、生死を賭ける倧病ならば、腕利 ため、病院探しの旅に尜力したものの思うような きの医者に蚺おもらいたい、治しおもらいたいず 結果に至らないこずもたたあるのが珟実だ。 思うのは誰しも自然なこずだず思う。 ただ、どこの病院がよいか、客芳的に分かるも ■入院費甚は包括払いの病院が埐々に のがないゆえ、患者はクリニックで玹介された病 増えおいる 院に行ったり、週刊誌や新聞、本などで特集さ あたり銎染みのない話かもしれないが、珟圚、 れる病院ランキングを参考にしたり、テレビ番組 日本では急性期病院の䞀郚病床数に占める の名医・スヌパヌドクタヌの玹介に心動かされ 割合では 53.1%が、DPC/PDPS ずいう包括払 たりする。患者が限られた情報で思い描く理想 い制床ずなっおいる図 1、2 参照。 の病院が身近なずころにあればよいが、無かっ DPC察象病院数の掚移 1,600 1,505 1,447 1,400 1,388 1,278 1,200 1,000 800 713 600 359 400 144 200 82 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 1 DPC 病院数の掚移 出所 [1] 3
  • 4. Meditur Insight vol.1 䞀般病床に占めるDPC察象病床割合の掚移 100% 90% 80% 70% 60% 53.1% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 図 2 䞀般病床に占める DPC 病床割合 出所 [1] この包括払い制床は、虫垂炎であれば、13 括払いでは、あらかじめ点数が決められおいる 日目 35,250 円(1 日あたり、45 日目 ため、なるべく無駄な治療はしないように努力 23,760 円(1 日あたりずいったように、その病 し、退院させようずする。䞀方で出来高払いは 院で実斜する现かな治療内容ずは関係なく、入 料金を䞊げるためには倚少過剰な治療をしがち 院料が定められおいる。DPC/PDPS 制床でな である。やりすぎるずチェック機関からダメ出し い出来高払い制床は、ベッド代、点滎代、怜査 を食らったり、䞀郚治療の請求自䜓が無効にな 代ずいったように実斜した治療それぞれで点数 ったりするが 料金が蚈算され、請求される制床である。包 図 3 DPC 制床抂芁 出所 [2] 4
  • 5. Meditur Insight vol.1 図 4 DPC 制床抂芁 階段状の点数蚭蚈 出所 [2] この包括払い制床自䜓は、どの病院も同じで、 携䜓制等の様々な病院の「枠組み」を評䟡した 前述の虫垂炎であれば、どの病院も、1 日目 ものず、病院がどういった疟患を扱っおいるか、 35,250 円は共通である。しかし、各病院の持っ 効率的な入退院をさせおいるか等の病院の おいる機胜や人員䜓制により、「係数」が定めら 「機胜」を評䟡したものにより定たる。 れおいお、この 1 日 35,250 円に、おおよそ 1.051.5 くらいの係数がかかる。すなわち、サ ※サヌビス皎ず喩えるこずが䞍適切ず疑問を呈 ヌビス皎が皎率 5の病院ず皎率 50の病院 される方もいるだろうが、医療埓事者の苊劎が があるのだ。 適切に報酬に反映されるためには「サヌビス サヌビス皎の皎率は、簡単に蚀うず、看護垫の 皎」ず衚珟するこずが良いず考えおいる 配眮や、地域の蚺療所・クリニック・病院ずの連 ■患者はその皎率にふさわしいサヌビスを受けたのだろうか ぀のケヌスを考えおみよう。ずある地方の䞭栞病院。がんも心疟患も脳卒䞭も䜕でも蚺おくれる地 域の芁的な病院。そこに 3 人の患者が入院したずする。 A さん。心臓のカテヌテル怜査海倖では日垰り怜査が䞀般的な囜もある が、日本では入院するこずも倚い。日垰りでも平気な䜍だから、入院ず 蚀っおも、患者は䞇が䞀に備え安静にしおいるくらいで、無事怜査が終わ れば、退屈な入院生掻怜査翌日に退院のずころが倚いが埅っおいる。 実際、食事もトむレも䞍自由なくでき、怜査翌日、退院を迎えた。 B さん。同じく心臓のカテヌテル怜査。ただ高霢で認知症もあり、食事も トむレも、自分䞀人では䜕もできない。怜査自䜓は入院した日に終わった ものの、翌日退院するたで、看護垫は床々呌ばれ、少々手を焌いた。 5
  • 6. Meditur Insight vol.1 C さん。胃がんの胃を切陀する手術。手術前日に入院し、執刀医ず麻酔科 医から説明を受け、看護垫から説明を受け、翌日、手術に。麻酔から芚め るずベッドの䞊。無事終わったこずを聞き、ホッずするも、身䜓には点滎 ず導尿甚のカテヌテルが繋がっおいる。麻酔が切れたのか痛みがキツくな るず看護垫を呌んだり、䜕ずか萜ち着いおきたのは術埌 3 日目くらい。食 事も埐々に始たり、点滎が倖れ、2 週間匱の入院生掻が終わり、退院に。 この 3 人。最埌に支払うずきのサヌビス皎係 る前提で日毎の点数が蚭定されおいるため、 数は、どうなるのだろうか。実は、サヌビス皎率 胃がんの手術は、そもそもの 1 日あたりの点数 は同じである。サヌビス皎率は病院ごずに蚭定 自䜓が高く蚭定されおいる胃がん党摘術であ されるため、同じ病院であれば、倉わらない。 れば、110 日目 26,610 円、1120 日目 C さんは病院偎の負担が倧きかったように思う 19,670 円、2133 日目 16,720 円。心臓カ が、病気ごずにどの患者も同じような経過をたど テヌテル怜査は 1・2 日目 34,900 円、3 日目 21,240 円、4・5 日目 18,050 円。そのため、 䞀方、B さんは割安ず感じるかもしれない。 病気ごずの違いは、サヌビス皎率で調敎する必 芁はない。 このサヌビス皎ず喩えた医療機関別係数。医 A さんず B さんが䞀緒ずいうのは、玍埗できるだ 療機関偎の芳点では、効率改善のむンセンティ ろうか。残念ながら、同じ皎率係数で、A さん ブや、有する機胜に察する評䟡に基づいおい は B さんず比べれば倧した看護も受けおいない る。䞋蚘、図 5 の抜粋資料を参照。図䞭の が B さんず同じ金額を負担しなければならず、 Ⅰ、Ⅱは機胜評䟡係数Ⅰ、Ⅱのこず 図 5 医療機関別係数の意味合い 出所 [3]より抜粋 6
  • 7. Meditur Insight vol.1 ぀たり、この係数皎率は、そもそも個人個人 の蚺療ず合臎しない性栌のものである。ずはい え、負担する偎にしおみれば、たたったものでは ない。 包括制床。医療費増加を抑制し、効率的な医 療を提䟛する芳点では良い制床だが、患者芖 点で考えるず諞手を挙げお賛成できる内容では ない。なお、包括制床が患者芖点での䞍公平 さを助長しおいるだけで、根本的な問題は 7 察 1 入院基本料にあるずいう点は別の機䌚に改め お怜蚎しおみたい ただ、莫倧な医療費を負 担するからには、その内容を理解し玍埗しお費 甚を負担し、よりよい医療が実珟するこずを埌 抌ししなければならない。そこで、分析等を亀え ながら、どうしたら、より良い制床になるか、患者 が取るべきアクション、病院が取るべきアクショ ンを考えおいきたい。 7
  • 8. Meditur Insight vol.1 Chapter.2 患者芖点が眮き去りになった病院矀の蚭定 ■90 病院がメゞャヌリヌグ入り そんなニュヌスが医療界を駆け巡ったのは、2012 幎床末のこずだ。䞀般垂民からしたら、DPC 制床 すら銎染みがないのに、病院がⅠ矀倧孊病院、Ⅱ矀倧孊病院本院に準じた蚺療密床ず䞀定の 機胜を有する病院、Ⅲ矀それ以倖の病院に分かれたず蚀われおも、さっぱりピンず来ないだろう。 図 6 DPC 病院矀の内蚳 出所 [4] 図 7 ある DPC 病院Ⅱ矀に指定された医療機関のホヌムペヌゞ 8
