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文化資源のデジタル化と 
その課題 
2014年9月6日 
C4ljp2014 
1 
福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
京都府立総合資料館
本日の構成 
0.自己紹介 
1.文化資源というとらえ方 
2.東寺百合文書のデジタル化 
3.デジタル化の諸課題 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
4.まとめ 
2
本日の概要 
• 概念の整理 
• 走りながら考えたデジタル化事業の紹介 
• 解決すべき課題は多数 
– 私が見えてないだけ、というものも 
• お知恵を拝借したい 
• 最終的に問題配置を少しでも俯瞰できるきっかけを 
– 多数あって整理しきれない+時間が足りない… 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
3
0.自己紹介 
・京都府立総合資料館庶務課新館担当 
歴史資料課行政文書担当兼務 
新館構想 
京都府行政文書(重要文化財)の管理・運営を担当 
→いわゆるArchivist 的な仕事+α 
・もとは日本近現代史専攻(!) 
非常勤講師/自治体史編纂 
・総合資料館職員2005年4月から 
任期付職員→ 社会人採用(学芸員試験) 
→詳しくはwebで 
http://researchmap.jp/fukusima-y/ 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
4
0.MLA複合館としての京都府立総合資料館 
• 1963年開館 
• 「京都に関する歴史・文化・産業・生活等の資料を 
総合的に収集・整理・保存・閲覧・展示し、 
府民の調査研究などの利用に供する」 
• 多数の図書資料・古文書・公文書・現物資料を所蔵 
国宝「東寺百合文書」(1997年指定、18642点) 
重要文化財「東寺観智院伝来文書典籍類」(1981年指定、57点) 
「京都府行政文書」(2002年指定、15407点) 
「革嶋家文書」(2003年指定、2459点) 
→京都の記憶を体系的に読み解ける研究拠点 
→都道府県立図書館の郷土資料室の巨大版 
→現在新施設建設中 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
5
京都府立総合資料館の軌跡 
開館現物資料の展示・図書資料の公開を開始(大英博物館をイメージ) 
行政文書の収集・ 
整理・公開業務を開始 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
6 
博物館機能M 図書館機能L 文書館機能A 
1963 
1972 
1988 
2001 
図書の半数を 
京都府立図書館に移管 
京都文化博物館開館 
現物資料関係業務を 
京都文化財団に委託 
2007 あり方検討委員会設置 
2016 
(予定) 新施設開設
現在の京都府立総合資料館 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
7 
▲京都府立総合資料館外観▲文書閲覧室▲古文書入門教室 
▲展示室▲行政文書保管庫▲東寺百合文書保管庫
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
文化資源の定義 
「ある時代の社会と文化を知るための手がかりとなる貴重な資料の総体」 
(文化資源学会設立趣意書(2002年6月12日採択)) 
「その時代をともに生きる人々が心豊かに生きるための精神的な共有財産としての「文化」 
をつくるための資源」 
(「文化資源の広域的活用に関する研究」2003年3月地方自治研究機構) 
→ 博物館・図書館・公文書館(MLA)等が対象とする資料全体 
街作りの素材という側面が強調→ 資料自体に寄せて考えたい 
8 
1.文化資源というとらえ方
1.文化資源というとらえ方 
~~ 
選ぶ? or 残ったものでよい? 
文化資源として 
新たに開拓されるべき部分 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
9 
「資 
源 
として残 
す 
」という 
意 
識 
古代近世近代戦後21世紀
1.文化資源というとらえ方 
「パッケージ化」された文化資源プレ文化資源 
・明確なカタマリを成している 
・メタデータが付与されている 
・明確なカタマリを成していない 
・メタデータが付与されていない 
ex.既に整理された 
書籍 
絵画 
仏像 
古文書など 
デジタル化の対象となってきた 
ex.未整理の 
紙の束 
書簡の固まり 
雑多なプリント 
ノートやメモなど 
整理には多くの作業が必要であり、 
現在のMLAの機能からもこぼれ落ちている 
デジタル化の対象になりにくい 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 10
1.文化資源というとらえ方 
• 世界では文化資源のデジタル化が近年急激に進行 
• Googleの各種プロジェクト 
現在はアートプロジェクトと 
歴史アーカイブ 
http://www.google.com/culturalinstitute/project/art-project?hl=ja 
http://www.google.com/culturalinstitute/project/historic-moments 
• ヨーロピアナhttp://www.europeana.eu/ 
Googleの動向に対応 
EUが運営。フランス・ドイツが中心 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
11
1.文化資源というとらえ方 
• 文化資源をめぐる日本の制度的動向(MとA) 
→公文書管理法施行(2011年4月) 
公文書等の適切な管理を求める/地方公共団体にも努力義務 
→学芸員資格の見直し(2012年4月) 
情報・メディア論/資料保存論/展示論/教育論を増設 
• 東日本大震災の衝撃 
→文化資源に対する大きな打撃 
→これまで関係者間でのみ議論されていた問題が可視化 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
12
2.東寺百合文書のデジタル化百合文 
書? 
