1. 特 集 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア 、さ ら な る 新 地 平
広告研究最前線
ソーシャルメディ と
ア これからの
マーケテ ン ・ ミ
ィ グ コ ュニケーシ ン
ョ
対 談
徳力 基彦 × 藤田 明久
アジャイルメディア ネッ
・ トワーク ㈱代表取締役 ㈱電通デジタル ホールディングス 取締役専務執行役員
・
ソーシャルメディアは生活者、企業、社会をどう変えていくのか。
今回はネットコミュニケーションの水先案内人として
理論 実務両面で活躍されている徳力基彦氏をゲス
・ トに迎え、
モバイルマーケティングの先駆者である電通グループの藤田明久氏と、
日々進展する現状を踏まえながら、今後ソーシャルメディアをどう活用していけばいいのか、
その課題や展望などについてお話しいただいた。
利用者の増大を実感
藤田 本誌ではvol.34で「進展するソーシャルメディ 徳力 基彦 （とく りき もとひこ）
1972年生まれ Ｎ Ｔ、Ｔ アリエ
ア」をテーマに特集を組み、徳力さんに ご執筆いただ
も ル・ネッ トワークを経て 2006
き した。
ま その後、半年ほどでどのよ な変化が起きて
う 年のアジャイルメディア・ネッ
トワーク設 立 時からブロガー
いるので う
しょ か。 の一人として運営に参画 09
徳力 本質的にはそんなに変わっている と思いませ 年 2月、 同社代表取締役に就任
「カンバセ ーショナルマ ーケテ
んが、ソーシャルメディアを利用する人の裾野が広が ィング」 をキ ーワードにブログ
や Twitter等に代表されるソー
っているという実感があ ます。
り これまではご 一部のネ
く シャルメディアの 正しい マ ー
ットユーザーや ITリテラシーの高い人たちだけが利 ケティング活用の可能性につい
ての啓蒙活動を展開 ＷＯＭマ
用するという印象があ ま
り したが、Facebook が話題に ー ケティング協議会理事 著
書に『デジタル ワークスタイル』
・
なったことや今回の大震災での利用状況を見る 予
と、
（二見書房） 共著に
、 『アルファ
想以上にボリュームが増え、特に地方や年配の方々 ブロガー』 （翔泳社）等がある
も使い始めています。
藤田 具体的には、
どんな時に広が を感じ
り られますか。
徳力 セ ナーな
ミ どで講演をしている よ わか ます。
とく り
去年の頭ぐらいまではリテラシーの高い人たちに話を
藤田 明久 （ふじた あきひさ） する とが多かったのが、
こ 夏場以降になる と地方や業
1965年横浜生まれ 91年慶
界団体からの依頼が増え、 最近だと参加者の ７割くら
應義塾大学大学院管理工学専
攻修了 同年㈱電通入社 96 いはTwitterを使っているという う
よ な変化が起き てい
年㈱サイバ ー・ コミュニケ ーシ
ョンズ取締役 2000年より㈱ ます。日本もひょっとする Facebookをイ ターネッ
と、 ン
ディーツー コミュニケ ーショ ト利用者の６割、７割が使っている といわれるアメ カ
リ
ンズ代表取締役社長を経て 10
年より現職 ＰＣ ・モバイル双 のよ になるかも
う しれないという予感がします。
方のネッ ト広告市場を創成期か
ら牽 引した経 験を生かすべく
藤田 マスメディアで も取り上げられる とが多く り
こ な ま
「電通デジタルファン の運用
ド」 した。
責任者でもある 著書に 『ゼロ
から 「新市場」 を生み出す方程 徳力 去年の頭く らいまでは、マスメディアでのネット
式』幻冬舎）共著に
（ 、 『モバイル・ の話題といえば、批判的な ものが中心だったという メ
イ
マ ー ケティング』 （日本経済新
聞出版社） 等がある ージが強いのですが、最近では、その良さが紹介され
4
● AD STUDIES Vol.36 2011

2. 1
始めています。象徴的だったのは、地震の夜のニュ ４つ目は、 て
と も画期的なこ で、
と 利用者のコラボレー