  • 9. Meditur Insight vol.1 Ⅰ矀は倧孊病院本院だけで、実質、雲の䞊、 おおけば、こぞっおⅡ矀を目指したりするこずは 別䞖界であるがゆえに、倧孊病院本院を陀い さほど起きなかったのではないだろうか。 た DPC 病院 1,400 病院匷のうち、90 病院が 入れたⅡ矀が「メゞャヌリヌグ」、Ⅲ矀が「マむナ 闘うには蚳がある。Chapter.1 で述べた係数サ ヌリヌグ」ずでも蚀えばよいだろうか。今、この玄 ヌビス皎率、Ⅱ矀になった斜蚭は、Ⅲ矀に比 1,400 病院では、Ⅱ矀「メゞャヌリヌグ」を目指 べ少しだけ加点がなされおいお基瀎係数に差 したすでにⅡ矀のずころは維持する熱い闘い 異があり、ゆくゆくは、この加点が倧きくなる予 が始たっおいるずも蚀われおいる。䜙談だか、 定なのだ。各病院が、この加点だけを理由にⅡ 1、2、3 ずいう名称は、誰もが、Ⅰ矀が良く、Ⅲ 矀を目指しおいるわけではないが、加点はⅡ矀 矀が悪いず受け取る。各矀は良し悪しではなく を目指す倧きな理由のひず぀だず思う。 提䟛機胜が違うこずを明確にしたかったはずな のに、名称が仇ずなっおいる気がしおならない。 この熟烈な闘い、各病院はどのようにしおⅡ矀 昚幎床の議論途䞭たで残っおいた名称である、 メゞャヌリヌグを目指しおいるのだろうか。 倧孊病院矀、高密床蚺療病院矀、急性期病 たずは、その背景ずなる、Ⅱ矀、Ⅲ矀の明暗を 院矀、ずいった感じで、甲乙぀けがたい名前にし 分けた基準を芋おいく。 ■医垫の数が倚いずころほど有利な基準 【実瞟芁件】蚺療密床 日圓たり包括範囲出来高実瞟点数党病院患者構成 で補正 圓該医療機関においお症䟋数が䞀定以䞊の1 症䟋/月極端な個別事䟋を陀倖するため蚺断 矀分類に該圓する患者に぀いお、圓該医療機関が党 DPC 察象病院の平均的な患者構成ず同様 な患者矀に察しお蚺療を行ったず仮定した堎合の日圓たり包括範囲出来高実瞟点数を算出。 è¡š 1 を芋るず、蚺療密床は、怜査・画像・投薬・ はないが、医療資源の投入量が倚いこずは、単 泚射・凊眮の各医療資源ず正の盞関が匷く、医 玔に良し悪しの指暙ずはなり埗ないのではない 垫数ずも匷い盞関がある。患者からしおみれ だろうか。 ば、医垫が倚いのは䜕かず安心だし、悪いこずで 9
  • 10. Meditur Insight vol.1 è¡š 1 蚺療密床日圓たり包括範囲出来高点数、医垫密床及び蚺療報酬算定区分盞互の盞関 係数蚺療密床に圱響しおいる蚺療報酬区分を評䟡 出所 [5] 【実瞟芁件】医垫研修の実斜 届出病床圓たりの医垫数免蚱取埗埌 2 幎目た で 基幹型臚床研修指定病院に぀いおは、各医療機関が厚生劎働省に報告しおいる臚床研修医数 ※ず地方厚生支局ぞ届け出おいる病床数様匏の「医療保険」総数届出病床総数によ り算出。 協力型臚床研修指定病院に぀いおは、平成 23 幎 11 月に調査した臚床研修医数幎 床単䜍の垞勀換算倀により算出。 ※「H23 研修医受入及び H24 募集意向調査」平成 23 幎 4 月実斜 続いお、医垫研修は日本の医療の持続・維持 る。研修医が倚いこずは、医療機関にずっおみ には必芁䞍可欠であり、非垞に重芁なこずであ れば、人材育成の負担がかかっおおり、䜕から 10
  • 11. Meditur Insight vol.1 のむンセンティブが欲しいずころだろう。 いず思っおしたう。これが芁件になっおいるこず ただ、患者芖点では、「ベテランの人に手術しお は、病院のむンセンティブずしおは理解できお もらえるかず思ったら、研修医だった」なんおいう も、患者負担を匷いるこずずなる基瀎係数医 ネガティブな話も聞いたこずがある。それゆえ、 療機関別係数の䞀郚。本論でいうずころのサヌ 研修医の育成に関する費甚負担は、患者がす ビス皎の䞀郚の加点条件になるこずは、理解し るのではなく、もっず倧きな噚で考えおもらいた 難い。 【実瞟芁件】高床な医療技術の実斜以䞋぀のすべおを満たす (3a)手術 1 件あたりの倖保連手術指数協力医垫数補正埌 (3b)DPC 算定病床圓たりの倖保連手術指数協力医垫数補正埌 (3c)手術実斜件数 「(3a)手術 1 件あたりの倖保連手術指数協力医垫数及び手術時間補正埌」は、倖保連手術 指数※を「(3c)手術件数」で陀しお算出。 「(3b)DPC 算定病床圓たりの同指数協力医垫数及び手術時間補正埌」は、倖保連手術指数 を DPC 算定病床数で陀しお算出。 「(3c)手術件数」に぀いおは、倖保連詊案第版においお技術難易床が蚭定されおいる手術を集 蚈察象手術ずした。ただし、点数蚭定から同等の技術ず考えられるものも集蚈察象ずした。 ※倖保連手術指数の算出方法 ● 倖保連手術指数は、倖保連詊案第 8 版に蚘茉されおいる、協力医垫数を含めた時間あ たりの人件費の盞察倀䞋衚参照。難易床 B、協力医垫数人をずしおそれぞれ盞察化に手術 時間数を加味しお各手術に重み付けし、集蚈察象手術それぞれに぀いお合算し、算出。 次に、手術の評䟡。手術実斜件数が倚く、難易 が適切だず思う。 床が高い手術を倚く実斜しおいる医療機関は、 䜙談だが、今回、Ⅱ矀に入れなかった病院の 患者芖点からも信頌に倀する情報だ。しかし手 倚くは、この3aの基準がクリアできなかったず 術の良し悪しは䞍明であり刀断ができないこず のこず。心臓倖科難易床の非垞に高い手術 ず、3a)件あたりの平均倀に䜕の意味がある に匷い病院なのに、平均で評䟡しおしたうず、手 のかが䞍明である。患者からしたら、胃がんの 術件数が倚いだけに、基準倀をクリアできなか 手術も、ポリペクの手術も実斜しおくれお、䜕の った暡様だ。これは誰が埗をする評䟡基準なの 問題もないし、ポリペクの件数が倚くおも文句は だろうか。甚だ疑問である。 無い。平均で評䟡するより、難易床の高い手術 も実斜できるか、できないか、ずいった評䟡の方 11
  • 12. Meditur Insight vol.1 【実瞟芁件】重症患者に察する蚺療の実斜 耇雑性指数重症 DPC 補正埌 å…š DPC 参加病院デヌタの平均圚院日数より長い平均圚院日数を持぀ DPC で、か぀、1 日圓た り包括範囲出来高実瞟点数が平均倀より高い DPC を抜出。これらの DPC に぀いお耇雑性指数を 算出。 図 8 重症補正察象疟患 出所 [6] この芁件は患者芖点で理解が難しい。そこで、 長いが必芁な患者DPCを重点的に評䟡す 厚生劎働省 H23.11.7 の䞭医協の分科䌚資料 るような補正※を実斜。 から抜粋した文蚀を芋おみよう。その意図を読 ※ 具䜓的には、党 DPC デヌタの平均圚院日 み取るこずができる。 数より長い平均圚院日数を持぀ DPC で、か ぀、1 日あたり平均出来高点数が党 DPC デ 耇雑性指数は DPC 毎の 1 入院あたり包括 ヌタの平均倀より高い DPC に限定しおそれ以 範囲出来高平均点数の倚寡を反映する指暙 倖の DPC は 0 で補正しお算出。 [7] であるこずから、医垫配眮を前提ずするような重 ぀たり、医垫配眮を評䟡する意図のようだ。前 症患者を重点的に評䟡するため、怜査や薬剀 述の実瞟芁件ず重耇感は吊めない。この評䟡 等の蚺療密床日圓たり出来高点数がより 方法による基準倀をクリアした病院は、重症患 高く、か぀、より長期に及ぶ加療圚院日数が 者を受け入れおくれる病院である、ずいう実態を 12
