↓の第4章1節「外部性」に関する講義スライド。 神取道宏, ミクロ経済学の力, 日本評論社, 2014. http://www.amazon.co.jp/dp/ 講義ウェブサイトはこちら： https://sites.google.com/site/yosukeyasuda2/home/lecture/micro15

1. ミクロ経済 | 安田洋祐
4章1節 — 外部性 神取道宏『ミクロ経済学の力』
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2. 市場の失敗
❖ 市場の失敗
→ 市場が効率的な資源配分に失敗すること
（自由な市場取引が総余剰が最大化しない）
❖ 代表的な2つのケース
❖ 外部性 — 公害や騒音、日照権の問題など。市場はうまく解決
することができない。
❖ 公共財 — 公園などの供給を市場はうまく行うことができな
い。政府が供給する必要がある。
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3. （技術的）外部性
❖ 負の外部性 — 他人に被害を及ぼす技術的外部性。公害、たばこの煙、騒音など。
❖ 正の外部性 — 他人に利益を与える技術的外部性。養蜂業者と果樹園。景観など。
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4. 外部性の費用
❖ 社会的限界費用
= （私的）限界費用 + 限界損失
❖ 限界費用 = 追加的な生産にかかる費用
❖ 限界損失 = 他人に発生する追加的な損失
❖ 生産者にとっての費用 ≠ 社会的限界費用
→ 過剰生産による「市場の失敗」
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5. 外部性のある市場均衡
総余剰
= X - Y
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6. ピグー税率
❖ ピグー税率 = 限界損失
→ その財の生産量をわずかに増やしたときに他人が被
る追加的な損害額を税金として徴収する
❖ ピグー税の下での供給曲線
→ 限界費用 + ピグー税率
= 限界費用 + 限界損失 = 社会的限界費用
❖ 限界損失（公害）という外部費用を内部化
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7. ピグー税と供給曲線
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8. 総余剰 = X
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9. ロンドンの混雑税
❖ 渋滞緩和のため2003年に混雑税（ピグー税）を導入
❖ 市の中心地に入る車から約2000円を徴収
❖ 平日の7∼18時、1日あたりの金額
❖ 徴税費用は約140億円
❖ 混雑税 + 罰金 = 約360億円
→ 実際に効果をグラフで見てみると…
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10. 10

11. 効果アリ！ただし近年は徐々に悪化傾向
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12. ピグー補助金
❖ （1単位減らすごとの）ピグー補助金 = 限界損失
→ 最適より過大な生産量から生産量を1単位減らすごと
に、限界損失に等しい補助金を与えること
❖ ピグー補助金の下での供給曲線
→ 限界費用 - (-ピグー補助金）
= 限界費用 + 限界損失 = 社会的限界費用
❖ ピグー税と同様に社会的に最適な生産量を達成
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13. 13

14. 課税か補助金か？
❖ どちらを使っても総余剰は同じ！（最大化される）
❖ 余剰の分け方（誰が得をするか）は異なる
❖ 効率性だけでなく公平性も考慮すると…
❖ 漁民が公害を受けない権利を持つ → ピグー税
❖ 工場が公害を出す権利を持つ → ピグー補助金
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15. 注意点
❖ 情報の問題
❖ 限界損失は私的情報 → 正確に知ることは難しい
❖ 素朴なヒアリングでは被害者が過大申告する恐れ
❖ なぜ市場の失敗が起きたのか
❖ 外部性を取引する市場が欠落していた
（工場は製品と公害の2つの財を同時に生産）
❖ 排出権取引などの市場を作って対処できる可能性
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16. 交渉による解決
❖ 効率的な生産量の達成
❖ 政府介入 — ピグー税、ピグー補助金
❖ 新市場の創設 — 排出権取引
❖ 交渉 — 当事者同士が交渉すれば外部性の問題は解決
できる！ → コースの定理
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17. コースの定理
外部性がある場合、
1. 交渉コストが低ければ、同時者同士の交渉によって効
率的な結果（生産量）が達成できる。
2. さらに、（消費者の満足が消費者余剰で表示できると
きには）外部効果に関する所有権を誰が持っているか
に関わりなく、同一の生産量が実現する。
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18. コースの定理のイメージ
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19. 素朴な自由放任主義
1. 非効率な状態では、当事者全員の満足度を上げるよう
な、別の状態が必ずある。
2. 当事者が合理的であれば、このような非効率的な状態
で満足しているはずはない。
3. 全員にとってよりよい状態へ移行できるはず。
→ 合理的な個人の自由に任せておけば、結果は必ず効率
的になる！
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20. 自由放任主義の誤り
1. より効率的な状態があったとしても、それをきちんと特
定して達成できるとは限らない。
2. 当事者が合理的であっても、情報の非対称性があると現
状が非効率性が正確に把握できない。
（情報の経済学の貢献）
3. 戦略的な状況では、各人の最適な行動が全体にとっての
効率的な結果をもたらすとは限らない。
（ゲーム理論の貢献）
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