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精神症状の理解とアセスメント⑥

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精神症状を表す医学用語は350以上あると言われています。その中から看護でもよく使われる用語を、MSEに基づいて整理してみました。
(院内学習会のスライドを修正したものです)

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精神症状の理解とアセスメント⑥

  1. 1. 精神症状の理解とアセスメント⑥ ~MSEから捉える精神症状(意識/認識)~ 医療法人社団正心会 岡本病院 精神看護専門看護師 相澤加奈
  2. 2. 外 観 言語活動 行動の変化 異常行為 感 情 知 覚 思 考 知識と知能 認 識 意 識 自我意識 自我機能 意志・欲動 MSEの枠組み 精神症状を観察するためのポイント
  3. 3. 意 識 外部からの刺激に注意をはらい、それに適切に反応 し、現実に生じていることを理解したり心の中で起 きていることに気づいている 頭がすっきりして いるかどうか 周囲の出来事がはっきり と分かるかどうか 覚醒度 注意の及ぶ範囲
  4. 4. 覚醒度 意識混濁 意識が清明でない状態 清明 • すっきり覚醒している 昏蒙 • 無関心で自発性に乏しく注意散漫、了解不良 傾眠 • 刺激(声かけ)で反応する 嗜眠 • 強い刺激(体を揺り動かす)で反応する 昏眠 • 痛み刺激で反応する 昏睡 • 刺激には無反応
  5. 5. JCSによる意識障害の分類 Ⅰ 刺激しない でも 覚醒し ている状態 1.意識清明とはいえない (1) 2.見当識障害がある (2) 3.自分の名前・生年月日が言えない (3) Ⅱ 刺激すると 覚醒状態 刺激をやめる と眠り込む 1.呼びかけで容易に開眼する (10) 運動が出来、言葉も発するが間違いが多い 2.簡単な命令に応じる (20) 3.呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する (30) Ⅲ 刺激をして も覚醒しな い状態 1.痛み刺激に対し払いのけるような動作をする (100) 2.痛み刺激に対し少し手を動かしたり顔をしかめる (200) 3.痛み刺激に反応しない (300)
  6. 6. 意識変容 比較的軽い意識混濁に多彩な精神刺激 症状が加わった意識障害 せん妄 軽度~中等度の意識混濁 活発な幻覚・妄想、不安、不穏 作業せん妄 せん妄時に日常の慣習的な動作 を行う(着衣や寝具をまさぐ る動作をする、主婦が掃除の 仕草をするなど) 振戦せん妄 アルコール症の離脱にみられる 全身の粗大な振戦、不眠、発汗・ 頻脈などの自律神経症状、小動物 や虫の幻視などが特徴
  7. 7. アメンチア 軽い意識混濁 思考錯乱と周囲の状況が理解 できないために起こる困惑 産褥性精神病でみられることが多い もうろう 意識の範囲が突然狭窄し 回復する 健忘を残す ex.てんかんのもうろう状態 錯 乱 意識混濁を背景に、見当識や記憶が低下し、 思路が乱れまとまりに欠いた状態
  8. 8. ある対象に心的エネルギーを向けること 注意散漫 注意減退 意識障害 躁状態 疲 労 注意過多 注意と集中力 が亢進した、 精神警報状態 覚せい剤などの 薬物中毒 統合失調症の初期 注 意
  9. 9. 転導性 注意が次々に新しい対象にそれていくこと まとまった作業ができるか 話や行動が次から次へと飛ぶ 躁と軽躁を見極める ポイントとなる 選択的注意 次の行動を起こすために、外界の刺激から 意味のあるものを抽出すること 統合失調症患者は適切な刺激に焦 点を合わせることができず、無関 係な刺激に干渉を受けやすい
  10. 10. 見当識 自分:名前、年齢、生年月日 時:自分は今いつごろにいるのだろうか 場所:自分は今どこにいるのだろうか 「自分は今このような状態にあるのだろう」と識別する能力
  11. 11. 見当識の獲得と喪失 見当識の獲得 人 場 所 時 間 見当識の喪失 時 間 場 所 人 認知症の見当識障害は発達と逆の順番で起こる
  12. 12. “何か変だ” 意識障害が隠れているかも 軽い意識障害のサイン ひょっとして、せん妄? 話のまとまりが悪い 話がまわりくどい 話題がとびやすく注意がそれる 単語の取り違い 不注意が目立つ 話を遮ってしゃべる 妙に明るく 深刻味がない 不機嫌で怒りっぽい 何もせずぼんやりしている 状況にふさわしくない 感情反応を示す
  13. 13. せん妄の特徴① 主に、意識、注意、認知、知覚が障害される病態 意識障害 注意障害 認知機能障害 知覚障害 昏睡には至らない が、ぼんやりとし た寝ぼけや夢うつ つのような状態 一つの刺激に対し て注意を集中・維 持し続けたり、周 囲の雑音や物の動 きなど多彩な刺激 に対して意図的・ 選択的に反応でき ない状態 記憶や見当識、会 話・言語の障害が みられる 錯覚や幻覚、誤解 などの症状がみら れる 確信を持っており それにともなう情 動反応がみられる