  • 13. Meditur Insight vol.1 衚しおいればよいが、聞いたずころでは、この基 病院に䌌た病院探し基準」であっお、「良い病 準倀は倚くの病院がクリアしおいた暡様で、メゞ 院探し基準」ではない、ずいうこずだ。倧孊病院 ャヌかマむナヌかの分岐点にはならなかったよ に䌌た病院に䞎えるむンセンティブならば、その うだ。 病院の患者に負担させるこずも然るこずながら、 瀟䌚的に負担するこずも必芁であるず感じるだ さお、実瞟芁件 14 たでトヌタルで芋た時に けに、DPC 病院を矀で分け、係数で差を぀ける 蚀えるこずは、医垫数の倚いずころが有利な評 こずには倚少疑問を感じる。 䟡になるような基準が倚く、結局のずころ「倧孊 ■医療機関偎が感じる虚しさ、理䞍尜さ Ⅱ矀に入ったずころは良いが、萜ちたずころは僅 患者からしたら、Ⅱ矀でもⅢ矀でも、どちらでも かずはいえ係数で差の぀くこずや、そもそもの「メ 良いこずなのだが、圓の医療埓事者は結構倧き ゞャヌ萜ち」したずいうネガティブな印象から、倧 な問題に捉えおいる。 きなショックを受けおいるのではないだろうか。 斜蚭名 DPC 参加幎床 病床総数 DPC 病院矀 独立行政法人 囜立がん研究センタヌ䞭倮病院 平成 15 幎床 600 Ⅱ矀 宮城県立がんセンタヌ 平成 20 幎床 383 Ⅲ矀 千葉県がんセンタヌ 平成 20 幎床 341 Ⅱ矀 神奈川県立がんセンタヌ 平成 20 幎床 387 Ⅲ矀 愛知県がんセンタヌ䞭倮病院 平成 20 幎床 500 Ⅲ矀 栃朚県立がんセンタヌ 平成 21 幎床 324 Ⅲ矀 新期県立がんセンタヌ新期病院 平成 21 幎床 500 Ⅲ矀 兵庫県立がんセンタヌ 平成 21 幎床 400 Ⅲ矀 独立行政法人囜立病院機構四囜がんセンタヌ 平成 21 幎床 405 Ⅲ矀 独立行政法人囜立病院機構 九州がんセンタヌ 平成 22 幎床 411 Ⅲ矀 静岡県立静岡がんセンタヌ 平成 22 幎床 569 Ⅲ矀 独立行政法人囜立がん研究センタヌ東病院 平成 23 幎床 425 Ⅲ矀 公益財団法人 がん研究䌚 有明病院 平成 23 幎床 700 Ⅱ矀 è¡š 2 DPC 病院におけるがんセンタヌ※のⅡ矀、Ⅲ矀 出所 [8]を元に䜜成 ※専門病院入院基本料か特定機胜病院入院基本料を算定しおいお病院 名称に「がん」が含たれる斜蚭、病床総数は医療保険察象病床 実瞟芁件をクリアできなかった兞型的な病院ずしお、がんセンタヌが挙げられる。がんセンタヌず蚀え 13
  • 14. Meditur Insight vol.1 ば、地域におけるがん蚺療の拠点ずなっおいるずころが倚いはずなのだが、䞊の衚 2 のずおり、Ⅱ矀は 3 斜蚭のみで、それ以倖はⅢ矀になっおいる。なぜがんセンタヌはメゞャヌ入りできなかったのか。各 病院の詳现な状況はわからないが、次の䞭医協 DPC 分科䌚の資料がその理由を瀺唆しおいる。 図 9、図 10 病床数ず実瞟芁件の関係性蚺療密床、手術指数 出所 [9] 14
  • 15. Meditur Insight vol.1 図 11、図 12 病床数ず実瞟芁件の関係性耇雑性指数、医垫数 出所 [9] 15
  • 16. Meditur Insight vol.1 Ⅲ矀になったがん専門病院が黄色の○でプロッ もそも、この基準でメゞャヌ、マむナヌの区分け トされおいる図 912 の぀のグラフから、医垫 をされおしたうず、どれだけ地域に貢献し、高床 数以倖は、Ⅱ矀ず遜色ない実瞟・内容ずなっお ながん医療を行なっおいようずもメゞャヌの倢は いるこずが分かる。぀たり、研修医が少ないこず 絶たれおしたっおいるのが実情だ。僅かずはい だけが理由でメゞャヌ入りできなかった、ずいう え収入に差が出る仕組みなだけに、こういった 病院が倚いこずが掚枬される。がんセンタヌは がんセンタヌは虚しさを感じおいるのではないだ 蚺療科目や救急医療の䜓制的な問題で初期 ろうか。 研修医を受け入れおいないずころもあるため、そ 斜蚭名 DPC 参加幎床 病床総数 DPC 病院矀 聖マリア病院 平成 16 幎床 1,342 Ⅲ矀 財団法人 倉敷䞭倮病院 平成 16 幎床 1,151 Ⅱ矀 倧阪垂立総合医療センタヌ 平成 21 幎床 1,052 Ⅲ矀 飯塚病院 平成 16 幎床 1,048 Ⅲ矀 財団法人倪田綜合病院附属倪田西ノ内病院 平成 20 幎床 1,029 Ⅲ矀 倧阪赀十字病院 平成 20 幎床 1,021 Ⅲ矀 総合病院 囜保旭䞭倮病院 平成 20 幎床 961 Ⅲ矀 医療法人鉄蕉䌚 亀田総合病院 平成 16 幎床 925 Ⅲ矀 埌玉医科倧孊 総合医療センタヌ 平成 20 幎床 916 Ⅱ矀 東京郜立駒蟌病院 平成 21 幎床 906 Ⅲ矀 総合病院土浊協同病院 平成 20 幎床 896 Ⅱ矀 虎の門病院 平成 20 幎床 890 Ⅱ矀 倧垣垂民病院 平成 20 幎床 885 Ⅱ矀 豊橋垂民病院 平成 18 幎床 860 Ⅲ矀 日本赀十字瀟 和歌山医療センタヌ 平成 21 幎床 853 Ⅲ矀 名叀屋第䞀赀十字病院 平成 18 幎床 852 Ⅱ矀 愛媛県立䞭倮病院 平成 24 幎床 835 Ⅲ矀 倧接赀十字病院 平成 18 幎床 821 Ⅲ矀 公益財団法人 倩理よろづ盞談所病院 平成 21 幎床 815 Ⅱ矀 名叀屋第二赀十字病院 平成 20 幎床 812 Ⅱ矀 独立行政法人 囜立囜際医療研究センタヌ病院 平成 24 幎床 801 Ⅲ矀 è¡š 3 病床総数 800 床、DPC 病床数 700 床以䞊の斜蚭 特定機胜病院を陀く。病床総数の倚い順 出所 [8]を元に䜜成 ※病床総数は医療保険察象病床 16
  • 17. Meditur Insight vol.1 次に病院芏暡を基準に考えおみる。病床総数 おいるこずが分かる。倧病院ずは蚀え、蚺療密 800 床以䞊で、か぀急性期䞻䜓の病院DPC 床、1 件あたりの手術指数は単玔にクリアできる 病床数 700 床以䞊、倧孊病院を陀くずなる ものではないのだ。 ず、それはいわゆる倧病院である。衚 3 は、お そらく誰からも疑問を持たれない倧病院が䞊ん この珟実は、「倧病院ゆえ、その地域の医療を でいるはずである。そんな倧病院は、圓たり前の 䞀手に匕き受け、蚺療密床の䜎い患者も受け ようにメゞャヌ入りしおいるかずいうず、そんなこず 入れ、難易床の䜎い手術もする」、そんな実情 もなく、玄 6 割の病院はマむナヌリヌグに留たっ なのではないだろうか。もしそうであるならば、こ おいる。結果から分かるこずは、これらのⅢ矀の れは患者から䞀番評䟡されるべき医療を提䟛 倧病院は、䜕かしら実瞟芁件を満たせなかった しおいる病院が、適切に評䟡されおいない可胜 ずいうこずになるが、䞀䜓䜕がクリアできなかった 性がある。病院関係者からしたら、日々寝る間 のだろうか。前出の党医療機関矀別にプロットし を惜しんで患者を匕き受け、医療に貢献しおい た芁件のグラフを芋るず、蚺療密床ず件あた るのに、「あんたらの病院は軜症患者も倚い」ず りの倖保連手術指数は、700、800 床以䞊の 難癖を぀けられたような結果で、非垞に理䞍尜 病院でもクリアしおおらずⅢ矀の印でプロットされ なのではないだろうか。 ■うちの県にはひず぀もⅡ矀の病院がない 次に地域性を芋おみる。図 13 で濃い黄色の たりのⅠ矀Ⅱ矀の病院数は高知県3 病院 県は、Ⅱ矀の病院が぀もないこずを瀺しおい や青森県4 病院が倚くなっおいるが、郜道府 る。関東を芋るず、北関東はⅡ矀斜蚭が少な 県別の状況を眺めおいるだけでは、この病院数 く、南関東は倚い。たた西日本では、北陞・山 が倚い 2 県ず、それ以倖の他郜道府県ずの違 陰が少なく、山陜が倚い。この傟向で蚀えば、 いを芋出すこずは困難である。 人口の倚いずころ、倪平掋偎はⅡ矀の病院が 倚くなっおいるように芋えなくもない。ただ、東北 ここたで、DPC 病院矀のⅡ矀の実瞟芁件は、医 では秋田、宮城はないものの、青森は 3 病院、 垫の倚い病院を有利に刀定し、か぀軜症患者 新期は 4 病院あるずいったように、明確な傟向 をあたり芋る必芁のない病院が評䟡されおいお、 は芋えおこない。 地域的な特性はないこずが芋えおきた。このよう な理解できる郚分もあり぀぀も、理解できない 図 14 に瀺したⅠ矀倧孊病院本院を加えた 郚分もある芁件によっお、メゞャヌかマむナヌが 比范でも印象は倉わらない。北海道、南関東、 決たっおしたう制床。この制床によりⅡ矀病院、 東海、阪神、犏岡の病院数が倚くなっおいるも Ⅲ矀病院はそれぞれどういった扱いを受けるの のの、図 15 にお、人口あたりのⅠ矀Ⅱ矀の か。そしお、その扱いは患者にずっおメリットがあ 病院数を比范するず、これらの地域が、突出し るのか、考えおいきたい。 お倚いわけではないこずが芋お取れる。人口あ 17
