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GISA学術研究発表Web大会 (2013年12月1日~)

商圏の何が小さくなったのか?
「人の流れデータ」から見た小商圏下の買物行動
鈴木英之

関本義秀

1.背景と目的
2.小商圏とは
3.方法
4.結果と考察
5.まとめ
1
1 背景と目的

【背景】
● 小商圏の状況や経時的変化について、これまで詳しく調べられてい
ない。
→ 「小商圏に関するこれまでの調査」 P3・4
● 「小商圏(化)」の語には幾つかの異なる含意があるようだ。
1 業況感、小売構造の変化(業態...
2-1 小商圏に関するこれまでの調査

事業者による小商圏の認識

東京都商店街実態調査(商圏の広さに対する商店街の回答)

東京都小売業基本実態調査(商圏範囲に対する事業者の回答)

商圏縮小傾向が明確に確認できる訳ではない。また、これらの調...
2-1 小商圏に関するこれまでの調査

事業者による小商圏化の認識

東京都商店街実態調査(2,3年前と比べて商圏の広さ)

東京都小売業基本実態調査(商圏の動向)

少なからぬ割合の小売事業者は、常に商圏縮小化の認識を持っている。しかし、そも...
2-2 小商圏の3類型

小商圏(化)が語られる文脈
対象事業者
①商業集積の小商圏

百貨店、商店街等、
GMS
(衰退期)

そこで語られる「小商圏」
・都心部の集客力低下

買いまわり行動調査等
・「商圏が小さくなった」比率

小売実態調...
2-2 小商圏の3類型

小商圏(化)が語られる文脈(つづき1)
その含み
①商業 既存店舗の不振化(新旧交代)
集積の 百→GMS
商店街、GMS、旧SC→SC
小商圏 距離抵抗の低下(都市の郊外化・ロードサイド
型専門店やRSC展開)、車社...
2-2 小商圏の3類型

小商圏(化)が語られる文脈(つづき2)
これまでの調査や分析

問題点・課題

①商業 小売事業者対象調査
集積の 商店街来街者調査
小商圏

網羅性や連続性の面で資料が不十分

②出店 商業統計用いた立地分析
飽和の...
3.分析方法

小商圏の3類型

主な分析内容

①商業集積の小商圏 商業集積別集客距離の集計 【人の流れデータ使用】
・買物目的地別に買物トリップの中央値をその商圏の「商圏距
離」として、小商圏の程度を確認する。
・商圏距離を経時比較し、小商...
4-1 結果と考察 商業集積の小商圏

「買い物」目的トリップの目的地別集計

商圏別商圏距離(小商圏の程度)

都心部(山の手線内):広域商圏

近郊(16号線内):近隣商圏

9
辺縁(16号線外):広域
4-1 結果と考察 商業集積の小商圏

「買い物」トリップの移動距離の変化を集計

商圏距離の縮小(小商圏化の進行)

10
1988~2008の商圏距離の変化 山手線内は一部除き距離縮小 郊外はSCによる拡大効果
4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏
一店舗当たり商圏人口

商圏人口(小商圏の程度)

一都六県内のドラッグストアチェーン一店
あたりの商圏人口の推移

赤(ボロノイ商圏人口小) 緑(ボロノイ商圏人口大)
左図 小商圏(オーバーストア)化状況...
4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏

一店舗当たり商圏人口の年次変化を集計

商圏人口の減少数(小商圏化の進行)

(赤は大きく減少、緑は小さく減少)。 この期間、山手線外縁や横浜市街地等、業種店から
12
DgS業態店への移行が激しい特定地...
4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏

一店舗当たり商圏人口

各社の出店立地の推移(商圏人口と商圏距離)

買物トリップ
商圏距離(m)

出店時期を
Ⅰ 1995年以前
Ⅱ 1995~2005年
Ⅲ 2005年以降
の3期に分けて、出
店当...
4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏
各社の出店立地の推移(商業性と駅距離)

最近隣駅まで
の距離(m)

