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1
仮想通貨交換事業者への登録規制(仮想通貨法)について
2017/4/27
後藤 あつし
放送でのゲストコメンテーター
斎藤 創 弁護士
創法律事務所 http://www.so-law.jp/
本間 善實
United Bitcoiners Inc. CEO http://www.unitedbitcoiners.com/
一般社団法人日本デジタルマネー協会 代表理事 http://www.digitalmoney.or.jp/
2
◆この資料について
本資料は、ビットコイナー反省会
(https://www.youtube.com/channel/UCRP9Ij6gL9IViB7MS3Ez9aw)
(2017/2/19、機材トラブルのため未公開)の資料をもとに再整理・加筆したものです。
※ビットコイナー反省会の資料は以下の⽅々のご協⼒のもと作成していました。
斎藤創 弁護士 (創法律事務所 http://www.so-law.jp/ )
杉井 靖典 (カレンシーポート株式会社 http://www.ccyport.com/ )
東晃慈 (ビットコイン&ブロックチェーン研究所https://synapse.am/contents/monthly/bitcoin )
◆免責事項
資料内容、放送内容について、正確でない可能性や、2017/4/27時点の情報に基づくため、今後予告なく
変更になる可能性があります。
資料は後藤あつしの個人的⾒解によるものであり、ゲストコメンテーターの⽅のコメントを含む放送内容
についても、情報の正確性、合法性を保証したものではなく、規制当局の考え⽅を踏まえたものでもあり
ません。内容に起因して発生したトラブルや損害等について、一切責任を負いませんのであらかじめ
ご了承ください。
規制、法令等の解釈は、個別具体的事例ごとに必ず弁護士、⾦融庁への相談、照会を⾏ってください。
3
・全ての仮想通貨ビジネスが規制対象なわけではない
・規制対象外の仮想通貨ビジネスは自由
⇒規制対象外の仮想通貨ビジネスで、今回の規制で定められる仮想通貨以外を取り扱うことも自由
・あくまで規制対象となる仮想通貨ビジネスに該当した場合にだけ考慮が必要
⇒マイニングなど関係ない
◆資⾦決済法の改正で、仮想通貨の“交換”にかかるビジネスが規制対象となった
◆規制は以下の3段階の構成
①規制の対象とする “仮想通貨の定義”を定める
②規制対象となる“仮想通貨ビジネスの種類”を定める(主に交換業)
⇒規制対象となった仮想通貨ビジネスを⾏うにはライセンス(登録)が必要になる
③ライセンスを取得した場合に “取扱が認められる仮想通貨の種類“を定める
⇒規制対象となった仮想通貨ビジネスを⾏う場合、当局が認めた仮想通貨しか
取り扱いはできない
規制の対象とする “仮想通貨の定義” (1)
それ自体が“仮想通貨”になるものを1号仮想通貨とし、
1号仮想通貨と交換可能なものについても“仮想通貨” と定義
① 1号仮想通貨
物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価
の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方
として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法
により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産(注)を
除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができ
るもの
(注)
「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若
しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項に
おいて「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。この場合
において、通貨建資産をもつて債務の履行等が行われることとされている資産は、通
貨建資産とみなす。
⇒電子マネーのように単位が円やドル建てで表示されるものは、仮想通貨にならない
⇔ビットコインの単位は1BTC(もしくは1Satoshi)であり、対円価格は変動する
4
規制の対象とする “仮想通貨の定義” (2)
それ自体が“仮想通貨”になるものを1号仮想通貨とし、
1号仮想通貨と交換可能なものについても“仮想通貨”と定義
② 1号仮想通貨と交換可能な仮想通貨
不特定の者を相手方として前号に掲げるもの(1号仮想通貨)と相互に交換を行う
ことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができる
もの
5
“2号仮想通貨”と呼ばれることも
規制の対象とする “仮想通貨の定義” (3)
“仮想通貨”になる要件として、利用可能な店舗などが限定されていないか、不特定
の相手を対象に自由に交換できるか、交換市場が存在するか、などをポイントとし
て示している
仮想通貨の範囲および該当性の判断基準
① “1号仮想通貨”の該当性に関して「代価の弁済のために不特定の者に対して使用するこ
とができる」ことを判断するに当たり、例えば「発行者と店舗等との間の契約等により、代
価の弁済のために仮想通貨を使用可能な店舗等が限定されていないか」「発行者が使用可能
な店舗等を管理していないか」等について、申請者から詳細な説明を求めることとする。
② “1号仮想通貨”の該当性に関して「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うこと
ができる」ことを判断するに当たり、例えば「発行者による制限なく、本邦通貨又は外国通
貨との交換を行うことができるか」「本邦通貨又は外国通貨との交換市場が存在するか」等
について、申請者から詳細な説明を求めることとする。
③(2号仮想通貨) 1号仮想通貨と交換可能な仮想通貨の該当性に関して「不特定の者を
相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる」ことを判断するに当たり、
例えば「発行者による制限なく、 1号仮想通貨との交換を行うことができるか」「1号仮想通
貨との交換市場が存在するか」等について、申請者から詳細な説明を求めることとする。
6
規制の対象とする “仮想通貨の定義” (4)
電子マネー、ポイントとの関係は?