  • 18. Meditur Insight vol.1 図 13 DPC 病院矀 郜道府県別Ⅱ矀病院数 図 14 DPC 病院矀 郜道府県別Ⅰ矀Ⅱ矀病院数 18
  • 19. Meditur Insight vol.1 図 15 人口あたり DPC 病院Ⅰ矀Ⅱ矀病院数 19
  • 20. Meditur Insight vol.1 Chapter.3 DPC 病院矀 2 矀、3 矀が明暗を分ける珟実的なシナリオ ■増枛収むンパクト、費甚負担むンパクト Chapter.1、2 で、DPC/PDPS 制床包括払い 蚀えないのが実情であった。 制床の抂芁ず、DPC 病院矀ずⅡ矀、Ⅲ矀の芁 ここでは、Ⅱ矀メゞャヌリヌグ、Ⅲ矀マむナ 件を芋おきた。医療費を抑え぀぀、病院にずっ ヌリヌグの違いによる金銭的なむンパクトを比 お金銭的むンセンティブを䞎え、その費甚負担 范しおみる。たず、平成 30 幎床時点でのⅢ矀 は患者にさせる制床であるため、いかに玍埗感 ずⅡ矀の係数差異シミュレヌション図 16があ のある仕組みにするが重芁である。ただ、ここた る。 で芋おきた結果、決しお玍埗感のある制床ずは 図 16 Ⅲ矀からⅡ矀に移行した堎合の係数増枛シミュレヌション 出所 [9] このシミュレヌションによるず、倚くの斜蚭はⅡ矀 合は 52.8%ずなっおいる出所 平成 23 幎瀟 に移行するず 0.020.03 皋床増加するこずが 䌚医療蚺療行為別調査 [10]より蚈算。たた、 想定され、最倧では 0.06 以䞊の増加になるこ 病床床圓たり医業収益は 17,627 千円である ずが想定されおいる。 出所平成 22 幎床病院の経営状況 [11])。 これらの数倀を参考に、病床芏暡別に医療機 この係数の差異を金額に盎しおみよう。DPC 察 関別係数の増枛が䞎えるむンパクトを詊算する 象病院の入院費に占める包括評䟡郚分の割 ず、衚 4 のようになる。 20
  • 21. Meditur Insight vol.1 係数差異に察する収入むンパクト 入院収入 入院収入のうち包 DPC 察象症䟋 括評䟡察象分 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 100 1,762,700 931,054 9,311 18,621 27,932 37,242 46,553 55,863 200 3,525,400 1,862,109 18,621 37,242 55,863 74,484 93,105 111,727 300 5,288,100 2,793,163 27,932 55,863 83,795 111,727 139,658 167,590 400 7,050,800 3,724,218 37,242 74,484 111,727 148,969 186,211 223,453 病 500 8,813,500 4,655,272 46,553 93,105 139,658 186,211 232,764 279,316 床 600 10,576,200 5,586,327 55,863 111,727 167,590 223,453 279,316 335,180 数 700 12,338,900 6,517,381 65,174 130,348 195,521 260,695 325,869 391,043 800 14,101,600 7,448,436 74,484 148,969 223,453 297,937 372,422 446,906 900 15,864,300 8,379,490 83,795 167,590 251,385 335,180 418,975 502,769 1000 17,627,000 9,310,545 93,105 186,211 279,316 372,422 465,527 558,633 è¡š 4 病床芏暡別 医療機関別係数むンパクト単䜍千円 ※平成 30 幎床想定 珟圚はこの 25%皋床 病床 1,000 床であれば、医療機関別係数の差 甚を元に蚈算しおいるため、実際の費甚は異な 異が 0.03 ある堎合、おおよそ 2.8 億円ずなる。 る 差異が 0.06 では、むンパクトが 5.6 億円匱にた で拡倧する。病床数 400 床芏暡でも 0.03 の差 患者負担は 1 日たった 300 円のむンパクトかも 異で 1 億円を超えおくるこずから、かなり倧きな しれないが、病院の収益には幎間で数億円の 圱響を持っおいるこずが分かる。 むンパクトになるメゞャヌ入りⅢ矀→Ⅱ矀の圱 響。珟時点では、係数の圱響は、この 25皋 さらに、平成 23 幎瀟䌚医療蚺療行為別調査 床に留たっおいるため、1,000 床クラスでも幎間 [10]を甚いお、患者の入院費甚負担に䞎える 数千䞇1 億匷の収入増、400 床芏暡であれ むンパクトを考えおみる。係数 0.03 の差異は、1 ば幎間 3 千䞇匱、月で 200 䞇円皋床の収入 日あたり玄 1,000 円の費甚向䞊むンパクトがあ 増に留たっおおり、患者負担も 1 日 70 円皋床 り、圚院日数 10 日であれば入院費甚を 1 䞇円 ず想定される。ただ、26 幎改定、28 幎改定、 匱抌し䞊げるこずが分かる。実際、患者が負担 30 幎改定ず、25ず぀圱響が増しおくるこずを する金額は、自己負担 3 割であれば、1 日 300 考えるず、病院・患者どちらにずっおも無芖でき 円。圚院日数 10 日で 3,000 円皋床ずなるこず ないむンパクトを持ち合わせおいるこずが分かる。 が想定される。※あくたでも平均的な入院費 21
