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日精看宮城県支部

 コンコーダンス・スキル
患者を尊重した医療のための概念と技術




 安保寛明   (岩手晴和病院 社会復帰支援科)
精神疾患患者の生活には
2
    医療と服薬の継続がひとつのカギ
   統合失調症患者が服薬しない場合の1年間の再入院
    率は、およそ74%と見積もられている1)
   でも、服薬を継続すれば、少なくとも向こう2年間
    の再入院を高い確率で回避できる2)
   服薬継続には、教育、行動、情動への介入(支
    援)が揃うといい3)
    1)Kissling W: The current unsatisfactory state of relapse
    prevention in schizophrenic psychosis: suggestions for improvement.
    Clinical Neuropharmacology 14: 33-44,1991
    2)BMJ, Clinical Evidence issue9, B M J Books, 2003 (日本クリニカル
    エビデンス編集委員会, クリニカル・エビデンス ISSUE9 ,日経BP社, 2004)
    3)佐藤さやか,安西信雄:服薬アドヒアランスの評価法および改善のため
    の心理社会的介入法.Schizophrenia Frontier, 7(3), p.166-170, 2006.
この状況、どのように対処しますか?
3


       うつ病で入院していた患者さんが、退院。外
        来診察で薬を切り替えた外来患者さんから電
        話。
この状況、どのように対処しますか?
4


       うつ病で入院していた患者さんが、退院。外
        来診察で薬を切り替えた外来患者さんから電
        話。  薬が変わって、そした
           ら、吐き気がして、困っ
           てるんです!薬が合わな   えぇ??どうし
                          よう・・。
            いと思うんです。
もしかして・・・。
5
もしかして・・・。
6      もし薬をやめたら、
       再入院になりますか
       ら、とりあえず薬飲
       んでくださいね。
                   えっ・・・!?
もしかして・・・。
7      もし薬をやめたら、
       再入院になりますか
       ら、とりあえず薬飲   あーあ、なんだ、俺
       んでくださいね。     の気持ちなんてわ
                   かってないんだな。
                   結局俺の困りごとな
                     んて無視か。
もしかして・・・。
8      もし薬をやめたら、
       再入院になりますか
       ら、とりあえず薬飲   あーあ、なんだ、俺
       んでくださいね。     の気持ちなんてわ
                   かってないんだな。
                   結局俺の困りごとな
         深い溝         んて無視か。
突然ですが問題です
9


       SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に
        よる治療開始後20日が経過した外来患者から電
        話があった。2日前から薬の処方量が増え、そ
        の通りに内服したところ、吐き気が出現して
        困っていると訴えている。対応で適切なのはど
        れか。
         1.心配する必要はありません
        2.我慢して内服を続けてください
        3.外来を受診して医師に相談してみましょ
        う
突然ですが問題です
10


        SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に
         よる治療開始後20日が経過した外来患者から電
         話があった。2日前から薬の処方量が増え、そ
         の通りに内服したところ、吐き気が出現して
         困っていると訴えている。対応で適切なのはど
         れか。
          1.心配する必要はありません
         2.我慢して内服を続けてください
         3.外来を受診して医師に相談してみましょ
         う
                  2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
服薬への姿勢に関する概念
11




        コンプライアンス
     患者は医療者の指示に従う行動をするはず

        アドヒアランス
     患者の意思が服薬行動の基礎だ

        コンコーダンス
     患者のライフスタイルや価値観との調和によ
     る意思決定が重要だ
服薬への姿勢に関する概念
12


                      急性期・救
        コンプライアンス     急
 患者を評価する言葉


        アドヒアランス

   コンコーダンス
     
両者の関係(医療の在り方)を評価する言
           葉          回復期・地
                      域
「薬を飲みなさい」で伝わるこ
13
     と
        飲みたくない理由など関係なく、飲むも
         のだというルール重視の姿勢を表明して
         いる
          ↑コンプライアンス重視の考え方(患者の
         健康や幸福よりも、遵守度を重視している)