「前払支払手段(電子マネー)」「ポイント」などは…
前払式支払手段発行者が発行するいわゆる「プリペイドカード」や、ポイント・サービス
(財・サービスの販売金額の一定割合に応じてポイントを発行するサービスや、来場や利用
ごとに一定額のポイントを発行するサービス等)における「ポイント」は、これらの発行者
と店舗等との関係では前ページ①又は②を満たさず、仮想通貨には該当しない。。。。
7
電⼦マネー、ポイントは、“特定”の利⽤者、利⽤場所
に限定されている点で仮想通貨にならない。
利⽤者と利⽤場所が限定的なら“仮想通貨”にならず、規制対象外
●ゲーム内コインで⾦銭の対価を得て発⾏されている
⇒仮想通貨でなく前払支払手段(電⼦マネー)
●おまけとして付与され、発⾏者の店舗でだけ使えるコイン(マイルなども)
⇒仮想通貨でなくポイント
※1号仮想通貨と交換できるとしても、不特定の者を相手に交換できなければ(発⾏者
を通してだけ交換できるなど) 、2号仮想通貨にもならない
仮に前払支払手段(電子マネー)と仮想
通貨両方に該当する仕組みなら、前払支
払手段(電子マネー)の判定が優先され
仮想通貨には該当しない
7
規制対象となる“仮想通貨ビジネスの種類” (1)
規制対象になる仮想通貨ビジネスは、以下に該当するもの(交換にかかるビジネス)
⇒“仮想通貨交換業”
これらのビジネスを行うには当局に登録を受け“認定事業者”になる必要
※以下の範囲外の仮想通貨ビジネスは規制対象外で自由にOK
この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うこと
をいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
8
あくまで交換にかかる⾏為に関して仮想通貨を預かる場合にのみ該当。ウォレットだけ
なら対象外
仮想通貨交換所や販売所の代理店
は“仮想通貨交換業” になる
マイニングは今回の規制対象外
9
規制対象となる“仮想通貨ビジネスの種類” (2)
「業として行う」の意味は…
「業として行うこと」とは「対公衆性」のある行為で「反復継続性」をもって行うこと
をいうものと解されるが、具体的な行為が「対公衆性」や「反復継続性」を有するもの
であるか否かについては、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断するべきである。
なお、「対公衆性」や「反復継続性」については、現実に「対公衆性」のある行為が反
復継続して行われている場合のみならず、「対公衆性」や「反復継続性」が想定されて
いる場合等も含まれる点に留意する。
自⼰の投資目的に売買や交換を⾏うことは規制対象外
10
◆仮想通貨の送付
交換でなく、“仮想通貨を送付するだけ“は、交換業にならない(今回の規制対象外)
また、“資金”の移動でもないので為替取引を規定する銀行法、資金移動業にも該当しない。
※利用者は円やドルを払い、事業者がそれを仮想通貨に交換して移動させ、届け先で円やドル
に再交換して渡す場合は、実態として“資金”移動の為替行為になると考えられ、資金移動業ライ
センスをとる必要があると思われる。
(届け先で円やドルに交換しないで仮想通貨をそのまま渡す場合は、手前の円やドルを仮想通貨
に交換する部分で、仮想通貨交換業の登録が必要になると思われる)
◆仮想通貨デリバティブについて
①現状は金商法、商品先物取引での規制対象外
⇒今後規制が入るのでは?(利用者保護の観点で必要では)
②仮想通貨の先物取引を差金決済して、仮想通貨の受け渡しを行わない場合は、「仮想通貨の交
換ではない」ので今回の規制対象外
③賭博罪になるかという点は、一般的な商品、レバレッジ幅でやっていれば正当業務行為として
該当しないのでは?