• 東寺百合文書とは、京都市南区の教王護国寺(東寺)に伝えら 
れた文書群で、現在は京都府立総合資料館が所蔵 
• 「ひゃくごう」と呼びます 
• 近世前期に加賀藩が寄進した百あまりの合(蓋付きの箱)に入 
れられていたための呼び名 
• 奈良時代から江戸時代初期までのおよそ1000年間にわたる 
24,147通の文書 
• 巨大寺院であり広大な荘園をもつ領主であった東寺の運営に 
かかわる資料 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
13
2.東寺百合文書のデジタル化百合文 
書? 
• 北は茨城県から南は熊本県にわたって散らばる荘園 
• 庶民から時の権力者まで様々な階層の人々の息づかい 
を今に伝える 
• 日本中世史を研究する上で必須の文書史料群の一つ 
→つまり 
• 「東寺」の事務書類の集積 
• 多くは普段使いの紙に墨書 
• 個々は断片の情報/全体としてみるとより意味を持つ 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
2014/9/5 14
2.東寺百合文書のデジタル化ユネスコ記憶遺産への推薦 
・ユネスコ記憶遺産? 
世界遺産(古都京都、原爆ドームなど)の 
アーカイブ資料版現在301件 
・日本の記憶遺産 
山本作兵衛炭坑記録画・記録文書(2011年5月登録) 
御堂関白記(2013年6月登録) 
慶長遣欧使節関係資料(2013年6月登録) 
・候補 
東寺百合文書 
引き揚げの記憶(2015年5~8月審査予定) 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
15
2.東寺百合文書のデジタル化整理事業 
• 1967年東寺から購入/整理作業開始 
• 1967年第1次修理事業開始(~73年約9,000点) 
• 1976年目録第1巻刊行(~79年第5巻まで) 
• 1980年公開開始/全点マイクロ化開始 
• 1980年重要文化財指定 
• 1983年第2次修理事業開始(約1,000点) 
• 1997年国宝指定 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
16
2.東寺百合文書のデジタル化直前の状 
況 
• 全点のマイクロ撮影。当館やいくつかの大学に 
は写真帳あり 
• これまでこの文書群にアクセスする場合には、 
基本的にこの写真帳を利用 
• 利用については許諾が必要 
• 資料保存のため、原本の閲覧を制限せざるを得 
ず、展覧会も年1回の開催(合計28回) 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
17
2.東寺百合文書のデジタル化体制 
• デジタル化作業への対応 
– 当初は職員が行う 
– その後委託で実施 
• データベース構築チーム 
– 総括 
– 百合担当 
– 百合担当(システムに詳しい) 
– システム担当 
– 進行管理(役所と専門家とベンダーのあいだで) 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
18
2.東寺百合文書のデジタル化撮影作業 
• 2013年1月から2014年2月まで、全84,000カットのデジ 
タル化作業を行う 
• 当館職員の指示のもと、A2サイズのブックスキャナ3 
台とA1サイズのブックスキャナ1台で作業 
• その際、一紙一紙慎重に扱うのは当然として、墨がつ 
いていない(文字が書かれていない)ことを証明する 
ために、資料の裏が白紙であっても撮影 
• 実用的な画像を作成するために、資料の背景にも工 
夫を凝らし、目盛りの入った、なるべく原紙の色に近い 
台紙を使用 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
19
2.東寺百合文書のデジタル化 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
20
2.東寺百合文書のデジタル化使えるデータ 
• 「使えるデジタルデータ」の作成と流通を重視 
• システム/利用規則等の仕組みの両面から 
• システム面では2013年12月からという短期間 
の開発のため要改善部分が残る 
• しかし、多様な検索機能のほかに解説・地 
図・年表・子供向けコンテンツを搭載 
• ダウンロードも方法も簡単に 
• また掲載している画像は墨の色や紙の質感 
までもわかるような高細密画像 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
21
2.東寺百合文書のデジタル化仕組みの工夫 
• 特に工夫しようとしたのが利用規則等の仕組み 
• コンテンツを「クリエイティブ・コモンズ表示2.1 日本ライセンス」 
(CC BY)で提供 
• 「京都府立総合資料館所蔵」の明記のみを利用条件に 
• クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの採用については様々な議論 
• しかし、資料自体の著作権に配慮する必要がないこと世界記憶遺 
産の候補である以上、世界との共通ルールにする必要があること 
