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「新聞を10倍楽しく読める地政学 第5回」
ウクライナ戦争、台湾有事、日本に降りかかる地政学リスク
2022. 10. 2
日本安全保障戦略研究所 上席研究員
小野田 治
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 2
• 「もしロシアが戦いをやめれば戦争は終わるが、ウクライナが戦いをやめれば
ウクライナは終わるだろう」
(アンソニー・ブリンケン米国務長官;国連安保理のスピーチで、2022.9.22)
• 「すべての国の主権と領土保全は尊重されなければならず、国連憲章の目的と
原則は完全に守られなければならず、すべての国の正当な安全保障上の懸念は
真剣に受け止められなければならず、また、危機の平和的解決が支持されなけ
ればならない。」
(王毅 中国外交部長がクレバ ウクライナ外務大臣と会談時に習近平主席の言葉として
言及 2022.9.22;環球時報より)
第1章 ロシアのウクライナ武力侵攻と地政学
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出典:https://twitter.com/aysgstr/status/1499564931212996608/photo/1
我が国とウクライナ領土との比較
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戦争はなぜ起こるのか?
• 何が戦争の原因か?
‒ 歴史の宿痾
‒ 「ツキディデスの罠」
‒ 「安全保障のジレンマ」
• 何が悪かったのか?
‒ 政治指導者?:カリスマ独裁者
‒ 国家体制?:権威主義国家
‒ 国際システム?:国家を超える権威と権力を作れるか
• 戦争が起きない世界は作れないのか
‒ 情報の完全透明性:敵味方のすべてが明らかなら勝算は確実
‒ 約束が守られる保証:今日の約束が将来においても破られない世界
実現不可能 = 「抑止力」の必要性
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プーチンはなぜウクライナに武力侵攻したのか?
Source: https://gentosha-go.com/articles/-/43055
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歴史認識
• 今日のウクライナを作ったのはレーニンとボリシェビキ
• ソビエト連邦の樹立宣言、ソビエト連邦憲法(1924)に民族自決の権利を明記
→ ソ連崩壊と連邦共和国独立の誘因に
• 独立(1991)後は、オリガルヒによる権力・財産の収奪と再分配の権力構造
• ロシアの全面的に支援にもかかわらず、「反ロシア化」=「ナチ化」が進展
安全保障
• 米の戦略文書には先制攻撃の可能性明記、米が一方的にINF条約廃棄
• NATOへの限りない不信:NATOの更なる拡大、ロシア国境への攻撃兵器配備、
NATOの軍事力とインフラを1997年当時に復帰要請 → NATOが無視
• ミサイル防衛システムのウクライナ配備 → ロシア奥深くまで射程下に
• ウクライナの「ナチ化」は、西側の策謀によるロシア封じ込めの一環
親ロシア住民への迫害の激化
• クリミアとドンバスの親ロシア住民を抑圧:「非ロシア化」、「強制的な同化政
策」、「差別的法令」を強要
• ドンバス地区でウクライナがミンスク合意に常態的に違反、住民を迫害
侵攻直前にプーチン大統領が国民向けに行った演説(2022.2.21)
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すべてに当てはまる「プーチンのロシア」
• 何が戦争の原因か?
‒ 歴史の宿痾 → レーニンがウクライナを作った!?
‒ 「ツキディデスの罠」 → NATOの台頭がロシアの安全保障への脅威
‒ 「安全保障のジレンマ」→ ロシア vs NATOの軍備拡張競争
• 何が悪かったのか?
