＜2018年度日本工学教育研究講演会発表資料＞ プロジェクトマネジメント教育におけるナラティブ・アプローチの提案 －物語のメタ認知環境を利用して再利用可能な形式知を得る－

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プロジェクトマネジメント教育における
ナラティブ・アプローチの提案
－物語のメタ認知環境を利用して再利用可能な形式知を得る－
一般社団法人 PMI日本支部 斉藤 学

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本稿の要旨
©PMI Japan Chapter, 2018
実践知の学習アプローチとしてPBL（Project Based Learning）の有効性が教育
現場でも認知され始めている。
現状認識
PBLでは成果物の作成に注力するため、プロジェクトマネジメントの教育手法
としては必ずしも有効ではないのでは？
問題提起
プロジェクトマネジメントの学習には、第三者の視点からしっかり作業の進め方
を評価できる物語を使ったナラティブ・アプローチが有効では？
提言

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計画の価値
©PMI Japan Chapter, 2018
PBLでは学生にとって初めての内容を扱うことが多く、経験知もなくむやみに
計画を立ててもプロジェクトマネジメントの有効性を実感できない
一方、むやみに計画の重要性を強調するほど、プロジェクトマネジメントに対す
る懐疑心が強まる
コンテンツに固有な作業を体験したり、仮説に基づく試行錯誤のためにPBLを
活用するべき
マショマロチャレンジの例
★TED動画「トム・ウージェック：塔を建て、チームを作る」
https://www.ted.com/talks/tom_wujec_build_a_tower
パスタとヒモとテープで18分以内になるべく高い構造物を作り頂点にマシュマロを置く
 計画重視のビジネススクール卒業生より失敗を繰り返す幼稚園児の方が平均成績が良い

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ナラティブ・アプローチとは？
©PMI Japan Chapter, 2018
 1990年代に臨床心理学の領域から生まれた手法
 医療、介護、保育、ソーシャルワークなどの分野で実践されている
日本語で「物語」や「語り」のこと。ナラティブ
「物語」を通して解決法を見出していくアプローチ
ナラティブ
アプローチ
専門的な説明を極力回避し、相手自身が考え、語ることをサポートする。

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セオリーとナラティブ
©PMI Japan Chapter, 2018
具体的事象を示す表現
ナラティブ
昨日酒を飲みすぎて体調が悪い
普遍的なルールを示す表現
セオリー
酒を飲みすぎた翌日は体調が悪い
経験知が活かせる
工学分野等の学習に有効
固有の文脈に応じた
対応力が求められる
PM等の学習に有効

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プロジェクトキッズアドベンチャー（PKA）
©PMI Japan Chapter, 2018
 プロジェクトマネジメントの考え方を伝えるライトノベルシリーズ
 対象年齢は小学校高学年以上、大人でも楽しみながら学習できる
 読者は1年間の物語を通して主人公の子供たちと一緒に成長していける
 http://www.projectkidsadventures.com/books-japanese/

7. 7©PMI Japan Chapter, 2018
各巻に埋め込まれたPMの概念

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物語による学習のメリット
©PMI Japan Chapter, 2018
 アイデアを具現化するプロセスを疑似体験できる（メタ認知）
 人によって異なる観点を理解できる（複眼思考）
 実際には見えない感情や思考過程が見える（暗黙知の共有）
 理論をできごとや感情に結び付けて理解できる（記憶定着）
 成功，失敗を客観的かつドラマチックに体験できる（教訓）
Robert Ornstein, “Teaching-Stories and the Brain,” Library of Congress lecture, 2002
寓話（ぐうわ）
人間の生活に馴染み深いできごと
を通して知恵を伝えるための物語
- 小人の靴屋（グリム兄弟）
- イソップ物語
- 善きサマリア人の教え（新約聖書）
etc.
プログラミング
（翔泳社）
パブリック・リレーションズ
（朝日学生新聞社）

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PKAを使ったPM普及活動
日本語版出版記念セミナー（3/15）
著者来日セミナー（7/16）
学芸大カフェテリア（6/21）
書籍献本
•国立国会図書館
•芝浦工業大学付属中高等学校
•暁星国際小中高等学校
書籍販売やオンラインコミュニティ
•Amazon.com
•PMI日本支部ブックストア
https://www.pmi-japan.org/bookstore/
•支部イベントでの直販
•Slackでのオンライン議論
•未来の先生展（9/15-16＠聖心女子大）
http://www.mirai-sensei.org/

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読者の感想
ツリーハウス と いじめっ子更生 読了しました。どちらもワクワクしながら読み、
一気に読み終えることができました。
ツールや技法だけでなく プロジェクトに対するマインド セット、「全員が出来ると
信じる」「なぜやり遂げたいのか熟考する」といったところまで 踏み込んで書か
れており、PMとして共感でき教訓的だと思いました。
５冊の中でご近所の子ども達が現実感を持てる物はという観点では、怖すぎる
お化け屋敷かなと思いました。地域のお祭りで、例年大人が手作りするお化け
屋敷が出るので、イメージしやすいかなぁと思います。
PMの事前知識や失敗経験があると読みやすいと思いだろうと思いました。一方
でPM経験がなくても疑似体験ができると思います。講師が使う教科書的なもの
と言うより「読み物」という印象でしたが良書だと思います。

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結論と今後の課題
©PMI Japan Chapter, 2018
1. 物語の中に学習概念を織り込める
2. 現実では見えない感情や思考過程を表現できる
3. ドミナントストーリーだけでなく、ステークホルダー毎に異なるオルタナティ
ブストーリーを示すことができる
4. 成功、失敗の体験をドラマチックに（強調して）表現できる
5. PMがライフスキルであることを理解できると、ドラマやマンガ等あらゆる物
語が活きたPM教材になる
ナラティブ・アプローチのメリット
1. 読んでみようと思う動機づけ
2. 読書にかかる時間
3. 読者が物語から学び取った内容の評価
課題