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自律的なチームを作るために —組織心理学・臨床心理学の応用—
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Japan Product Manager Conference 2016 の アンカンファレンスで発表させて頂いた内容です。 http://pmconf.jp/
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1.
自律的なチームを作るために —組織心理学・臨床心理学の応用— 株式会社インテリジェンス Innovation Lab.
所属 PM みらい合同会社 代表 瀬筒 貴仁
2.
自己紹介 瀬筒 貴仁 • 株式会社インテリジェンス
Innovation Lab. 所属 PM • みらい合同会社 代表 • Rails / フロントエンド / インフラ エンジニア • カウンセラー / メンタルトレーナー • 放送大学 心理と教育コース所属
3.
プロジェクト・アリストテレス Google が2012年に開始した労働改革 プロジェクト。 得意のデータ分析だけでなく、組織 心理学や社会学の専門家なども交え て、生産性の高い働き方を提案する ことが目的のプロジェクト。 今日お話するのは①の部分
4.
心理的な安心感 (psychological safety) とは? •
互いが相手の気持ちを捉え、話しやすい雰囲気をつくる • アイデアや意見、批評を気兼ねなく交換できる • 心配なくミスを報告できる環境 など。簡単に言うと「ウェルビーイング※1 」な環境。 安心な「場」についてはわかるが、 どうやったらその雰囲気を育めるのかがわからない! ※1 個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念
5.
安心な「場」を作るために 心理カウンセリング現場で 実践されていること 1. 互いが安全に自分を表現できるためのルールを作る 2. ルールの中であれば原則、何をしても自由である
6.
心理カウンセリング現場での ルール 1. 場所、時間、料金を決める • 外からの侵入に対して守られ、クライアントの自由は保障されている •
時間を区切ることによって自由を守る(例外はある) • 料金を設けることで「場」の存在を明確に設ける 2. 身体的な攻撃は行わない • 主にクライアントからカウンセラーへの身体的な攻撃を指す※1 3. お互いの肉体的接触は基本的に行わない • クライアントが幼児退行した場合など、過度なスキンシップを求める 事がある ※2 カウンセラーからクライアントへ身体的な攻撃が発生してしまうケースもあります
7.
プロダクト開発現場での ルール 1. 開発場所、開発期間、報酬を決める • 開発場所を「取り決める」 •
開発期間・労働時間に期限があることで、 メンバーの時間に対する認識が合う(残業は例外的にある) • 適切な報酬を設定することで結果にコミットしてもらう 2. 身体的な攻撃・人格攻撃は行わない • パワハラ、モラハラなど 3. お互いの肉体的接触は基本的に行わない • セクハラなど(オフィスラブは個人の自由)
8.
チームワークに対する 心理学の応用 まずは 「タスクの振り返り」 「社会的な振り返り」 の2種類で振り返りを個々人に 行って貰う。 チームワークの心理学: エビデンスに基づいた実践へのヒント Michael A.
West, Effective Teamwork: Practical Lessons from Organizational Research, 3rd. Edition (Blackwell, 2012)
9.
振り返りシートを使う
10.
振り返りシートから 明らかになる4つのステータス 「タスクの振り返り」「社会的な振り返り」から明ら かになる4つのステータス A) 弾力的なチーム B) 自己満足のチーム C)
機能不全チーム D)駆り立てられたチーム
11.
4つのステータスが持つ意味 弾力的な チーム 自己満足の チーム 機能不全 チーム 駆り立て られた チーム 安心な「場」 タスク達成度 高 高低
12.
弾力的な チーム 自己満足の チーム 機能不全 チーム 駆り立て られた チーム AとBのステータス A) 弾力的なチーム ○ •
チームは良好な関係にあると考えられる。 • 今のやり方にチーム全体が満足している。 • 改善策をキャッチアップして 適切に対処していくことがチームの運営に寄与する。 B) 自己満足のチーム △ • チームは中だるみ状態にあると考えられる。 • 優秀なメンバーが抜ける可能性があるため、注意が必要。 • タスク管理が雑になっていないか見直す必要がある。
13.
弾力的な チーム 自己満足の チーム 機能不全 チーム 駆り立て られた チーム CとDのステータス C) 機能不全チーム × •
極めてまずい状態にあると考えられる。 • チームの再編成、再度のキックオフなど、 チームが回ることに力を注いだ方が良い。 • 場合によっては、メンバーの入れ替えなども検討した方が良い。 D) 駆り立てられたチーム △ • 高いパフォーマンスを発揮する。 • 問題がなさそうに見えるが、離脱を検討するメンバーが出る可能性がある。 • 長期的視点でマイルストーンを見直し、 タスクの再分配やコミュニケーションを増やす施策を講じた方が良い。
14.
実際の現場で行ったこと 1. 振り返りシートの導入 • 2週間に1回、振り返りシートに記入を依頼 2.
KPT の再設計 • KPT ではなく PKT にした • Problem は、一人ずつ順番に自分の課題とチームの課題(タスクの振り返りと、社会 的な振り返りに基づく課題)を提示する場 • Keep は、ランダムにチームのメンバーに対して「気づいた良い事」を共有できる場 • 各自の P や K に対して、皆が「共感・課題感」を持っているものについては ポイントを自由に付与 • Try は、次の週までに達成したいことや一緒に解決したい課題をお互いに共有する場 P K T
15.
実際の現場で行ったこと 3. 設計者も開発者もデザイナーも、全て Github
上で issue を作成 • コメントを貰えないと先に進めないようにした • 入社1年目の人であっても、10年目のベテランであっても、 お互いのコメントをきちんと読む • 新人の成長の場であり、ベテランの知識共有の場であり、 エビデンスを残す場として活躍 4. 月に1回、チームメンバーと 30 分間の面談を実施 • 体調やモチベーションの状況、 キャリア設計に変更がないかなどを確認
16.
導入後のチーム状況変化 導入前 導入後2ヶ月経過
17.
宣伝 株式会社インテリジェンス Innovation Lab.
では、 一緒に働けるエンジニアを積極採用中です! • AWS など、クラウドインフラが得意な方 • Ruby on Rails や Go 言語、 Elixir などに興味がある方 • 新規事業開発に興味がある方
18.
おわり ご静聴ありがとうございました!
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