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ミクロ経済 | 安田洋祐
3章2節 — TPPについてこ
れだけは知っておこう
神取道宏『ミクロ経済学の力』
1
TPPとは何か?
❖ 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific
Partnership)の略称。
❖ 太平洋を囲む国々の間で関税を撤廃した自由貿易圏を
作るための協定。
❖ 自由貿易の利点とは何なのか、またそれはどのような問
題をは...
ミクロ経済学の方法(再掲)
3
例)コメの自由化(再掲)
❖ 日本はコメの輸入を自由化すべきか、という議論を建設
的なものするために、問題を二つに分ける!
1. 「自由化したらどうなるか?」
  → 事実解明的(positive)な問題
2. 「その結果が良いか悪いか?」
 ...
コメの市場
❖ 多数の売り手と買い手 → 各人はプライステイカー
❖ 市場均衡(需要と供給の交点)で分析できる!
❖ コメの国内価格は自由市場で決定
❖ 自由化前:国内需要と国内供給の交点
❖ 自由化後:国内需要と国際価格の交点
→ 国内需要・...
供給曲線の求め方
❖ 供給曲線 = 売り手の1単位あたりの生産費用(限界費用
と呼ぶ)を安い方から並べたもの
1. 個々の農家の限界費用は一定であると仮定

(農家ごとの費用は異なるので注意)
2. 各農家の生産費用をデータから推計
3. 生産...
米作の機会費用とは?
❖ 自家労働への対価:中小企業(製造業)での賃金

← 他の労働から得られたであろう賃金
❖ 自作農地への対価:小作人からの土地賃貸料

← 他人に貸していれば得られたであろう賃料
❖ 自己資本への対価:年利4%

← 代...
生産費用 → 供給曲線
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玄米(精米前)
の卸価格
9
小規模農家の
農業所得は
収入のごく一部
所得の大きな
大規模農家は
全農家の数%
米作農家の9割は…
❖ 1ha(= 100m × 100m)ほどの小規模の水田を持つ
❖ 農業が主業ではなく、休日の労働や引退世代の労働でコ
メを作っている(機械化による短時間労働)
❖ 平均年収はほぼ日本の中流で、農業収入は所得のごく一
部(...
供給“直線”の近似
❖ 両端点を確定すれば供給直線が描ける
❖ 右端は100%(850万トン)、241円/kg
❖ 左端は供給曲線の最低点(この金額を下回ると日本の米作農家
が全滅するというギリギリの水準)
❖ 15ha以上の農家の平均費用は1...
需要曲線の近似
❖ 需要の価格弾力性が一定であると仮定
❖ 需要曲線は直線にはならないので注意!

(傾き≠ 弾力性)
❖ 研究によるとコメ需要の価格弾力性は0.13
→ 850万トン、241/kgを通る弾力性0.13の曲線
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減反政策の影響
❖ コメの高価格を維持するための減反 = 生産調整
❖ 全国の米作農家に他の作物に転作するよう要請
❖ 「生産調整下の供給 = 真の供給の4割減」と仮定
❖ 各農家は真の供給の3/5しか作っていない

(実際には減反に応じない農...
自由化前のコメ市場
14
コメの関税
❖ 1kgあたり341円(従量税)
❖ 「関税率778%」と言われるが従価税ではない
❖ 国内価格の241円よりも高い!
❖ コメの輸出価格がゼロ円でも輸入が起こらない
❖ 禁止的高関税と言う
15
国際価格の近似
❖ 短粒米の国内外価格差に注目

 日本の安いコメ価格 :400円/1kg

 日本の普通のコメ価格:500円/1kg
❖ 錦 → 値段が安い:237円/1kg

(237円/400円 = 59%)
❖ 田牧米 → 日本米に近い...
自由化後のコメ市場
国内生産量は
約1/4に!
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自由化によって
減反は維持できない
18
自由化による日本全体の利益
19
自由貿易の利益
❖ 自由化で国内生産者は損害を受ける
❖ 逆に国内消費者は利益を得る

