【PMIJ】何故PBLにプロジェクトマネジメントが必要なのか？
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3/26に芝浦工大にて開催された日本工学教育協会（JSEE）企画ワークショップ「PBLに活かすプロジェクトマネジメント」 での講演資料。 PMI教育財団の「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」を読み解きながら「何故PBLにプロジェクトマネジメントが必要なのか？」について実践者の視点から説明しています。
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【PMIJ】何故PBLにプロジェクトマネジメントが必要なのか？
- 2. 2 はじめに ©PMI Japan Chapter, 2019 これからの働き方が“プロジェクト型”になる と考えている経営者の割合 - アクセンチュア、2017
- 3. 3 世の中はプロジェクトで溢れている ©PMI Japan Chapter, 2019 社会インフラ構築 科学技術・研究開発 「就職活動」 「学園祭・文化祭」 「ゲーム攻略」 国際イベント 国家レベルから日常生活までプロジェクトの適用範囲は幅広い！ 社会人として働く 学生として生活する 「サークル・学生団体」 計画 （Plan） 目標定義 （Define） チームワーク （Collaboration） 作業管理 （Do, Review）
- 4. 4 PMI（Project Management Institute）について ©PMI Japan Chapter, 2019 1969年創立、初のPMPは1984年（2019年は創立50周年！） 世界200カ国以上、認定者総数 90万人、会員 55万人（2018/9現在） PMIの目標は、あらゆる組織がプロジェクトマネジメントを採用、評価、利用し、それに より成功を収めることができるように、世界中でプロジェクトマネジメントの実践、体系 的知識、専門職制を入念かつ積極的な方法で推進することにある。
- 5. 5 様々な標準・ガイドラインを刊行 ©PMI Japan Chapter, 2019 PMBOK®® Program Portfolio OPM3 ® + ® V5 V3 V3 V3 ＜PMI Foundational Standards＞ ＜PMI Practice Guides＞ “Change” ® “Complexity”® “Implement OPM” “Requirements” V6
- 6. 6 PBLに何故プロジェクトマネジメントの 基礎素養が必要なのか？ ©PMI Japan Chapter, 2019 PBLへのプロジェクトマネジメントの活用を まとめた書籍「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」（PMI教育財団刊行） を用いて読み解いてみます。
- 7. 7 何故、学生にとってプロジェクトマネジメント が必要なのか？ ©PMI Japan Chapter, 2019 プロジェクトマネジメントは物事を実現するための技術です。 - J.D.マイヤー プロジェクトマネジメントは、複雑で大規模なエンジニアリングプロジェクトや製 品開発プロジェクトなどビジネスだけで使われる原則や手法ではありません。 （NASAによる木星探査、高速道路の橋の建設、新しいデジタル機器の設計など） 実務で使うプロジェクトマネジメントの基本的概念や手法は、あらゆる種類のプロ ジェクトに適応できます。 日常生活プロジェクト • 休日の食事の準備 • 庭のデザインと植え込み 学校プロジェクト • サイエンスフェアの準備 • 演劇 地域貢献プロジェクト • 家庭用省エネルギープログラムの実施 • ホームレス支援 （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 8. 8 プロジェクトの学習を通じて子供たちを成功に 導くには？ ©PMI Japan Chapter, 2019 PMI教育財団ではプロジェクトマネジメントのスキルには「ライフスキル」 「学習スキル」「キャリアスキル」があるとしています。 ライフスキルとしてのプロジェクトマネジメントとリーダーシップ 学習スキルとしてのプロジェクトマネジメントとリーダーシップ キャリアスキルとしてのプロジェクトマネジメントとリーダーシップ 区分 幼稚園 小中学校 高校 大人 ライフスキル ● ● ● ● 学習スキル ● ● ● キャリアスキル ● ● プロジェクトマネジメントのスキル適用範囲 このスキルを向上させることがPBLの品質向上に繋がる！