ース番組の放送中に、テレビのテロップに消防庁が ションが機能したという とです。
こ 例えば、ある有名な
Twitterをやっていますという情報が流れたことです。 人が原発の現状を、 らに例えてTwitterで書いた
おな
多分、 日本では今まであ えなかったこ
り とだと思います ら、それを別の人が togetter Twitterのtweetを と
（ ま
ね。 めるサービス） とめて、
でま それを らに別の人がわか
さ
藤田 今回の大震災では、Twitterやmixi、Facebook りやす アニメ動画に また別の人が英語の字幕をつ
く し、
といったソーシャルメディアがマスメディア とパーソナ けるという う 利用者の横のコラボレーショ
よ に、 ンがき
ルメディアの間を埋める役割を果た ま し したが、 そこか れいに回っていま した。
ら何が見えて た
き と思いますか。 今回、 大震災に関するサイ トやツールを、Twitter
徳力 もちろん、ソーシャルメディアの可能性を感じま からの被リ ンク数順にラ ンキングするサイ を作ってみ
ト
したが、同時に限界も明確になったと思います。１つ た ころ、 ップ20に個人のサイ ７個く
と ト トが らい入ってい
はPCや携帯電話の回線が切れたら使えないこ と。２ ました。個人の思いやアウ プッ
ト トが、 ソーシャルメディ
つ目は人を惑わすデマを伝播したこと。３つ目がマスメ アのイ ラに乗るこ
ンフ とで、大勢の人に伝播する。 それ
ディアと比較した場合、不特定多数の人たちに広げる は企業で も個人でも関係ないという、ソーシャルならで
ことが苦手だったという と
こ です。 はの可能性を感じ、 て
と も印象的で した。
これまで日本には、ソーシャルメディア上で 「みんな
大震災で見えた横へのつながり
でやればできるんだ」という と
こ を体感したイベン はあ
ト
藤田 では、ソーシャルメディアの可能性については りませんでした。 リ
アメ カではオバマ大統領が選ばれた
どうお考えですか。 選挙で「俺たちがつながれば大統領さ く
えつ れる」
とい
徳力 まず、プル型の情報発信として有効だという と
こ う経験をしています。日本でも、今回の出来事を通じて、
です。私はプルのコ ュニケーショ と
ミ ン プッシュのコミ ソーシャルメディアでつながった自分たち利用者の
ュニケーショ という言葉を く
ン よ 使っています。電話や 力が、世の中に影響を与える とがで るかも、
こ き というこ
メールはプッシュのコ ュニケーションで、
ミ 電話を受 とを感じた人は少な なかったのではないかと思います。
く
ける側からすると即時的で強制的です。一方、
Twitter 藤田 フィルター機能という ころが非常に興味深い
と
やブログはプルのコ ュニケーショ
ミ ンです。 こに書い
こ ですね。フィルターという 今まではた さんあったも
と、 く
ておいたからよければ見てねという ミ
コ ュニケーシ ンで、
ョ のをチョイ して、 イ と のぞき
ス ノ ズを り ながら つのものを
１
しかも、非同期に時間がずれていても良いという違い 取り出すという メージがあ ま
イ り したが、
ソーシャルメデ
があ ます。
り ィアは、 １
ある つの情報をみんなが取り上げる と
こ によっ
これは安否確認にはとても向いていました。普通の て、全体のシェアを高めているという感じですね。
安否確認では、電話をどれほどかけま って
く もつながら 徳力 ソーシャルメディアの価値は、何をだれが見て
ない。メールでも、気になる相手に一人ずつ送信する 話題にしているかが見えて る ころにある
く と と思います。
必要があ ます。 ころが Twitter やブログだと
り と 「私は マーケティング的に考える このエネルギーを
と、 どう使
無事です」と書いておけば、 一人ひ り と に直接連絡しな うかが課題になると思います。
く も、
て 安否を向こ から確認して らえるわけです。