        「飲み忘れ」は患者の責任で、「飲もう
         とすれば(意欲があれば)飲めるはず
         だ」という見方を強調している
         ↑アドヒアランスを重視するあまり、自己
患者の意思決定を尊重する概念、
コンコーダンス(Concordance:調和)
コンコーダンス(調和)をめざす
     ときの視点
15




      薬物療法     患者の価値観・
     の現在と今後    ライフスタイル

     医療に関連する    患者の
      患者の行動    感情・判断
今回の例で考えると・・・
16



        薬物療法          患者の価値観・
       の現在と今後         ライフスタイル
     薬の処方が変わってから数   外来通院をしている。(地
     日が経過しているところ。   域で暮らしている。)


       医療に関連する         患者の
        患者の行動       気持ち(感情)や考え
     現在のところ、服用も通院   薬が変わったことで出てき
     もしている。困りごとがあ   た困りごと(吐き気)あ
     るときに電話をかけてきて   り。副作用かもしれないと
さきほどの問題を解説します。
     (SSRIの副作用のひとつ:消化器症状)
17


        SSRIの消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢)
         は、他の副作用よりも頻度が高い。
          →ある論文では、SSRIを処方された患者の3分の1は、これらの
         症状を理由に服薬をしなくなると言われている

        SSRI服用しはじめの一過性の副作用であるこ
         とが多い。
          →「服用中断」ではなく、心理的苦痛を和らげることが必
         要。
        ちなみに、吐き気に対する処方薬としては、
         プリンぺラン、ナウゼリン、ガナトンなどが
         ある。
ということは、SSRIを服用する患者さ
     ん
18   への看護では、どんなことを?
                   この吐き気
                   は一過性の
       一昨日から薬の量が   ものである
       増えて、そしたら、   可能性が高 ここでくすりをや
       吐き気がでてきて、    い!   めると、薬に対す
       困ってるんです!          る否定的な印象が
                         強く残る。だか
                         ら、薬を飲み続け
                         てもらえるような
                         言葉かけをした
                            い。
選択肢を考えてみましょう
19


        SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に
         よる治療開始後20日が経過した外来患者から電
         話があった。2日前から薬の処方量が増え、その
         通りに内服したところ、吐き気が出現して困っ
         ていると訴えている。対応で適切なのはどれ
         か。
           1.心配する必要はありません
         2.我慢して内服を続けてください
         3.外来を受診して医師に相談してみましょ
         う
                   2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
選択肢を考えてみましょう
   電話対応では、
   相手の不安感を
               この患者は、これまで
               も抗うつ薬を飲み続け
20
   取り除くくらい     ているので、内服の意
   の情報提供はで      味はわかっている。
     SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に
   きない可能性が     行動の指示をすること
      よる治療開始後20日が経過した外来患者から電
       高い       はおそらく無意味。
  話があった。2日前から薬の処方量が増え、その
              これまでも抗うつ薬を飲み
  通りに内服したところ、吐き気が出現して困っ
              続けているので、服用の意
  ていると訴えている。対応で適切なのはどれ
              味や医師への信頼はありそ
  か。          う。ので、おそらく即決し
   1.心配する必要はありませんなくていい。
   2.我慢して内服を続けてください
   3.外来を受診して医師に相談してみましょ
   う
              2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
「知っている」だけじゃなく話し方も
     重要
21

             相手の話を適切にまとめて返す(要約)


  「なるほど、薬の処方が変わった頃か
   ら具合が悪くなったと感じるように
   なって、それでお困りなのですね」
              相手の気持ちを察して表明す
                 る(反映的傾聴)