Ⅰ 1995年以前
Ⅱ 1995~2005年
Ⅲ 2005年以降

商業統計小売販売額(万円)
出店戦略は様々 (郊外型から近郊型への...
4-3 結果と考察 買物行動の小商圏
年齢帯別外出率

「パーソントリップ調査からみた東京都市圏の都市交通に関する課題と対応の方向性」 東京都市圏交通計画協議会

15
郊外化、自家用車保有の増加、アクティブシニアの増加は、小商圏化に逆行するの...
4-3 結果と考察 買物行動の小商圏

居住地別高齢者の買物トリップ中央値

トリップ中央値の変化率(小商圏化の進行)

(緑・黄は伸長、赤・橙は減少)。 都心部を中心に高齢者の買物は大商圏化!している。16
4-3 結果と考察 買物行動の小商圏
年齢帯別買物トリップ中央値

郊外部(マストラ比率小)

都心部(マストラ比率大)

都心部・郊外部ともに全ての年代で、買物トリップは伸長している。ただし、年齢効果はかなり
大きいため、今後は年齢構成の効果...
5.まとめ

まとめ
・本報では、小商圏を3つの観点で把握しようと試みた。
①商業集積の小商圏:商圏距離は、都心部において小さくなっている。
近郊部、郊外部では、商業集積間の広域競争による、盛衰がみられる。
②出店飽和の小商圏:ドラッグストアチ...
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商圏の何が小さくなったのか? 人の流れデータから見た小商圏下の買物行動

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商圏の何が小さくなったのか?
人の流れデータから見た小商圏下の買物行動

GISA学術研究発表Web大会2013

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商圏の何が小さくなったのか? 人の流れデータから見た小商圏下の買物行動