◆仮想通貨の貸付
仮想通貨の貸付は仮想通貨交換業の対象外。仮想通貨は金銭でもないので貸金業にも該当しない
(あくまで現状)
規制対象となる“仮想通貨ビジネスの種類” (3)
ライセンスを取得した場合に “取扱が認められる仮想通貨の種類“(1)
・規制対象になる“仮想通貨交換業”において、取り扱い可能な仮想通貨が限定されている
・登録事業者になれば、どんな仮想通貨でも取り扱い可能なわけではない
・取り扱い可能な仮想通貨は、当局が、事業者団体の意見などを参考に、審査し決める
仮想通貨交換業の該当性及び取り扱う仮想通貨の適切性の判断基準
取り扱おうとするものが仮想通貨に該当し、又は当該仮想通貨の取扱いが仮想通貨交
換業に係る取引に形式的に該当するとしても、利用者保護ないし公益性の観点から、仮
想通貨交換業者が取り扱うことが必ずしも適切でないものもあり得る。
したがって、当局は、仮想通貨交換業に係る取引の適切性及び取り扱う仮想通貨の適
切性等について、申請者に対して詳細に説明を求めるとともに、認定資金決済事業者協
会の公表する情報等を参考としつつ、登録の申請の審査等を実施するものとする。
11
ライセンスを取得した場合に “取扱が認められる仮想通貨の種類“(2)
仮想通貨の適切性
取り扱う仮想通貨の適切性を判断するに当たり、例えば、当該仮想通貨の仕組み、想定さ
れる用途、流通状況、プログラムのバグなどの内在するリスク等について、申請者から詳
細な説明を求めることとするほか、こうした観点から、利用者からの苦情や認定資金決済
事業者協会の意見等の外部情報も踏まえて判断する。
例えば、新規に発行する仮想通貨の売り出しを行う場合に、発行段階で流動性に欠けると
しても、当該仮想通貨を取り扱うことが適切でないと直ちに判断するのではなく、申請者
からの説明や外部情報を十分考慮し、総合的に判断するものとする。
12
ICOを否定してはいない。
しかし、ICOを⾏いたければ(ICOで広くお⾦を集めるだけの価値ある仕組みであるな
ら)、当局を説得して、認定事業者で取り扱い可能な仮想通貨に認めてもらい、そのう
えでICOを⾏う必要がある。
仮想通貨交換業のライセンス(登録事業者)に課される要件
・金融機関に準じたハードルの高い内部管理態勢、顧客保護態勢などが求められている。
⇒小規模なベンチャーには対応が厳しい一方、既存の金融事業者には、仮想通貨の分別管理
やその監査部分以外は、ベーシックな内容であり、要件クリアは容易と思われる。
課される要件例)
・利用者保護態勢整備 ・苦情処理態勢整備 ・反社対応、犯収法対応
・コンプライアンス順守体制の整備 ・システムリスクの管理、システム監査の実施
・適切な事務リスク管理態勢、内部監査の実施 ・社内規則整備 ・最低資本金 1千万円
・分別管理の外部監査 ・詳細な取引記録の作成と保管
・利用者預り資産の定期的な状況報告 ・当局への様々な定期報告
①1000万円では登録を得て業務を⾏うのは厳しい
②3000万では競争等に勝てるかはともかく、登録をして業務を⾏うことは可能︖
③0から取組む場合、最低限求められる組織体制の構築と維持だけを考えても最低8,000万円くらいは必要︖
詳しい解説は、ビットコインニュースのBTCN「仮想通貨交換業者の登録規制にかかる内閣府令の公
表について」を参照 http://btcnews.jp/4s4pc7wj10584/
13
※仮想通貨交換事業者が“特定業務”を⾏うには、利⽤者の本人確認が必要
特定業務とは、
①仮想通貨交換の継続的実施、それにかかる利⽤者の⾦銭、仮想通貨の預り
②200万円を超える仮想通貨の交換等
③10万円を超える仮想通貨の移転
⇒以下では本人確認は不要(事業者の交換業登録は必要)
・10万円未満の仮想通貨を顧客に売り、顧客のウォレットに送る
・10万円未満の仮想通貨を顧客から買い、円等の対価を顧客に払うこと
※少額取引を繰り返し、⾦額規制を逃れることは×
交換所で利⽤者に対し
免許証などの提出が求
められたり、自宅に確
認郵便が届く背景
規制対象範囲の整理
仮想通貨
当局から登録事業者に取扱いが認められ
た仮想通貨
その他仮想通貨
交換にか
かるビジ
ネス
※交換に
かかる預
りも
登録事業者 ①
対公衆・反復継続の交換業OK
②
取扱い不可
非登録事業者 ③
・対公衆・反復継続の交換業NG
・非対公衆・非反復継続の交換業はどこまで可能か不明瞭
交換以外のビジネス ④ 規制対象外、自由にOK
14
・マーケットを通した交換が合法的に可能(市場が成立)
・一般の人は、一応安心して仮想通貨を利用できるという
範囲
・合法的な交換市場、高い流動性・市場換金性をもち、取合法的な交換市場、高い流動性・市場換金性をもち、取合法的な交換市場、高い流動性・市場換金性をもち、取合法的な交換市場、高い流動性・市場換金性をもち、取
引規模引規模引規模引規模が拡大が拡大が拡大が拡大していくと期待できるしていくと期待できるしていくと期待できるしていくと期待できる
・利用者保護や公益性、仕組みの問題などから、登録事業
者での取扱いが認められない仮想通貨
・登録事業者で取り扱えないため、対公衆に反復継続取引
できず、日本日本日本日本で交換マーケットが合法的に存在できないで交換マーケットが合法的に存在できないで交換マーケットが合法的に存在できないで交換マーケットが合法的に存在できない
・流動性が著しく低くなり、持っていても自由に換金でき
ない。
非対公衆、非反復継続の交換業がどこまでが可能かは議論
の余地
⇒小規模であればOK?利用者保護、犯収法該当の可能性
で当局次第?