  「処方が変わった時に困ったことがあ
   ると副作用かもしれない、とご心配で
   しょう。」
  「できれば時間をかけてお伺いしたい
   ので、外来受診の時に、私か医師に相
               行動の提案
ここで、言い方を間違えると・
22
     ・・。
ここで、言い方を間違えると・
23
     ・・。       なんだ、この看護
              師。自分の仕事じゃ
         ま、私の仕事じゃな   ないって言ってる。
         いから、せんせいに   俺の気持ちを知った
         聞いてください。    上で話してるんじゃ
                     なくてただ単に自分
                     が仕事したくないだ
                        けか。
ここで、言い方を間違えると・
24
     ・・。       なんだ、この看護
              師。自分の仕事じゃ
         ま、私の仕事じゃな   ないって言ってる。
         いから、せんせいに   俺の気持ちを知った
         聞いてください。    上で話してるんじゃ
                     なくてただ単に自分
                     が仕事したくないだ
                        けか。
       結局深い溝
ここまでのまとめ
25


        救急・ごく急性期をのぞいては、敬意をもって
         患者の考えを尊重することが重要。(コンコーダ
         ンス)
        ただ話せばいいというものではなく、適切なコ
         ミュニケーションスキルが必要

        薬の作用と副作用の知識
     コンコーダンスな(調和した)関係づ
     くりに重要なコミュニケーションスキ
             ル
       (コンコーダンス・スキル)
患者とコンコーダンス(調和)
   するためのスキル
コンコーダンス・スキルは英国生まれ
27



      2004年にイギリスで開発
      元々は地域精神科看護師向けのスキル集
      日本の文化に合わせて追加したのもあり
以下のようなスキルがある
28


Ⅰ.基礎的スキル                Ⅱ.かかわりを進めるスキル
    (1) 相手の用いている言葉を使う  (1) コラボレーション
    (2) オープン・クエスチョン       (2) 反映的傾聴
    (3) クローズド・クエスチョン      (3) 面接を相互に関連づける
    (4) 要約                (4) アジェンダの設定
    (5) リフレーミング           (5) 柔軟に対応する
    (6) 反応の引き出しと応答        (6) 積極的な治療的スタンス
    (7) 支持と承認を示す          (7) 個人の選択とその責任を強調す
                            る
                           (8) コーピング・クエスチョン
コンコーダンス・スキル
 に登場するスキル
相手の用いている言葉を使う

   相手と自分では、使っている言葉の意味が違
    うかもしれない。

例)
 「早く楽になりたいです。」

   →「痛みから解放されたい」
   →「倦怠感を感じないようになりたい」
   →「人生を終わらせたい(死んでしまいた
  い)」
相手の用いている言葉を使う(2)

   曖昧な言葉のときには「相手の言葉を使っ
    て」確認するとよい。
    「なるほど、○○なんですね。」
     「先ほどの○○は、××という意味です
    か?」
     「先ほどの○○という言葉を聞いて、私は
    ××だという意味だと感じました。」

もし、相手に聞くことが難しい場合には、「そ
 の言葉を使って」報告する。
問いの開閉
   「これから薬が自己管理になるわけですが、も
    ちろん、薬は飲み忘れないですよね??!」
         質問の形をした
        「確認」または「指
            導」

    もし、コンコーダンスの考え方に沿って話をするな
             ら・・・?
問いの開閉 (Open/Closedの選択)
   閉じた質問は、相手が答えやすい/答えたくな
    る質問をするのが基本。会話にリズムが生ま
    れる。
     (例:「今日はいい天気だね!?」)

   相手への関心を示す場合は、開いた質問の方
    が有効なことが多い。
     (例:温泉に行くのが好きって言ってたけ
    れど、どんな温泉に行くのが好き?)
問いの開閉
   「これから薬が自己管理になるわけですが、も
    ちろん、薬は飲み忘れないですよね??!」
         質問の形をした
        「確認」または「指
            導」

    もし、コンコーダンスの考え方に沿って話をするな
             ら・・・?
要約
   相手の話を適切に聞き、要点とそれに関連す
    る重要な要素を返す。「なるほ
    ど、・・・・・なんですね。」