(特に食費支出が相対的に大きい貧しい人たち)
❖ 利益は損害を上回る
→ 日本全体では必ず得をする!
消費者の利益をもう少し細かく見てみると…
20
所得水準と食費
世帯年収が
300万円以下
21
補償原理
❖ 各消費者から

 自由化前の消費量 × 自由化による価格の下落

を徴収し、
❖ 各農家に

 自由化前の生産量 × 自由化による価格の下落

を支払う

(自由化「前」の数量である点に注意)
→ すべての国民に自由化の利益が及ぶ...
注意点
❖ 関税収入は余剰分析に出てこない
❖ 自由化前 — 輸入量 = ゼロ(禁止的高関税)
❖ 自由化後 — 関税率 = ゼロ(と仮定)
→ 関税率がプラスでも総余剰は自由化前より必ず増加
❖ 自由化後の国内生産量(減少幅)の予測誤差は大
...
その他の論点
❖ 治水や景観
❖ 外部効果(外部性)
❖ 市場の失敗が起こり得る
❖ 食料自給率
❖ エネルギー自給率も同様の問題
❖ 備蓄増によってある程度対処が可能
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『ミクロ経済学の力』3章2節

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↓の第3章2節「TPPについてこれだけは知っておこう」に関する講義スライド。

神取道宏, ミクロ経済学の力, 日本評論社, 2014.
http://www.amazon.co.jp/dp/

講義ウェブサイトはこちら:
https://sites.google.com/site/yosukeyasuda2/home/lecture/micro15

Publicada em: Economia e finanças

『ミクロ経済学の力』3章2節

  1. 1. ミクロ経済 | 安田洋祐 3章2節 — TPPについてこ れだけは知っておこう 神取道宏『ミクロ経済学の力』 1
  2. 2. TPPとは何か? ❖ 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership)の略称。 ❖ 太平洋を囲む国々の間で関税を撤廃した自由貿易圏を 作るための協定。 ❖ 自由貿易の利点とは何なのか、またそれはどのような問 題をはらんでいるのか? ❖ コメの関税撤廃を例に、部分均衡分析を使って検討! 2
  3. 3. ミクロ経済学の方法(再掲) 3
  4. 4. 例)コメの自由化(再掲) ❖ 日本はコメの輸入を自由化すべきか、という議論を建設 的なものするために、問題を二つに分ける! 1. 「自由化したらどうなるか?」   → 事実解明的(positive)な問題 2. 「その結果が良いか悪いか?」   → 規範的( normative)な問題 4
  5. 5. コメの市場 ❖ 多数の売り手と買い手 → 各人はプライステイカー ❖ 市場均衡(需要と供給の交点)で分析できる! ❖ コメの国内価格は自由市場で決定 ❖ 自由化前:国内需要と国内供給の交点 ❖ 自由化後:国内需要と国際価格の交点 → 国内需要・供給はどうやって推計すれば良いか? 5
  6. 6. 供給曲線の求め方 ❖ 供給曲線 = 売り手の1単位あたりの生産費用(限界費用 と呼ぶ)を安い方から並べたもの 1. 個々の農家の限界費用は一定であると仮定
 (農家ごとの費用は異なるので注意) 2. 各農家の生産費用をデータから推計 3. 生産費用 = 他人に支払う費用(会計費用) + 所有 する生産要素への対価(機会費用) 6
  7. 7. 米作の機会費用とは? ❖ 自家労働への対価:中小企業(製造業)での賃金
 ← 他の労働から得られたであろう賃金 ❖ 自作農地への対価:小作人からの土地賃貸料
 ← 他人に貸していれば得られたであろう賃料 ❖ 自己資本への対価:年利4%
 ← 代替的な投資から得られたであろう利子 7
  8. 8. 生産費用 → 供給曲線 8
  9. 9. 玄米(精米前) の卸価格 9 小規模農家の 農業所得は 収入のごく一部 所得の大きな 大規模農家は 全農家の数%