  • 22. Meditur Insight vol.1 係数差異に察する患者入院費甚むンパクト 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 1 330 660 990 1,320 1,650 1,980 2 660 1,320 1,980 2,640 3,300 3,960 3 990 1,980 2,970 3,960 4,950 5,940 4 1,320 2,640 3,960 5,280 6,600 7,921 5 1,650 3,300 4,950 6,600 8,251 9,901 6 1,980 3,960 5,940 7,921 9,901 11,881 7 2,310 4,620 6,930 9,241 11,551 13,861 圚 8 2,640 5,280 7,921 10,561 13,201 15,841 院 9 2,970 5,940 8,911 11,881 14,851 17,821 日 10 3,300 6,600 9,901 13,201 16,501 19,801 数 11 3,630 7,260 10,891 14,521 18,151 21,781 12 3,960 7,921 11,881 15,841 19,801 23,762 13 4,290 8,581 12,871 17,161 21,451 25,742 14 4,620 9,241 13,861 18,481 23,102 27,722 16 5,280 10,561 15,841 21,121 26,402 31,682 18 5,940 11,881 17,821 23,762 29,702 35,642 20 6,600 13,201 19,801 26,402 33,002 39,603 30 9,901 19,801 29,702 39,603 49,503 59,404 è¡š 5 圚院日数別 入院費甚に察する医療機関別係数むンパクト単䜍円 ※平成 30 幎床想定 珟圚はこの 25%皋床 22
  • 23. Meditur Insight vol.1 ■広がる栌差 メゞャヌ入りした病院の䞭で、機胜評䟡係数Ⅱ 実瞟のほん䞀䟋だが 2011 幎床の救急車搬入 医療機関の蚺療実瞟ず蚺療䜓制を評䟡した 数は 8,715 台 [12]ず、地域にずっお無くおはな 係数が最も高い病院である枈生䌚熊本病院 らない病院だ。 は、熊本医療圏でも非垞に元気な病院であり、 図 17 枈生䌚熊本病院 倖来がん治療センタヌ 出所 [13] さらに、急性期の医療をより倚くの患者に提䟛し 高い病院ほど利益率がよさそうに芋えるもの ようず、効率的な運営に力を入れおいる病院で の、利益率が 10を超えるような病院から、- もある。䞊の写真は化孊療法、攟射線療法な 20を䞋回るような苊しい病院たで、そもそも どを実斜しおいる倖来がん治療センタヌだ。化 の医業利益率の振れ幅が非垞に倧きいこずが 孊療法宀はスタッフ等の人員的な䜓制の充実 読み取れる。 ぶりもさるこずながら、個宀が倚くなっおいるな ど、安心しお治療を受けられる環境ず敎えようず 今回のメゞャヌ・マむナヌの区分けは、元気が しおおり、地域から遞ばれる病院であるこずが頷 よい病院にはより収益が䞊がるように、元気が ける。 無い病院にはより苊しくなるような制床になり兌 ねないだろうか。効率的な医療や䜓制敎備にむ どの病院も、このような病院であれば良いのだ ンセンティブを䞎える制床であるこずは理解し぀ が、図 18 に瀺すグラフから、急性期病院を取 ぀も、もはや䞇幎マむナヌで萜ち着こうずしおい り巻く環境が芋えおくる。暪軞が病床利甚率、 る病院にずっおみたら、マむナス的な芁玠しか 瞊軞が医業利益率で、DPC 察象・準備病院が 無い可胜性すらある。栌差は益々広がっおいく プロットされおいる。倧きな傟向ずしお利甚率が のではないだろうか。 23
  • 24. Meditur Insight vol.1 図 18 医業利益率の分垃 出所 [14] ■『医垫確保』が生むスパむラル 広がる栌差を埋めるこずはできないだろうか。 マむナヌ萜ちした病院のスパむラル 「収益を䞊げるには䜕はなくずも『人』が必芁だ」 ① 収益的に苊しくなる ず医療者を確保したがる病院は倚いが、将来、 ② 人材育成、人材採甚、蚭備・機噚敎備に 医療者確保がたたならなくなっおしたう可胜性 十分投資できない がある。 さらに、採甚では、メゞャヌ入りした病 院に比べ、アピヌル力に欠ける メゞャヌ入りした病院のスパむラル ③ より収益的に苊しくなる ① 収益的に恵たれる ④ メゞャヌ昇栌できず ② 利益を人材育成、人材採甚、蚭備・機噚 â‘€ ①に戻る、以䞋繰り返し 敎備に投資 メゞャヌ入りは採甚面でもアピヌル この぀のスパむラルから抜け出せなくする芁因 高床な医療をしおいたす ずしお、医垫、看護垫、薬剀垫等、医療者の人 ③ より収益があがる 材確保に苊劎しおいるこずがある。医療者確保 ④ メゞャヌ維持 の苊劎は日医総研リサヌチ゚ッセむ「近幎の医 â‘€ ①に戻る、以䞋繰り返し 療政策の意図せざる結果医療分野における 人材玹介ビゞネスの拡倧」 [15]に詳しい。医療 24
  • 25. Meditur Insight vol.1 者確保のために人材玹介䌚瀟を䜿うにはお金 地域の䞭栞病院ずしお、軜症から重症たでたん が必芁で、人材採甚にお金が割けないこずは、 べんなく芋おいる病院など、今回の枠組み䞊、 医垫䞍足、看護垫䞍足、薬剀垫䞍足に盎結す 評䟡するこずが難しい病院が、医垫確保などに るこずさえあるだけに、マむナヌ萜ちした病院の 苊しみ、結果ずしお、地域の医療が厩壊する、 スパむラルは、非垞に珟実的である。 そんな最悪なシナリオが珟実にならないこずを 祈るばかりである。 ■はしご倖し ただ、収益面では、係数の違いはクリティカルに 係数の違いによる収益的なむンパクトよりも怖い ならないず思われる。それは前出の医療機関ご のが「はしご倖し」である。メゞャヌ入りした病院 ずの収益性のバラツキがそもそも倧きいように、 ず、マむナヌ入りした病院。これらはどちらも DPC 係数の違い以䞊に、各病院の努力の䜙地が残 察象病院、぀たり急性期の病院である。ただ、 されおいるように思う。これは前職で急性期病 政府が描く医療の将来像では、急性期病床 院の経営分析を行なっおきたずきに感じたこず は、「高床急性期」ず、「䞀般急性期」に区分け である。 される絵を描いおいる 図 19 将来像に向けおの医療・介護機胜再線の方向性むメヌゞ 出所 [16] 配垃資料 25
  • 26. Meditur Insight vol.1 これらの病床に぀いお、䜕か差を蚭ける可胜性 ン郜道府県にⅠ矀かⅡ矀が病院以䞊は維 が考えられる。この差が、地域で高床な急性期 持できおいる前提で、Ⅰ矀・Ⅱ矀・Ⅲ矀の各グ を担っおいるマむナヌ病院にずっおの『はしご倖 ルヌプ内においお、ある皋床察象患者や察象 し』になり兌ねないか憂慮しおいる。 疟患が同じずなる条件䞋で、より効率的な医療 を提䟛する競争を促し、むンセンティブを䞎える 高床急性期メゞャヌⅡ矀、䞀般急性期 こずで、医療費抑制に぀なげようずするこずも考 マむナヌⅢ矀、ずいうような区分けになり、䟋 えられなくもないのではないだろうか。 えば、メゞャヌでなければ 5 察 1 看護配眮は なお、図 19 においお高床急性期から長期療 算定できない、先進医療はできないずいった違 逊たで瞊長のボックスで瀺されおいる「地域に いが蚭けられる可胜性もあり埗る。メゞャヌ・マ 密着した病床での察応」が、地域的に、病床・ むナヌの入れ替えが頻繁になされる堎合、病 機胜の再線にそぐわないケヌスぞの配慮を衚し 院毎の提䟛機胜の制玄は珟堎に混乱が生じる おいるものず思われる。「高床急性期」ずいう衚 ため、そこたでの差が蚭けられない可胜性もあ 珟は、「病院」党䜓を指しおいるのか「病床」を るが、あくたでも考えられるシナリオずしお、無く 指しおいるのか明確な結論は瀺されおいない はない話しである。それは Chapter.2 で芋たよう が、もし仮に「病院」であった堎合、混乱は避け に、Ⅱ矀の病院がない県もあるものの、どの郜 られないだろう。「病床」ずいう方向性で話が進 道府県にも最䜎 1 病院は倧孊病院があるた んでいるように思われる め、アクセス面等での問題が生じない最䜎ラむ ■総合蚺療医の育成 このメゞャヌずマむナヌの区分け。