• なによりも「自由に使ってもらいたい」という発想 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
22
2.東寺百合文書のデジタル化成果還 
元 
• 「東寺百合文書WEBの掲載コンテンツを利用して 
作成された資料類の提供についてのお願い」 
– 成果を当館に還元いただく「特段のお願い」 
– 「当webサイトのコンテンツを利用して作成された、書 
籍・雑誌・論文・パンフレット・映像作品・新聞記事・TV 
番組等を当館にご提供ください」 
– 当館の収集方針に沿うものを所蔵資料として広く提供 
• 1000年前の資料を利用し新たな成果を生み出し 
た人々に、次の世代への置き土産をお願いする 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
2014/9/5 23
2.東寺百合文書のデジタル化反響 
• CC BYを採用して画像を自由に使えることにし 
たことへの「大英断」などの賛意が多い 
• 「画像は同資料館の所蔵を示せば,料金や 
申請不要で出版物や商品に使える方式で提 
供する」という報道のような積極的なもの 
• 歴史資料のオープンデータ化を他機関も進 
めてほしい、文化遺産オンラインもEuropeana 
のようにぜひCC表記に対応してほしい 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
24
2.東寺百合文書のデジタル化反響 
• 大学で古文書の授業を行っている方から「古文書学 
の授業をやっている身としては,たいへん有り難い。 
古文書の形態・様式のパターンの大部分をカバーして 
いる」「鮮明な画像で文書の解説が出来るようになり 
ますね。大助かりです。これで後期に集中して読む古 
文書が矢野庄に決定です。『相生市史』の翻刻と比較 
しながら読めるなんて,良い時代になったものです」 
• 「あそこ建物は古いのにやることは新しいな」「検索で 
きたり,『百合百話』という説明ページがあったり, 
『Kid‘sひゃくごう』というページまで!お役所とは思えな 
い!素晴らしい!」など、当館のイメージと違うという 
評価 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
25
2.東寺百合文書のデジタル化反響 
• 「往復4時間の通勤時間中に東寺百合文書web 
を見たいという理由だけで新しいモバイルを買っ 
た」「かつて退職金で東寺百合文書全函の写真 
帳を買い揃えようと思っていたが(700万円ぐらい 
した)その必要はなくなった」など,今後の活発な 
利用が期待される感想 
• 極めつけは某博物館の方から 
「貝ならぬ百合の函蓋を開け 
データとなりぬ桃の節句に」 
という狂歌をいただいたこと 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
26
2.東寺百合文書のデジタル化周囲の状 
況 
• かなりの反響を巻き起こした今回の公開 
– 評価は全部公開+仕組みに集中 
• しかし、この試みのすべてが新しい、ということではない 
• 文化財の目録データをクリエイティブ・コモンズで出す試み 
は各地で始まっている 
• 前後して目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)を運営 
する国立情報学研究所が総合目録データベースのデータ 
をCC BYで公開 
• などなど 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
27
2.東寺百合文書のデジタル化挑戦のポイント 
• 短期間でのデジタル化作業 
• 世界記憶遺産の候補になっている国宝の資 
料画像8万4千カットと関連情報をCC BY と 
いう形で公開 
• その成果の提供を知の循環の確保という観 
点から利用者に求めたこと 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
28
3.デジタル化の諸課題デジタル化の諸段階に即して 
• 対象資料の決定 
– 需要/著作権/貴重さ/劣化状況/容易さ 
• 資料の整理・メタデータの付与 
– ここが非常に重要 
• デジタルコンバート 
– 議論はここに集中しがちだが… 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
• 公開 
– 単純な公開で良いか? 
29
3.デジタル化の諸課題対象資料の決定 
• 予算組み立ての問題 
• 需要の指標??/「事業目標」からの展開? 
• 資料の価値判断を巡って 
• 重要な要素としての撮影自体の「容易さ」 
– 資料に対する配慮(してはいけない事を確認) 
• 準備状況とのかねあい 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
30
3.デジタル化の諸課題資料の整理・メタデータの付与 
• ユニークな文化資源≒多くがプレ文化資源 
– ユニークでないものは【どこかに】任せておけば良い 
• プレ文化資源の整理にこそ時間と人が 
– 東寺百合文書は何年? 