‒ 政治指導者:カリスマ独裁者 = プーチン
‒ 国家体制:権威主義国家 = プーチン独裁化のロシア
‒ 国際システム:国家を超える権威と権力の不在+国連常任理事国
• さらに・・・誤算が・・・
‒ ウクライナ軍は簡単に崩壊、政府は瓦解し、短期間に勝利可能という「誤算」
‒ 2021年秋から大兵力を演習名目で展開:撤収して短期間での再動員は困難
①
ウクライナへの地上軍侵攻 (2022.3.8現在)
出典:防衛省公表の状況図に筆者が作図を追加
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第1段階(2月24日~3月末):全方向からの侵攻
キーウ政権打倒によるウクライナ掌握の失敗
第2段階(4月~5月末):北部(キーウ正面)撤退、東・南部への戦力機動
東部方面の戦果拡張
第3段階(6月~7月上旬):東部への集中、火力制圧の強化
第4段階(7月~8月中旬):作戦休止、戦力再編(東部→南部)
東部方面の戦況停滞・南部方面でのウクライナ反攻の兆し
第5段階(8月中旬~):ウクライナの反攻(ハルキウ州、ヘルソン州)
ロシア・ウクライナ戦争の推移
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 9
出典:防衛省ウェブサイト
ウクライナ軍の反攻 (2022. 9.13現在)
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FEBA
FEBA
FEBA
FEBA
FLOT
FLOT
主作戦増援戦力
反撃戦力
支作戦
第5段階以降の両軍のエンドステートは??
FEBA: Forward Edge of the Battle Area
FLOT: Forward Line of Own Troops
出典:日本安全保障戦略研究所 小川上席研究員が作成
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今後の展望
• 停戦協議
‒ 「停戦」によって軍事的な現状を政治的に固定することを受容できるか
→ クリミア、ドネツク、ルハンスクの例
‒ 「ブチャの虐殺」のような戦争犯罪をどう処理するか
‒ 第3国が何らかの仲介、介入などの役割を果たせるか
• 戦争の長期化
‒ 「まだ半年」:他の例に見る「終戦までの相場感」
‒ 戦争目的と成果の獲得程度
‒ 戦争継続能力:人、モノ、カネ、政治パワー、国民感情
• 展望
‒ ロシアの目的は、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、クリミアのロシア帰属化、ウクラ
イナの非NATO化(NATO拡大の阻止)
‒ ウクライナの目的は、ドネツク、ルハンスク、クリミアの奪還(1991年当時に回復)
‒ NATOの目的は、戦争の早期終結、国際秩序維持、ロシアの弱体化(脅威の低下)
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ロシア・ウクライナ戦争の教訓
• 国民が一丸となって祖国防衛に貢献する国民意識、体制・態勢の整備
‒ 平時から国民保護のハード、ソフトを整備:シェルターの義務化、食糧・生活物
資の備蓄、住民避難・救助・医療体制
‒ 徴兵制度、予備役制度による人員規模と練度の確保、国防教育
• サイバー防衛、情報防衛の徹底
‒ 政府、主要メディア等からの親ロシア派の排除
‒ 行政のDX化推進と国民の情報リテラシーの向上
• 諸外国からの支援の獲得
‒ 大統領、政府が前面に立った積極的情報発信
‒ 2014年からのNATOとの円滑なコミュニケーションと軍備支援
• 経済制裁の効果と影響
‒ 経済制裁の遅効性と複雑な波及効果
‒ 制裁側にも大きな負の影響
→ エネルギー需給と食料供給などへの影響からインフレが加速
2049
1949
1978
1989
2008
2020
2030
2040
2021
2027
2028
中華人民共和国建国
経済の改革開放
天安門事件
北京五輪
世界舞台での台頭
海洋進出
中華人民共和国
建国100周年
中国共産党創設100周年
中国人民解放軍創設100周年
習近平国家主席:「我々は台湾の
政治的解決を永遠には待てない」
政情安定期
出典:日本安全保障戦略研究所
≪危機の10年≫
台湾に対する軍事侵攻の可能性
第14次5か年計画(2021-25)
2035
北京冬季五輪
5中全会長期化目標:社会主義
現代化の基本実現
第2章 台湾への武力侵攻はあるか
2012
習近平を共産党総書記に選出
2022
習近平を共産党総書記に選出(3期目)?
習近平を共産党総書記に選出(4期目)?
