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経産省からスタートアップにレンタル移籍して

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経産省からスタートアップにレンタル移籍して

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2019年9月から2020年3月にかけ、株式会社VALUというスタートアップに経済産業省からレンタル移籍(後述)していました。
そこで感じた、スタートアップと行政とのギャップを埋めるためのあれこれを、簡単ながらまとめています。

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経産省からスタートアップにレンタル移籍して

  1. 1. 経産省からスタートアップにレンタル移籍したら、 移籍先のサービスが途中で終了したけれども、 学びが深かったのでまとめてみた。 ※この資料は個人の見解であり、所属組織とは関係ありません
  2. 2. 自己紹介  田口 周平(Facebook: Shuhei Taguchi twitter: @TaroTaro910 )  1992年2月25日生まれ  埼玉県立浦和高校→浪人→東京大学法学部  2015年経済産業省入省 - 1-2年目:資源エネルギー庁原子力政策課(原発再稼働) - 3年目 :商務情報政策局総務課(クラウド利用促進) - 4年目 :大臣官房総務課(省内全体統括・災害対応) - 5年目 :株式会社VALUにレンタル移籍(2020年3月末まで)  2020年4月からは、中小企業庁金融課(コロナ対応含めた中小企業の資金繰り支 援など、デッドファイナンスを担当させていただいている課)に戻ります  趣味はサウナ(5年前から。ホームサウナはサウナセンター) 1
  3. 3. このスライドを読んだら分かること  2019年9月から2020年3月にかけ、株式会社VALUというスタートアップに経済産業省からレンタル移籍 (後述)していました。  移籍前は「スタートアップキラキラ感」がありましたが、実際はハードシングスだらけでした。また、 スタートアップによる行政(特に規制)に対する理解が必ずしも十分ではないことを感じました。  こうした、役所とスタートアップとの間にある理解のギャップを少しでも埋められればと思い、以下の 点について簡単にまとめています。 2 主に行政の人向け 主にスタートアップの人向け  そもそもスタートアップとは何か  スタートアップと仕事をするときに気をつ けると良いこと  スピード感  コミュニケーション量  資料の分かりやすさ、活用しやすさ  そもそも規制とは何か  規制を確認したい場合  現行規制の確認  規制の改正動向の確認  グレーゾーン解消制度・ノンアクショ ンレター ※本来はこの先に、どうやって規制に対応するか、どうやって規制 を変えていくか(ロビーイングしていくか)という論点があります が、私自身にその経験がないこともあり、資料には記載しません
  4. 4. ① レンタル移籍とは ②(主に行政の人向け) スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと ③(主にスタートアップの人向け) 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 3
  5. 5. ① 「レンタル移籍」とは? 〜 制度について 〜  株式会社ローンディールが提供するサービスです。  大手・中堅企業からベンチャー企業に、出向・研修の一環として一時移籍するこ とで、事業の立ち上げなどの経験を積み、自社に還元することを狙っています。  移籍候補者はローンディールに登録している300以上のベンチャー企業から、移 籍先の企業を決定します。 4https://loandeal.jp/
  6. 6. ① 「レンタル移籍」とは? 〜 VALUについて 〜  2017年5月にローンチしたサービスです。  SNS連携で個人の価値(時価評価)を算出し、それをもとにトークン(VALU)の発 行をすることを可能にしています。他人のトークンをBTC(ビットコイン)で売買 することも可能です。  自分のトークンを購入してくれた人に対しては、優待を設定することも可能です。 5
  7. 7. ① 「レンタル移籍」とは? 〜 VALUについて 〜  2020年3月末をもって、サービ スは終了しました(ご利用いただい ていた方におかれましては、申し訳ござい ませんでした)。  サービス終了の直接の理由は、 2020年春に施行予定の改正資金 決済法で、暗号資産に関する追 加規制が課されるためです(もち ろん、その規制対応を乗り越えるに足るだ けのマーケット創出ができていなかったの で、金融庁に対する負の感情は一切ありま せん)。 6