実瞟芁件ずし た病院が総合医の育成を行うには、指導する お初期研修医が蚭定されおいるため、初期研 医垫が揃っおいるこずはもちろん、経隓を積むた 修医がメゞャヌ、もしくはメゞャヌを目指す病院 めの蚺るべき患者が揃っおいるこずも䞍可欠で により集たるこずを埌抌しする可胜性がある。そ ある。 の初期研修医たちは、色々な蚺療科をラりンド 今埌、総合医の必芁性が増しおくる䞭で、それ するずいう意味では、メゞャヌ入りした病院で芋 に逆行するような研修医の争奪戊の火皮を䜜 る疟患は高床急性期に偏った患者である可胜 るこずは、いささか疑問である。メゞャヌ病院が 性があり、オヌルラりンドに芋られる医垫を育お 総合医育成にきわめお有利な環境であるなら る環境ずしお適しおいるか疑問である。囜民健 ばただしも、おそらくそういったこずは短期的に解 康保険䞭倮䌚から平成 22 幎 3 月に出された 決できないだろう。医垫育成は結果が出るたで 総合医䜓制敎備に関する研究䌚 報告曞 に時間がかかるだけに、䞭長期的な芖野で慎 [17]の䞭にも「倧孊の䞭の専門科の䞭をぐるぐ 重に政策誘導しおもらいたい。 る回っおも、あたりプラむマリケアの教育にはなら ないのではないか」ずいった意芋・蚘茉が芋られ 患者芖点が眮き去りになったメゞャヌ、マむナヌ る。倧孊に準じた医療を提䟛するメゞャヌ入りし の区分けにより、少々過激なシナリオだが、地 26
  • 27. Meditur Insight vol.1 域の䞭栞病院が苊しむ可胜性を予枬した。どう Chapter.4 では、患者、病院それぞれが䜕かで にかしお、これは防げないだろうか。最埌、 きないか暡玢しおみたい。 27
  • 28. Meditur Insight vol.1 Chapter.4 よりよい医療を期埅しお、患者、病院にできるこず これたで包括払い制床ず、DPC 病院矀が今埌の急性期医療に䞎える圱響を考え、患者芖点が足り ないこずや、地域の䞭栞病院が人材確保などに苊しむ可胜性があるこずを述べおきた。最埌、 Chapter.4 では、よりよい医療を創るために、DPC 病院矀ずいうひず぀の切り口から、患者、病院にで きるこずを考えおいきたい。 ■実瞟芁件ぞの患者意向の反映 Chapter.2 で芋おきた 4 ぀の実瞟芁件は、患者 公開しおいる病院は「良い病院」であるこずを認 芖点ではなく、倧孊病院を評䟡するために、倧 識するだけでも良い。さらにそれらの指暙を比 孊病院に準じた病院を遞ぶ芖点で定矩されお 范し、自分にずっお良い病院が䜕か刀断できる いた。そこで、どのようにしたら、患者芖点であ ような理解力を぀けるこずができればベタヌだ。 り、患者の意向を反映させるこずができるか考え 少なくずも、䞖の䞭にあふれおいるランキング本 おみたい。 を鵜呑みにしお、ランキング䞊䜍の病院に行っ おいるうちは、患者が実瞟芁件を倉えるこずはで 患者・䞀般垂民によい病院ずはどのような病院 きない気がする。 ですかず聞くず、「病気が治る」、「無事退院転 院、斜蚭に入居できる」、「病気・症状の悪化 指暙を公開しおいる事䟋ずしお、Chapter.3 でも が止たった、ゆっくりになった」などの期埅倀の 玹介した枈生䌚熊本病院は䞻な指暙はもちろ 高い、抜象的な答えが返っおくる。実のずころ、 ん、治療成瞟たで開瀺しおいる参考枈生䌚 病気が治るか、治らないかは、病院に来るたで 熊本病院 倖科 蚺療実瞟 [19]。たた、聖路 にある皋床決たっおしたっおいる。䟋えば、がん 加囜際病院も、Quality Indicator医療の質を であれば、初蚺時の進行床合で、治療成瞟は 2007 幎から継続しお開瀺。曞籍も出版し、他 倧きく倉わるため、単玔な比范は難しい。よい 病院の参考ずなっおいる参考 聖路加囜際病 取り組み事䟋ずしお、以前ブログ [18]でも玹介 院 Quality Indicator [20]。他では、聖隷浜束 した党がん協が公衚したがん 5 幎生存率は、 病院参考聖隷浜束病院 クリニカルむンディ 患者背景をある皋床考慮した比范になっおお ケヌタヌ [21]、荻窪病院参考荻窪病院 り、A 病院ず B 病院を比べられる可胜性が高い Quality Indicator [22]など、積極的な病院に 事䟋である。 おいおは、非垞に充実した開瀺を行なっおい このような指暙を実瞟芁件に入れるこずが難し る。 いこずは重々承知しおいるが、患者の意向ずし お、こういう取り組みを理解し、支えるこずが重 「開瀺するこず」が 1 ぀目のステップであるなら 芁なのではないだろうか。患者の具䜓的なアク ば、次は、「比范・評䟡するこず」である。1 ぀目 ションずしおは、たず、こういった指暙を積極的に の開瀺しおいる内容が明確な算定条件・前提 28
  • 29. Meditur Insight vol.1 条件に基づいおいるならば、比范・評䟡するこず 䟡・公衚等掚進事業が挙げられる。䞋蚘衚 6 で、よりよい病院ずいうものが芋えおくる。条件を には平成 22 幎床24 幎床に採択されたグル 揃え比范しおいる事䟋ずしおは、医療の質の評 ヌプを瀺す。 平成 22 幎床 平成 23 幎床 平成 24 幎床 独立行政法人 囜立病院機構 瀟䌚犏祉法人 恩賜財団枈生䌚 瀟団法人 党日本病院協䌚 瀟団法人 党日本病院協䌚 党日本民䞻医療機関連合䌚 党日本民䞻医療機関連合䌚 瀟団法人 日本病院䌚 䞀般瀟団法人 日本慢性期医療協䌚 䞀般瀟団法人 日本慢性期医療協䌚 è¡š 6 厚生劎働省 医療の質の評䟡・公衚等掚進事業 実斜団䜓 出所 [23] [24] [25] 䟋えば、囜立病院機構であれば、各病院、同じ 誀っおしたう堎合もある。そのため、読む偎が泚 基準で評䟡・比范できるようにしおいる。指暙に 意しなければならないこずもあるが、比范できる よっおは病院単独で決たるのではなく、地域の 状態にあるずいうこずは、なぜずいう背景を考 医療機関や斜蚭ずの連携状況に圱響を受けや えるきっかけになるし、䜕らかのアクションに぀な すいものもあるため、単玔に比范するず評䟡を がるこずも期埅できる。 急性脳梗塞患者に察する早期リハビリテヌション開始率 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 図 20 囜立病院機構 急性脳梗塞患者に察する早期リハビリテヌション開始率 出所 [26]を元に䜜成 29
  • 30. Meditur Insight vol.1 䞊蚘の脳梗塞患者に察するリハビリ実斜は、早 の医療は、囜民皆保険制床、フリヌアクセスで 期に開始した方がよいずいう゚ビデンスも倚く発 あるがゆえ、患者偎は、このような透明性の高 衚されおいる参考 脳卒䞭治療ガむドラむン い病院は「良い病院である」ず評䟡するこずが、 2009 [27]。この指暙だけで刀断すれば、グラ 日本の医療の質の向䞊に寄䞎できる道である。 フの巊偎の病院は良い病院だし、右偎の病院 は悪い病院である。 その䞊で、指暙の比范により、具䜓的な成瞟が 良い病院が、メゞャヌ入りの実瞟芁件を満たす このように客芳的な数倀、指暙により良し悪しを か、もしくは䜕らかの恩恵を受けるような制床が 刀断できるように努力しおいる透明性の高い病 できるこずが望たしい「患者芖点」を反映した制 院は、患者から芋お『良い病院』であるずいうこず 床構築なのではないだろうか。 を匷く意識するこずが非垞に重芁である。日本 ■適正な医療費負担による医療の質の向䞊 病院の透明性が高たっおくるず、病院の良い 報酬は、医療行為に䌎う原䟡に基づき点数が 点、悪い点が客芳的に芋えおくる。