  1. 1. GISA学術研究発表Web大会 (2013年12月1日~) 商圏の何が小さくなったのか? 「人の流れデータ」から見た小商圏下の買物行動 鈴木英之 関本義秀 1.背景と目的 2.小商圏とは 3.方法 4.結果と考察 5.まとめ 1
  2. 2. 1 背景と目的 【背景】 ● 小商圏の状況や経時的変化について、これまで詳しく調べられてい ない。 → 「小商圏に関するこれまでの調査」 P3・4 ● 「小商圏(化)」の語には幾つかの異なる含意があるようだ。 1 業況感、小売構造の変化(業態ライフサイクル) →商業集積の小商圏 2 成長業態の飽和化(オーバーストア) →出店飽和の小商圏 3 消費者の生活行動変化(女性の就業化、高齢化、消費不況) →買物行動の小商圏 → 「小商圏の3類型」 P5~7 【目的】 ● 「人の流れデータ」で、小商圏状況を捉える。 ● 同種のデータを用いて行った分析の限界と留意点を確認する。 2
  3. 3. 2-1 小商圏に関するこれまでの調査 事業者による小商圏の認識 東京都商店街実態調査(商圏の広さに対する商店街の回答) 東京都小売業基本実態調査(商圏範囲に対する事業者の回答) 商圏縮小傾向が明確に確認できる訳ではない。また、これらの調査の意図も商業活動の空間 3 的な把握というより、単なる業況確認といった意味のようにも思われる。
  4. 4. 2-1 小商圏に関するこれまでの調査 事業者による小商圏化の認識 東京都商店街実態調査(2,3年前と比べて商圏の広さ) 東京都小売業基本実態調査(商圏の動向) 少なからぬ割合の小売事業者は、常に商圏縮小化の認識を持っている。しかし、そもそもそれ 4 は正しい認識なのか。 人の流れデータを用いれば、客観的に把握出来るのではないだろうか。
  5. 5. 2-2 小商圏の3類型 小商圏(化)が語られる文脈 対象事業者 ①商業集積の小商圏 百貨店、商店街等、 GMS (衰退期) そこで語られる「小商圏」 ・都心部の集客力低下 買いまわり行動調査等 ・「商圏が小さくなった」比率 小売実態調査等 ②出店飽和の小商圏 ③買物行動の小商圏 CVS HC DgS等の業 態チェーン店 (成熟期) ・一店あたり商圏人口の減少 ミニスーパー、駅ナカ フォーマット等の都市 型小型店舗 (導入期) ・都市型フードデザート 業界誌論評、業界名鑑 岩間2011 先行研究等を参考に、小商圏の意味を3類型化した。業態と業種によって、捉え方は異なる。 5 また、ポジティブに捉える向きとネガティブに捉える向きの両方がある。
  6. 6. 2-2 小商圏の3類型 小商圏(化)が語られる文脈(つづき1) その含み ①商業 既存店舗の不振化(新旧交代) 集積の 百→GMS 商店街、GMS、旧SC→SC 小商圏 距離抵抗の低下(都市の郊外化・ロードサイド 型専門店やRSC展開)、車社会の小商圏化 (大商圏化?) 関連論点 商業集積間競争、構造的 不況業態化、大型店調整 問題、業態ライフサイクル論 ②出店 業態チェーン店(CVS HC DgS等)の出店飽和、 規制緩和、業態化による新 飽和の 出店余地の減少 市場創出、餌食市場の枯 小商圏 オーバーストア化を背景に足元狭小エリアの客 渇、大手の寡占化 層拡大 ③買物 生活行動の変化対応(新たなニーズ) 行動の マスマーケティングからマイクロマーケへ 小商圏 生活者の新たな時空間的制約による小商圏 人口動態の変化(高齢化、 女性就業化)、モザイク化、 フードデザート、OtoO送客 3つの小商圏は、エリアマーケティングや商業集積研究の様々な論点との関わりの中で、論じら 6 れてきた。
  7. 7. 2-2 小商圏の3類型 小商圏(化)が語られる文脈(つづき2) これまでの調査や分析 問題点・課題 ①商業 小売事業者対象調査 集積の 商店街来街者調査 小商圏 網羅性や連続性の面で資料が不十分 ②出店 商業統計用いた立地分析 飽和の 店舗あたり人口比較(広域自 小商圏 治体単位) また業種別や県別など集計単位が粗い ③買物 フードデザートマップ 行動の 時間地理学、時空間プリズム 小商圏 手法 やはり、計量把握の必要があるだろう。 そのため中長期的な変化が捉えにくい 消費者の購買行動の変化が見えない → どうやら ・業種で異なる ・店舗開発とMDで小商圏の意味が異なる ・本部と店舗で「小商圏」の捉え方が異なる 可能性あり 7
  8. 8. 3.分析方法 小商圏の3類型 主な分析内容 ①商業集積の小商圏 商業集積別集客距離の集計 【人の流れデータ使用】 ・買物目的地別に買物トリップの中央値をその商圏の「商圏距 離」として、小商圏の程度を確認する。 ・商圏距離を経時比較し、小商圏化の進行程度を確認する。 ②出店飽和の小商圏 一店舗当たり人口の集計 【店舗位置データ使用】 ・観察対象としてドラッグストアチェーン店を採り上げる。 ・一店あたりのボロノイ商圏人口を年次別に比較する。 ・商業集積の小商圏と比較する。そして、チェーン各社の出店 傾向が小商圏化からどのような影響を受けたのか考察する。 ③買物行動の小商圏 生活者の買物行動の変化として、高齢化による生活行動範 囲の縮小を採り上げる。 【人の流れデータ使用】 ・活動的な高齢者の増加や都市圏域の郊外化によるトリップ の増加、トリップ長の伸長は、小商圏化と逆行しているのか、 確認する。 小商圏の3つの観点それぞれから分析を行う 8