• 深さと広さのバランスを考えたメタデータ付与を 
– 文化資源のメタデータ形式の標準化は当面困難 
– システム側での解決を 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
31
3.デジタル化の諸課題公開 
• 公開・制限に一定の基準を作成(個人情報等への配 
慮) ←対象資料決定の段階でも 
• その上で、単なる情報へのアクセスではない段階を 
どう想定し、そこに向かってどのような戦略があり得る 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
のか 
• 「アクセスと利用・再利用は別の概念であり,アクセス 
が保障されただけでは、様々な利用・再利用が必ずし 
も十分に行われるようになるものではないだろう」 
(http://current.ndl.go.jp/e1571) 
• → アクセスと利用・再利用は別概念という段階 
32
3.デジタル化の諸課題公開 
• 「データをオープン・バイ・デフォルトにするのは、それ 
が公共財だから」(庄司昌彦) 
• 文化資源こそ公共財であるはず 
• なるべく平易なシステム 
• webの動向のなかで 
• CCにこだわらずともともかくライセンス表記を 
– その際に「使う」立場にたって 
– コストも心がける 
• 継続性のために、使ってみせること 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
33
3.デジタル化の諸課題人材の問題 
• MLAの間の越えがたい壁 
• 専門家(学芸員・司書)の育成ルートや資質 
• 今後のデジタル化に必要な人材 
– コンテンツが解る/データベースが解る/webの状況が解る/ 
社会状況が解る 
• 自ら育つ 
– 情報をとる/手元のリソースで出来るところから 
• 連携する/融合する 
– そのためのMALUI連携ex)京都市明細図 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
34
3.デジタル化の諸課題その他諸々 
• 存在告知/情報制御/文化資源自体の保存 
→上記の原則を守りつつ広く共有(デジタル技術を軸に) 
• その他諸々の課題 
→個別の小さなデータベースが乱立 
→多くの場合、webの動向とは別の発想から構築 
→紙芝居の替わりのデータベース 
→プロデュースする、という観点 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
35
4.まとめ多くの課題 
• デジタル技術を適切に活用することによって文化資源 
を発掘・活用する 
→文化資源の「たなおろし」/文化資源の活用→保存へ 
→経済成長型社会からの転換 
• その環境は整っている 
DB環境/クリエイティブ・コモンズなど 
• 一方で多くの課題 
→人材の問題 
→コストの配置転換 
→哲学の構築 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
36
参考1 
• 東寺百合文書WEB(http://hyakugo.kyoto.jp/)(2014年3月2日確認) 
• 東寺百合文書WEB 利用案内(http://hyakugo.kyoto.jp/guide)(2014年3 
月2日確認) 
• 国宝「東寺百合文書」のインターネット公開について 
(http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/documents/toji_web_koho2014022 
8.pdf)(2014年3月2日確認) 
• 福島幸宏2013「京都府立総合資料館の新館構想から考える「資料・情 
報・人の交通の場」」(http://kasamashoin.jp/2013/12/_55.html )(2014年 
3月2日確認) 
• 福島幸宏2013「カレントアウェアネス―E[No.242 2013.08.08]トークセッ 
ション「新資料館に期待する」」(http://current.ndl.go.jp/e1461 )(2014年3 
月2日確認) 
• 福島幸宏2014「京都府立総合資料館の取り組み京都-日本のデジタ 
ルアーカイブのハブを目指して」(http://www.ameet.jp/digital-archives/ 
digital-archives_20140114/)(2014年3月2日確認) 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
2014/9/5 37
参考2 
• 東京大学史料編纂所データベース選択画面>日本古文書ユニオンカタログ 
(東寺百合文書の影写本が含まれている)(http://wwwap.hi.u-tokyo. 
ac.jp/ships/shipscontroller)(2014年3月2日確認) 
• 生貝直人2013「オープンデータの制度的側面:著作権とライセンスを中心に」 
(http://www.nii.ac.jp/userimg/libraryfair2013/2013_LFF_3_2.pdf)(2014年3月2 
日確認) 
• クリエイティブ・コモンズ表示2.1 日本ライセンス(CC-BY) 
(http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/)(2014年3月2日確認) 
• 北摂アーカイブズ著作権と二次利用について(http://wiki.service-lab. 