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中国の「核心的利益」
1. 国家主権と領土保全(国家主権和領土完整)
① 台湾問題
② 一つの中国原則
③ チベット独立運動問題
④ 東トルキスタン独立運動問題
⑤ 南シナ海問題(九段線・南海諸島)
⑥ 尖閣諸島問題
2. 国家の基本制度と安全の維持(維護基本制度和
国家安全)
3. 経済社会の持続的で安定した発展(経済社会的
持続穏定発展)
(米中戦略対話(2009))
中国の南シナ海支配:点から線、線から面へ
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 15
第1条 「台独」分裂勢力(「台湾独立」をめざす分裂勢力)が国家を分裂させるのに反対し、
これを阻止し、祖国平和統一を促進し、台湾海峡地域の平和・安定を守り、国家の主権および領
土保全を守り、中華民族の根本的利益を守るため、憲法に基づいて、この法律を制定する
第6条 国は次の各号に掲げる措置を講じて、台湾海峡地域の平和・安定を守り、両岸関係を発
展させる。
1. 両岸の人的往来を奨励、推進し、理解を増進し、相互信頼を強める。
2. 両岸の経済交流と協力を奨励、推進し直接通信・通航・通商によって、両岸の経済関係
を密接にし、相互利益・互恵をはかる。
3. 両岸の教育、科学技術、文化、衛生、スポーツ交流を奨励、推進し、中華文化の優れた
伝統を共同で発揚する。
4. 両岸の犯罪共同取り締まりを奨励し、推進する。
5. 台湾海峡地域の平和・安定の維持および両岸関係の発展に有益なその他の活動を奨励
し、推進する。
第8条 「台独」分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ台湾を中国から切り離す事実を
つくり、台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能
性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全
を守ることができる。
中国の反国家分裂法(2005年)(抜粋)
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 16
武力統一に関する両岸の非対称な特質
・地政学的条件
・戦争目的または戦略目標
・政治体制と社会の特質
・兵器体系
・非正規戦
・核戦力
第3次台湾海峡危機の教訓
・海上・航空優勢獲得能力
・大規模兵力の機動能力
・米軍の介入態様とスピード
 「砂漠の嵐」作戦 イラクのクウェート占領から、米軍の軍事反攻(航空攻撃)開始まで6ケ月、航空
攻撃1ケ月、地上戦約1週間で停戦(クウェート奪回成功)
 沖縄戦(台湾の1/30の面積) 米側が地上兵力約28万人、防御する日本は兵員約10万人、全島攻略まで
に約3か月
統一戦略
 統一戦線工作(情報工作、懐柔と脅迫→親中勢力
の拡大)
 台湾独立の阻止(国際的な孤立化、軍事的圧力)
 国際社会の介入に対するけん制(「一つの中国」
原則)
 武力侵攻に向けた軍事力準備
邱国正台湾国防部長:「2025年にも本格的な侵攻実
施が可能になる」(2021.10.6立法院で)
両岸統一の特質と中国の統一戦略
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 17
今日の軍事力による武力侵攻の成算
・要時・要域の海上・航空優勢獲得能力は中国側に
・大量の兵員輸送・機動能力:小型船依存(海上民兵) ➡ 大型揚陸艦の整備(6隻目建造中)
・3ケ月以上の地上戦を支える渡海後方支援能力は民間船の徴用を準備
・米軍介入拒否の成算
 A2/AD能力で沖縄やグアムを先制攻撃すれば日米との全面戦争に突入
 「3日で占領」できれば米軍の介入は困難
 クリミア型のハイブリッド侵攻(台湾内の統一派を扇動)は有望
・台湾本島での地上戦の成算
 台湾と沖縄戦の違いは国の統治機構を島内に内包している点
 台湾政府と台湾軍が後方に避退して抵抗を継続 ⇔ 中国は台北から統一を宣言
 中国は迅速に新統治機構を確立、台湾政府を非合法化して統治権を奪取へ
・中国軍は台北の防御を固め、航空優勢と海上優勢を維持してA2/AD能力によって米軍
の来援を拒否できると考えるかもしれない。
・現在の軍事力造成ペースから見ると、遠くない将来に軍事力の使用を躊躇する必要がない