規制対象は交換にかかるビジネスなので、それ
以外のビジネスは自由に可能
15
資金決済法の改正以外での大きな変更点
平成29年度 税制改正により、2017年7月1日以降、仮想通貨の購入時に
消費税が課税されなくなります。
資⾦決済法の改正で仮想通貨の“支払
手段”としての位置付けが明確化され、
その入手時に消費税が課税されるこ
とがなくなる
仮想通貨の普及において非常に大き
な一歩
Q-1 なぜ規制するのか︖
知識の乏しい⼀般⼈が多数仮想通貨取引に参加してくると、詐欺コインや管理不⾜の交換所
の破綻等で利⽤者被害が拡⼤する懸念や、マネーロンダリングの事案発⽣も懸念される。
そこで、健全性のある事業者、仮想通貨を明確化し、そこで⼀定のルール(本⼈確認など)
に従って取引を⾏わせることにしたもの。
※規制での技術⾰新の阻害と、利⽤者保護のトレードオフ。
規制当局としては利⽤者保護に重きを置く傾向がある
※本人確認など実効性に疑問があるかもしれないが、国際的な要請(FATF勧告)もあり、
一定のレベルで網をかけることは当局の責任として必要
・利⽤者の仮想通貨取引を制限する目的ではない。
・規制目的は主としてはマネロン対応と利⽤者保護
事業者視点ではグレーゾーンのままに
あるよりホワイトゾーンの目安ができ
参入計画が⽴てやすくなる
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信頼度、マネロン防⽌、詐欺的コインの防⽌のために
は(規制は)当然プラス。
なお、マネロン防⽌は国際的な要請
日本の本人確認⽅法の実効性、高い負担感については
今後⾒直し議論をしてほしい(マイナンバー、マイナ
ポータルが本人確認のハブとして普及するのか︖)
Q-2 規制対象となる“業”の範囲が不明確では
国内で「対公衆性」「反復継続性」をもって“交換事業”を⾏うことが規制対象。
◆“仮想通貨の送付のみ”は規制対象外
◆仮想通貨交換の“媒介”とは、業として仮想通貨の交換成⽴に尽⼒するもの。
⇒マッチングソフトの販売だけはOK︖ソフトを利⽤して交換場を開くと仮想通貨交換所
◆「対公衆性」「反復継続性」の定義は個別事例ごとに実態に即して実質的に判断される
⇒ 議論の余地が大きいものの、結局は当局が実際にどう動くか次第
(利⽤者保護と犯収法対応の観点で問題がありそうかがまず考えるポイント)
◆個人間の仮想通貨(種類を問わず)交換は、規制対象外。個人間でペイメントチャネルを
開いて継続的に交換することも自由に可能。マルチネットワーキングビジネス等は“業”と
みなされる可能性
◆顧客間の仮想通貨交換のペイメントチャネルを業として提供する場合は登録が必要と思われる
⇒ライトニングネットワークで顧客と相対するチャネルは交換業になりうるとしても、
ルーティングの途中に入るチャネルは“交換業”といえるのか︖
・当局次第の側⾯が強く、個別事例ごとに弁護士・⾦融庁(Fintechデスク等)に相談するなどの対応
・趣味的に交換等を⾏う場合、形式的には規制にひっかかる場合もあるが、当局も暇ではないので特に
問題視しないのでは︖取扱いの閾額がポイント(大規模で目に付けば×では︖)
17
Q-3 なぜ仮想通貨を預かるビジネスも規制対象なのか︖
◆事業者が利⽤者から預かった仮想通貨を流⽤したりすることを防ぐための、
利⽤者保護を重視した結果と思われる。
◆あくまで“交換に伴い預かる”場合のみ規制対象
独⽴して預かるだけであれば規制対象外 仮想通貨を預かる事業というの
は、ウォレットの秘密鍵を預か
る事業を指しているという理解
でよい︖
18
交換に伴う預りでなくても、顧客から預かっ
た仮想通貨を流⽤したりなど、利⽤者保護の
観点で今後問題視される場合も考えられる。
仮想通貨を広く集めて、投資し利益配分する
ファンドを⾏う場合は、第⼆種⾦融商品取引
業に該当すると考えられる
Q-4 (1)規制で利⽤者被害は無くなるか︖
◆Gox破綻事例などから、利⽤者被害が拡大しやすい交換(所)ビジネス、およびそこで取扱い可能な仮想通貨
について、ある程度規制でフィルタリングをしたことから、今後大きな被害が発生する可能性は少ないと思わ
れる。(すでに不健全なコインに投資済みの⽅は除く)
◆今後は、ITリテラシーの乏しいライトユーザが大量に参加してくる可能性があり、容易に秘密鍵を無くした
り、送⾦アドレスを間違えたり等の非常に多くの苦情が事業者や事業者団体を悩ませることになるであろう。
現状は事業者団体宛に苦情が来た場合は事業者に問い合わせるよう、返事しているとのこと。
あまりに苦情が多いと、仮想通貨そのものが大丈夫かと⾦融庁や消費者庁などからの監視や規制が厳しくなるかも
⇒リテラシーの低い利⽤者対応は業界全体の大きな問題
19
◆不健全なコインを持つことに規制はないが、保護の対象とはならないという理解でOK︖
⇒“換⾦できなくなる”という点は自⼰責任になるのでは︖