jp/lib_toyonaka/wiki.form?page=%2F%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E 
3%81%A8%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%8 
1%A4%E3%81%84%E3%81%A6)(2014年3月2日確認) 
• 横手市文化財(オープンデータ) 
(http://www.city.yokote.lg.jp/joho/page000027.html)(2014年3月2日確認) 
京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 
2014/9/5 38

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  • 1. 文化資源のデジタル化と その課題 2014年9月6日 C4ljp2014 1 福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 京都府立総合資料館
  • 2. 本日の構成 0.自己紹介 1.文化資源というとらえ方 2.東寺百合文書のデジタル化 3.デジタル化の諸課題 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 4.まとめ 2
  • 3. 本日の概要 • 概念の整理 • 走りながら考えたデジタル化事業の紹介 • 解決すべき課題は多数 – 私が見えてないだけ、というものも • お知恵を拝借したい • 最終的に問題配置を少しでも俯瞰できるきっかけを – 多数あって整理しきれない+時間が足りない… 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 3
  • 4. 0.自己紹介 ・京都府立総合資料館庶務課新館担当 歴史資料課行政文書担当兼務 新館構想 京都府行政文書(重要文化財)の管理・運営を担当 →いわゆるArchivist 的な仕事+α ・もとは日本近現代史専攻(!) 非常勤講師/自治体史編纂 ・総合資料館職員2005年4月から 任期付職員→ 社会人採用(学芸員試験) →詳しくはwebで http://researchmap.jp/fukusima-y/ 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 4
  • 5. 0.MLA複合館としての京都府立総合資料館 • 1963年開館 • 「京都に関する歴史・文化・産業・生活等の資料を 総合的に収集・整理・保存・閲覧・展示し、 府民の調査研究などの利用に供する」 • 多数の図書資料・古文書・公文書・現物資料を所蔵 国宝「東寺百合文書」(1997年指定、18642点) 重要文化財「東寺観智院伝来文書典籍類」(1981年指定、57点) 「京都府行政文書」(2002年指定、15407点) 「革嶋家文書」(2003年指定、2459点) →京都の記憶を体系的に読み解ける研究拠点 →都道府県立図書館の郷土資料室の巨大版 →現在新施設建設中 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 5
  • 6. 京都府立総合資料館の軌跡 開館現物資料の展示・図書資料の公開を開始(大英博物館をイメージ) 行政文書の収集・ 整理・公開業務を開始 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 6 博物館機能M 図書館機能L 文書館機能A 1963 1972 1988 2001 図書の半数を 京都府立図書館に移管 京都文化博物館開館 現物資料関係業務を 京都文化財団に委託 2007 あり方検討委員会設置 2016 (予定) 新施設開設
  • 7. 現在の京都府立総合資料館 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 7 ▲京都府立総合資料館外観▲文書閲覧室▲古文書入門教室 ▲展示室▲行政文書保管庫▲東寺百合文書保管庫
  • 8. 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 文化資源の定義 「ある時代の社会と文化を知るための手がかりとなる貴重な資料の総体」 (文化資源学会設立趣意書(2002年6月12日採択)) 「その時代をともに生きる人々が心豊かに生きるための精神的な共有財産としての「文化」 をつくるための資源」 (「文化資源の広域的活用に関する研究」2003年3月地方自治研究機構) → 博物館・図書館・公文書館(MLA)等が対象とする資料全体 街作りの素材という側面が強調→ 資料自体に寄せて考えたい 8 1.文化資源というとらえ方
  • 9. 1.文化資源というとらえ方 ~~ 選ぶ? or 残ったものでよい? 文化資源として 新たに開拓されるべき部分 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 9 「資 源 として残 す 」という 意 識 古代近世近代戦後21世紀
  • 10. 1.文化資源というとらえ方 「パッケージ化」された文化資源プレ文化資源 ・明確なカタマリを成している ・メタデータが付与されている ・明確なカタマリを成していない ・メタデータが付与されていない ex.既に整理された 書籍 絵画 仏像 古文書など デジタル化の対象となってきた ex.未整理の 紙の束 書簡の固まり 雑多なプリント ノートやメモなど 整理には多くの作業が必要であり、 現在のMLAの機能からもこぼれ落ちている デジタル化の対象になりにくい 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 10