ほどのパワーを持つことが予想される。
中国の武力侵攻の成算
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 18
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 19
中国機の台湾ADIZ内飛行機数(2021年9月-2022年8月)
戦闘機×18機が夜間飛行
0
10
20
30
40
50
60
70
2021/9/1
7
12
19
25
30
5
19
25
31
6
11
16
21
26
12/1
7
13
19
28
2
8
14
20
28
6
14
24
3/1
10
17
31
6
12
21
27
5
10
18
25
6/2
16
22
29
11
18
23
28
3
8
13
機数
戦闘機 爆撃機 その他 出典:台湾国防部
出典:CSIS
ペロシ議長の訪台(8/2-3)に伴う中国の示威行動(8/4)
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 20
孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全するを上となし、国を破るはこれに次ぐ。軍を全う
するを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次
ぐ。卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上となし、伍を破
るはこれに次ぐ。この故に百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈す
るは善の善なるものなり。
故に上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。
(中略) 故に善く兵を用うる者は、人の兵を屈するに、戦うに非ず。人の城を抜くに、
攻むるに非ず。人の国を毀るに、久しきに非ず。必ず全をもって天下に争う。故に兵頓れ
ずして利全かるべし。これ謀攻の法なり。
故に用兵の法、十なれば、則ちこれを囲み、五なれば、則ちこれを攻め、倍すれば、則
ちこれを分かち、 敵すれば、則能ちこれと戦い、少なければ、則能ちよくこれを逃れ、若
かざれば、則能ちよくこれを避く。故に小敵の堅は大敵の禽なり。
(以下略)
中国が戦争に訴える場合とは-孫子「謀攻篇」
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 21
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 22
ロシア・ウクライナ戦争が台湾情勢に及ぼす影響
• 欧州におけるNATO-ロシア対立の先鋭化とインド太平洋における米中対立の先鋭化
‒ 中ロ関係の緊密化:政治外交、経済制裁の緩和、サプライチェーンの補完
‒ 欧州方面とインド太平洋方面の連動
• 中国による現状変更へのチャレンジ拡大
‒ 台湾への軍事的圧力増大、台湾国民への威嚇のエスカレーション
‒ 大陸で活動する台湾企業の取込み/排除加速
‒ 米国の2正面作戦に対する能力の限界 → 日本の役割増大
• ウクライナ侵攻の成否によっては台湾武力侵攻のハードルが低下
‒ 戦争長期化がロシア、ウクライナの内政に及ぼす影響
‒ 国際社会の目が欧州に集中 → 台湾が空白スポットになる可能性
‒ 米国のウクライナ支援と台湾支援がひっ迫化
23
第3章 日本の安全保障戦略
「リムランド」:ランドパワーとシー
パワーがせめぎ合う「不安定の孤」 「自由と繁栄の孤」に
マハンの「シーパワー理論」
• 「大陸国家」かつ「海洋国家」にはなり得ない
• 海洋を制するもの(シーパワー)が世界を制す
「FOIP」 「自由で開かれたインド太平洋」
「QUAD」
図の出典:ニコラス・スパイクマン「平和の地政学」芙蓉書房
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved
24
日本の国家安全保障戦略(2013.12)
① 我が国の能力・役割の強化・拡大
② 日米同盟の強化
③ 国際社会の平和と安全のためのパートナーとの外交・安全保障協力の強化
④ 国際社会の平和と安定のための国際的努力への積極的関与
⑤ 地球規模課題解決のための普遍的価値を通じた協力の強化