う も 去年のソーシャルメディアブーム、 特にTwitter ブ
２つ目が当事者による情報発信がで る う
き よ になって ームというのはTwitter アカ ン をつ ろ ブームでし
ウ ト く う
いるという とです。
こ 消防庁のTwitter アカウ トが象
ン た。しかし、 アカウ ト く
ン をつ ってみても フォロワーが増
徴的ですが、 官邸や自衛隊、東京電力や東大病院の えないため、 やめるケース も多く り した。
あ ま でも、実は
専門家チームの方々や地方自治体な さ ざま
ど、 ま な組 重 要なことは企 業がアカウン トを作ることではなく 、
織や専門家によ る情報発信が始まっています。 ちろ も Twitter利用者のエネルギーを企業が味方につけら
ん、 レ
テ ビ中継を も
して らえればベス ですが、
ト マスメデ れるかどうかにあるのです。
ィアの枠は限られています。 そこで当事者によるロング 藤田 ソーシャルメディアを使う と
こ によって、企業が
テールの情報が活かされたわけですが、 逆にデマを 生活者の行動やパワーを引き出せる可能性があると
生む源泉にもなっています。 それはちょ ど裏表の関
う いう と
こ ですね。
係として存在していました。
仕事や生活の中に浸透
３つ目は、
マスメディアにつなげる フィルターとしてす
ごく役に立ったという とです。
こ ソーシャルメディア上 藤田 生活者の中で今後、 ソーシャルメディアはどこ
に溢れる膨大な情報の中から、 話題性のあるものをマ まで広がるのか、またどんな新しい使い方が生まれてき
スメディアが拾って れる
く という ソーシャルとマスの役 そうですか。
割分担があらためて確認で た
き と思いますね。 徳力 これはモバイルと切っても切れないという話で
AD STUDIES Vol.36 2011 ●
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3. 特 集 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア 、さ ら な る 新 地 平
すが、私は日本のガラケー（ガラパゴス・ケータイ=独 ロセス しては て
と と も有効に機能していたと思いますね。
自の進化を遂げた日本製携帯電話のこ はある意味
と）
ソーシャルメディアの活用状況
スマートフォンだと思っています。 リ
アメ カではイ ター
ン
ネッ を使える携帯電話が存在しなかったのでiＰhone
ト 藤田 ソーシャルメディアの活用に関する量的な拡
が出てきて、スマートフォンと呼ばれていますが、 日本 大だけではなく質も問われてきているというなかで、ソ
ではガラケーでイ ターネッ
ン トが以前から使え した。
ま ーシャルメディアを積極的に活用している企業のラン
で す から、 mixiを携 帯 で 使っているというのは、 キングが発表されました。この量的な部分と質的な部
Twitterをスマート フォンで使っているのと実はそれ 分をどう評価されていますか。
ほど変わ ません。
り ただ、利用シーンが問題です。 徳力 今回の「ソーシャルメディア活用企業調査」 で
今までは、 イ ターネッ は仕事の最中に使う
PC ン ト もの、 は量だけでラ ンキングしました。 Ｄ ファイルをAMN
Ｐ Ｆ
携帯電話のネッ はゲームなど遊びに使う
ト もの、という （アジャイル・メディア・ネッ ワーク）
ト のFacebook ペ
印象が強かったと思います。そのため携帯ネッ トは遊
びの世界扱いされて ま
き した。 ころがスマー フォンで
と ト
は、この両方が融合し始めています。 従来のmixi や
GREEは遊びの時間に使う ソーシャルメディアで一日
の半分以下の時間でしか使われてき ませんでした。こ
れが TwitterやFacebookのよ に、
う スマート フォンで
使うソーシャルメディアは、 仕事でも遊びでも一日中使
う、 なるかどう
と かがポイ ト
ン になると思います。