- 9. 9 学習プロジェクトのタイプ ©PMI Japan Chapter, 2019 例）疑問（科学）およびデザイン（工学）プロジェクト 疑問（問い）と問題（デザイン）のプロジェクトは、「新たな知の発見」と「新た な生き方の創造」のために人類が見つけた科学と工学という2 つのアプローチの基 礎になります。 疑問（科学）プロジェクトとデザイン（工学）プロジェクトの方法は似ていますが、 結論やソリューションの考案とテストのやり方が少し違います。 フェーズ 疑問プロジェクト デザインプロジェクト 定義（立上げ） 問いを立てる 問題の定義 計画 問いの調査 問題の調査 実験可能な仮説設定 解決案の設計、計画 実施 （実行と監視コントロール） 実験による仮説検証 ソリューションの作成とテス ト 振り返り（終結） 結果の分析と結論 結果の評価と改善 結論の発表と他との比較 結果の公表と製品・サービス としての量産・販売決定 次のサイクル 新たな問いを見つけて繰り返 す さらなる改善点を見つけて繰 り返す （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 10. 10 学習プロジェクトのタイプ ©PMI Japan Chapter, 2019 例）討論および発表プロジェクト 討論プロジェクトでは、ディベートやテーマに対する自分の主張の発表を通じて、 市民、政治、社会、地域における生活に必要なスキルを強化できます。 発表プロジェクトは、生徒の視点、考え、気持ち、欲望、野望、夢の芸術的表現に 基づいており、音楽、絵、ダンス、演劇、詩、工芸など、経験や感情の全てを表現 するもので、子供たちの精神性、社会性の健全な発達に役立ちます。 フェーズ 討論プロジェクト 発表プロジェクト 定義（立上げ） 主張の選択 個人的な考え、感情、夢、ビジョンの発見 計画 主張の調査 表現方法（言葉、音楽、芸術など）の選択 証拠、事実、専門家の意見などに基づく立場 の形 伝えたい視点、メッセージ、感情を、絵コンテ、 スケッチ、プロトタイプ等で設計、計画 実施（実行と監視コ ントロール） 立場と証拠を示し、その強みと弱みを議論し、 反論に応える 試作品やデモを評価してもらい、それに基づき作 品を完成させ発表する 振り返り（終結） 投票、アンケート、行動変容、考えの変化な どを見て発表が他者に与えた影響を評価する 当初表現したかったものが示せたかを自分自身で 評価し、その後、他者の意見や感想を聞く 発表と議論の結果を作品集に記録する 全体を振り返って、作品の結果や展示の記録と一 緒に自分の意見や感想を作品集に記録する 次のサイクル 別の反論に応えられるよう同じ主張を強化し たり、新しい主張での立場を確立するために プロセスを繰り返す 開発中に生まれた新しい表現を発展させて作品の 改善を繰り返す （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 11. 11 PBL＋プロジェクトマネジメントの例 ©PMI Japan Chapter, 2019 例）プロジェクトマネジメントとエンジニアリング設計の統合 SETM（科学、技術、工学、数学）やDREAMS（デザイン、研究、工学、芸術、数 学、科学）に関する人材ニーズが高まるにつれ、この分野のプロジェクトアプロー チの重要性が増しています。 以下は米国のK-12向けエンジニアリング教育コミュニティ「ディスカバＥ」が開催 している「未来都市プロジェクト」の競技ガイドで紹介されている、プロジェクト マネジメントとエンジニアリングにおける設計プロセスの統合例です。 