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IPO 入門

参考文献
•怱那憲治:『 IPO 市場の価格形成』  2009

•あずさ監査法人 :  
http://www.azsa.or.jp/b_info/ipo/top.html
IPO(Initial Public Offering) と
              は
• 自社の株式を証券取引所に新規上場させる 
  (自分の会社の株式を証券市場を通じて誰で
  も自由に売買できるようにする)こと .
 → 会社が創業者の私的なものから、社会一
  般の公けのものになる!

• ただし,株式の上場には厳しい基準が設けら
  れ、証券取引所による厳格な審査が必要 .
株式公開のメリット         ( ゚∀゚ )

•   資金調達 
•   知名度の向上
•   内部管理体制の充実
•   決算の迅速化・適正化
•   従業員持株会を通じた従業員の資産形成
•   オーナーの創業者利益の確保
•   ベンチャーキャピタルの出口確保
株式公開のデメリット ヽ (`Д
        ´) ノ
• 上場維持費用・管理コストの負担
• ディスクローズ負担増
• 業績向上・企業価値向上へのプレッ
  シャー
• オーナーの支配権の希薄化
• 買収されるリスクが増大
新規公開時の引受審査項目 (2006.9)
           公開適格性   企業経営の健全性と独立性


  事業継続体制                 コーポレート・ガバナンス
                         及び内部管理体制の状況


財政状態及び経営成績
                          業績の見通し


   企業内容等の適正な開示     調達する資金の使途・売出しの目的



                     これらのチェックは監
                      査法人の仕事ニダ♪
新規株式公開のコスト
                                 新規公開日



  IPO 企業                 投資家 A            投資家 B

   46 億円             50 億円               70 億円
                     (50 万円 = 公開価格 )     (70 万円 = 市場価格 )

            証券会社

              4 億円 =直接的コスト             20 億円   =間接的コスト


    公開価格: 50 万円              70 万 -50 万 =20 万円の意味は?
   発行株式数: 10000 株            • 投資家 A からすると, 20 万円の初期収益
→  調達金額 =50 億円 (Gross)       • IPO 企業からすると 20 万円の
   引受手数料:  8   %              アンダープライシング
公開価格の決定方式
1. 固定価格方式

2. 入札方式

3. ブックビルディング方
   式         今はほとんどこれ
1.固定価格方式
1.    アンダーライターが            2.   発行企業の取締役会で決議
       類似会社比準方式によっ
      て想定価格(公開価格)を         3.   日本証券業協会に届出が行
      算出                        われ,価格が公開される.
                   a b c
                    + +
 想定価格 = 類似会社平均価格 × A B C
                     3


     A: 類似会社の 1 株あたり配当
     金
     a: 公開会社の 1 株あたり配当
     金                      価格の決定や株式の
     B: 類似会社の 1 株あたり純利     配分プロセスが不透明 !!
     益
     b: 公開会社の 1 株あたり純利
     益
     C: 類似会社の 1 株あたり純資
2.入札方式
1.    取締役会にて新株発行の決議(入札に関する価格情報は公開されな
      い.)
2.    入札下限価格が,類似会社比準方式で算出した株価の 85% に決定され
      る.
3.    入札実施.落札加重平均価格が決定 → 公開価格が決定
     ①  ダッチ・オーク          ②  複数価格決定方
       ション                 式
                                   20 万円
                                   19 万円
                                   18 万円
                                   17 万円
                                   16 万円




     購入価格  =  最低落札価格      購入価格は複数存在
3.ブックビルディング方式
1. 企業価値の評価 → 想定発行価格の決定
(有価証券届出書に想定発行価格を記載して提出するため)


                       アンダーライターの
2. 届出書提出後,ロードショーの開催
                       手腕に大きく依存!
 機関投資家やアナリストからのヒアリングを行う.
 その後,アンダーライターは証券市場の状況などを踏まえて仮条
  件の上限価格と下限価格を決定する.