藤田 仕事と ソーシャルメディアの関係性でいう と、
仕事をする えでの情報源と
う してTwitterやFacebook、
mixiなどは不可欠な ものにな つつある
り と思いますし、
ソーシャル というのは社会そのもののこ ですから、
と 仕
事だけでな 遊びの要素も混在していますよね。
く
徳力 ソーシャルメディアという呼び方がよ なかっ
く
たのではないでしょうか。みんなメディアだと思ってい
ますが、実はコミュニケーションツールなんです。
Twitter ア ウ ト
カ ン を持っているというのはメールア レ
ド
スを持っているのとほぼ変わ ません。
り この大震災では、
メールアドレスで一人ひとりに連絡をとれないなか、
Facebook や mixi経由で連絡を取ることができたり、
Twitterに書いておけばだれかが話しかけて れる く と
いったよ に、う プルのコ ュニケーショ を持てる う
ミ ン よ に
なったわけですから、それを ま 使っていけば、
うく 新し
いフェーズが生まれるのではないで う
しょ か。
藤田 企業の考え方も変わって ているので う
き しょ か。
徳力 そう思いますね。
藤田 ソーシャルメディアを活用していこ という流れ
う ージの資料集のコーナーに公開してあるので見てい
が本格的になっているという と
こ ですね。 ただ といいのですが、
く 計算方法はすご 簡単で、
く フォ
徳力 Twitterの登場は非常に大きかったと思いま ロワー数の桁数を左側の数字に、 頭の桁の数字を右
すね。象徴的なのがファ リーマートです。
ミ 最初はフ 側に持って ているだけです。１万は
き ５桁で最初の数
ァ チキのプロモーショ と
ミ ン して、生活者がアカ ン を
ウ ト 字が１ ですから51。2000は４桁で最初の数字が２なの
フォローして「ファ チキな とつぶや と ト
ミ う」 く ボッ （ロボ で42というわけです。
ッ が自動的に返答する
ト） というツールでした。 でも、や 藤田 圧縮したわけですね。
っている ちにみんなが話しかけて るので、
う く 人間がコ 徳力 数の多さでは無く 挑戦している と
、 こ を評価した
ミュニケーショ し う
ン よ と方針を変更されたそう です。 かったため、 この方式に ま
し した。ふたを開けて驚いた
しかも、Twitterはどんな有名人がやろ と発言自体
う こ はTwitterは当然と
と して、YouTubeの利用が多か
が分割され、 ラッ に伝播して巻き込まれてい ますか
フ ト き ったという とです。 り企業が無料で活用でき
こ やは るツ
ら、企業の担当者がソーシャルメディアを学ぶ教育プ ールは敷居が低いよ です。
う また、mixi、GREE、モバ
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● AD STUDIES Vol.36 2011

4. 1
ゲータ ン、
ウ ニコニコ動画など調査対象の半分は企業 てみる ラ
と、 ンキングの上位に、いわゆる業界でシェアト
にとって有料のツールですから、ある意味今回のラン ップの企業が少ないという傾向が見て取れる うよ に思
キングは、ソーシャルメディアに予算を投下している企 います。
業のランキングになっている と思います。 藤田 どうしてなので う
しょ か。
実際には、 Twitter や Facebookなど企業が無料 徳力 多分、 ップシェアの企業は既存のマスメディ
ト
で利用できるサービスだけを抜き出してランキングして アを使ったやり方で成功しているので、 そのままで良い
みる ユニク
と、 ロや無印良品など、一般的にソーシャ と感じているんだと思います。一方、 ップになるために、
ト
ルメディア活用企業として認知されている企業が上位 チャレンジが必要な企業は積極的にソーシャルメディ
に来ます。そう言う意味で、このランキングをみて意外 アにチャレンジを されているという印象ですね。
では、そ