事実          解釈       反応
 (経         (認       (感
験・行        知・判      情・情
 動)         断)       動)
要約の実例
   ある患者が外泊予定の日に同じ部屋の患者を
    殴り、そのことについて事情を聞いたエピソ
    ードについて、以下の3要素に分けてお聞き
    ください。
      事実(経験・行動)

      解釈(判断・認知)

      反応(感情・情動)
このような発言を要素に分解する
     と・・・
37

        「今日は久々の外泊だから、朝から張り切って起   行動・事実
         きたんです。
        だけど、さっき同じ部屋のAさんに「どうせ外泊
         したって、ただの外泊だろ。お前の母ちゃんは退   行動・事実
         院させてはくれないだろ」って言われて、
                                  感情・情動
        なんだかすごい悲しくなって、
        なんでAさんに言われなきゃならないんだって    解釈・判断
         思って、
                                  感情・情動
        そう思ったら頭がカーッとなってきて、
                                  解釈・判断
        それで、「お前なんかに言われたくない」ってい
         いたくなって、でも言えなくて、
        それに、なんかAさんが俺のことを馬鹿にした目   解釈・判断
         で見てきた気がして、それで、
                                  行動・事実
        つい手が出てしまったんです。
リフレーミング
   患者の視点を変えて返答すること。否定的な
    認識になっていることの肯定的な側面を見出
    すことが多い。
     感情・意図へのリフレーミン
           グ
       消極的     慎重な
     行動や経験へのリフレーミン
           グ
                  だいたいうまく
      最後にミスした       いった
コラボレーション
   日本語で省略されがちな主語をつけたり、主語
    を変えたりすると、少し見方が変わります。

   コラボレーションでは、主語を制御します。
     基本的には「私」「あなた」の主語で進める
     ただし、その背景にある重要な概念を
    「私達」「ふたり」など、協働性を意識する主
    語にする
支持と承認を示す

   支持:相手の考えの一部または多くを支持的に
    示す
    (医療職の場合、自分の立場を表明する事でも
    支持的なニュアンスになる)
   承認を示す:
     1)ほめる、ねぎらう、正のフィードバック
    をする
     2)標準的な出来事である部分を返す
     3)ある考え方をすることは妥当だと伝える
反応の引き出しと応答
41




         患者さんの言動      患者さんの
         (社会的に受け入れ   気持ちや考え
         られやすい応答)     (自分の考え)


        言語と非言語の不一致がある時には、非言語
         で表出されているメッセージを無視しない事
         が重要です。
反応の引き出しと応答
42




        非言語で表出されているメッセージを表面化
         する時には、事実で「違います」とはならな
         い部分を表面化する事が大事です。
         例.声が大きくなっている、早口になってい
         る

        それらの事実を表面化した後で、必要があれ
         ば、その事実がもたらす解釈を伝えるといい
         です。
認知行動理論と
ビリーフ(信念)の関与
認知行動理論と認知モデル
   気分障害圏の患者の感情の動きを理解するに
    は、認知行動理論と認知モデルを知っておく
    とよい。


            解釈       反応
            (認       (感
    経験
           知・判      情・行
            断)       動)
認知行動理論と認知モデル
    気分障害圏の患者の感情の動きを理解するに
     は、認知行動理論と認知モデルを知っておく
     とよい。


             解釈       反応
             (認        (感
     経験
            知・判       情・行
出かけようと       断)
           私って間が悪      動)
                     とても、出か
したら雨が      い人間       ける気分じゃ
降ってきた!     ね・・。      ないよ(>_<)
信念や価値観が認知のおおもと
   その人の主体的な行動や、即時的(衝動的)
    行動は、認知判断に影響を及ぼしている信念
    または価値観が影響している。


