2. ーネットブームに多大な影響を及ぼしたのは有名だ。今のナノテクブームも、ゴアが副大統
領時代に関連技術への投資を進めたのが大きな要因となっている。また、現在、シリコンバ
レーはエネルギー関連技術への投資で盛り上がっているが、もともと地球環境問題も 70 年代
ごろから手がけており、米国のリーダーとして活躍してきたのもゴアだった。テクノロジー
の先端でゴアが旗振りしていたのは事実であり、そのため、シリコンバレーでのゴア人気は
根強いものがあり、講演会は大変な盛り上がりであった。
現在は Apple の社外取締役でもあり(映画で、講演や視察のため、マッキントッシュを持っ
て世界中を旅する姿が何度も出る)、また自らベンチャーキャピタルを立ち上げ、環境問題
に取り組む企業などに投資をしている。最近サンフランシスコにマンションを購入しており、
シリコンバレーでの活動に力点をおいていることが伺える。
組み込みシステムの事例として紹介されたトヨタプリウス
組み込みシステムとは、自動車などの機械や電機機器などを制御するために「組み込まれ
た」ハードとソフトである。どちらかというと、縁の下の力持ち的な存在で、IT の中でも割
と地味な世界だと思う。しかし、さすがに話題の人物の登場で、カンファレンス出席者が席
を求めて早くから講演会場に並び、会場はほぼ満席で、3000 人ほどが出席したと思われる。
中にはベビーカーを押す母親の姿も見られ、ゴアの話が直接聞けると聞きつけて、業界とは
あまり関係のなさそうな人まで参加していたようだった。
今回のカンファレンスでは、組み込みシステムの実例として、展示会場にて、トヨタプリウ
スの実物が紹介されていた。ダッシュボードや座席などをはずして、どんな組み込みシステ
ムが搭載されているか、中身が紹介されていて、人だかりだった。プリウスはご存知の通り、
エンジンとモーターの両方を効率的に組み合わせて動くハイブリッドカーで、ガソリンと電
気のどちらを使う方が燃費がよいのか常に自動的に判断して動くため、組み込みシステムが
非常に重要である。燃費が格段によく、ガソリンの価格が高騰している現在人気があるよう
で、ホンダのハイブリッドとともにシリコンバレーでもよく見かける。地球環境にやさしい
システムなのである。
ジョークで笑いの連続のゴアのプレゼンテーション
さて、ゴアのプレゼンだが、まずは映画ですっかりおなじみになったお決まりの自己紹介で
始まった。
「I am Al Gore. I used to be the “Next” President of United States of America.」「かつて(ほん
の一瞬だけ)アメリカ合衆国の次期大統領だったアル・ゴアです。」会場から笑いが漏れる