に思った方は多かったかもしれません。 れでシェアが入れ替わるかという それほどのイ
と、 ンパ
藤田 有料のサービスを使う ころ
と と無料でう く
ま やっ ク は今のと まだないで う
ト ころ しょ ね。
藤田 シェアの逆転まではいたっていないかも しれま
せんが、活用してい こ によって蓄積する ウハウや
く と ノ
惹きつけられるファンの数は１桁、２桁とだんだん増え
てい でしょ
く うから、そこはあまり軽んじて見ないほうが
良いですね。
徳力 そうですね。 ただソーシャルメディアの活用と
いう意味からいう 本来はフォロワー数よ も、
と、 り ソーシ
ャルメディア上のリ ショ
アク ンのボリューム調査をする
方が本質だとも言えます。 ウ ト
アカ ン を開設してな て
く も
話題になっていれば問題ないわけですから。
ただ調査
の手間を考えて断念し したが
ま （笑）。
ただ、 ウ トがあれば話しかける リ ショ
アカ ン と アク ンが
来ますから、このサイクルを小さ 回せます。
く しかも、発
言の仕方によって アク ンが違いますから、
リ ショ この小
さなサイ ル
ク レベルで練習してからマスへの展開を考え
るのがベターではないで う
しょ か。
藤田 つま 、
り 企業からのコ ュニケーショ
ミ ンによって
生活者参加型の大きな動き をつくる上でのポテンシャ
ルを示す数字として活用で る う
き よ な気がします。
徳力 そう と良いと思いますね。
なる 今はそこまでのイ
ンパク は表に見えて ませんが、 いう リュームが
ト き そう ボ
とれそう な感じにはなってきていると思いますね。利用
者が本当に増えて れば、 リ
く アメ カのよ にソーシャル
う
メディアだけで ある程度のこ
も とがやれる フェーズに入
って る可能性はあ ますが、
く り それは企業規模や製品
の市場規模に よ と思います。
も る 大企業で 今までは
も、
てい という ンスの違いはどう
く スタ して生まれて るので
く マスメディアを使うしかなかったのが、この製品はソー
すか。 シャルメディア中心で良いというシーンが徐々に増え
徳力 あまり関係はないよ な気がしますね。
う 無料で て るんだ
く と思いますね。
使えるツールと言って 結局コ
も、 ンテンツの制作費やシ 藤田 新商品やまった 新しいコ
く ンセプ のものであれ
ト
ステム開発にはコス をかけていた しますから、
ト り 重要 ば、ソーシャルメディアを活用しながら需要の予測が
なことは自社のターゲッ ト顧客がどちらにいると思うか、 で ますね。
き
という とのよ に感じます。
こ う これは多分会社のポ シー
リ 徳力 それが理想だと思いますね。 私がよ 活用の順
く
とも関連するでしょ うが、ガラケーを使っているティー 番で申し上げているのは、まず利用者の声を聞く と、
こ
ンエージャーにアプローチしたかったら当然モバゲ ２番目は会話する とですが、
こ 広告的視点で重要なの
ータウンや GREEに行くでしょ し、
う 20代、30代のＯＬ は3番目の利用者の可視化です。 ソーシャルメディア
や主婦にアプローチしたいならmixiを使うので、 ター では、利用者が何を しているかを自分で言って れる
く と
ゲッ にも る
ト よ と思います。
なお、別の視点で傾向を見 いうのがメ ッ
リ トだからです。メルマガとTwitterを比
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7

5. 特 集 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア 、さ ら な る 新 地 平
較した場合、メルマガの方が長文で多く の情報を読ん ページも持つことができます。 リアメ カではイ ターネッ
ン
でもらいやすいですが、Twitterはフォロワー自身もま ト利用者の６割以上が Facebookを使っていますから、
たフォロワーを持っているのがメ ッ です。
リ ト Twitter そこに ホームページをつ っている感覚だ