    経験
           認知・       反応
価値観・        判断       (行動)
 信念
信念や価値観が認知のおおもと
    その人の主体的な行動や、即時的(衝動的)
     行動は、認知判断に影響を及ぼしている信念
     または価値観が影響している。
駐車場でドアに
ぶつかられた
     経験
            認知・       反応
価値観・         判断       (行動)
 信念        俺は死にたく    相手を殴る
世の中、生きる    ない、生きる
か死ぬかだ      ぞ!!!
その人を構成する価値観と信念がわか
 る
 と、介入しやすい
    その人の信念または価値観を知ると、苦手な
     場面がわかる。
ちょっと列が空
いているから割
り込んじゃえ!
     経験
            認知・       反応
価値観・         判断       (行動)
           なんで俺が
 信念                  相手を殴る
           怒られなき
自由に生きるこ    ゃいけない
とが大事だ。     んだ?!
その人を構成する価値観と信念がわか
る
と、介入しやすい
   その人の行動を丹念に観察すると、認知や価
    値観がみえてくる。
価値観・       認知・       反応
 信念         判断      (行動)
世の中、序     先輩を差し     バスで新入居
列はある。     置いて並ぶ     者を押す
先輩は敬う     な!
ものだ。      先輩が困っ     先輩入居者が
          たことが      入院したらお
          あったら協     見舞いする
価値観を尊重しつつ行動を変えるには、
両立しうる価値観に基づいた示唆をす
る
   その人の行動を丹念に観察すると、認知や価
    値観がみえてくる。
価値観・       認知・       反応
 信念         判断       (行動)
世の中、序     先輩を差し     バスで新入居
列はある。     置いて並ぶ     者を押す前
先輩は敬う     な!
           先輩は後輩    に、バスでは
ものだ。
 先輩は後輩      に「優しく   新人より先輩
 に「優しく      教える」と   が前に並ぶべ
 接する」べ      よい      きだと話す
価値観は、その人の
 「発見」がないと変わらない。
    価値観や信念は経験に対する考察の積み重ね
     で形成される。
            価値観・
秩序・役割
             信念
                        自由・混沌

列に並んで
                        列に横入り
順番を守っ
                        したら早く
たら意外と
                        ゲットでき
快適だった
        リーダーに任   リーダーが物 た
        せた方がいい   事を決めると
        ことがある    ロクな事がな
スキルを高めたら
意図を持って関わろう
 (介入のはなし)
患者の受療行動を改善する
心理社会的介入は大きく3種類

   教育的介入(Education(al)
    )
    心理教育など
   行動的介入(Behavioral)
    行動療法など
   情緒的介入(Affective)
               今日は、この部分の話題です
    動機づけ面接など
決断、行動するために必要な
  3つの要素

                         教育                                 行動
                         (知識)                                  (スキ
                                                              ル)

                                              情緒
                                          (姿勢・感
                                           情)
Dolder CR,Lacro JP,Leckband S,et al: Intervention to Improve Antipsychotic Medication
Adherence; Review of Recent Literature.J Clin Psychopharmacol 23(4): 389-398,2003
歯磨きを実際にやって
 例えば、歯磨きの場合                        みて、快適で効果的に
                                   歯磨きが出来るように
                                      練習する

 虫歯の影響、
 虫歯の成因、
 歯磨きをする
 ことの予防効
              教育                  行動
 果などを知る
              (知識)                  (スキ
                                   ル)

 歯磨きをすることに前               情緒
 向きになれない要因を
 知り、それに応じた対             (姿勢・感
    応をする                 情)
安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,36(11),19-26,2009 を元に作成
安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,(11),22-33,2009 を元に作成
薬物療法(薬を                      薬の仕分け、外出時の持ち運
                                びなどを練習する。
 飲むこと)の場合                     (認知行動療法の場合は)薬
                              に対する見方を知った上で具
                               体的な行動を練習する
 症状の生活へ
 の影響、服薬
 をすることの
  予防効果、
              教育                  行動
 (場合によっ
 ては)病態生       (知識)                  (スキ
 理などを知る
                                   ル)
 服薬をすることに前向
 きになれない要因(例
  えば副作用、辛い経               情緒
 験)が解決する、将来
 への希望と道筋が明ら
                        (姿勢・感
   かになる、など               情)
安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,36(11),19-26,2009 を元に作成
コンコーダンスに向けた関わりの
     基本的な考え方
57