  14. 14. せん妄の特徴② 睡眠、精神運動活動、情動が障 害される場合もある 障害は短期間(数時間~数日)で出現し、一日のうちで変動する 傾向がある 急に症状があらわれる 元の状態に戻すことができる (可逆性である) 認知症やうつ病と間違われやすいので 特徴をしっかりおさえる
  15. 15. せん妄/認知症/うつ病 せん妄 認知症 うつ病 発生の様式 急激に発症 徐々に発症 比較的急性的に 発 症 初発症状 記憶障害 意識障害 注意集中困難 睡眠障害 抑うつ 妄想 症状の持続 進行性で緩徐 (年単位) 動揺性で急激 (数時間~数週間) やや長い経過 日内変動 夕方から夜間に かけてが多い 変動なし 朝方に症状が強い 覚醒水準 変動する 正 常 正 常 睡眠・覚醒リズム 日中傾眠 夜間不眠 アルツハイマー :障害されにくい 血管性 :睡眠の分断 早朝覚醒 中途覚醒 入眠困難 回 復 可逆性 不可逆性 治療で改善するが 遷延化しやすい
  16. 16. せん妄の要因 認知症、高 齢 脳血管性疾患の既往 せん妄 直接因子 脳神経障害 呼吸/循環障害 感染、腫瘍、甲状腺機能異常 手術侵襲 代謝異常 薬剤 促進因子 心理的ストレス 感覚遮断または過剰 環境の変化 ベッド上安静による不動化 素 因
  17. 17. せん妄のタイプ 過活動型 低活動型 混合型 興奮、幻覚 妄想、不眠 など 無表情、無気力 傾眠 など 過活動型と低活動 型の特徴が混在し ている 夜間徘徊、転倒、点 滴抜去などがあり、 症状がコントロール 出来ないときは抑制 が必要なことがある 意識障害、内的不穏は 持続している うつ病や不眠症と間違 われやすい
  18. 18. せん妄のケア① 声かけ、タッチング ゆっくりとした速さ・落ち着いたトーンの口調、優しく身体に触れる せん妄の際、患者の意識がどのくらい障害されて いるかを調べる基本手技は、刺激を与えてそれに 対する反応をみることである。その代表的なもの が、名前を呼ぶことと痛みを与えることである。 医療の現場では当たり前の手技であるが、きわめ て示唆に富んでいる。つまり人が我に返るために 重要なのは、一つは他者からの呼びかけであり、 今一つが痛覚刺激である。また、ケアという観点 に立てば、患者に現実感覚を取り戻してもらうに は、家族や看護にあたるものが身体に触れてあげ るとよい。つまり触覚刺激である。
  19. 19. せん妄のケア② 原因の除去 苦痛の緩和:鎮痛 安静度の緩和 カテーテル類の抜去 不安の解消:家族の面会のセッティング 今の現状と今後の見通しについて情報提供 鎮静剤や睡眠導入剤の 投与量・時間の調節
  20. 20. せん妄のケア③ 安全を守る 転倒・転落の予防 :ナースコールは手の届くところに ベッド周囲の整理・整頓 ベッド柵を必ず上げる、ベッドの高さを調節 医療者の目の届くところにベッド移動 離床センサーの設置 医療機器のコードを整理、床は濡れたままにしない ドレーン、ライン類の自己抜去予防 :固定状況を適宜観察 点滴ボトル、ドレーン、ラインは視界に入らないように 可能な限り早期の抜去 身体拘束は最後の手段 ⇒せん妄の促進要因になるため、解除の基準を必ず設ける
  21. 21. せん妄のケア④ 環境調整 感覚遮断を減らす :視力障害、聴力障害の有無を入院時から情報収集しておく 眼鏡や補聴器がある場合は忘れずに使用してもらう ベッドアップを積極的に行い、患者自身が周囲を確認できるよう にする 睡眠環境を整える(概日リズムの維持) :昼間は太陽光を取り入れ、夜間は照明を落とす(好みの明るさ) できる限り医療機器の音量を落とす 夜間の処置は最低限にする 面会環境を整える :家族の面会制限はせず、 できるだけ要望を取り入れる
  22. 22. せん妄のケア⑤ 現実適応を助ける 見当識の保持 :カレンダーや時計を患者が見やすい場所に配置する 会話の中でさりげなく、見当識を確認していく 「今日は〇月△日ですね」「ここは病院ですが~」 ※「今日は何日ですか?」「ここはどこですか?」という質問は 見当識があいまいな患者さんにとって大きな不安になる 人物などの誤認はそのままにしない 訂正するときはゆっくりと優しい口調で、患者の自尊心を考慮する テレビやラジオをつけ、 状況認識や時間感覚を保持する
  23. 23. せん妄のケア⑥ 注意したい言葉がけ、介入 過活動型の 興 奮 行動の背景を考える 低活動型の 無気力 傾眠 様々なストレスによって心身が 疲労困憊した状態と考える 「日中は起きていま しょうね」と強制的 に覚醒を促す 患者の好きなことを取り入れながら 少しづつ覚醒の時間を延ばす 「動かないでくだ さい」と一方的に 指示や指導をする 患者の要望や苦痛をまず汲み取る ある程度は行動を許容する
  24. 24. せん妄の薬物療法 夜間の睡眠確保と興奮抑制 〈経口摂取が可能〉 リスパダール(0.5~2.0mg) セロクエル(25~100mg) 〈経口摂取が不可〉 セレネース(1~3A)DIV ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬は、せん妄の 増悪・脱抑制をきたすことがあるので少量から開始する 日本総合病院精神医学会治療指針より

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