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Mathematicaを用いた
旅客地域流動統計の可
視化
2020年7月16日(木)
NAOTO AGAWA
概要(目次)
 国土交通省の国内移動者数データについて
 目的: Mathematicaを用いた旅客地域流動統計の可視化
 Mathematicaグラフ描画ライブラリについて
 今後の課題
国土交通省の国内移動者数データについて
使用したraw data(旅客地域流動統計)
都道府県間の旅客移動人数を様々な移動手段(鉄道、自動車、バス、船舶、航空 等) 毎に集計した
統計データ。(DATA.GO.JPの国交省提供データより選定)
https://data.mdsc.hokudai.ac.jp/dataset/mdsc1
使用したraw data(旅客地域流動統計)
使用したraw data(旅客地域流動統計)
旅客地域流動統計の可視化
実験目的
 数値データ(エクセルデータ)から、太さと多色のグラフを使って、主要都市間の移動
者数の比較を行いたい。
 例えば、各地方(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、北陸、東海)、
首都圏、京阪神、中京圏、福岡近郊を対象に、その中での移動者数の比較を行いたい。
図(a) 中部地方の各都道府県の移動 図(b) 九州地方の各都道府県の移動
今回作成した可視化結果(次頁以降で解説)
データの抽出
↑必要な都市間のデータを抽出した表。
上図は九州地方内の各都道府県間の移動者数(単位:千人)
を表している。
↗︎矢印の向きに移動した人数を辺の上に記
して、都市名を点ラベルにした可視化。
上図は九州地方内の各都道府県間の移動者
数(単位:千人)を重みとしたグラフを表
している。
幾つかの都市間の移動者数を比較する為に指定した都市間の
データのみを抽出し、辺上に移動者数を記したグラフで可視
化した例。
完全グラフによる可視化1
移動者数の線の太さと色での可視化。
↗︎ 地図上の2地点を結んだ直線を表示した図。 上図では
「福岡-佐賀」と「佐賀-⻑崎」をそれぞれ赤線で結ん
でいる。 この他にも中部地方内のみ及び近畿地方内の
みでも行った。
↗︎ 九州地方内の移動者数の大小を表示した図。
上図は九州地方内の各都道府県間の移動者数
を線の太さ と色で順序づけており、「福岡-佐
賀」、「福岡-熊本」、 「福岡-大分」の順に
移動者数が多いことが読み取れる。 九州以外
にも関東、中部、近畿等を分析した。
グラフの頂点を地図上に配置する準備。
完全グラフによる可視化2
道内の各地域 東北地方の各地域 関東地方の各地域 中部地方の各地域
移動者数の線の太さと色での可視化。(九州以外の都市。)
完全グラフによる可視化3
移動者数の線の太さと色での可視化。 (九州以外の都市。)
グラフの頂点を地図上に配置した可視化
↗︎ 移動者数に関する大小比較結果を地図上に配置した図。 上図は、福岡県、⻑崎県、熊本県の各都道府県間の
移動者数を線の太さと色で順序づけた結果を地図上に表示している。 この図を読むと、「福岡-⻑崎」、「福岡
-熊本」、「熊本-⻑崎」の順に移動者数が多 いことがわかる。
この他にも東北地方内のみ及び近畿地方内のみでも行った。
Mathematicaグラフ描画ライブラリについて
Mathematicaとは
 Stephen wolframが1988年に考案した数式処理システム。
 微積分、可視化、画像処理などの用途に使える。
 レファレンスが豊富である: https://reference.wolfram.com/language/
 数値実験だけでなく書類作成にも使える:
指定都市間だけのグラフを作成する関数
CityGraph2
CityGraph2[array1, label1,
HokkaidoAllCity, 4]
CityGraph2[array1, label1,
HokkaidoAllCity, 1]
CityGraph2[array1, label1,
HokkaidoAllCity, 8]
CityGraph2:指定都市間だけのグラフを作
成する
道内の各地域の分析
グラフの頂点を地図上に配置する
Mathematicaソースコード
実行例(福岡と佐賀、佐賀と⻑崎、各々を赤
色の直線で結んだ)
グラフの頂点を地図上に配置する関数
VersionFourPointTwoTrianglizationConnecter
VersionFourPointTwoTrianglizationConnecter:指
定都市間だけのグラフを地図上へ配置する
福岡、⻑崎、熊本での分析のための準備。
今後の課題
今後の課題
 県名では経緯度が望み通りに取得できないので、県庁所在地のデータへ修
正する必要がある。
 その為、分析地域取得で必要となるラベルに対して、件のデータ修正が必
要である。
(次頁以降で下記について説明:)
 例1. 県名から経緯度を取得できない例とその解決法。
 例2. 県名を県庁所在地に書き換える方法。
例1. 県名から経緯度を取得できない例
とその解決法。
例2. 県名を県庁所在地に書き換える方法。
↑label1の内容。
↓label2の内容。
↑
VersionFourPointTwoTrianglizationConne
cter[array1,label2, {6,7,8}]
の実行結果。
まとめ
 使用したraw data(旅客地域流動統計;国土交通省発行の国内移動者数
データ)を用いて一地方内の人の移動の大小を表や完全グラフによって可
視化した。
 まずは、重み付き完全グラフで可視化した。
 次に、指定都市間だけのグラフを作成するコマンドを構築し、道内各地域
に対して応用した。
 更に、二地点間各々を直線で結ぶ場合のコードを構築し、北部九州地方で
応用した。
 最後に、そのコードを応用して指定都市間だけのグラフを地図上へ載せる
コードを構築し、九州地方で応用した。
 県名では経緯度が望み通りに取得できないので、県庁所在地のデータへ修
正する必要があった。

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