               相手が話しにくいと
               思われる心配や不安
               など、前向きになり
               にくい話題も丁寧に
                  扱う
6つの介入
スキルと介入のちがい

   介入:両者または医療者に治療的な意図が
    あって行われる関わりのひと単位。
       料理の「レシピ」、スポーツの「作戦」のよう
                なもの
   スキル:介入や通常のコミュニケーションを
    行う際に実施される、関わる技術。
非言語(雰囲気や文脈)で構成するスキルもとても重要だが、範囲が
 広がりすぎるので今日は扱わない。

         調理技術、スポーツの技のようなもの
慢性疾患患者の         コンコーダンスの考え方で



60
     服薬意欲を高める方法(介入)
              患者が考える不利益や心配を明ら
    両価性の探求     かにし、利益や期待も同様に扱う
 コンコーダンス・アセスメ 副作用や自信のなさなどの医療者
             

       ント      に不都合な情報も丁寧に聞いて活
               かす
      振り返り    経験と感情、時間の流れなどを整

               理し、ネガティブな経験を再構成
   実践的問題の整理    する
              達成したい行動をしやすくするた
  信念と懸念に関する対話 めの工夫を話しあう
              強い思い込みに関する冷静な対話
    先を見据える
               をする
学ぶこと、練習すること
  は意味がある
きちんと行えば結果はついてく
    る(1)
   ロンドンで働く地域精神看護師に対して、一部
    の看護師にのみ研修を行った。
   研修を受けた看護師が受け持つ統合失調症患者
    29名と、そうでない看護師が受け持つ統合失調
    症患者24名を比べると・・・
   研修を受けた看護師が関わった患者の方が、陰
    性症状が改善し(PANSS)、服薬にも前向き
    (DAI-30)で、実際の服薬状況も良好という差
    が出た。
   Gray R, Wykes T, Edmonds M, Lees M, Gournay K: Effect of
    Medication management’s training package for nurses
    clinical outcomes for patients with schizophrenia. British
きちんと行えば結果はついてく
る(2)
   タイのチェンマイで、32名の統合失調症患者
    に対して、無作為に16名を選んで、アドヒア
    ランス・セラピー*という方法の介入を実施。
   その結果、陰性症状の改善(PANSS)と服薬の
    前向きさ(DAI-30)、薬への満足度(SWAM)で
    有意に良好な結果。
   Maneesakorn S, Robson D, Gournay K, Gray R.: An RCT of
    adherence therapy for people with schizophrenia in
    Chiang Mai, Thailand. J Clin Nurs. 2007 Jul;16(7):1302-12.


*アドヒアランス・セラピーとは、コンコーダンス・スキルの多くを
 用いて行う一連の治療的介入パッケージのこと。
英国では5日間、日本では6日間で
64
     約30時間のトレーニング

    先ほど紹介した論文のよう
     に、一定のトレーニングを積
     んだ医療職者が定期的に面談
     をすると、患者の考えや行動
     は変わります。

    日本で行っているスキル研修
    (看護師) 5時間×6日
    (福祉従事者)3時間×4日×2カ年
コンコーダンスに向けた関わりの
     コツ
65

 1.介入をする時には、出来るだけ事前に合意を得る
 2.対話の内容を紙に書き、両者および医療チームで
 共有
 3.自分らしい暮らしの回復(リカバリーモデル)を
 意識する
     暮らしが前向きに回復していくために
     重視すると良さそうな事

     ・希望        ・安全な居場所
     ・自分らしさ     ・あたたかい人間関係
     ・自己決定と自己主張 ・対処や工夫をする
     ・意味を感じること
きょうは、
おつかれさまでした!