フェーズ 作業内容 設計プロセス 定義 • 課題の理解 問題の特定 • 成果物と要件を決める • プロジェクト計画：目標設定 仕様を決める 計画 • プロジェクト計画：スケジュール作成 • 研究ソリューション • 仮想都市の設計、都市シナリオの起草 ソリューションの 発想 実行 • 都市シナリオの完成 • 都市モデルの構築 • 都市プレゼンの作成 ソリューションの設計 • プロジェクト計画：進捗の確認 • テスト、改善、再設計 ソリューションのテスト、改善、再設計 レビュー • プロジェクト計画：プロジェクトの振り返り • コンペへの参加 ソリューションの共有 （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 12. 12 探索型と予測型 ©PMI Japan Chapter, 2019 学習プロジェクトは、最初から明確に成果を定義できる場合（予測型）と、 より自由にプロジェクトの途中で目的を見つけたり、段階的に詳細化される 場合（探索型）があります。この２つの違いは、実務家が使う2 つのアプ ローチに対応します。 タイプ プロジェクトの特徴 プロジェクト フェーズ 実務家の アプローチ 予測型 すべての要件を事前に定義でき、それを 起点にすべての必要な作業が分解できる 場合に利用します。（予測できない事象 に対応するための変更プロセスを含む） 1. 特定 2. デザイン 3. 作成 4. 評価 ウォーター フォール 探索型 最終成果物がプロジェクト要件として完 全に規定できない場合に利用します。共 同で、設計、実装、テスト、レビューを 小さなタスクでおこない、プロジェクト が完了するまで、同じようなミニタスク を継続します。 1. 想像 2. 発見 3. モデル 4. 発展 アジャイル （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 13. 13 プロジェクトマネジメントが未来の教育の架け 橋となる ©PMI Japan Chapter, 2019 PBL＋プロジェクトマネジメント： 21世紀の就職、地域社会、生活に必要な学び 先生方が「プロジェクト成功に必要な固有の活動がプロジェクトサイクルの各 フェーズにある」いうことを知ると、プロジェクトが実際にどう進むかをより明確 に理解する枠組みになります。 実務におけるプロジェクトの需要は増え続けており、将来も業務の重要な要素にな るでしょう。小学校からプロジェクトスキルを磨くことが失業の不安から若者を開 放する鍵となるかもしれません。 SETM（科学、技術、工学、数学）やDREAMS（デザイン、研究、工学、芸術、数 学、科学）等の業務スキルのニーズと共に、プロジェクトスキルの重要性が高まっ ています。各分野での作業のほとんどがプロジェクトとして行われます。 すべてのプロジェクトが、探検、発見、学びの喜びに満ち溢れた世界に繋が る素晴らしい冒険になることを願っています！ （PMI教育財団「PROJECT MANAGEMENT FOR EDUCATION」より）
- 14. 14 教育分野におけるPMI日本支部の主な活動 ©PMI Japan Chapter, 2019 アカデミック・スポンサー制度 プロジェクトマネジメント教育 の裾野拡大のためのアカデミッ クコニュニティ。 2019年2月末現在42の教育機関 ・組織が登録。 アカデミック・トラック 情報提供・交流の場としてPMI 日本フォーラムにて専用トラッ クを開設。 2019年度は7/20-21に開催。 教材開発・講師派遣 プロジェクトマネジメントの基 礎教育を目的とした教材開発、 講座の企画・実施をサポート。 2005年より10以上の教育機関 での提供実績。 PMI教育財団リエゾン PMI教育財団の保有する豊富な 教材、教育機関サポート事例を 広く国内に紹介。 国内における啓発活動を主導。 ※ PMI日本支部アカデミックページ：https://www.pmi-japan.org/session/cat383/
- 15. 15 プロジェクトキッズアドベンチャー（PKA） ©PMI Japan Chapter, 2019 プロジェクトマネジメントの考え方を伝えるライトノベルシリーズ 対象年齢は小学校高学年以上、大人でも楽しみながら学習できる 読者は1年間の物語を通して主人公の子供たちと一緒に成長していける http://www.projectkidsadventures.com/books-japanese/
- 16. 16 最後に ©PMI Japan Chapter, 2019 PMI日本支部のプロジェクトマネジメント教育の啓発・普及活動にご興 味がある方はお声がけください！