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大澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」

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大澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」

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日本評価学会第23回全国大会(2022年12月10-11日開催)
共通論題3:社会的インパクト評価の概念と実践
発表者3:大澤望(インパクト・マネジメント・ラボ)・新藤健太(日本社会事業大学)発表資料

<要約> 社会的インパクト・マネジメントは、取り組みが生み出す社会的インパクトを重視し、その向上を目指していくためのフレームワークである。インパクト・マネジメント・サイクルを回すことがその実践となるが、そこに組み込まれる評価の諸作業の総称が社会的インパクト評価である。社会的インパクト評価はプログラム評価の考え方に準じた体系的な検証を行うものとして設定されており、事業や戦略の実施主体及びステークホルダーの意思決定の質を向上させていくことがその重要な機能となっている。

日本評価学会第23回全国大会(2022年12月10-11日開催)
共通論題3:社会的インパクト評価の概念と実践
発表者3:大澤望(インパクト・マネジメント・ラボ)・新藤健太(日本社会事業大学)発表資料

<要約> 社会的インパクト・マネジメントは、取り組みが生み出す社会的インパクトを重視し、その向上を目指していくためのフレームワークである。インパクト・マネジメント・サイクルを回すことがその実践となるが、そこに組み込まれる評価の諸作業の総称が社会的インパクト評価である。社会的インパクト評価はプログラム評価の考え方に準じた体系的な検証を行うものとして設定されており、事業や戦略の実施主体及びステークホルダーの意思決定の質を向上させていくことがその重要な機能となっている。

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大澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」