3.  仮条件の上限価格と下限価格の範囲内でブックビル
    ディング → 公開価格の決定
3.ブックビルディング方式
           上限および下限価
           格
3.ブックビルディング方式
      ブックビルディング方式の日米の違
  比較項目い     アメリカ     日本
想定発行価格の提示   なし(仮条件が最初   あり(目論見書に記
               の開示)         載)
 ロードショー      仮条件決定後      仮条件決定前

公開価格決定から新   短い(公開価格決定   長い(平均 10 日)
規公開までの期間     の翌日には公開)
公開株式の配分先    機関投資家メイン    個人投資家メイン
                          ( 8:2 )
オーバーアロットメ    以前から導入       2002 年導入
 ントオプション
ブックビルディング方式の普及
  ブックビルディング方式は,入札方式に比べ
  •アンダープライシングが大きい ( 70.8% vs
  7.1% )
  •アンダーライターの引受手数料が高い(らしい)
  •公開後のボラティリティが大きい (後述)

 にもかかわらずブックビルディング方式が主流なのは,
   アンダーライターによる公開後の価格サポートや
アナリストのカバレッジの重要性が高まっているためか !?
ここまでのまとめ
•   株式上場によって,『資金調達』,『知名度の向上』などのメ
    リットとともに,他企業に買収されるリスクが生じる.

•   新規公開にかかるコストには,引受手数料のような直接的なコス
    トの他に,アンダープライシングによって生じる間接的コストが
    存在する.

•   公開価格の決定方式には『固定価格方式』,『入札方式』,
    『ブックビルディング方式』があるが,今日の IPO のほとんどは
    『ブックビルディング方式』である.

•   ブックビルディングは,企業価値の評価によって想定発行価格を
    決定した後,ロードショーなどを通じて上限,下限価格が決定さ
    れるが,この工程はアンダーライターの能力に大きく依存する.
IPO 市場の現状と価格形成
10%




29.7
             27%
%




                   VC が株式を
                   20% 以上保有
                   している企業
                   の割合
入札方式の採用期は 3% 強の
 低水準に固定されていたが,
BB 方式ではアンダーライターが
自由に設定できるようになった.




  発行企業のリスク
  高


  引受手数料も上が
  る傾向が強い.
?
取引日が長くなるとボラティリティ↓ 取引日が長くなるとボラティリティ↑
JQ の場合

  Volatility
                        入札方式         ブックビルディング方       公開企業数
                                         式
                                                      入札方式:
                      Ave.   STDEV    Ave.    STDEV   222~308

   20 日取引         0.033      0.013    0.057   0.027   BB 方式 : 368~432
   60 日取引         0.029      0.009    0.051    0.02
  120 日取引         0.028      0.007    0.052   0.019

         ボラティリティは全て『入札<BB』
Volatility Relative
                        入札方式         ブックビルディング方
                                         式
                      Ave.   STDEV    Ave.    STDEV

   20 日取引             50.8   61.9     52.3    108.4
   60 日取引             24.9   22.3     26.6     31.3
  120 日取引             19.7   14.3     27.6     31.8
企業および発行の特徴とボラティリティの相関
  関係

               入札方式            ブッ  クビルディング方式
 VR    60日取引      120日取引     60日取引      120日取引
企業年齢    - 0.137     - 0.11    - 0.137     - 0.117
発行規模      0.1       0.058     - 0.085     - 0.117
時価総額     0.083       0.03     - 0.104     - 0.134

企業年齢の若い企業は
不確実性が高い!            入札方式では発行規模が大きい
                    IPO の VR が大きい一方,ブックビ
                    ルディング方式では発行規模が大
                    きい IPO の VR が小さい.
ボラティリティ =  
『新規公開から t 取引日までの企業 i の日次収益
率 rit 』の標準偏差
                      n

                     ∑ (rit − r ) 2
       σ ( Rit ) =   i =1
                            n −1

IPO 銘柄と市場全体の関連性を見る
→  相対ボラティリティ( Volatility
Relative;VR )
              σ 2 ( Rit )
          VR = 2
              σ ( Rmt )
後半のまとめ
• 新規公開企業は, JQ では【資本金規模は小さいが事業実績の
  長い企業】が多く,マザーズでは【小規模でまだ十分な実績を
  挙げていない企業】が多い.ヘラクレスはその中間.

• マザーズ・ヘラクレスの新規公開企業では JQ と比べて高い引
  受手数料が設定されている.

• 新興市場における新規公開企業のボラティリティは,ヘラクレ
  ス・マザーズ・ JQ の順に高く,またブックビルディング方式
  の方が入札方式より高い.

• 企業年齢の若い企業は不確実性が高いため,公開後のボラティ
  リティも高くなる.