  8. 8. ① 「レンタル移籍」とは? 〜 私が何をしたか 〜  私は2019年9月からVALUにレンタル移籍しました。  その間、主に以下の対応をしていました。  出来高創出のための施作  改正資金決済法対応のための対応  資金調達(シリーズB)やバイアウトに向けた対応  クローズに向けた対応  その他にも、ここでは書けないハードシングスだらけでした(とても良い 経験だった、ということだけは付記しておきます)。 7
  9. 9. ① レンタル移籍とは ②(主に行政の人向け) スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと ③(主にスタートアップの人向け) 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 8
  10. 10.  スタートアップに明確な定義はないですが、「新しいビジネスモデルを開発し、 ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の 一時的な集合体」(※)と考えるのが分かりやすいです。 9 スタートアップ その他の新興企業 ビジネスモデル • 新たなビジネスモデルを作り出す(破壊的 イノベーション) • 既存のビジネスモデルを継承する(持続 的イノベーション) 成長スピード • Jカーブを描く。最初は収益の目処が立た ない。 • 線形的に成長する。確実にリターンを得る。 目的 • 上場やバイアウト(買収)などによるイグ ジット。 • 長期間にわたる安定的な成長。 資金調達の方法 • エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル などからのエクイティ・ファイナンス。 • 自己資金 • 銀行などからのデッド・ファイナンス。 日本ではこの2つをまとめて「ベンチャー」と呼ぶ傾向。しかしスタートアップとその他の 新興企業は行動原理などが全く別物であることに注意。 (※) “ベンチャー企業とスタートアップの違い”. btrax. https://blog.btrax.com/jp/startup-2/, 上記の比較表は田所雅之氏のTwitterを参考に作成. https://twitter.com/TadokoroMasa/status/1119425102800539648?s=20 実際には両者の境目は曖昧であることにも注意。 ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 そもそもスタートアップとは何かを知っておく(概要) 〜
  11. 11.  スタートアップの多くは最初の数年は赤字であることが多く(※1)、資金調達を重ねながら黒字化や 売上規模の拡大を目指します(その曲線がJカーブ)。  スタートアップでは、株式を発行することで必要な資金を調達するエクイティ・ファイナンスを活用す ることが多いです(※2)。資金調達のラウンドによって、シリーズA、B、Cなどと言われています。 10 ▼ ▼ ▼ ▼ シリーズA 数億円 シリーズB 数億-数十億 円 シリーズC 数十億円 シリーズD以降 数百億円 IPO(上場) プレシード 数百万円 シード 数千万円 Cash − + シード アーリー レイター (※1)いつ黒字化するかはスタートアップによってまちまちで数年というのは一例。日本でもメルカリやマネーフォワードのように、赤字上場する企業もいる。 (※2)デッド・ファイナンス(金融機関などからの負債による資金調達)を活用するスタートアップももちろんいる。直近ではビザスクがその一例。 ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 そもそもスタートアップとは何かを知っておく(資金) 〜
  12. 12. ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 スピード感のあるレスポンス〜  例えば、シリーズAで2.5億円を調達したスタートアップを想定します。  従業員は20人でオフィスも拡大。人件費、家賃、広告宣伝費などの諸経費で毎月2000万円のコスト がかかります。  一方で、まだ利益は毎月500万円しかありません。  その場合、差し引き毎月1500万円の資金が燃焼していることになります(これをネット・バーン レートと呼びます)。  このスタートアップは、2.5億円÷1500万円=16.6ヶ月=約67週間で資金がショートします。それまで に実績を積み上げ、次の資金調達を乗り切らなければいけません。 11 スタートアップは次の資金調達のステージに進むために、日々Dead or Aliveの 戦いをしているので、何事にも早めに答えていたけるとありがたいです (これはあくまで一例ですが)  決済権限をなるべく現場に下ろす  相談があった時、日程調整だけは早くやる(役所の内部で検討しているために、何の連絡もないのが一番困る)  綺麗な資料を作る前に、メールやメッセージなどで概要を伝える (そのために、例えば)