  • 11. 1.文化資源というとらえ方 • 世界では文化資源のデジタル化が近年急激に進行 • Googleの各種プロジェクト 現在はアートプロジェクトと 歴史アーカイブ http://www.google.com/culturalinstitute/project/art-project?hl=ja http://www.google.com/culturalinstitute/project/historic-moments • ヨーロピアナhttp://www.europeana.eu/ Googleの動向に対応 EUが運営。フランス・ドイツが中心 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 11
  • 12. 1.文化資源というとらえ方 • 文化資源をめぐる日本の制度的動向(MとA) →公文書管理法施行(2011年4月) 公文書等の適切な管理を求める/地方公共団体にも努力義務 →学芸員資格の見直し(2012年4月) 情報・メディア論/資料保存論/展示論/教育論を増設 • 東日本大震災の衝撃 →文化資源に対する大きな打撃 →これまで関係者間でのみ議論されていた問題が可視化 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 12
  • 13. 2.東寺百合文書のデジタル化百合文 書? • 東寺百合文書とは、京都市南区の教王護国寺(東寺)に伝えら れた文書群で、現在は京都府立総合資料館が所蔵 • 「ひゃくごう」と呼びます • 近世前期に加賀藩が寄進した百あまりの合(蓋付きの箱)に入 れられていたための呼び名 • 奈良時代から江戸時代初期までのおよそ1000年間にわたる 24,147通の文書 • 巨大寺院であり広大な荘園をもつ領主であった東寺の運営に かかわる資料 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 13
  • 14. 2.東寺百合文書のデジタル化百合文 書? • 北は茨城県から南は熊本県にわたって散らばる荘園 • 庶民から時の権力者まで様々な階層の人々の息づかい を今に伝える • 日本中世史を研究する上で必須の文書史料群の一つ →つまり • 「東寺」の事務書類の集積 • 多くは普段使いの紙に墨書 • 個々は断片の情報/全体としてみるとより意味を持つ 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 2014/9/5 14
  • 15. 2.東寺百合文書のデジタル化ユネスコ記憶遺産への推薦 ・ユネスコ記憶遺産? 世界遺産(古都京都、原爆ドームなど)の アーカイブ資料版現在301件 ・日本の記憶遺産 山本作兵衛炭坑記録画・記録文書(2011年5月登録) 御堂関白記(2013年6月登録) 慶長遣欧使節関係資料(2013年6月登録) ・候補 東寺百合文書 引き揚げの記憶(2015年5~8月審査予定) 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 15
  • 16. 2.東寺百合文書のデジタル化整理事業 • 1967年東寺から購入/整理作業開始 • 1967年第1次修理事業開始(~73年約9,000点) • 1976年目録第1巻刊行(~79年第5巻まで) • 1980年公開開始/全点マイクロ化開始 • 1980年重要文化財指定 • 1983年第2次修理事業開始(約1,000点) • 1997年国宝指定 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 16
  • 17. 2.東寺百合文書のデジタル化直前の状 況 • 全点のマイクロ撮影。当館やいくつかの大学に は写真帳あり • これまでこの文書群にアクセスする場合には、 基本的にこの写真帳を利用 • 利用については許諾が必要 • 資料保存のため、原本の閲覧を制限せざるを得 ず、展覧会も年1回の開催(合計28回) 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 17
  • 18. 2.東寺百合文書のデジタル化体制 • デジタル化作業への対応 – 当初は職員が行う – その後委託で実施 • データベース構築チーム – 総括 – 百合担当 – 百合担当(システムに詳しい) – システム担当 – 進行管理(役所と専門家とベンダーのあいだで) 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 18
  • 19. 2.東寺百合文書のデジタル化撮影作業 • 2013年1月から2014年2月まで、全84,000カットのデジ タル化作業を行う • 当館職員の指示のもと、A2サイズのブックスキャナ3 台とA1サイズのブックスキャナ1台で作業 • その際、一紙一紙慎重に扱うのは当然として、墨がつ いていない(文字が書かれていない)ことを証明する ために、資料の裏が白紙であっても撮影 • 実用的な画像を作成するために、資料の背景にも工 夫を凝らし、目盛りの入った、なるべく原紙の色に近い 台紙を使用 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 19
  • 21. 2.東寺百合文書のデジタル化使えるデータ • 「使えるデジタルデータ」の作成と流通を重視 • システム/利用規則等の仕組みの両面から • システム面では2013年12月からという短期間 の開発のため要改善部分が残る • しかし、多様な検索機能のほかに解説・地 図・年表・子供向けコンテンツを搭載 • ダウンロードも方法も簡単に • また掲載している画像は墨の色や紙の質感 までもわかるような高細密画像 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 21