⇒コインの維持管理が破棄され利⽤できなくなる場合は、詐欺罪などで発⾏者や販売者を訴えていくこと
は考えられるが、実際に損害賠償を勝ち取るには、お⾦と時間が必要
◆コードのバグで不利益を被ったら︖
・ビットコインなどオープンソースはコア開発者等とはなんの契約関係もないので、請求を⾏うことは無理と
考えられる(ブロックチェーンの仕組み上特定の誰かがコードの採⽤を決定するわけでもない)
・ICOなどで明確に開発者、発⾏者がいる場合は不法⾏為責任等を追及していくことになるが非常に難しいの
では(海外が多いため)
※仮想通貨は現⾦同様有体物でないので個別に所有権がなく、所有権に基づく返還請求はできず、不法⾏為に
よる損害賠償請求が手段になると考えられる
19
Q-4 (2)規制で利⽤者被害は無くなるか︖
◆いわゆる“詐欺的なコイン”を、知識の乏しい利⽤者相手にネット上やセミナーなどで、値
上がり益をアピールして販売する不適切な事業者は今後も発生し続けるものと思われる。
・当局としても小さな事業者すべてに目を光らせることはできないが、その規模と継続性は、
規制前よりも小さくなり、被害額は小さくなるものと思われる。
この点、タイムリーな情報提供が事業者団体には求められるであろう。
出資法違反などの事例がなくならないよう
に、規制ができても問題がなくなるわけで
はない
20
詐欺的コインの防⽌とイノベーションのバランスは非常に悩ましい
多少騙される人がいても仕⽅がないという⽅向か、出来るだけ失敗
による被害を少なくしたいのか
Q-5(1) 規制要件が厳しく、⼤手事業者しか登録を受けられないのでは︖
・業界の健全性を高め、利⽤者に安⼼して使ってもらうには、相応の管理態勢整
備は必要。この考え⽅からすると、規制要件をクリアできない小さなベンチャー
などが撤退することはある程度織り込み済みと思われる。
・合法な範囲を明確化することで、コンプライアンス上、今まで参入を躊躇して
きた大手事業者が多数参入し、業界の競争はより活発化する可能性もある。
一⽅で、ベンチャー企業等に向けてコンプライア
ンス⾯の運⽤を代⾏する計画をもつ、ライセンス
取得予定事業者も
21
既存交換所は本人確認対応を適切に開始しており、
規制を満たすよう体制整備を進めている。適切な
対応を目指している事業者がいる以上、ベン
チャーなのでお目こぼしがあるとは考えないほう
がよいのでは
今回の規制コストを考えると、儲からないと考え、
撤退するというところは当然出てくるであろう
Q-5(2) 規制要件が厳しく、⼤手事業者しか登録を受けられないのでは︖
・大手事業者ばかりになり、ベンチャー的な試⾏錯誤によるイノベーションなど
は起こり難くなるかもしれない。
時価総額換算で、1,000万円程度以下の小規模
な仮想通貨(トークン)取扱いならトライアル可
能では︖
⇒利⽤者保護と犯収法の点で大きな問題となら
ない範囲
事業者目線で考えると、資本⾦の基準(1,000万円)はあ
まり大きな問題ではなく、オフィスのファシリティに関
するセキュリティ要件を満たしたり、コンプライアンス
や内部監査を遂⾏するための組織を整えたり、日常の運
⽤体制の整備と維持等に掛かるコストの⽅が圧倒的に高
い
ライセンス取るまでの準備期
間は当局とのやり取りも頻繁
になり弁護士費⽤も結構掛か
る
22
取引所は既に複数存在しており、今から資
本⾦3,000万円や5,000万円でBTCの取引
所を作っても競争には容易に勝てないので
は︖
規制に該当するか否かの線引きが難
しいことで、委縮効果によりアイデ
アを試そうとする人が減ってしまう
可能性
Q-6 いわゆる、“取引所” 以外の交換ビジネスにも規制要件はすべて厳格に適⽤され
るの︖
仮想通貨取引所、仮想通貨を交換に伴い預かる事業には、規制にある厳しい要件がそ
のまま適⽤されるが、仮想通貨の販売のみの事業者や、媒介、取次ぎ⼜は代理だけの
事業者には、実態を踏まえ、利⽤者保護や、犯収法対応などを適切に⾏えば、すべて
の要件をクリアすることが厳格には求められないかもしれない︖
コンプライアンス運⽤代⾏業により、ある程度カバーできそう
ただし、実体の追跡調査が難しい領域では代⾏も難しそう
23
当局はイノベーションを阻害したくないという意図を強く持っている。
他⽅、詐欺的コインの防⽌も必要。
⇒利⽤者保護、犯収法対応の点で問題がなさそう/ある程度の対応を⾏っている、
なら当局としても強くは⾔ってこない︖
取引所以外の、リアル店舗での売買をやりたい、物理コインを売りたい等のビジネ
スの場合、規制のコストは厳しい印象
Q-7 規制当局はどのような形で違反を摘発するの︖
◆無登録に⾄った原因に、故意、悪質性がなく、利⽤者保護の観点からも問題が
ない場合は、直ちに登録を求める。
◆悪質性がある場合などは、捜査当局への連絡と、⽂書による警告を⾏い、⽂書
による警告後も是正しない場合は、捜査当局への告発を⾏う。