も く と思います。
アカウ ト
ン を作って企業が孤軍奮闘する り いかに
よ も、 ただ、Facebook ページでは、通常のホームページ
Twitter利用者に話題にしても うかを考えた方が効
ら と異な ウォールという掲示板機能が中心になってい
り
果的なのです。 るため、利用者とのコ ュニケーショ を無視はでき
ミ ン な
藤田 低コストで一瞬のうちにユーザー側の新しい いという点は注意が必要です。 でも、そんなに難し 考
く
ニーズや感想を知ることができ という とですね。
る こ そ える必要はな 、
く Facebookのユーザーアカ ン はあ
ウ ト
れは、傾聴の参考になる ターゲットユーザーや情報 く Ｓ Ｓ
まで Ｎ ですし、Facebook ページは多分 Twitter
を広げて れる味方が何人いるかという ころが１つの
く と とサイ の複合と考える わか やすいと思います。
ト と り
指標にな える いう と
り と こ ですから、 これが企業にとって 僕はソーシャルメディ タ ム イ と ンテン
アを イ ラ ン コ ツに
最初に考える Ｐ（Key Performance Indicator）
ＫＩ にな 分けて考えるべきだと思っています。 ソーシャルメディ
って ますよ
き ね。 アの価値はコ ン
ンテ ツにあると考えて ま と、
し う 例えば140
徳力 指標は多すぎてややこ しいのですが、グラ 『 ンズ 文字のつぶや の内容が重要だ
き と思って まいますが、
し
ウェル』では傾聴、会話、活性化、 支援、統合という５ Twitterの価値はそ ではな 、
う く みんなが見ている イ
タ ム
つの戦略を並べています。 傾聴はリサーチで会話は ラ ンに情報を放 込める ンパク の方が重要です。
イ り イ ト
広報、活性化は販促に近いし、 支援はサポート、統合 実はTwitterは140文字のつぶやき を書かな て リ
く も
は製品企画や経営企画の話で、 これは全部Ｋ Ｉ
Ｐ が違 ンクで動画に飛ばした 、 り ブログ記事に飛ばして も良い
うはずですから、最初にそれぞれ目的をつ り Ｋ Ｉ
く 、 Ｐを わけです。Twitter ア ウ ト
カ ン を持っている と
こ によって、
決めるべき と思います。
だ フォローしてもらえば、 その人のタ ラ ンに企業が
イム イ
藤田 今、 したと
そう ころが計測可能になっているわ 出て るわけです。
く Facebookも一緒で、
ページに登録
けですから、表面的な数字を追いかけるのではな 、
くそ してもらえば、利用者のタ ラ ンに自社の発信した
イム イ
こを深く突き詰める とが大事ですが、
こ 多分、１社の努 情報が自動的に表示されるのが最大のメ ッ です。
リ ト
力では視野が狭くなるので、第三者の意見を聞いたり では、コンテンツをFacebook ページの中でやらな
コンサルティ グを受けたほう
ン が良いで う
しょ ね。 ければいけないかという そんなこ
と、 とはあ ません。
り ア
徳力 ソーシャルメディア業界が未成熟な点は、 まだ メ カでもFacebookは単純にTwitterと同じよ に自
リ う
しっかり音頭がとれていないという とです。
こ 当然、企 社サイ に誘導するためのフィード して使っているケ
ト と
業の方々も戸惑い、いたずらにページビューを水増し ースも多々あ ますから、
り Facebook ページ自体をどう
したり効果を大げさにして混乱を助長している ころが
と 使うべきかは工夫次第ですね。
あ ます。 り 業界や利用者も巻き込んで一緒に考
り やは 、 Facebookのすごさは、
「いいね ボタ をあらゆる
！」 ン
えていかないと、産業として成り立たないかもしれませ ページに貼れる と それによ
こ で、 り利用者が「いいね！」
んね。 ボタンを押したという情報が他の利用者に可視化され
藤田 みんなで力を合わせて流れを作っていこ とい