⑥ 国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解促進
*「我が国の能力・役割の強化・拡大」とは;
・ 安定した国際環境創出のための外交力の強化
・ 我が国を守りゆく総合的な防衛体制の構築
・ 領域保全に関する取組みの強化
・ 海洋安全保障の確保
・ サイバーセキュリティの強化
・ 国際テロ対策強化
・ 情報機能の強化
・ 防衛装備・技術協力
・ 宇宙空間の安定的利用、安全保障分野での活用
・ 技術力の強化
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 25
ロシア・ウクライナ戦争の教訓(国家/戦略)レベル
• 国民が一丸となって祖国防衛に貢献する国民意識、体制・態勢の整備
‒ 平時から国民保護のハード、ソフトを整備:シェルターの義務化、食糧・生活物
資の備蓄、住民避難・救助・医療体制
‒ 徴兵制度、予備役制度による人員規模と練度の確保、国防教育
• サイバー防衛、情報防衛の徹底
‒ 政府、主要メディア等からの親ロシア派の排除
‒ 行政のDX化推進と国民の情報リテラシーの向上
• 諸外国からの支援の獲得
‒ 大統領、政府が前面に立った積極的情報発信
‒ 2014年からのNATOとの円滑なコミュニケーションと軍備支援
• 経済制裁の効果と影響
‒ 経済制裁の遅効性と複雑な波及効果
‒ 制裁側にも大きな負の影響
→ エネルギー需給と食料供給などへの影響からインフレが加速
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 26
ロシア・ウクライナ戦争の教訓(軍事力/戦術レベル)
• 欠落のない重層的かつバランスのとれた装備体系が重要
‒ 強じんでサステナブルな各軍種の打撃能力ミックス
‒ 高い費用対効果、新旧技術ミックス、積極的運用実験
• 統合/共同オールドメイン指揮統制プラットフォームが必要
• 防衛生産・技術基盤の強じん化-他国に頼らない体制は可能なのか
‒ 1週間で「弾がない、油がない、人がいない」では戦いにならず
‒ 平時の防衛生産基盤を、有事に迅速に規模拡張するにはどうするか
• 諸外国からいかに支援を獲得すべきか
‒ 装備支援、後方支援を可能にする「NATO標準」のような標準化
‒ DOTMLPF*の標準化
• 国民を守りながら・・・いかに戦うか
‒ ウクライナにはドンバスで戦った退役軍人が40万人存在
‒ 国民の意識と訓練が不可欠 → 大規模災害の経験が有用だが・・・
*Doctrine, Organization, Training, Materiel, Leadership and Education, Personnel and Facilities
防衛計画の大綱(2018.12)
防衛力の役割
• 平時からグレーゾーンの事態への対応
• 島嶼部を含む我が国に対する攻撃への対応
• 宇宙・サイバー・電磁波領域での対応
• 大規模災害等への対応
• 日米同盟に基づく米国との共同
• 安全保障協力の推進
総合的な防衛体制の構築
• 政府地方公共団体、民間団体等一体の取組;宇宙、サイバー、電磁波、海洋、科学技術分野
• 政策手段の体系的組合せと戦略的なコミュニケーション
我が国の防衛力の強化-多次元統合防衛力
• 主体的・自主的な強化
• 全領域の融合による領域横断で個別領域の劣勢を克服
• 全段階の活動の持続性・強靱性を支える能力の質と量の強化
• 前大綱の「統合機動防衛力」の方向性を深化;全領域の能力を有機的に融合
©2022 Osamu Onoda All Rights Researved 27
防衛計画の大綱(2018.12)
日米安全保障体制
• 抑止力及び対処力の強化
• 情報共有の強化と実効的・円滑な調整
• 各種の運用協力及び政策調整の深化
‒ 宇宙やサイバー等の領域における協力
‒ 総合ミサイル防衛
‒ 共同訓練・演習等
ロシア・ウクライナ戦争の教訓、台湾有事を踏まえた問題意識は、かなり書き込まれて
はいるが実現していない・・・さらなる工夫と意識改革が必要
• 政府一体の取組み
• 既存の防衛力整備計画に囚われない柔軟な発想や運用実験
• 米国以外の装備品の有用性に着目
• 台湾政府、台湾軍との協議
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ご清聴ありがとうございました
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