「警告」「告発」を⾏った場合は、当局ホームページで公表を⾏う。
◆無登録で業を⾏っていると断定するまでは⾄らない場合でも、その恐れがある
場合は⽂書による照会を⾏う
24
・よほど悪質でなければ、いきなり捜査当局が出てくるわけではない
・照会が来たり、規制対応上の不備が指摘されれば、誠実に当局対応を⾏い、手当てを⾏って
いけばOKでは
・無登録で交換業を⾏った場合の罰則は3年以下の懲役、300万円以下の罰⾦
・利⽤者からの預り資産の分別管理義務を⾏わなかった場合は、2年以下の懲役、300万円以下の罰⾦
Q-8 規制当局に積極的に登録要件に該当するのかなど質問すべき︖
⾦融庁内にFinTechサポートデスクと
いう事業の事前相談ができる窓口が準
備されています
総務企画局政策課FinTechサポートデスク
受付時間:平日9時30分〜18時15分
電話番号:03-3506-7080
http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/201512
14-2.html
25
・その他、⾦融庁における法令適⽤事前確認手続制度(いわゆるノーアクションレ
ター)を利⽤し、照会を⾏うことも可能
・照会をすると、杓⼦定規に回答される可能性や、⼗分な説明を⾏わないと変な解釈
事例になる可能性もある
・グレーで解釈に迷う場合は、敢えて照会しないで、健全性を意識し事業を⾏い、当
局の照会が来た場合に誠意をもって対応すれば、いきなりアウトにはならないのでは
ないか︖
ベンチャーの段階で聞くとダメと⾔われることでも、敢えて照会を⾏
わないで、グレーなまま(健全性は意識して)事業を⾏い、相応に規
模が大きくなれば、適切な法令/規制への対応⼒も上がり、また当局
との交渉余地も出てくるのでは︖
Q-9 登録事業者が扱うことが(当局に)認められる“仮想通貨”の範囲は︖
◆利⽤者保護、公益性の観点、仕組み、利⽤者からの苦情も加味して当局が判断
◆「認定資⾦決済事業者協会の公表する情報等を参考」
⇒ 協会に「ホワイトリスト」を公表させ、まずそれに記載があるか否かで選別
し、そのうえで個々の仕組みや利⽤状況などから判断していくと思われる
◆ビットコイン等、かなり限定的なものだけが認められるのか、ある程度広く認めら
れるのか︖
自主規制団体はライセンスを受けたところだけが加入できる団体になるのか︖
自主規制団体に入らないとホワイトリスト作りに参加できないのか︖
⇒団体に入りホワイトリストに入れさせることができても、それを当局が認めるかは別問題
26
・今回の規制は、当局が一⽅的に認定するのではなく、業界メンバーによる自主規制団体の意⾒を聞
きながら決める、これから発⾏するものでも申請できる、というのは1つのポイント。
・顔が⾒える、ホワイトペーパーがある、リスク説明をきちんとする、投資煽り等をしない、
ということであれば、多少、失敗することがあったとしても、広く認めて良いのでは︖
⇒規制導入当初は限定的にして仮想通貨業界の様⼦⾒をし、その後広げていくかも︖これからの当局
の運⽤次第。
Q-10 登録事業者が扱うことができない“仮想通貨”は、“仮想通貨”ではないのか︖
◆あくまで規制は、規制対象の交換ビジネスを⾏う登録事業者が扱うことができる仮想通貨の
範囲を定めるだけで、それ以外の“仮想通貨”については何も⾔っていない
◆しかし、それ以外の仮想通貨は、国内で「対公衆性」「反復継続性」をもって取引できる
“市場”、交換(換⾦)マーケットを作ることはできなくなるため、国内での流動性は著しく
低下し、その“仮想通貨”が発展する可能性は乏しくなる
◆海外で規制がないところでは交換(換⾦)ができるかもしれないが、手間とコストがかかる
◆国内で交換することが全てダメというわけではなく、限定的範囲での発⾏、交換であれば違法
ではないと考えられる︖
(「対公衆性」、「反復継続性」、「利⽤者保護」、「犯収法」の点で当局が判断)
27
Q-11 “詐欺的コイン”やその発⾏事業者はどうなる︖
◆登録事業者になることや、登録事業者で取り扱いが認められた仮想通貨になること
は難しい(なるつもりがそもそもない)と思われる。
◆国内で自由に交換(換⾦)できなくなり、流動性は著しく低下し、価値も大きく下
落する可能性も。(価格操作されているので値段は下がらないかも)
◆ “国内で自由に交換(換⾦)できなくなる” が、その仮想通貨が消えてなくなるわけ
ではない。発⾏者は「海外では高い価格で取引されている、換⾦可能」と⾔って逃げ
る可能性も。
◆投資した人には、使い道・換⾦性の乏しい仮想通貨が手元に残るだけでは
28
一般的に海外のほうが日本よりも厳しいので海外で
の換⾦も厳しいのでは
Q-12 仮想通貨にかかる新ビジネスの道が規制で閉ざされてしまうの︖
今回の仮想通貨規制以外にも、ビジネスとして影響がありそうな規制は多々あり、
