学生の若手アトツギに向け家業に入る前の心構えについて纏めました。 1.仕事とは 1.1.顧客の認識 1.2.組織の認識 1.3.給与の認識 2.家業に入るとは 2.1.業務の制限 2.2.私事の制限 2.3.関係の制限 3.家業での姿勢 3.1.課題解決の姿勢 3.2.家業理解の姿勢 3.3.家業逸脱の姿勢

1. 若手アトツギ向け
家業に入る前の心構え
（学生向け）
2021年4月24日
中本 卓利（Nakamoto Takuto）
一般社団法人ベンチャー型事業承継 エヴァンジェリスト

2. はじめに

3. 家業前提
本スライドは事業承継を視野に入れている学生の若手アトツギに向け、一
般企業を経ずに家業に入るとはどういうことかを簡潔に説明するものである。
企業勤めから家業へ 新卒から家業へ

4. 補足
もちろん家業の文化や親子関係などは家ごとに様々なため、本スライドは
全ての若手アトツギに当てはまるものではない。あくまで家業に入る際の心
構えのヒントを得る一つの参考資料としてお読みいただければ幸いだ。
資料は正解 資料は参考

5. スライドの進め方
以上の前提に基づき、本スライドは以下のように進める。
仕事とは 家業に入るとは
1 2
家業での姿勢
3
そもそも仕事とは何か。ただ職場で
指示された作業を繰り返す所作と
何が違うのかについて説明する。
家業に入るとは何か。家業の特徴
を踏まえた上で、一般企業への就
職と何が違うのかについて説明する。
家業に新卒で入った暁にはどのよう
な姿勢で仕事に臨むべきなのか。
持つべき在り方について説明する。

6. 仕事とは
1

7. 若手アトツギが
陥りやすいミス①
仕事とは決められた
作業をこなすことである

8. 若手アトツギが
心掛けるべきこと①
仕事とは課題解決に至る
一連のプロセスである

9. 仕事とは
仕事とは、顧客の課題を解決する一連のプロセスである。もし仮に職場で
上司の手助けを請け負っていたとしても、上司が相対峙している顧客の課
題解決の手助けを間接的に担っていることに他ならない。
上司の手助け
若手アトツギ 上司 顧客
顧客の手助け
＝

10. 課題とは
https://www.slideshare.net/TakutoNakamoto/ss-244762788
課題とは、顧客が対価を支払ってでも解決したいと願う痛みである。事業
は課題に対する解決策の提供である。課題の全体像については「若手アト
ツギ向け新規事業の起点となる課題概論」をご参考いただければ幸いだ。

11. 仕事の要素
顧客の課題を解決する仕事を遂行する上で関わる要素は様々あるものの、
外してはならない三つの大きな認識がある。
組織の認識
顧客の認識 給与の認識

12. 1.1 顧客の認識
顧客とは、事業の課題を解決したいと考え、個人や法人に対価を支払い
仕事を依頼する存在である。お付き合いでお仕事を自社に発注していただ
けるケースもあるものの、基本的には顧客の課題解決に他社よりも貢献で
きると認められた結果としてお仕事をいただける。
自社 顧客

13. 1.2 組織の認識
組織とは、顧客の課題解決のために組成されたチームである。付き合う顧
客の属性によって集めるべき人員特性が変わるため、業界業種毎に大きく
組織風土が異なる。風土に沿わない人物は異端児として反発される力学
が働くことを忘れてはならない。
自社
組織 顧客

14. 1.3 給与の認識
給与とは、顧客の課題解決への貢献に応じて社員に支払われる対価で
ある。給与体系次第では貢献と給与が相関しない組織も稀に存在するも
のの、基本的には貢献度合いが給与を決める。ちなみに貢献と給与には
時差があり、昨年に貢献した分が翌年に反映されることも少なくない。
自社
組織 顧客
社員

15. 補足
仕事は課題解決であるものの、組織の中には仕事は作業と捉えて働く方
がいるのも現実である。仕事に対して誤った認識を持つ方が組織に増える
と家業改善が進まず業績低下も起こり得るため、家業に入った暁には率
先して課題解決に臨み背中を見せることが重要である。
仕事理解なし 仕事理解あり
組織

16. 整理
仕事は対価を支払ってでも課題を解決したい顧客の存在が前提にある。
その顧客の課題を解決すべく組まれたチームが組織であり、その課題解決
への貢献度合いで決まるのが給与と働き始める前に認識を合わせておこう。
組織の認識
顧客の認識 給与の認識

17. 家業に入るとは
2

18. 若手アトツギが
陥りやすいミス②
家業に入るとは
一般企業への就職と同じである

19. 若手アトツギが
心掛けるべきこと②
家業に入るとは
経営参画を見据えた就職である

20. 家業に入るとは
家業に入るとは、将来的に経営陣に加わることを前提にした就職である。
ただ一般企業への就職と異なり、親族が共に事業に携わるため様々な制
限が生まれやすい。
私事の制限
業務の制限 関係の制限

21. 2.1 業務の制限
家業に入ると業務の自由度がないケースが多い。先代アトツギ（親）の
教育方針で、家業全体を理解させ将来の経営に役立たせようと様々な業
務の掛け持ち、また現場の下積みに回されることも少なくない。
若手アトツギ
業務指示
業務の制限
先代アトツギ

22. 2.2 私事の制限
家業に入るとプライベートの自由度がないケースが多い。先代アトツギ
（親）から公私混同の連絡が届くことはもちろん、親と生活を共にすると業
務時間外さえお構いなしに仕事の話となることも少なくない。
若手アトツギ
公私混同
私事の制限
先代アトツギ