  1. 1. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 社会的インパクト・マネジメントにおける 社会的インパクト評価の機能 Functions of Evaluation for Social Impact in Social Impact Management ⼤澤 望 (⼀社)インパクト・マネジメント・ラボ 新藤 健太 ⽇本社会事業⼤学 ⽇本評価学会第23回全国⼤会 共通論題3:社会的インパクト評価の概念と実践(2022.12.10)
  2. 2. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 1. はじめに • 社会的インパクトは「短期、⻑期の変化を含め、当該事業や活動の結果と して⽣じた社会的、環境的なアウトカム」(内閣府2016)とされている。 • 議論は社会的インパクトの評価から、社会的インパクトを実現するための マネジメントへとシフトしてきている。 • 「社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(略称:SIMI)」は 2018年に「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン」を公表。 • 本報告ではガイドラインのバージョン2の内容に基づき、SIMI版社会的イ ンパクト・マネジメントとそれにおける評価の機能を概説した上で、その 主な論点を提⽰する。 1
  3. 3. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 1. はじめに 社会的インパクト・マネジメント・ガイドラインは、社会変⾰推進財 団との業務委託契約にもとづき、SIMIの責任において制作された。 VERSION2作成メンバー • 今⽥ 克司 (株)ブルー・マーブル・ジャパン 他 • ⼤澤 望 (⼀社)インパクト・マネジメント・ラボ 他 • 新藤 健太 群⾺医療福祉⼤学 • 千葉 直紀 (株)ブルー・マーブル・ジャパン 他 VERSION1作成メンバー(主たる執筆・編集者) • 今⽥ 克司 (⼀財)CSOネットワーク • ⼤澤 望 (特活)ソーシャル・バリュー・ジャパン 他 • 川合 朋⾳ (認定特活)⽇本ファンドレイジング協会 他 • 津富 宏 静岡県⽴⼤学 • 藤⽥ 滋 (公財)⽇本財団 (所属は各バージョンのガイドライン作成時点) 2
  4. 4. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 1. はじめに • ガイドラインでは、「社会的インパクト・マネジメント」とは何か、それ をいかに実践するかを概説している。 • 多様なセクターの関係者が社会的インパクト・マネジメントをより効果的 に実践する⼀助となるように、ガイドラインは作成された。 • ガイドラインの主たる使い⼿として意図されているのは、事業者(取り組 みを実践している事業主体)である。ここで⾔う事業者には、社会的イン パクトの創出を⽬指す⼤⼩の⾮営利・営利組織が含まれている。 • また、このガイドラインを活⽤する事業者は、必要に応じて、適切な範囲 で外部⽀援を取り⼊れることが奨励されている。 3
  5. 5. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは SIMIの「社会的インパクト志向宣⾔」 私たちは、⽴場や役割の違いにかかわらず、よりよい社会をつくるために、 以下のように社会的インパクト志向で事業や活動に取り組むことを⽬指し ます。 • 社会的インパクトを重視した事業開発・改善に取り組むこと • 多様な主体で協働して取り組むこと • 事業モデルを普及させること ※社会的インパクト志向とは、「社会課題解決や社会価値創造に資する様々な取り組みに おいて、その取り組みの⽣み出す社会的インパクトを重視し、その向上を⽬指す考え⽅」 (SIMI 2020)のこと 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 4
  6. 6. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは <社会的インパクト・マネジメントの定義>(SIMI版) 事業や取り組みがもたらす変化や価値に関する情報を、各種の意思決定や 改善に継続的に活⽤することにより、社会的インパクトの向上を⽬指す体 系的な活動 ※1「社会的インパクトの向上」には、事業や取り組みによって質的・量的に表現される正 の社会的インパクトを向上させることと、負の社会的インパクトを低減させることの両⽅ が必要 ※2「各種の意思決定」は、事業や取り組みの実施、実施体制の構築と運営、資⾦提供等を 通したそれらへの⽀援などの際の意思決定を指す 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 5
  7. 7. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは <社会的インパクト・マネジメントの実践の⽬的> • 事業や取り組みがもたらす変化や価値に関する学びを得ることで、よりよ い意思決定や改善を⽣み出していくこと(意思決定と改善) • さまざまなステークホルダーが⽬的に応じて事業や取り組みの進捗状況や 社会的インパクトに関する情報を⼊⼿し、意思決定や改善のプロセスに参 加すること(参加・協働の促進) • 社会課題解決や社会価値創造を進展させ、またそのための知⾒の蓄積に貢 献すること(課題解決・価値創造への貢献) ※SIMは事業者等の活動の取り組み主体⾃⾝が、様々な関係者や専⾨家と協⼒・連携しな がら継続的に実践していくことを想定している 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 6
  8. 8. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは • SIMの実践とは、「インパクト・マネジメント・サイクル」を回し、そこ に評価の諸作業を組み込むこと。 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 • 第1ステージ:計画(Plan) • 第2ステージ:実⾏(Do) • 第3ステージ:効果の把握(Assess) • 第4ステージ:報告・活⽤(Report & Utilize) • すべてのステージを⽀える要素:組織 ⽂化・ガバナンス(Culture & Governance) 7
  9. 9. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは • ガイドラインのバージョン2では、4つのステージにおいて求められる具体 的な実践内容について、7つのステップに分けて説明している。 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 8