う る点です。 Facebook ページをつ らな て 自社サイ
く く も、
う動きは見えていますか。 ト 「いいね ボタ を ま 実装して ま と同じこ
に ！」 ン う く し う とが
徳力 今、 最も進んでいるのは企業の担当者の方だ 起き こ です。
る と
と思います。業界標準をつ るのは大変ですから、 に
く と これまでも、 企業のホームページ上で利用者はア ク
か 自分のワーキン
く グプロセスの中でソーシャルメディ ティブに活動していたはずですが、 それは他人には一
アはどういう意味があるのか考え、行動で る仕組みを
き 切見えていません。しかし「いいね ボタ
！」 ンがつ と、
く 例
つ る と
く こ ですね。 えば、私がどこかのサイ で、
ト 何かの商品に興味を持っ
たという と 私の友人に自動的に広める とがで る
こ を、 こ き
活用の仕方は工夫次第
わけです。
藤田 Facebook が話題になっていますが、企業にと 藤田 しかも、 ポジティブに広が ますよね。
り
って自社ホームページでのブランディ グ
ン とFacebook 徳力 そうですね。現在 Facebook ページを作るべ
上でのユーザーを巻き込んだブラ ンディングではやり きかどうかという議論がよ されますが、
く 本質は自社の
方が違って る
く と思いますが、どう使い分けたほうがい 利用者の行動をいかに各ソーシャルメディアのタ ム イ
いので う
しょ か。 ラ ンに可視化してい かだ
イ く と思います。 それはTwitter
徳力 今、日本の利用者はFacebookを Ｎ と
Ｓ Ｓ して使 でもmixiでも良いわけですが、Facebookは無料で多
っているため、そこだけを見るとmixiと と
ほ んど一緒で 数の機能を活用で るので、
き その感覚を学ぶための入
すが、FacebookではFacebook ページというホーム り して有効だ
口と と感じています。
8
● AD STUDIES Vol.36 2011

6. 1
っていけば良いのか。みんなが幸せになる大きな手段
価値観の転換が急務
がで た
き と考えて良いのではないで う
しょ か。
徳力 ソーシャルメディアの活用をこれまでも真剣に 徳力 ソーシャルメディアをメディア してではな 、
と く
考えていた人であれば、Facebookで 今までやって
も、 利用者のリ ションの場所だと思っても う
アク ら とわかり
いたこ をやるだけだ
と と思いますよ。 ミコ ュニティが違う やすいと思います。 社会で起こっている問題はほぼ全
のでやることはちょっと変わ ますが、
り Twitterの使い てソーシャルメディア上で も起こ し う。
るで ょ ただ一方で、
方がうまければ Facebook ページも使いこなせるはず それに上手 対処する とがで る技術も開発されてい
く こ き
です。アプリ等、手法の選択肢や設定もあ ますから
り きます。Facebookの創業者であるマーク・ザッカー
複雑なのは事実ですが、 ンプルにTwitter的に使い
シ バーグは、 実名イ ターネッ
ン トの未来を信じてお 、
り ソ
始めればそんなに難し ないのではないで う
く しょ か。 ーシャルメディア上の発言は全て公衆の面前での発
個人的にFacebookに期待するのは、機能面よ も
り日 言と考えるべきだという趣旨のこ を何度も言っていま
と
本におけるソーシャルメディ ア利用者の底上げです。 す。ただ、匿名イ ターネッ になれた人が、
ン ト その思想
特に実名と う
い 特徴に必要性を感じて、 大企業のビジネ を理解せずにFacebookを使う と る ラブル
こ によ ト という
スマンの方々がソーシャルメ アの魅力に触れて れ
ディ く のも今後増えるで う。
しょ
る 、
と 日本におけるソーシャルメ ア活動が底上げされ、
ディ 藤田 今後、 いう事例を積み重ねて学習し、
そう 利用
イ フ になる可能性が出て た い 感 し
ン ラ き と う じは ます。 者が運用のルールやマナーをつ り