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  • 1. IPO 入門 参考文献 •怱那憲治:『 IPO 市場の価格形成』  2009 •あずさ監査法人 :   http://www.azsa.or.jp/b_info/ipo/top.html
  • 2. IPO(Initial Public Offering) と は • 自社の株式を証券取引所に新規上場させる  (自分の会社の株式を証券市場を通じて誰で も自由に売買できるようにする)こと .  → 会社が創業者の私的なものから、社会一 般の公けのものになる! • ただし,株式の上場には厳しい基準が設けら れ、証券取引所による厳格な審査が必要 .
  • 3. 株式公開のメリット ( ゚∀゚ ) • 資金調達  • 知名度の向上 • 内部管理体制の充実 • 決算の迅速化・適正化 • 従業員持株会を通じた従業員の資産形成 • オーナーの創業者利益の確保 • ベンチャーキャピタルの出口確保
  • 4. 株式公開のデメリット ヽ (`Д ´) ノ • 上場維持費用・管理コストの負担 • ディスクローズ負担増 • 業績向上・企業価値向上へのプレッ シャー • オーナーの支配権の希薄化 • 買収されるリスクが増大
  • 5. 新規公開時の引受審査項目 (2006.9) 公開適格性 企業経営の健全性と独立性 事業継続体制 コーポレート・ガバナンス 及び内部管理体制の状況 財政状態及び経営成績 業績の見通し 企業内容等の適正な開示 調達する資金の使途・売出しの目的 これらのチェックは監 査法人の仕事ニダ♪
  • 6. 新規株式公開のコスト 新規公開日 IPO 企業 投資家 A 投資家 B 46 億円 50 億円 70 億円 (50 万円 = 公開価格 ) (70 万円 = 市場価格 ) 証券会社 4 億円 =直接的コスト 20 億円 =間接的コスト 公開価格: 50 万円 70 万 -50 万 =20 万円の意味は? 発行株式数: 10000 株 • 投資家 A からすると, 20 万円の初期収益 →  調達金額 =50 億円 (Gross) • IPO 企業からすると 20 万円の 引受手数料:  8   %  アンダープライシング
  • 7. 公開価格の決定方式 1. 固定価格方式 2. 入札方式 3. ブックビルディング方 式 今はほとんどこれ
  • 8. 1.固定価格方式 1. アンダーライターが 2. 発行企業の取締役会で決議 類似会社比準方式によっ て想定価格(公開価格)を 3. 日本証券業協会に届出が行 算出 われ,価格が公開される. a b c + + 想定価格 = 類似会社平均価格 × A B C 3 A: 類似会社の 1 株あたり配当 金 a: 公開会社の 1 株あたり配当 金 価格の決定や株式の B: 類似会社の 1 株あたり純利 配分プロセスが不透明 !! 益 b: 公開会社の 1 株あたり純利 益 C: 類似会社の 1 株あたり純資
  • 9. 2.入札方式 1. 取締役会にて新株発行の決議(入札に関する価格情報は公開されな い.) 2. 入札下限価格が,類似会社比準方式で算出した株価の 85% に決定され る. 3. 入札実施.落札加重平均価格が決定 → 公開価格が決定 ①  ダッチ・オーク ②  複数価格決定方 ション 式 20 万円 19 万円 18 万円 17 万円 16 万円 購入価格  =  最低落札価格 購入価格は複数存在
  • 10. 3.ブックビルディング方式 1. 企業価値の評価 → 想定発行価格の決定 (有価証券届出書に想定発行価格を記載して提出するため) アンダーライターの 2. 届出書提出後,ロードショーの開催 手腕に大きく依存!  機関投資家やアナリストからのヒアリングを行う.  その後,アンダーライターは証券市場の状況などを踏まえて仮条 件の上限価格と下限価格を決定する. 3.  仮条件の上限価格と下限価格の範囲内でブックビル ディング → 公開価格の決定
  • 11. 3.ブックビルディング方式 上限および下限価 格
  • 12. 3.ブックビルディング方式 ブックビルディング方式の日米の違 比較項目い アメリカ 日本 想定発行価格の提示 なし(仮条件が最初 あり(目論見書に記 の開示) 載) ロードショー 仮条件決定後 仮条件決定前 公開価格決定から新 短い(公開価格決定 長い(平均 10 日) 規公開までの期間 の翌日には公開) 公開株式の配分先 機関投資家メイン 個人投資家メイン ( 8:2 ) オーバーアロットメ 以前から導入 2002 年導入 ントオプション
  • 13. ブックビルディング方式の普及 ブックビルディング方式は,入札方式に比べ •アンダープライシングが大きい ( 70.8% vs 7.1% ) •アンダーライターの引受手数料が高い(らしい) •公開後のボラティリティが大きい (後述) にもかかわらずブックビルディング方式が主流なのは, アンダーライターによる公開後の価格サポートや アナリストのカバレッジの重要性が高まっているためか !?
  • 14. ここまでのまとめ • 株式上場によって,『資金調達』,『知名度の向上』などのメ リットとともに,他企業に買収されるリスクが生じる. • 新規公開にかかるコストには,引受手数料のような直接的なコス トの他に,アンダープライシングによって生じる間接的コストが 存在する. • 公開価格の決定方式には『固定価格方式』,『入札方式』, 『ブックビルディング方式』があるが,今日の IPO のほとんどは 『ブックビルディング方式』である. • ブックビルディングは,企業価値の評価によって想定発行価格を 決定した後,ロードショーなどを通じて上限,下限価格が決定さ れるが,この工程はアンダーライターの能力に大きく依存する.
  • 16.
  • 17. 10% 29.7 27% % VC が株式を 20% 以上保有 している企業 の割合
  • 18. 入札方式の採用期は 3% 強の 低水準に固定されていたが, BB 方式ではアンダーライターが 自由に設定できるようになった. 発行企業のリスク 高 引受手数料も上が る傾向が強い.
  • 19.
  • 20.
  • 21.
  • 22.
  • 24. JQ の場合 Volatility 入札方式 ブックビルディング方 公開企業数 式 入札方式: Ave. STDEV Ave. STDEV 222~308 20 日取引 0.033 0.013 0.057 0.027 BB 方式 : 368~432 60 日取引 0.029 0.009 0.051 0.02 120 日取引 0.028 0.007 0.052 0.019 ボラティリティは全て『入札<BB』 Volatility Relative 入札方式 ブックビルディング方 式 Ave. STDEV Ave. STDEV 20 日取引 50.8 61.9 52.3 108.4 60 日取引 24.9 22.3 26.6 31.3 120 日取引 19.7 14.3 27.6 31.8
  • 25.
  • 26. 企業および発行の特徴とボラティリティの相関 関係 入札方式 ブッ クビルディング方式 VR 60日取引 120日取引 60日取引 120日取引 企業年齢 - 0.137 - 0.11 - 0.137 - 0.117 発行規模 0.1 0.058 - 0.085 - 0.117 時価総額 0.083 0.03 - 0.104 - 0.134 企業年齢の若い企業は 不確実性が高い! 入札方式では発行規模が大きい IPO の VR が大きい一方,ブックビ ルディング方式では発行規模が大 きい IPO の VR が小さい.
  • 27. ボラティリティ =   『新規公開から t 取引日までの企業 i の日次収益 率 rit 』の標準偏差 n ∑ (rit − r ) 2 σ ( Rit ) = i =1 n −1 IPO 銘柄と市場全体の関連性を見る →  相対ボラティリティ( Volatility Relative;VR ) σ 2 ( Rit ) VR = 2 σ ( Rmt )
  • 28. 後半のまとめ • 新規公開企業は, JQ では【資本金規模は小さいが事業実績の 長い企業】が多く,マザーズでは【小規模でまだ十分な実績を 挙げていない企業】が多い.ヘラクレスはその中間. • マザーズ・ヘラクレスの新規公開企業では JQ と比べて高い引 受手数料が設定されている. • 新興市場における新規公開企業のボラティリティは,ヘラクレ ス・マザーズ・ JQ の順に高く,またブックビルディング方式 の方が入札方式より高い. • 企業年齢の若い企業は不確実性が高いため,公開後のボラティ リティも高くなる.