  10. 10. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは 内容例「Step 1: 社会的インパクト・マネジメントの⽬的設定」 組織および事業や取り組みの現状把握において確認すべきポイントの例 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 9 組織理念・⽬標 ・ 組織として、どのような理念や⽅針、⽬標を持っているか? ・ 社会的インパクト志向は、組織の理念や⽅針にマッチするか? 組織および 事業のステージ ・ 組織は現在、どのようなステージにあるか?課題は何か? ・ 社会的インパクト・マネジメントの対象となる事業は現在、どのようなステージにあるか?⽬標とそこに⾄る課題は何か? 利⽤可能資源・ 協⼒体制 ・ 利⽤可能な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は、何が、どの程度あるか? ・ 調査・分析に関する知識やスキルを組織メンバーは持っているか? ・ どのような組織内外の協⼒体制があるか? 組織⽂化・ ガバナンス ・ 組織の理念や⽅針、⽬標は、組織メンバーに浸透しているか? ・ 社会的インパクト志向について、組織メンバーは理解を⽰しているか? ・ 組織内にインパクト・マネジメントのリーダーや責任者はいるか? ・ 各ステークホルダーをどのような存在として位置付けているか? ・ 組織・事業についての意思決定の主体は誰か? ・ 評価情報を共有・報告すべき対象は誰か? 組織や事業を 取り巻く環境 ・ 事業の受益者を取り巻く状況・環境はどのようになっているか? ・ 事業のステークホルダーには、どのような⼈・組織がいるか? ・ ⾃団体と同様の受益者を対象として活動する組織はあるか? ・ 上記があるとしたら、どのようなパートナーシップや役割分担をおこなうことが全体最適か?
  11. 11. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは • インパクト・マネジメント・サイクルは、社会課題解決や社会価値創造の 進展に向けて、螺旋的に発展させていく。 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 10
  12. 12. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 2. 社会的インパクト・マネジメント(SIM)とは SIMのフレームワークとしての特徴 • SIMは、特定の事業(プログラム)の開発や評価に主眼を置くのではなく、 それらを含めた、社会課題解決や社会価値創造に向けての中⻑期的な戦略 策定を推し進めることに観点を置いている。 • 特定の事業ありきではなく、特定の社会的テーマありきで、それに係る課 題解決や価値創造の進展に向けた戦略を考えていく。 • SIMは特定のプロジェクト期間内において時限的に取り組めば⼗分なもの ではなく、継続的に取り組んでいくことが求められる。 11
  13. 13. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 <社会的インパクト評価の定義>(内閣府2016) 社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価 値判断を加えること 加えてSIMにおける社会的インパクト評価(Evaluation for Social Impact) では次の2点を求めている。 • 取り組みの有効性を体系的に調査して評価を⾏うこと • 「社会的インパクト・マネジメント原則」にしたがって評価を⾏うこと 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 12
  14. 14. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 • インパクト・マネジメント・サイクルにおける評価 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 13
  15. 15. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 • 社会的インパクト・マネジメント原則 これらの原則は、SIMの効果的な実践及びステークホルダーに対する適切な 情報提供のために留意を求めているものである。 # 原則 位置付け a ステークホルダーの参加・協働 必須 b 重要性(マテリアリティ) 必須 c 信頼性 必須 d 透明性 必須 e ⽐例性 必須 f 状況適応性 必須 g ⼀般化可能性 ⽬的次第 h 経時的⽐較可能性 ⽬的次第 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 14
  16. 16. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 • 意思決定の視点と評価の視点の例 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 15
  17. 17. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 • 意思決定の視点と評価の視点の例 「Step 3: 戦略策定・検証」の場合の例 出所:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジメント・ガイドライン Version 2」 16 意思決定の視点 評価の視点 【⽬的】 • 課題の解決や⽣み出したい社会的価値を創造するための事業 戦略を決定する。 【作業例】 1. 事業戦略の策定にロジックモデルを使うのか、セオリー・オ ブ・チェンジを使うのか、その他の⽅法を使うのかを決定す る。 2. 評価の視点から得た情報をもとに事業戦略を決定する(どの ような戦略をとるかを意思決定する)。 3. 上記をもとに「事業計画書」を作成する。 【⽬的】 • 事業戦略(例えばロジックモデル等)を作成し、それがある 程度は妥当といえるかを検証する。 【作業例】 1. ロジックモデルやセオリー・オブ・チェンジなどのツールを ⽤いて活動から成果までの関係整理や事業戦略を図⽰する。 2. 上記1で作成したものに沿ってインプット調達計画(ヒト・ モノ・カネを調達する道筋)を作成する。 3. ロジックモデルやセオリー・オブ・チェンジなどのツールに よる関係整理や事業戦略と先⾏研究の知⾒を対照させ、妥当 な内容であるかを検証する。 4. 事前調査・テストマーケティング(取り組みの試験的な実 施)を⾏い、ステークホルダーからのフィードバックを得る。 5. 上記1〜4を踏まえ、事業は実施可能か、マイナスのインパ クトを⽣まないかなどの懸念点の洗い出しを⾏い、対策を検 討する。
  18. 18. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 3. SIMにおける社会的インパクト評価の機能 • SIMではニーズ、セオリー、プロセスに関する内容を含めた体系的な検証 を評価の機能として求めている。⽬指す社会的インパクトを実現させるた めの事業開発や戦略策定及びその改善、⾒直しのためには、アウトカムに 関する検証のみならず、体系的な検証が必要であると考えているからだ。 • 事業や戦略の実施主体及びステークホルダーの意思決定の質を向上させて いくことがSIMにおける評価の重要な機能であり、そのためにプログラム 評価の考え⽅に準じた体系的な検証を求めている。 17
  19. 19. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ①社会的インパクトとその評価の解釈 • 社会的インパクトという⽤語が指す概念だが、内閣府(2016)による定 義には「当該事業や活動の結果として⽣じた」という⽂⾔が含まれるため、 「インパクト評価(Impact Evaluation)」における「介⼊(事業等)に よる純効果」としての意味への意識があると解釈できる。 • 但しSIMでは意思決定への適時性や事業等の改善のための実⽤性が重視さ れ、加えて⽐例性などに留意するため、その時々の状況や⽬的に応じて評 価デザインや⼿法は選択されることになる。 • そのため厳密なインパクトの分析を⽬的としない「業績測定 (Performance Measurement)」などのアウトカム測定・モニタリング ⼿法も選択肢の⼀つとなるだろう。 18