  10. 10. 米作農家の9割は… ❖ 1ha(= 100m × 100m)ほどの小規模の水田を持つ ❖ 農業が主業ではなく、休日の労働や引退世代の労働でコ メを作っている(機械化による短時間労働) ❖ 平均年収はほぼ日本の中流で、農業収入は所得のごく一 部(マイナス10万円∼50万円くらい) ❖ 生産性は低いが、何らかの理由で米作をしている ❖ 経営主は高齢で、引退世代の年金受給者が多い 10
  11. 11. 供給“直線”の近似 ❖ 両端点を確定すれば供給直線が描ける ❖ 右端は100%(850万トン)、241円/kg ❖ 左端は供給曲線の最低点(この金額を下回ると日本の米作農家 が全滅するというギリギリの水準) ❖ 15ha以上の農家の平均費用は192円/kg ❖ 総費用が168円/kg以下の農家が全生産の5% → ここでは、最低点を170円/kgと推定 11
  12. 12. 需要曲線の近似 ❖ 需要の価格弾力性が一定であると仮定 ❖ 需要曲線は直線にはならないので注意!
 (傾き≠ 弾力性) ❖ 研究によるとコメ需要の価格弾力性は0.13 → 850万トン、241/kgを通る弾力性0.13の曲線 12
  13. 13. 減反政策の影響 ❖ コメの高価格を維持するための減反 = 生産調整 ❖ 全国の米作農家に他の作物に転作するよう要請 ❖ 「生産調整下の供給 = 真の供給の4割減」と仮定 ❖ 各農家は真の供給の3/5しか作っていない
 (実際には減反に応じない農家もいる) ❖ 同じ費用の下で5/3倍の供給が可能 → 真の供給曲線の傾きは緩やか(3/5倍)に 13
  14. 14. 自由化前のコメ市場 14
  15. 15. コメの関税 ❖ 1kgあたり341円(従量税) ❖ 「関税率778%」と言われるが従価税ではない ❖ 国内価格の241円よりも高い! ❖ コメの輸出価格がゼロ円でも輸入が起こらない ❖ 禁止的高関税と言う 15
  16. 16. 国際価格の近似 ❖ 短粒米の国内外価格差に注目
  日本の安いコメ価格 :400円/1kg
  日本の普通のコメ価格:500円/1kg ❖ 錦 → 値段が安い:237円/1kg
 (237円/400円 = 59%) ❖ 田牧米 → 日本米に近い:349円/1kg
 (349円/400円 = 87%、349円/500円 = 70%) → 自由化後に玄米価格は25%下落(241円→181円)と仮定 16
  17. 17. 自由化後のコメ市場 国内生産量は 約1/4に! 17
  18. 18. 自由化によって 減反は維持できない 18
  19. 19. 自由化による日本全体の利益 19
  20. 20. 自由貿易の利益 ❖ 自由化で国内生産者は損害を受ける ❖ 逆に国内消費者は利益を得る
 (特に食費支出が相対的に大きい貧しい人たち) ❖ 利益は損害を上回る → 日本全体では必ず得をする! 消費者の利益をもう少し細かく見てみると… 20
  21. 21. 所得水準と食費 世帯年収が 300万円以下 21
  22. 22. 補償原理 ❖ 各消費者から
  自由化前の消費量 × 自由化による価格の下落
 を徴収し、 ❖ 各農家に
  自由化前の生産量 × 自由化による価格の下落
 を支払う
 (自由化「前」の数量である点に注意) → すべての国民に自由化の利益が及ぶ 22
  23. 23. 注意点 ❖ 関税収入は余剰分析に出てこない ❖ 自由化前 — 輸入量 = ゼロ(禁止的高関税) ❖ 自由化後 — 関税率 = ゼロ(と仮定) → 関税率がプラスでも総余剰は自由化前より必ず増加 ❖ 自由化後の国内生産量(減少幅)の予測誤差は大 ❖ 国際価格や消費者の嗜好に大きく依存する
 (国産米と輸入米は異なる商品 → 財の差別化) 23
  24. 24. その他の論点 ❖ 治水や景観 ❖ 外部効果(外部性) ❖ 市場の失敗が起こり得る ❖ 食料自給率 ❖ エネルギー自給率も同様の問題 ❖ 備蓄増によってある程度対処が可能 24

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