23. 2.3 関係の制限
家業に入ると人間関係が家業に規定されるケースが多い。職場の古参社
員のみならず、販売先や仕入先、果ては地元の業界団体や経営者の集
いまで好む好まないに関わらず付き合わされることも少なくない。
若手アトツギ
関係強制
関係の制限
先代アトツギ

24. 補足
家業に入ると二度と他の仕事に就けないというのは思い込みである。事
業承継前（株取得前）であれば法的な立場は他の従業員と変わりなく、
家業と一生を添い遂げる義務はない。故に家業を継ぐべきか否かを確かめ
るために新卒で入るのも一手である。
新卒から家業へ 家業から転職を

25. 整理
家業に入るとは、三つの制限が生まれやすい職場への就職と同義である。
先代アトツギ（親）からは事業承継を期待されているものの、家業を終の
住処と重く捉えて無理をする必要はない。
私事の制限
業務の制限 関係の制限

26. 家業での姿勢
3

27. 若手アトツギが
陥りやすいミス③
先代に指示されたことを
ひたすらやる

28. 若手アトツギが
心掛けるべきこと③
出来る限り早く
自ら考え動く

29. 家業での姿勢とは
家業で新卒で入った暁に「先代に言われたことに従うのが仕事」との思い
込みを持ってしまってはならない。自ら課題を発見し解決する姿勢、家業
を理解する姿勢、家業の枠に囚われない姿勢を身に着ける必要がある。
課題解決の姿勢 家業逸脱の姿勢
家業理解の姿勢

30. 3.1 課題解決の姿勢
課題解決の姿勢とは、自ら課題を発見して自ら解決策を編み出す姿勢
である。顧客のみならず自社の課題を発掘し、また課題を挙げて理想論を
振りかざすのみならず、解決に至る道筋を自ら作り出す在り方である。
課題 解決策
若手アトツギ

31. 3.1.1 課題解決の姿勢の深め方
課題解決の姿勢を育む方法の一つに、家業の存在目的と日々の業務の
紐付けがある。家業が社会に対してどのような役割を持っているのかを理解
した上で、自身が手掛ける日々の仕事を意味付けすることにより、既存の
業務が目的遂行に最適か否かを問う姿勢が養われる。
仕事の意味付け
若手アトツギ

32. 3.2 家業理解の姿勢
家業理解の姿勢とは、家業が世に継続して存続できている背景を紐解く
姿勢である。他社に容易に真似されない自社の経営資源といった家業内
部のみならず、産業構造の変化や取引先の経営状況といった家業外部ま
で含め、家業を取り巻く一連のものを把握する在り方である。
家業内部 家業外部
若手アトツギ

33. 3.2.1 家業理解の姿勢の深め方
家業理解の姿勢を深める方法の一つに、家業への問い掛けがある。家業
に掛け合わせて新しい価値を生むものはなんだろう？どんなスキルを身に付
けると家業で活かせそうだろう？もし自分が後を継いだらどんな会社にする
だろう？と様々な問いを立てることで気付き学びを得ることが出来る。
家業への問い
若手アトツギ

34. 3.3 家業逸脱の姿勢
家業逸脱の姿勢とは、既存の家業を是とせず未来の家業に必要な変化
変革の種を集める姿勢である。家業から遠く離れた人々との出会いや、家
業とは関係のない領域の学びまで、世界と幅広く接点を持つ在り方である。
未知の出会い 未知の学び
若手アトツギ

35. 3.3.1 家業逸脱の姿勢の深め方
家業逸脱の姿勢の深め方の一つに、業界を横断した若手アトツギとの交
流がある。他の若手アトツギの体験談を聞き学ぶことで家業外の動向を掴
むと共に、家業の常識は世界の非常識であると気付くことができる。
若手アトツギ アトツギとの交流
アトツギU34 https://u34.jp/

36. 補足
学ぶ姿勢も重要ではあるものの、経営論を若くして詰め込む必要はない。
もし仮に机上の空論ばかりを振りかざし、泥臭く現場で取り組むことがなけ
れば誰も味方に付くことはない。知識と異なり年老いてからでは得難い仕事
に対する姿勢だからこそ、早く家業と向き合い実践の中で磨くべきである。
空論 実践
若手アトツギ

37. 整理
指示されたことを行えば仕事は完了との姿勢は身に着けてはならない。
自ら課題を発見し解決する姿勢、いずれ継ぐ家業を理解する姿勢、既存
の家業の枠に囚われない姿勢こそが家業の更なる発展を成し遂げる。
課題解決の姿勢 家業逸脱の姿勢
家業理解の姿勢

38. まとめ
若手アトツギ向け
家業に入る前の心構え
（学生向け）

39. まとめ
若手アトツギが新卒で家業に入る上で外せない三つのポイント
①仕事とは顧客の課題を組織で解決し対価を得る一連のプロセスである。
②家業に入るとは三つの制限が課され易い職場への就職と同義である。
③家業で持つべき姿勢は家業の改善に役立つ自主自律の在り方である。
仕事とは
家業に入るとは
1
2
家業で持つべき姿勢
3
顧客の認識 組織の認識 給与の認識
家業理解の姿勢
課題解決の姿勢 家業逸脱の姿勢
私事の制限
業務の制限 関係の制限

40. 最後に

41. 若手アトツギが
陥りやすいミス④
家業に入るとは
先代の意向に沿うことである

42. 若手アトツギが
心掛けるべきこと④
家業に入るとは
自身の意思に従うことである