良い病院、 蚭定されおきたものが倧半である。それゆえ費 良い医療サヌビスには、もっず費甚負担しおもよ 甚察効果の議論をしにくい環境になっおいた。 いず思う人がいるはずだ。医療費は高霢化ず医 本圓の意味での「患者の声」が届く蚺療報酬制 療技術の進歩により幎々増加しおおり、財政的 床にするためには、病院・医療の透明性が䞍可 な危機に繋がっおいる。どうやっお医療費の増 欠である。 加を抑制させようか、行政はあの手この手を考 えおいるわけで、DPC/PDPS 制床も、効率的な 「患者の声」が届く蚺療報酬制床に倉わった堎 医療を促すこずで医療費を抑制させる策のひず 合、医療の質の向䞊スピヌドが増すず考えおい ぀である。ただ、医療費増加を抑制させようず取 る。今は、感染防止察策加算のような、人員配 り組んでいる䞀方で、がん患者などに話を聞くず 眮ずカンファレンス開催等の実瞟により、加算が 「䞀生に䞀床のこずず思えば、いくら払っおもよい もらえるずいった、ストラクチャヌに察する政策 から、良い医療を受けたい」「䞋手な健康食品 誘導的な蚺療報酬ぞのむンセンティブが倚い。 にお金を぀ぎ蟌むくらいなら、信頌できる医者に これを、感染察策が取られ、結果、院内感染等 面倒を芋おもらい、お金を払いたい」ずいった声 の発生率が䜎く抑えられたずいう評䟡・アりトカ も聞く。患者が払いたいず思っおも、䞀郚の自由 ムに察し、報酬のむンセンティブを䞎えるこずが 蚺療を陀けば、払う土壌が敎っおいない。そこ できれば、質の向䞊に察し、より積極的に取り組 で、病院・医療の透明性が高たっおきたなら むようになるはずである。この仕組みを有効なも ば、それらの情報をもずに、患者が払いたい・評 のにするには、患者が医療の質に興味を持぀こ 䟡したい病院・医療に察し、蚺療報酬を厚くす ずが肝ではないかず考えおいる。 るような議論ができないだろうか。これたで蚺療 30
  • 31. Meditur Insight vol.1 ■かかり぀け医・圚宅医療の重芁性認識ず、急性期医療の効率化進展 医療の質の透明性が高たっおくるず、たすたす おみる。前出の囜立病院機構の資料から、病 その背景にある「病院の医療」だけではない郚 院別の耥瘡の院内発生率分垃を図 21 のグラ 分が芋えおくる。䟋えば、耥瘡の発生率で考え フに瀺す。 高霢患者75歳以䞊におけるⅡ床以䞊の耥瘡の院内発生率 8 7 6 5 病院数 4 3 2 1 0 院内発生率 図 21 囜立病院機構 高霢患者75 歳以䞊におけるⅡ床以䞊の耥瘡の院内発生率 出所 [26]を元に䜜成 䜎い病院もあれば、高い病院もある。でもこれを 評䟡をせざるを埗ない状況が倚くなっおくるは そのたた鵜呑みにするこずは危険である。䟋え ずである。耥瘡ひず぀ずっおも、どういった疟患 ば、ひどい耥瘡がある患者が近隣老人斜蚭か で、患者家族はどういった構成ずいった患者背 ら高い頻床で入院しおくる、他院から転院しおく 景から、病院に入院する時点でどの皋床の状 る、ずいった病院は、自分の病院での取り組み 況になっおいたのか、そしお、病院に入院しおか 以前に、この指暙は悪くなる可胜性がある。この ら適切にケアできおいるか、退院埌、圚宅や斜 ように、結果を鵜呑みにせず、自らの芋る目を 蚭で適切なケアができおいるか、すべおが䞀連 逊うこずも重芁であるが、䜕よりも、医療の質の ずなり、耥瘡ができる。そのため、自分の病院の 透明性が高たっおくるず、単独の治療行為や蚺 質をあげようずしたら、関連する地域の医療シス 療行為ではなく、䞀連の医療システムずしおの テム党䜓をよくしなければならない。 31
  • 32. Meditur Insight vol.1 ぀たり、急性期の医療の質の透明性が高たるず、かかり぀け医や圚宅医療、慢性期病院ずいった急 性期以倖の医療にも、その効果が波及する。かかり぀け医や圚宅医療を担う医療者ずのコミュニケヌ ションなどの重芁性の認識が高たるであろう。 ■おわりに 急性期医療の質の向䞊は、病院が透明性を高め、患者もそれを理解する力ず病院が透明性を高め るこずに察する適床なプレッシャヌを䞎えるこずが重芁である。透明性を高めるこずに DPC/PDPS 制 床を甚い、アりトカムの向䞊させるこずに DPC 病院矀の仕組みを甚いるこずはできないだろうか。患者 芖点が眮き去りになっおいる DPC/PDPS 制床、DPC 病院矀は、病院経営のテクニックずしお重芁に なり぀぀あるものの、真に䟡倀のあるものに昇華させるためには、患者・䞀般垂民が、たず珟圚の医 療がどうなっおいるのか、もっずもっず関心を持぀こずが肝芁である。 32
  • 33. Meditur Insight vol.1 匕甚文献 1. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 総䌚第 222 回. DPC 制床DPC/PDPSに係る医療機関 の手続き等に぀いお案. (オンラむン) 2012 幎 3 月 28 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000025zci-att/2r98520000026eyh.pdf. 2. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 22 幎床第 7 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分 科䌚. DPC 制床の抂芁ず基本的な考え方. (オンラむン) 2010 幎 10 月 26 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000uytu-att/2r9852000000uyyr.pdf. 3. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保障医療協議䌚 平成 24 幎床第 3 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分 科䌚. DPC/PDPS の基瀎係数に぀いお. (オンラむン) 2012 幎 6 月 20 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002d7vj-att/2r9852000002d7zr.pdf. 4. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保障医療協議䌚 平成 24 幎床第 1 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分 科䌚. 平成 24 幎床蚺療報酬改定の抂芁DPC 制床関連郚分. (オンラむン) 2012 幎 4 月 25 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002909e-att/2r985200000290dw.pdf. 5. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 6 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡 分科䌚. 医療機関矀蚭定の怜蚎に係る集蚈結果抂芁. (オンラむン) 2011 幎 8 月 31 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ng4g-att/2r9852000001ngh4.pdf. 6. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 10 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡 分科䌚. 医療機関矀の具䜓的な芁件に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 11 月 30 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wkia-att/2r9852000001wkpn.pdf. 7. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 23 幎床第 9 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡分 科䌚. 医療機関矀の具䜓的な芁件に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 11 月 7 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001u23a-att/2r9852000001u27t.pdf. 8. 厚生劎働省 䞭倮瀟䌚保険医療協議䌚 平成 24 幎床第 5 回蚺療報酬調査専門組織・評䟡 分科䌚. 導入の圱響評䟡に関する調査結果に぀いお「斜蚭抂芁衚」. (オンラむン) 2012 幎 8 月 21 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hs9l-att/2r9852000002i3fr.xls. 9. —. 基瀎係数・機胜評䟡係数 II の次回改定察応に係る基本方針ず今埌の怜蚎課題に぀いお案. (オ ンラむン) 2012 幎 8 月 21 日. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hs9l- att/2r9852000002hsgp.pdf. 10. 厚生劎働省. 平成 23 幎瀟䌚医療蚺療行為別調査. (オンラむン) 2011 幎. http://www.e- stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001029602. 11. 独立行政法人 犏祉医療機構. 平成 22 幎床病院の経営状況. (オンラむン) http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/toukei/pdf/h22_byouin.pdf. 12. 瀟䌚犏祉法人 恩賜財団 枈生䌚熊本病院. 数字で芋る枈生䌚 2011 幎床. (オンラむン) http://sk- kumamoto.jp/about/in_figures.html. 13. —. 倖来がん治療センタヌ. (オンラむン) http://sk-kumamoto.jp/cancer_care/cancer_care_ctr/. 33
  • 34. Meditur Insight vol.1 14. 厚生劎働省. 平成幎床病院経営管理指暙. (オンラむン) http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/keieisihyou/22kannri.html . 15. 日本医垫䌚総合政策研究機構. 日医総研リサヌチ゚ッセむ No.57 . 近幎の医療政策の意図せざ る結果医療分野における人材玹介ビゞネスの拡倧. (オンラむン) 2012 幎 4 月 2 日. http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=477. 16. 内閣官房 . 瀟䌚保障改革に関する集䞭怜蚎䌚議第十回. (オンラむン) 2011 幎 6 月 2 日. http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai10/gijisidai.html. 17. 囜民健康保険䞭倮䌚. 総合医䜓制敎備に関する研究䌚 報告曞. (オンラむン) 2010 幎 3 月. http://www.kokuho.or.jp/insistence/lib/sougoui_houkokusyo_20100419.pdf. 18. 株匏䌚瀟メディチュア ブログ. がん察策の指暙評䟡. (オンラむン) 2012 幎 11 月 6 日. http://meditur.blogspot.jp/2012/11/blog-post.html. 19. 瀟䌚犏祉法人 恩賜財団 枈生䌚熊本病院. 蚺療科・郚門の実瞟 倖科センタヌ倖科. (オンラむ ン) http://sk-kumamoto.jp/departments/achievements/surgery.html. 20. 聖路加囜際病院. Quality Indicator医療の質. (オンラむン) http://www.luke.or.jp/about/graph/index.html. 21. 瀟䌚犏祉法人聖隷犏祉事業団 総合病院 聖隷浜束病院. クリニカルむンディケヌタヌ 2011 幎床. (オンラむン) http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/about/clinical_indicator/default.html. 22. 医療法人財団 荻窪病院. Quality Indicator 2011. (オンラむン) http://www.ogikubo- hospital.or.jp/aboutus/images/pdf_all.pdf. 23. 厚生劎働省. 平成 22 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむ ン) 2010 幎 6 月 30 日. http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/06/tp0630-6.html . 24. —. 平成 23 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむン) 2011 幎 6 月 30 日. http://www.mhlw.go.jp/topics/2011/06/tp0630-3.html. 25. —. 平成 24 幎床医療の質の評䟡・公衚等掚進事業を実斜する団䜓に぀いお. (オンラむン) 2012 幎 6 月 29 日. http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/2012/06/tp0629-1.html. 26. 独立行政法人 囜立病院機構. 平成 23 幎床医療の質評䟡・公衚掚進事業における臚床評䟡指 æš™. (オンラむン) 2012 幎 10 月 30 日. http://www.hosp.go.jp/7,11979.html. 27. 脳卒䞭治療ガむドラむン 2009. ⅊リハビリテヌション 1脳卒䞭リハビリテヌションの進め方 1-4急 性期リハビリテヌション. (オンラむン) http://www.jsts.gr.jp/guideline/283_286.pdf. 34
  • 35. Meditur Insight vol.1 2013 幎 1 月 株匏䌚瀟メディチュア info@meditur.jp