  9. 9. 4-1 結果と考察 商業集積の小商圏 「買い物」目的トリップの目的地別集計 商圏別商圏距離(小商圏の程度) 都心部(山の手線内):広域商圏 近郊(16号線内):近隣商圏 9 辺縁(16号線外):広域
  10. 10. 4-1 結果と考察 商業集積の小商圏 「買い物」トリップの移動距離の変化を集計 商圏距離の縮小(小商圏化の進行) 10 1988~2008の商圏距離の変化 山手線内は一部除き距離縮小 郊外はSCによる拡大効果
  11. 11. 4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏 一店舗当たり商圏人口 商圏人口(小商圏の程度) 一都六県内のドラッグストアチェーン一店 あたりの商圏人口の推移 赤(ボロノイ商圏人口小) 緑(ボロノイ商圏人口大) 左図 小商圏(オーバーストア)化状況は2006年迄は、大きく変化。 その後、横這い。 右図 オーバーストア化の進展は、地域でムラがある。 11
  12. 12. 4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏 一店舗当たり商圏人口の年次変化を集計 商圏人口の減少数(小商圏化の進行) (赤は大きく減少、緑は小さく減少)。 この期間、山手線外縁や横浜市街地等、業種店から 12 DgS業態店への移行が激しい特定地区が観察出来る。 またP10の分布とは異なる。
  13. 13. 4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏 一店舗当たり商圏人口 各社の出店立地の推移(商圏人口と商圏距離) 買物トリップ 商圏距離(m) 出店時期を Ⅰ 1995年以前 Ⅱ 1995~2005年 Ⅲ 2005年以降 の3期に分けて、出 店当時の商圏状況 を捉えた ボロノイ商圏内人口(人) 商圏人口が年々減少(=出店余地の減少)する中、各社それぞれのやり方で、商圏距離の大き 13 い(郊外or都心)勝ち組立地を目指したものと考えられる。
  14. 14. 4-2 結果と考察 出店飽和の小商圏 各社の出店立地の推移(商業性と駅距離) 最近隣駅まで の距離(m) Ⅰ 1995年以前 Ⅱ 1995~2005年 Ⅲ 2005年以降 商業統計小売販売額(万円) 出店戦略は様々 (郊外型から近郊型への動き 近郊型から繁華街型への動き 繁華街型か 14 ら近郊型への動き)。 またマルチフォーマット(立地多様化)戦略も。
  15. 15. 4-3 結果と考察 買物行動の小商圏 年齢帯別外出率 「パーソントリップ調査からみた東京都市圏の都市交通に関する課題と対応の方向性」 東京都市圏交通計画協議会 15 郊外化、自家用車保有の増加、アクティブシニアの増加は、小商圏化に逆行するのだろうか?
  16. 16. 4-3 結果と考察 買物行動の小商圏 居住地別高齢者の買物トリップ中央値 トリップ中央値の変化率(小商圏化の進行) (緑・黄は伸長、赤・橙は減少)。 都心部を中心に高齢者の買物は大商圏化!している。16
  17. 17. 4-3 結果と考察 買物行動の小商圏 年齢帯別買物トリップ中央値 郊外部(マストラ比率小) 都心部(マストラ比率大) 都心部・郊外部ともに全ての年代で、買物トリップは伸長している。ただし、年齢効果はかなり 大きいため、今後は年齢構成の効果によって、買物行動の小商圏化が進行する地区も少なく 17 ないものと思われる。
  18. 18. 5.まとめ まとめ ・本報では、小商圏を3つの観点で把握しようと試みた。 ①商業集積の小商圏:商圏距離は、都心部において小さくなっている。 近郊部、郊外部では、商業集積間の広域競争による、盛衰がみられる。 ②出店飽和の小商圏:ドラッグストアチェーンのオーバーストア化は、概 ね2006年までに顕著に進行した。目視確認では、「①の小商圏」の分 布とは似ていない。各社の出店戦略は、①と②の小商圏との関連にお いて合理的に解釈できる。 ③買物行動の小商圏:高齢化による小商圏化は、年齢効果という意味 においては確認できるが、時代効果による大商圏化がそれを凌駕する。 とりわけ都心部高齢者の大商圏化は、郊外化によるモータリゼーション では説明できないシニアのアクティブ化を示唆するものかもしれない。 ・また同種の分析における限界と課題として、近隣商店街や個店に対す る分析には、調査・実験データとのデータ融合やシミュレーション等、新 たな工夫が必要だろう。 18

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