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『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』第16号(2016年9月)
- 2. LRG Library Resource Guide
ライブラリー・リソース・ガイド
第16号/2016年 夏号
発行/アカデミック・リソース・ガイド株式会社
イベントレポート 情報メディア学会シンポジウム
障害者差別解消法の施行と公共図書館のこれから [伊達 文]
マガジン航Pick Up Vol.5
本屋とデモクラシー [仲俣暁生]
猪谷千香の図書館エスノグラフィ
市民とともにつくる公設民営の瀬戸内市民図書館 [猪谷千香]
連載 図書館資料の選び方・私論 ∼その3∼
図書館政策、地域政策としての蔵書構成 [嶋田学]
司書名鑑 NO.12
小嶋智美(インディペンデント・ライブラリアン)
特別寄稿 加藤 学
認知症の人にやさしいまちづくりと図書館
特別寄稿 加藤 学
認知症の人にやさしいまちづくりと図書館
特集 ふじたまさえ
都道府県 行政情報センター 調査2016
特集 ふじたまさえ
都道府県 行政情報センター 調査2016
- 5. LRG CONTENTS
Library Resource Guide
ライブラリー・リソース・ガイド 第16号/2016年 夏号
巻頭言
LRGの4期目を終えて[岡本真]
特別寄稿
認知症の人にやさしいまちづくりと図書館[加藤 学]
イベントレポート 情報メディア学会シンポジウム
障害者差別解消法の施行と公共図書館のこれから[伊達 文]
特集
都道府県 行政情報センター 調査2016[ふじたまさえ]
マガジン航 Pick Up Vol.5
本屋とデモクラシー[仲俣暁生]
猪谷千香の図書館エスノグラフィ
市民とともにつくる公設民営の瀬戸内市民図書館[猪谷千香]
連載 図書館資料の選び方・私論 ∼その3∼
図書館政策、地域政策としての蔵書構成[嶋田学]
司書名鑑 No.12
小嶋智美(インディペンデント・ライブラリアン)
アカデミック・リソース・ガイド株式会社 業務実績 定期報告
定期購読・バックナンバーのご案内
次号予告
…………………………………………………………… 002
………………………………… 005
…………………… 053
……………………………… 057
……………………………………………………………… 108
…………………… 114
…………………………………… 120
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……………………………………… 142
…………………………………………………………………… 150
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- 11. 010
認知症の人にやさしいまちづくりと図書館
ライブラリー・リソース・ガイド 2016年/夏号
調査概要
お住いの地域は、認知症の人にとって住み良い所ですか。
【 調 査 目 的 】
【調 査 対 象 者】
【送付及び回収状況】
【 調 査 期 間 】
認知症の人が地域で生活するうえで、どのようなことに困っているか、また、どのよう
なことが妨げとなっているかを把握し、これからの住み良いまちづくりに反映させること。
認知症の方ご本人(ご家族等が認知症の方に聞きながら記入することは可能)
認知症フレンドシップクラブの事務局や家族の会、グループホームなど22 機関・団体
に向け、計1,350 通を配布。回収数は 292(全配布数に対し21.6%の回収)
2014 年10月∼ 12月
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ「認知症の人にやさしいまちづくり
ガイド」(平成26年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業、認知症の人にやさしいまちづくりの推進に関する調査研究事業)
認知症になることで、
外出や交流の機会が減っています。
(「回数や頻度が減った」、「活動をやめた」と答えた人の割合)
活動や交流の減少には、
理由があります。
(認知症の人が日常生活のなかで困っていること)
(「困っている」、「活動の妨げとなっている」と答えた人の割合)
「買い物」に行く機会が
減った
67.8%
「電車やバスなどの利用」
が減った
67.8%
「外食に行く」
機会が減った
60.1%
「友人や知人と会う」
機会が減った
69.2%
駅構内で迷ったり、
適切なバス停を探すのが難しい
50.7%
ATM の操作が
難しい
43.5%
券売機や自動改札など
機械操作が難しい
49.7%
電話や携帯、メールなどの
通信機器を使うことが難しい
43.5%
お住まいの地域が、「認知症の人にとって住み良い所である」と回答したのは全体の39.3%でした。
しかし、「地域とのつながりのある日常生活を送っている」人だと、その割合は63.2%にまで上がります。
- 37. 036
認知症の人にやさしいまちづくりと図書館
ライブラリー・リソース・ガイド 2016年/夏号
プリマス中央図書館の認知症コーナーを視察
一行はイギリスのロンドンとプリマスを訪問。認知症へのさまざまな取り組み
を見聞きする中で特に目を引いたのは、プリマス中央図書館での取り組みであっ
たという。プリマスではDAA(Demantia Acction Arraiance)というネットワー
クがあり、図書館、大学、海軍基地、クリニック、バス会社、介護施設、学校、
非営利団体、弁護士などさまざまなセクターが「認知症にやさしい」というキー
ワードで独自に活動を行っていた。その中の一つとして紹介されたプリマス中央
図書館では、認知症に関する読書会の開催と、認知症に関する企画展示が行われ
ていると聞き、実際に図書館に見学に出向いたそうである。
「図書館の中に認知症コーナーがあり、強い興味を持ちました。図書館の方に
うかがったところ、病院で認知症と診断を受けた方が、そこで初めて認知症と向
き合うことになり、書店や図書館に行くなりして、どうにか知識を得ようとして
も、正しい情報に行きつかない可能性があると。そこで、図書館が企画展示とい
うかたちで認知症についての情報を発信しているそうなのです。読書会という形
式は、日本ではあまり馴染まないかもしれませんが、認知症に関する情報提供で
あれば、日本でもできるのではないかとの思いを持ち、帰国をしました。2013
年のことです」。
とはいえ、田中さんは普段から図書館と接点を持っているわけではなく、帰国
後、何か行動を起こそうと思っても、何もできないと思い、しばらくその想いは
封印していたそうである。
「地元の図書館に行って必要性を説いたとしても、どこまでその必要性を理解
してくれるだろうかと思って」。
この想いが日の目を見るのは、そこから約1年後、九州保健福祉大学で教鞭を
とる小川敬之先生との出会いからである。
「認知症にやさしい図書館プロジェクト」結成
「正直、認知症コーナーのことは少し忘れかけてしまっていたのです。ただ、
作業療法士の小川先生と出会った時に、大学であれば図書館もありますよねと。