Notas do Editor

  1. 公募( IPO) により株主資本が拡充し、事業規模の拡大のための資金に充当できる。また、新事業への進出も容易となる。また、ふたたび公募( PO) するときも、容易に資金調達ができる また、ふたたび公募( PO) するときも、容易に資金調達ができる 規程の整備・運用を通じて、不正・誤謬を防ぎ、リスクを意識した体制が実現 従業員の自社株式取得にあたり会社が拠出金の給与からの控除、奨励金の支給などの種々の便宜を与えることにより、 従業員の自社株取得を容易にし、財産形成を助成する制度
  2. 調達可能な資金が獲得できなかったことを
  3. リクルート・コスモス(現 コスモスイニシア )社未公開株が、 中曽根康弘 、 竹下登 、 宮澤喜一 、 安倍晋太郎 など大物 政治家 に、店頭公開前に譲渡していたことが相次いで発覚する。
  4. 市場が設定している公開基準(株主数)を増やすために流動性を高める必要がある. 多数の個人投資家に配分されるため,アンダーライターはある程度の期間的余裕を見ておく必要がある.
  5. 市場が設定している公開基準(株主数)を増やすために流動性を高める必要がある. 多数の個人投資家に配分されるため,アンダーライターはある程度の期間的余裕を見ておく必要がある.