心と身体(安心と安全)は一体
ü 心の痛み/精神疾患 ⇄ 身体の痛み/生活習慣病
• がん→うつ病のリスク↑ / うつ病→がんのリスク↑
(Spiegel D & Giese-Davis J, 2003)
• 心臓病→うつ病のリスク↑ / うつ病→心臓病↑
(Baune BT et al., 2012)
ü 心の痛みとは、社会的排除の問題(その人の内面の問題ではない!)
• 社会的排除:
① 社会経済格差、 ② 孤立、 ③ 胎児/幼少期の厳しい環境
• 社会的排除→心理社会的ストレス→慢性炎症反応→慢性炎症疾患
※ 生活習慣病/精神疾患ともに慢性炎症疾患
現代社会の複雑さが生む「病い」
ü ストレッサー(ストレス反応の原因となる刺激)の種類が多いほど、
→炎症反応が増悪、さまざまな病気になりやすい
ü シンデミック: 病原体/栄養不良/暴力/社会経済格差などの相互作用
→うつ病/糖尿病/心臓病などを併発、病状増悪 (Singer M et al., 2017)
ü アロスタティック・オーバーロード: 子ども時代の過酷な体験の種類(虐待/
貧困/親の死…)が多い人ほど、
→炎症関連遺伝子の発現数↑ (Slavich GM & Cole SW, 2013)
→がん/心臓病/糖尿病のリスク↑ (Hughes K et al., 2017; Lin L et al., 2021)
カギとなるのは、リスクの社会的要因の上乗せによる
慢性炎症反応の増悪=炎症性サイトカインの過剰発現
ü 納得づくの医療被曝/自然放射線との比較は、有効か
• たとえ、放射線の物理的影響は同じでも…
• 被災者は、一方的に被曝させられた
→受け身の状態に置かれ続けると、生活習慣病/精神疾患のリスク↑
原因:心理社会的ストレスによる炎症性サイトカインの過剰発現(Marmot M et al., 1997)
→放射線も、電離作用で水分子をイオン化、ラジカル発生、炎症性サイトカイン↑
(ICRP Publication 118, 2012)
→10年間、受け身の状態に置かれ続けることによるサイトカインの過剰発現に、
被曝によるサイトカインの過剰発現が上乗せ
→シンデミック:さまざまな疾患リスクが上昇
一方的に被曝させられた
被災者の不安は「過剰」なのか
不安が「過剰」に見えるのは、放射線の物理的影響しか見ていないから
「社会的排除」による健康リスクを見逃している
ü 被災者の置かれた状況: 社会から排除された(サイトカイン過剰発現)の状態
• 爆発時の恐怖/故郷喪失/避難先での過酷な体験/孤立/経済的困窮
→被災者の4割弱がPTSDの可能性、半数以上が孤立感(辻内拓也ら, 2023)
※ PTSD患者: 炎症性サイトカイン(IL-6)の血中濃度が高いことで知られている
• 一連の政策: 強制避難区域の避難指示解除/ALPS処理水など
→常に頭越しに物事が決まっていく、と被災者は感じている(受け身の状態)
• 事故責任のあいまいさ(誠意のなさ)=社会から排除された状態
→自然災害より人災で健康被害( PTSDなど )が甚大になる原因
(Hull AM et al., 2002; Neria Y et al., 2008; Arnberg FK et al., 2011)
一方的に被曝させられた
被災者の不安は「過剰」ではない
福島の自主避難区域でも、 生活習慣病が増加
(Murakami M & Nomura S, 2023)
母親の不安は「過剰」ではなかった
ü 科学知識あっても、女性の方が男性より不安を感じやすい
• 化学物質の毒性を研究している専門家は、十分な科学知識あるのに…
→女性研究者:男性研究者より毒物の健康影響に不安感じやすい
(Slovic P et al., 1997)
ü 女性は男性より、共感に関わる脳部位(前部帯状回)の機能が発達している
• 妊娠すると、前部帯状回の機能は、より発達する(Hoekzema E et al., 2017)
→子どもの痛みを自分の痛みとして感じる共感能力が強化される
ü 福島県で低出生体重児が有意に増加
• 原発事故直後に妊娠した女性から生まれた赤ちゃんに…
→低出生体重児が増加/赤ちゃん全体の平均体重も減少 (Hayashi M et al., 2016)
• 大地震/テロ事件/戦争後に低出生体重児が増加した場合は…
→標準体重の赤ちゃんも、大人になってから生活習慣病に
(Roseboom TJ et al., 2003)
→原因は、大災害による心理社会的ストレスか
→日本全国で多い低出生体重児(低栄養が原因)と同列に扱えない
ü 胎児/乳幼児期に受けたストレス、孫にまで影響残ることも
• 第二次世界大戦中のオランダ「冬の飢餓事件」などで実証済み
(Stein AD & Luumey LH, 2000)
→広い意味で、母親の不安(子孫への原発事故の影響)は的中していた
少なくとも約3万人
(当時、胎児乳児だった人)
地震/津波/原発事故の影響で
生活習慣病/精神疾患のリスク↑
その後も続く大災害
台風、豪雨、県沖地震、新型コロナ
⇨ アロスタティック・オーバーロード
⇨ シンデミックの可能性
母親の不安は「過剰」ではなかった
ü 科学知識あっても、女性の方が男性より不安を感じやすい
• 化学物質の毒性を研究している専門家は、十分な科学知識あるのに…
→女性研究者:男性研究者より毒物の健康影響に不安感じやすい
(Slovic P et al., 1997)
ü 女性は男性より、共感に関わる脳部位(前部帯状回)の機能が発達している
• 妊娠すると、前部帯状回の機能は、より発達する(Hoekzema E et al., 2017)
→子どもの痛みを自分の痛みとして感じる共感能力が強化される
ü 福島県で低出生体重児が有意に増加
• 原発事故直後に妊娠した女性から生まれた赤ちゃんに…
→低出生体重児が増加/赤ちゃん全体の平均体重も減少 (Hayashi M et al., 2016)
• 大地震/テロ事件/戦争後に低出生体重児が増加した場合は…
→標準体重の赤ちゃんも、大人になってから生活習慣病に
(Roseboom TJ et al., 2003)
→原因は、大災害による心理社会的ストレスか
→日本全国で多い低出生体重児(低栄養が原因)と同列に扱えない
ü 胎児/乳幼児期に受けたストレス、孫にまで影響残ることも
• 第二次世界大戦中のオランダ「冬の飢餓事件」などで実証済み
(Stein AD & Luumey LH, 2000)
→広い意味で、母親の不安(子孫への原発事故の影響)は的中していた