  • 22. 2.東寺百合文書のデジタル化仕組みの工夫 • 特に工夫しようとしたのが利用規則等の仕組み • コンテンツを「クリエイティブ・コモンズ表示2.1 日本ライセンス」 (CC BY)で提供 • 「京都府立総合資料館所蔵」の明記のみを利用条件に • クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの採用については様々な議論 • しかし、資料自体の著作権に配慮する必要がないこと世界記憶遺 産の候補である以上、世界との共通ルールにする必要があること • なによりも「自由に使ってもらいたい」という発想 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 22
  • 23. 2.東寺百合文書のデジタル化成果還 元 • 「東寺百合文書WEBの掲載コンテンツを利用して 作成された資料類の提供についてのお願い」 – 成果を当館に還元いただく「特段のお願い」 – 「当webサイトのコンテンツを利用して作成された、書 籍・雑誌・論文・パンフレット・映像作品・新聞記事・TV 番組等を当館にご提供ください」 – 当館の収集方針に沿うものを所蔵資料として広く提供 • 1000年前の資料を利用し新たな成果を生み出し た人々に、次の世代への置き土産をお願いする 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 2014/9/5 23
  • 24. 2.東寺百合文書のデジタル化反響 • CC BYを採用して画像を自由に使えることにし たことへの「大英断」などの賛意が多い • 「画像は同資料館の所蔵を示せば,料金や 申請不要で出版物や商品に使える方式で提 供する」という報道のような積極的なもの • 歴史資料のオープンデータ化を他機関も進 めてほしい、文化遺産オンラインもEuropeana のようにぜひCC表記に対応してほしい 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 24
  • 25. 2.東寺百合文書のデジタル化反響 • 大学で古文書の授業を行っている方から「古文書学 の授業をやっている身としては,たいへん有り難い。 古文書の形態・様式のパターンの大部分をカバーして いる」「鮮明な画像で文書の解説が出来るようになり ますね。大助かりです。これで後期に集中して読む古 文書が矢野庄に決定です。『相生市史』の翻刻と比較 しながら読めるなんて,良い時代になったものです」 • 「あそこ建物は古いのにやることは新しいな」「検索で きたり,『百合百話』という説明ページがあったり, 『Kid‘sひゃくごう』というページまで!お役所とは思えな い!素晴らしい!」など、当館のイメージと違うという 評価 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 25
  • 26. 2.東寺百合文書のデジタル化反響 • 「往復4時間の通勤時間中に東寺百合文書web を見たいという理由だけで新しいモバイルを買っ た」「かつて退職金で東寺百合文書全函の写真 帳を買い揃えようと思っていたが(700万円ぐらい した)その必要はなくなった」など,今後の活発な 利用が期待される感想 • 極めつけは某博物館の方から 「貝ならぬ百合の函蓋を開け データとなりぬ桃の節句に」 という狂歌をいただいたこと 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 26
  • 27. 2.東寺百合文書のデジタル化周囲の状 況 • かなりの反響を巻き起こした今回の公開 – 評価は全部公開+仕組みに集中 • しかし、この試みのすべてが新しい、ということではない • 文化財の目録データをクリエイティブ・コモンズで出す試み は各地で始まっている • 前後して目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)を運営 する国立情報学研究所が総合目録データベースのデータ をCC BYで公開 • などなど 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 27
  • 28. 2.東寺百合文書のデジタル化挑戦のポイント • 短期間でのデジタル化作業 • 世界記憶遺産の候補になっている国宝の資 料画像8万4千カットと関連情報をCC BY と いう形で公開 • その成果の提供を知の循環の確保という観 点から利用者に求めたこと 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 28
  • 29. 3.デジタル化の諸課題デジタル化の諸段階に即して • 対象資料の決定 – 需要/著作権/貴重さ/劣化状況/容易さ • 資料の整理・メタデータの付与 – ここが非常に重要 • デジタルコンバート – 議論はここに集中しがちだが… 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) • 公開 – 単純な公開で良いか? 29
  • 30. 3.デジタル化の諸課題対象資料の決定 • 予算組み立ての問題 • 需要の指標??/「事業目標」からの展開? • 資料の価値判断を巡って • 重要な要素としての撮影自体の「容易さ」 – 資料に対する配慮(してはいけない事を確認) • 準備状況とのかねあい 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 30
  • 31. 3.デジタル化の諸課題資料の整理・メタデータの付与 • ユニークな文化資源≒多くがプレ文化資源 – ユニークでないものは【どこかに】任せておけば良い • プレ文化資源の整理にこそ時間と人が – 東寺百合文書は何年? • 深さと広さのバランスを考えたメタデータ付与を – 文化資源のメタデータ形式の標準化は当面困難 – システム側での解決を 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 31