く あげてい こ も大
くと
藤田 特に企業のマーケティ ング視点からみて、 実 切になって ますね。
き
名であることによって変わっていく部分、 し は新し
も く 徳力 インターネットは安全で自分だけのクローズ ド
い可能性という と
こ ではどう こ
いう とが考えられますか。 な世界だとは思わず、 いつも社会とのつながりを意識
徳力 企業からする 実名になった瞬間に顧客デ
と、 する とが必要です。
こ
ータベースでひも付けられるため、発言の重みが変わ 藤田 そうした課題が全部ク アされた後にどんな世
リ
って るはずです。
く 今まではペンネームだったため、ネ 界が待っているとお考えですか。
ット上の発言はオタクでよ わからないやつの発言だか
く 徳力 ボ ムアップの力が大き なるのではないでしょ
ト く
ら無視して良いというのが経営層のイメージだったと う それは良いこ で あ
か。 と も り悪いこ で あ ますから、
と も り
思いますが、実名になった瞬間、この人はうちの会社 僕ら自身の活動次第だと思います。 デマを広げる人が
に何万円落としている人だというのがわかった 、 レ
り ク 多ければデマは広がる 良い情報を広げよ と努力
し、 う
ームをつけてきた人が優良顧客だったという とにな
こ する人が多ければそのよ な社会にな ますから、
う り みん
れば、対応が全く変わるはずです。 なで努力してい こ
く とが大切です。例えば、今の日本の
藤田 ラ フ イムバリューを重視する企業、
イ タ 特に高 トップダウンの行政が駄目だと思うのであれば、僕らは
額商品を取り扱っている う
よ な企業が顧客データベー 今、このボ ムアップのエネルギーによって、
ト 現状を変
スと結び付けると有効ですね。 えるチャンスを手に してお 、
り その力を最大化でき る未
徳力 そうですね。一人ひと の顧客と
り してみる とが
こ 来が来ている と信じてがんばる しかないという感じです
重要だと思います。 従来のマスマーケティングでは、 ね。
いわゆる2：8の法則が軽視されがちでした。２割のリ 藤田 逆に ップの人もそう
ト いう変化を意識しないとい
ピート客が８割の収益を もたらしているのに、８割の新 けませんね。
規顧客を るためにクーポンなどを配るなどはその最
と 徳力 今後は、 ト
ボ ムアップの力を ま
う く使えるリーダ
たるものです。本来は ピート く
リ して れる人をケアしない ーが求められるで う 企業で 対話を
しょ し、 も、 しながらボ
といけないはずです。数だけを見ているかぎ り有効な トムアップの力をエネルギーにかえていく とができ
こ る
マーケティ グはで ないという と
ン き こ です。 かどうかが問われています。従来のやり方に慣れてい
藤田 コ ュニケーショ
ミ ンの質や深さの重要性という る方々からする まったく価値観が 180度違うので
と、
こ ですね。
と 戸惑う と
こ は多いかもしれませんが、 けっこ お しろい
う も
徳力 一人ひと りが誰かというのが見えて る フォ
く と、 時代になるのではないで う
しょ か。
ロワーやファンが単なる顔の見えないターゲッ トでは 藤田 最後に緊急テーマと してどんな研究課題があ
な 、
く この人たちが自分の会社のファン して支援して
と るかお聞かせください。
くれていると見えますから、当然、効果の測定も変わっ 徳力 企業に関していえば、 多分、 リューム的な効
ボ
て るはずです。
く 果測定はい らで で ますから、
く も き 量ではな 質の深さ
く を
どう測ってい かが重要な課題になって る
く く と思います。
ソーシャルメディアはアクションの場
藤田 大変役に立つお話でした。 り う
あ がと ございまし
藤田 今後、社会がソーシャルメディアにどう向き合 た。
AD STUDIES Vol.36 2011 ●
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