法定通貨建て資産を扱うなら「資⾦移動業」「前払式決済手段」、証券やファンドの
持ち分として扱うなら「第一種・第⼆種⾦融商品取引業者」、貸付けを伴うなら「貸
⾦業法」等 ⇒既存の法律のほうが影響するものが多い
ブロックチェーンの活⽤分野で⾦融規制に掛かる可能性として「仮想通貨交換業」に
あたる例は、実はあまり多くないのではないか︖
29
◆規制対象は「仮想通貨と⾦銭や仮想通貨の交換」であり、新しい業務の多くは、登録
なくして出来るのでは、との感度。
◆規制対象になるかは「対公衆性(不特定多数)」、「反復継続」、「利⽤者保護」、「犯
収法」の観点で考える
⇒影響範囲が限定的な時価総額1,000万円相当未満の価値ならばどんどん発⾏して実
験はあり︖
◆様々な人や会社が、BTC、仮想通貨、ブロックチェーンに関連する技術を研究してい
るが、多くは登録は不要と考えられる
◆自分の業務が規制対象か対象ではないか、ということは考える必要があり、
それはコスト増と⾔えるかもしれない。
Q-13 ブログコインの発⾏(仮想通貨を開発し配布)することは︖
◆ブログコインは、基本は登録事業者(交換所)で取扱いが認められない仮想通貨となる。
あくまで発⾏や配布は自由だが「対公衆性」「反復継続性」をもって現⾦や他の仮想通貨と
の交換は×
◆ブログにコメントしてくれた読者などにブログコインを発⾏、付与し、受け取った読者は、
そのコインをブロガーのイベント参加費や、ノベルティグッズと交換するようなことは、
限定範囲での利⽤であり、仮想通貨定義に入らないと考えられる。
(仮想通貨ではなく、単なるポイントと整理)
◆ブログコインが流通し、ブロガーとは無関係なところで、ブログコインと現⾦やビットコイ
ンとの交換所ができた場合は、ブロガーではなく、その交換所の運営者が、登録事業者にな
り、ブログコインを認定仮想通貨として、既存の登録事業者で取り扱えるよう認めてもらう
対応が必要になると考えられる。
30
・当局も暇ではないので、ブログコインなんて勝手にしてくれが本⾳では︖
大きな利⽤者被害や反社にお⾦が回るようなことがなければ問題視しないのでは︖
・それって「仮想通貨」の定義にあたるものなの︖というパターンの⽅が多い気が
話題に上がっているブログコインも、ポイントも、スタンプも、トレーディングカードも
いわゆる「トークンエコノミー」と⾔われている分野は仮想通貨の技術を応⽤しているだけで
資⾦決済法上の仮想通貨には当たらないと思われる
Q-14 イベントでのビットコインの販売には登録事業者になることが必要︖
◆「対公衆性」「反復継続性」実質的にマネーロンダリングに懸念のない額、悪質性等が
ポイントになると考えられる。
◆期間限定イベントにおいて、入場者限定で少額のビットコインを販売することには、
登録は不要ではないかと思われる
◆事業者が継続的に同様のイベントを⾏っていれば登録が必要になる可能性も考えられるが、
まずは当局から照会が来てご相談になるのでは︖
・販売⽅法について
相手のウォレットに直接送⾦する場合は相対取引として自由と考えられる
一⽅、予め仮想通貨を入⾦したペーパーウォレットや物理コインを販売することは一⾒問
題なさそうに⾒えるが、法解釈が難しくなりそう(口座の譲渡・売却)
⇒ブロックチェーンのアドレスが口座の譲渡・売却になるのか︖
ビットコインのアドレスは勝手に生成でき、既存の口座の概念とは異なるのでは︖
31
・体験のために極少額のコインを販売することまで、規制であれこれ⾔われる話なのか︖
⇒利⽤者被害や、マネロンで何が問題となりうるのかという観点
・10万円を超えなければ本人確認は不要
Q-15 ICOはどうなるの︖
◆国内でICOを⾏う場合は、不特定多数の投資家に仮想通貨を販売することから「対公衆性」の観点で、
発⾏者や、その媒介、取次、代理をする事業者は登録事業者になること、当該仮想通貨は、取扱いが
認められた仮想通貨になることが必要と考えられる。
◆外国のICOに、日本から投資家が勝手に参加することは自由と考えられるが、ICOを⾏う事業者が
外国から日本人に向けて勧誘を⾏うことはできない。また投資家は、購入したコインが日本の交換所で
取り扱い可能にならなければ、換⾦が自由にできない問題が出る(外国の交換所で取引可能なら、
ビットコイン等に交換し、そのビットコインを日本の交換所で円転するなどは可能)
◆事業者ガイドラインでは「新規に発⾏する仮想通貨の売り出しを⾏う場合に、発⾏段階で流動性に欠ける
としても、当該仮想通貨を取り扱うことが適切でないと直ちに判断するのではなく、申請者からの説明や
外部情報を⼗分考慮し、総合的に判断する」とされ、新規発⾏通貨がいきなり登録事業者での取扱いが
認められた仮想通貨になることも可能な形になっている。
32
◆(法定通貨とペッグされる想定の)銀⾏発⾏コインは資産建て通貨として仮想通貨にはならない(銀⾏
業または資⾦移動業で手当て)