  20. 20. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ①社会的インパクトとその評価の解釈 • 内閣府(2016)は規模の程度や実現にかかる期間の⻑さを問わないもの として社会的インパクトを定義しているが、よりよい社会をつくることを ⽬的とする社会的インパクト志向を前提に持つSIMの性質を考えると、⽬ 指す最終アウトカムは基本的に社会・地域レベルの正のアウトカムとなる だろう。それをここでは「狭義の社会的インパクト」とする。 • SIMにおいては、最終(上位)アウトカムとしての狭義の社会的インパク トの明確化と検証が重要になる。個別事業が成果を⽣み出していたとして も、最終的に⽬指したい社会的インパクトの実現が果たされないのであれ ば、戦略の失敗となるからだ。個別事業等の評価だけでなく、それらが最 終アウトカムの実現に貢献しうるかの評価、及び戦略全体の妥当性・有効 性についての評価が求められることになる。 19
  21. 21. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ①社会的インパクトとその評価の解釈 事業A 事業B 正のアウトカム の向上 負のアウトカム の低減 事業等の効果 (広義の社会的インパクト) 最終アウトカム 社会・地域レベルの正のアウトカム (狭義の社会的インパクト) 評価対象①(個別事業等) 評価対象②(事業等及び戦略) (出所)筆者作成 20
  22. 22. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ②アウトカム評価からプログラム評価へ • 社会的インパクト評価における関⼼の中⼼はアウトカム評価にあったとい えるが、SIMでは学びと改善への役⽴ちをより重視するために、体系的に 評価を⾏うプログラム評価のアプローチを採⽤している。 • しかしそれにより、取り組みとしての簡便さやシンプルさが少なからず損 なわれることになる。 • 例えば、ステークホルダーへの情報提供が評価の主⽬的であり、相⼿が求 めるのがアウトカム指標の測定結果のみであるならば、SIMの社会的イン パクト評価は過剰な取り組みとなるだろう。そのため、学びと改善への役 ⽴ちを重視しない場合にはSIMは適さないといえるし、ステークホルダー の関⼼内容や理解の程度もその導⼊・実践に影響を与えることになる。 21
  23. 23. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ③意思決定との紐付けによる評価の⽤途の明確化 • 評価の役割は意思決定や学びのための情報を提供することにあるといえる が、その情報の活⽤を含めて考えるのがSIMの重要な特徴である。 • それは評価結果を得た後でその情報の活⽤⽅法を考えるということではな く、その時々に必要とされる意思決定や学びに資する情報を得るために評 価を⾏うということである。 • そのためSIMにおける社会的インパクト評価は、評価⼿法先⾏で考えるの ではなく、⽤途を明確にした上で、それに適する評価及び⼿法を選択、ア レンジして実施していくものとなる。 22
  24. 24. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 4. SIMにおける社会的インパクト評価の主な論点 ④体制構築と評価のキャパシティ・ビルディング • Preskill & Boyle(2008)は、評価に関する知識、スキル、態度が備わる ことを「評価のキャパシティ・ビルディング(ECB)」の⽬的・成果とし て挙げている。 • その時々の状況や⽬的に応じて妥当かつ有効な評価とその⽅法を選択し、 活⽤していくためには、それらを備えることが求められる。また、それら を備えているのが特定の⼈物のみであれば、SIMの取り組みは組織的なも のへとなりにくくなる。現場にもECBが広がらなければ改善と学びの効果 は⼗分に⽣まれないだろう。 • 評価の専⾨家の協⼒も得ながら、組織⽂化にECBを組み込むこと、そして ステークホルダーにもECBを広げていくことがSIMの継続的かつ効果的な 実践の鍵となるだろう。 23
  25. 25. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 5. おわりに • SIMはいわば「社会的インパクトについての継続的な問答を取り組みに組 み込むためのフレームワーク」である。社会的インパクト評価は結果とし てのアウトカムを評価することのみを⽬途とするものではなく、その問答 のために機能するものであるべきだろう。 • 特定の社会的インパクトの実現に資するかどうかを意思決定の判断軸とす るSIMにおいて最も重要となるのが「価値とは何か(⽬指すべき状態とは 何か)」という問いだ。それについて対象とする社会的テーマの当事者を 含む多様なステークホルダーと共に議論し続けること、考え続けることが、 SIMを取り組みの羅針盤として機能させていくためには不可⽋といえる。 • 事業の成果、良し悪しに⼀喜⼀憂するのではなく、最終的に⽬指したい社 会的インパクトの実現に向けて取り組みを進めていくためのマネジメント 及び評価の実践こそが重要になるのではないか。 24
  26. 26. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 参考⽂献 • 今⽥克司(2022)「社会的インパクト評価の系譜―マネジメント⽀援のための評価への 進化―」、『⽇本評価研究』、22(2) : 27-38 • 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2020)「社会的インパクト志向宣 ⾔」 https://simi.or.jp/social_impact/guidance • 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(2021)「社会的インパクト・マネジ メント・ガイドライン Version 2」 https://simi.or.jp/tool/practice_guide • 内閣府社会的インパクト評価検討ワーキング・グループ(2016)「社会的インパクト評 価の推進に向けて―社会的課題解決に向けた社会的インパクト評価の基本的概念と今後 の対応策について」 https://www.npo-homepage.go.jp/kaigi/kyoujo-shakai/kyoujo-shakaitoha#2803 • Preskill, H., and Boyle, B. (2008). Insights into evaluation capacity building: Motivations, strategies, outcomes, and lessons learned. Canadian Journal of Program Evaluation, 23(3), 147-174. 25
  27. 27. ⼤澤望・新藤健太(2022)「社会的インパクト・マネジメントにおける社会的インパクト評価の機能」 ご清聴ありがとうございました 26

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