  13. 13.  役所とスタートアップには、その行動原理や時間軸、普段使っている言葉や組織文化な どに大きな差があることも少なくありません。  だからこそ、お互いのコミュニケーションの量を増やすことが大切です。  そのために、たとえば以下のような対応が考えられます。 12 ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 コミュニケーションの量を増やす 〜 やりがちなこと やると良いこと 日常的な連絡 大人数の コミュニケーション 打ち合わせ 資料の共有・修正 メールで連絡する (連絡に時間がかかる) Facebook MessengerやLINEも活用 (リアルタイムな連絡を取ることが可能) メーリングリストを使う (違うテーマの話を持ち込めない、検索性低い) Slackやteams等のビジネスチャットを活用 (複数のチャンネルで複数テーマを扱える) Face to faceが原則 (打ち合わせ場所に行くのにも時間がかかる) Zoomなどのビデオ会議SaaSを活用 (役所しか使っていないようなテレビ会議システムはもちろんNG) WordやExcel をメールに添付して送る (修正する場合は見え消しや赤字にする) Googleドキュメントやスプレッドシートで同時編集 (随時更新と修正ができるように) (注意)上記の対応はどちらか一方が良い、という訳ではありません。メールの方がいいこともあるし、対面の方が良いこともあるので使い分けが重要です。 また、組織内のルール等によってSaaSアプリが使えないこともあるので注意ください(これはセキュリティ上問題ない範囲で変えていきたい)
  14. 14.  各種法令やガイドラインなどに関する資料は、なかなか理解しにくいです(行政官の多くがコード を読めないように、エンジニアの多くが法令用語を読めません)。HPなどで本体資料と概要資料を 公表する際、特に概要資料は分かりやすい平易な言葉で作っていただけるとありがたいです。  またデータなどを公表する際には、紙で印刷することを前提にしたPDFファイルだけでなく、機械 判読可能なフォーマットで公表いただけるとありがたいです。 13 ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 資料の分かりやすさ・活用しやすさ 〜 <良い例> • IT室・総務省・経産省と産業界・ Civic Tech団体が協力して、新型コロナウイル ス感染症対策に対応した企業による支援 情報などののデータを標準化し、公開す る「#民間支援情報ナビ」プロジェクト の公開データ。スプレッドシートで公開 されている。 • このデータを元に、Code for Japanが公 開サイトを提供。 • こういった表をPDFの形にして公開する ケースがありますが、やめましょう。
  15. 15.  政策の影響力の大きさを忘れない  例えばVALUクローズの直接的な要因の一つは、改正資金決済法による暗号資産関連の追加規制です(もちろん、その規制対応を乗 り越えるに足るだけのマーケット創出ができていなかったので、金融庁に対する負の感情は一切ありません)。  法規制に限らず、例えば委託調査のデータも、創業時・資金調達時のピッチ資料で重宝されることは多いです。  当たり前ですが、推進策にしても規制策にしても、自分たちの政策1つで生き死にが分かれるスタートアップ(フリーランス の方も)がいることは念頭におくべきかと思います。  役所の外に出る  霞ヶ関はじめ役所の中にいるだけでは井の中の蛙です。普段の仕事で接点を持たない人と、積極的に交流した方が良いと思い ます。  ランチや会食はもちろん、Peatixなどで見つけた外部イベントや、許される範囲での副業など、手法は様々あります。  人材の流動化  役所内のキャリアだけで得られる経験や知識には当然限界があります(良い悪いではなくどんな業界でもそうだと思いますが)。  今でも霞ヶ関は出向者の方々に支えられている側面はありますが、中途採用や出戻り(一度霞ヶ関を辞めてからまた戻る)を さらに増やしていくべきかと思います。  すでにいくつかの省庁で中途採用が活発化していますが、暗黙知の「霞ヶ関特有の文化」によって中途採用の方々が妨げられ ないよう、業務のマニュアル化や効率化を進めていきたいところです。 14 ②スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと 〜 その他 〜
  16. 16. ① レンタル移籍とは ②(主に行政の人向け) スタートアップと仕事をする上で気をつけると良いこと ③(主にスタートアップの人向け) 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 15