◆ICOは、振り込みに仮想通貨を使えば簡単に実施でき、それはつまり容易に不特定多数からお⾦を集め
られる仕組みなので、イノベーションと詐欺・反社などとの線引きが難しい
⇒ICOを⾏いたければ(ICOで広くお⾦を集めるだけの価値ある仕組みであるなら)、当局を説得して、既
存の交換所と提携して販売を⾏うか、自分で登録をとって販売することが正攻法
⇒規制前よりも格段に大変になるが、利⽤者保護、反社対応の観点では敷居を下げることは難しいので
は︖
◆海外でICO済み(流通している)コインを日本の交換所が取り扱うことはOK(取り扱い可能な仮想通貨
に認められれば)
32
出資(仮想通貨)
払い込みを仮想通貨で行うと、
単なる仮想通貨の販売
33
(参考)ICOについて:仮想通貨で払い込みを行うと、単なるコインの販売として、
仮想通貨交換事業者登録が必要と考えられる(集団投資スキームとしてのファンド規制
の対象にはならない)
営業者(ICO)
投資家 投資家 投資家
募集には仮想通貨交換事業者登
録が必要
投資家 投資家 投資家
“仮想通貨“の販売
投資家
出資持分ではなく、仮想通貨なので
流通は自由、償還もない
営業者(ICO)
コインの
転売
出資形態で仮想通貨を対価に資⾦を集め
ると、ファンド規制対象外(現状)とな
り、単なる仮想通貨の販売とみなされる
のでは
出資者(購入者)が、ICO実施者の営業
に口を出すことはできない
↓
発⾏される仮想通貨が、ろくでもないも
ので、無価値になる可能性があるため、
購入者保護のため、販売者には仮想通貨
交換事業者登録が必要と考えられる
また、発⾏する仮想通貨を、当局から登
録事業者に取扱いが認められた仮想通貨
に入れてもらう必要がある
出資(金銭)
34
第⼆種⾦融商品取引業者
・最低資本⾦1000万円
・犯収法の特定事業者に該当のため対応が必要
・登録審査
(参考)ICOについて:出資(金銭)形態は、金商法のファンド投資規制に該当?
実質は単なるコインの販売になるのでは(仮想通貨交換事業者登録が必要)
営業者(ICO)
投資家 投資家 投資家
出資募集には第二種金融商品取
引業登録が必要
※出資でなく仮想通貨発行販売なら
仮想通貨交換業登録が必要
投資家 投資家 投資家
匿名組合契約による出資持分
=利益分配権利、償還Exit
≠値上り益確保の転売がExitになる
仮想通貨とは異なる
投資家
匿名組合契約による出資持分の譲渡
には譲渡契約
≠送付で譲渡が完了する仮想通貨と
は異なる
営業者(ICO)
・匿名組合出資とは、出資先の営業からの利益分配を得る契約
・契約期限があり、期限までは出資者からの払い戻しは×
・投資家の損失範囲は出資⾦まで
・出資者は、出資先の営業⾏為にかかる権利、義務、債務から遮断される
⇒営業に口を出せないので出資者保護としてのファンド規制
・株式のように期限がない場合は、償還がなくリスクが高いため第一種⾦融商品取引業登録が必要の可能性
持分譲渡
出資形態で⾦銭を対価に資⾦を集めると、ファ
ンド規制対象となり、⾦融商品取引業登録が必
要になるが、現状のICOの実態は、投資家に渡
されるものは利益分配権のある出資持分ではな
く、単なるコイン(トークン)に過ぎない。→
仮想通貨の販売になり仮想通貨交換業者登録が
必要になる。
仮想通貨交換業者登録と、コインを当局から登
録事業者に取扱いが認められた仮想通貨に入れ
てもらうハードルを回避する目的で、投資家に
利益分配権のある出資持分を渡すなら、⾦融商
品取引業登録が必要。また、出資持分に償還期
日を設けず、期限なく流通させたい(株形態)
のであれば、第⼆種ではなく、さらにハードル
が高い第一種⾦融商品取引業者登録が必要と考
えられ、むしろ規制対応負担は上がるのでは︖
35
金融庁 平成29年3月24日
「銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)」等に対するパブリック
コメントの結果等について
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20170324-1.html
(別紙4)仮想通貨交換業者に関する内閣府令
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20170324-1/04.pdf
(別紙19)事務ガイドライン
(第三分冊:金融会社関係 16仮想通貨交換業者関係)
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20170324-1/19.pdf
(別紙1)コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20170324-1/01.pdf
(参考)金融庁 リンク

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