  • 32. 3.デジタル化の諸課題公開 • 公開・制限に一定の基準を作成(個人情報等への配 慮) ←対象資料決定の段階でも • その上で、単なる情報へのアクセスではない段階を どう想定し、そこに向かってどのような戦略があり得る 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) のか • 「アクセスと利用・再利用は別の概念であり,アクセス が保障されただけでは、様々な利用・再利用が必ずし も十分に行われるようになるものではないだろう」 (http://current.ndl.go.jp/e1571) • → アクセスと利用・再利用は別概念という段階 32
  • 33. 3.デジタル化の諸課題公開 • 「データをオープン・バイ・デフォルトにするのは、それ が公共財だから」(庄司昌彦) • 文化資源こそ公共財であるはず • なるべく平易なシステム • webの動向のなかで • CCにこだわらずともともかくライセンス表記を – その際に「使う」立場にたって – コストも心がける • 継続性のために、使ってみせること 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 33
  • 34. 3.デジタル化の諸課題人材の問題 • MLAの間の越えがたい壁 • 専門家(学芸員・司書)の育成ルートや資質 • 今後のデジタル化に必要な人材 – コンテンツが解る/データベースが解る/webの状況が解る/ 社会状況が解る • 自ら育つ – 情報をとる/手元のリソースで出来るところから • 連携する/融合する – そのためのMALUI連携ex)京都市明細図 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 34
  • 35. 3.デジタル化の諸課題その他諸々 • 存在告知/情報制御/文化資源自体の保存 →上記の原則を守りつつ広く共有(デジタル技術を軸に) • その他諸々の課題 →個別の小さなデータベースが乱立 →多くの場合、webの動向とは別の発想から構築 →紙芝居の替わりのデータベース →プロデュースする、という観点 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 35
  • 36. 4.まとめ多くの課題 • デジタル技術を適切に活用することによって文化資源 を発掘・活用する →文化資源の「たなおろし」/文化資源の活用→保存へ →経済成長型社会からの転換 • その環境は整っている DB環境/クリエイティブ・コモンズなど • 一方で多くの課題 →人材の問題 →コストの配置転換 →哲学の構築 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 36
  • 37. 参考1 • 東寺百合文書WEB(http://hyakugo.kyoto.jp/)(2014年3月2日確認) • 東寺百合文書WEB 利用案内(http://hyakugo.kyoto.jp/guide)(2014年3 月2日確認) • 国宝「東寺百合文書」のインターネット公開について (http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/documents/toji_web_koho2014022 8.pdf)(2014年3月2日確認) • 福島幸宏2013「京都府立総合資料館の新館構想から考える「資料・情 報・人の交通の場」」(http://kasamashoin.jp/2013/12/_55.html )(2014年 3月2日確認) • 福島幸宏2013「カレントアウェアネス―E[No.242 2013.08.08]トークセッ ション「新資料館に期待する」」(http://current.ndl.go.jp/e1461 )(2014年3 月2日確認) • 福島幸宏2014「京都府立総合資料館の取り組み京都-日本のデジタ ルアーカイブのハブを目指して」(http://www.ameet.jp/digital-archives/ digital-archives_20140114/)(2014年3月2日確認) 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 2014/9/5 37
  • 38. 参考2 • 東京大学史料編纂所データベース選択画面>日本古文書ユニオンカタログ (東寺百合文書の影写本が含まれている)(http://wwwap.hi.u-tokyo. ac.jp/ships/shipscontroller)(2014年3月2日確認) • 生貝直人2013「オープンデータの制度的側面:著作権とライセンスを中心に」 (http://www.nii.ac.jp/userimg/libraryfair2013/2013_LFF_3_2.pdf)(2014年3月2 日確認) • クリエイティブ・コモンズ表示2.1 日本ライセンス(CC-BY) (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/)(2014年3月2日確認) • 北摂アーカイブズ著作権と二次利用について(http://wiki.service-lab. jp/lib_toyonaka/wiki.form?page=%2F%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E 3%81%A8%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%8 1%A4%E3%81%84%E3%81%A6)(2014年3月2日確認) • 横手市文化財(オープンデータ) (http://www.city.yokote.lg.jp/joho/page000027.html)(2014年3月2日確認) 京都府立総合資料館福島幸宏(fukusima-y@nifty.com) 2014/9/5 38

Editor's Notes

  1. 公共=公立 という構図の崩壊 →忘れられていた?中間団体の復権 →もともと 公共圏は「公立」の独占ではない 誰を、何を対象にしていくか →目の前の利用者から公共圏の人々へ →公共圏のとらえ方