  17. 17. ③ 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 〜 そもそも規制とは何なのか 〜 16  「規制」とは一般に、国や地方公共団体が、企業などに対して、特定の政策目的のために、関 与・介入することを指します。手段としては、許認可(免許、許可、認可、登録、届出)や行 政指導などがあります(※)。  規制には普通その根拠となる法令等があります。そしてその法令の解釈を示すガイドラインな どがある場合もあります。 名称 概要 例(暗号資産関連の一部) 法律 • 国会の議決により制定する。 • 資金決済法 • 金融商品取引法 政令 • 内閣が制定する。 • 法律の実施に必要な事項や法律が委任し た事項が定められている。 • 資金決済法に関する法律施行令 省令 • 各省の大臣が制定する。 • 法律や政令の実施に必要な事項や、それ らが委任した事項が定められる。 • 仮装通貨交換業者に関する内閣府令 など 告示 • 各省の大臣が、必要な事項を広く公示す る。 • 仮想通貨交換業者に関する内閣府令第二十三条第一項に規定する金融庁長官の 指定する規則を定める件の一部を改正する件 • 暗号資産信用取引に係る暗号資産リスク想定比率の算出方法を定める件 など ガイドライン • 法令の運用基準などを示す。 • 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 16 仮想通貨交換業者関係) • 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 など 法令 (※)規制の定義は、第2次臨時行政改革推進審議会「公的規制の緩和等に関する答申」(昭和63年12月1日)を参考。
  18. 18. ③ 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 〜 現行規制の確認 〜  法令の条文を読むのが最も正確ですが、難解なことも多いです。  そういう時は、調べたい法令が載っている各府省庁のホームページにアクセスすると、 スライドでまとまっている概要資料がある場合も多いです(下図参照)。  また、弁護士事務所やシンクタンクが、ニュースレターなどの形で解説資料を公開して いる場合もあります。  さらに詳しく確認したい時は、コンメンタール(逐条解説。各条文の意義などについて 解説を付した書籍)を確認すると良いです。 17 • 例えば、割賦販売法(クレジットカー ド関連の規制)に関する経済産業省の HP。 • 赤枠部分に、当該法律の概要資料が掲 載されている。
  19. 19. ③ 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 〜 規制の改正動向の確認 〜  規制の根拠となる法令が改正される場合、その改正案の策定に向けて各府省庁の 審議会で議論がされることが多いです。  審議会は、分科会や委員会、ワーキンググループなど、役割や設置根拠によって 異なる名称を持ちます(※)。  いずれにしても、各府省庁の審議会で公表されている資料を確認することで、規 制の改正動向を確認することができます。 18 (※)法令上、審議会等と呼称されるのは、内閣府設置法第37条、第54条、国家行政組織法第八条に基づいて各行政機関に設置されるものを言います。法令に基づかない懇 談会や研究会などは、法令上は審議会等に含まれません。 • 例えばFintech 関連では資金移動業の規制緩和や 金融サービス仲介業の創設が、2020年1月ごろ からよく報じられるようになりました。 • しかし議論は、金融制度スタディ・グループ (2018年9月から)や決済法制及び金融サービ ス仲介法制に関するワーキング・グループ (2019年10月から)で行われていました。
  20. 20. ③ 規制の確認をする上で知っておくと良いこと 〜 グレーゾーン解消制度・ノンアクションレターについて 〜  新たな事業を展開するにあたり、その適法性を確認するための手段として、グレー ゾーン解消制度とノンアクションレターの2つがあります。  以下に概要を記載しますが、すでに多くのサイトなどで詳細な解説がなされている ので、ぜひお調べください。 19 グレーゾーン解消制度 ノンアクションレター 概要 • 新しく事業を展開するときに、現行規制による適法性を確認することが出来る。 • 原則、いずれも1ヶ月以内に回答を得ることができる。 対象法令 • 照会できる法令に限定がない。 • 照会できる法令が限定されている(対象になって いない法令による規制の対象になるかは確認でき ない)。 照会先 • 事業を所管する省庁に照会する(事業所管 省庁から規制所管省庁に確認するため、事 業者としては心理的ハードルが低い) • 規制を所管する省庁に照会する。
  21. 21. ありがとうございました。 20

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