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2011 日精看宮城県支部 コンコーダンス研修スライド

  • 2. 精神疾患患者の生活には 2 医療と服薬の継続がひとつのカギ  統合失調症患者が服薬しない場合の1年間の再入院 率は、およそ74%と見積もられている1)  でも、服薬を継続すれば、少なくとも向こう2年間 の再入院を高い確率で回避できる2)  服薬継続には、教育、行動、情動への介入(支 援)が揃うといい3) 1)Kissling W: The current unsatisfactory state of relapse prevention in schizophrenic psychosis: suggestions for improvement. Clinical Neuropharmacology 14: 33-44,1991 2)BMJ, Clinical Evidence issue9, B M J Books, 2003 (日本クリニカル エビデンス編集委員会, クリニカル・エビデンス ISSUE9 ,日経BP社, 2004) 3)佐藤さやか,安西信雄:服薬アドヒアランスの評価法および改善のため の心理社会的介入法.Schizophrenia Frontier, 7(3), p.166-170, 2006.
  • 3. この状況、どのように対処しますか? 3  うつ病で入院していた患者さんが、退院。外 来診察で薬を切り替えた外来患者さんから電 話。
  • 4. この状況、どのように対処しますか? 4  うつ病で入院していた患者さんが、退院。外 来診察で薬を切り替えた外来患者さんから電 話。 薬が変わって、そした ら、吐き気がして、困っ てるんです!薬が合わな えぇ??どうし よう・・。 いと思うんです。
  • 6. もしかして・・・。 6 もし薬をやめたら、 再入院になりますか ら、とりあえず薬飲 んでくださいね。 えっ・・・!?
  • 7. もしかして・・・。 7 もし薬をやめたら、 再入院になりますか ら、とりあえず薬飲 あーあ、なんだ、俺 んでくださいね。 の気持ちなんてわ かってないんだな。 結局俺の困りごとな んて無視か。
  • 8. もしかして・・・。 8 もし薬をやめたら、 再入院になりますか ら、とりあえず薬飲 あーあ、なんだ、俺 んでくださいね。 の気持ちなんてわ かってないんだな。 結局俺の困りごとな 深い溝 んて無視か。
  • 9. 突然ですが問題です 9  SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に よる治療開始後20日が経過した外来患者から電 話があった。2日前から薬の処方量が増え、そ の通りに内服したところ、吐き気が出現して 困っていると訴えている。対応で適切なのはど れか。 1.心配する必要はありません 2.我慢して内服を続けてください 3.外来を受診して医師に相談してみましょ う
  • 10. 突然ですが問題です 10  SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に よる治療開始後20日が経過した外来患者から電 話があった。2日前から薬の処方量が増え、そ の通りに内服したところ、吐き気が出現して 困っていると訴えている。対応で適切なのはど れか。 1.心配する必要はありません 2.我慢して内服を続けてください 3.外来を受診して医師に相談してみましょ う 2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
  • 11. 服薬への姿勢に関する概念 11  コンプライアンス 患者は医療者の指示に従う行動をするはず  アドヒアランス 患者の意思が服薬行動の基礎だ  コンコーダンス 患者のライフスタイルや価値観との調和によ る意思決定が重要だ
  • 12. 服薬への姿勢に関する概念 12 急性期・救  コンプライアンス 急 患者を評価する言葉  アドヒアランス コンコーダンス  両者の関係(医療の在り方)を評価する言 葉 回復期・地 域
  • 13. 「薬を飲みなさい」で伝わるこ 13 と  飲みたくない理由など関係なく、飲むも のだというルール重視の姿勢を表明して いる ↑コンプライアンス重視の考え方(患者の 健康や幸福よりも、遵守度を重視している)  「飲み忘れ」は患者の責任で、「飲もう とすれば(意欲があれば)飲めるはず だ」という見方を強調している ↑アドヒアランスを重視するあまり、自己
  • 15. コンコーダンス(調和)をめざす ときの視点 15 薬物療法 患者の価値観・ の現在と今後 ライフスタイル 医療に関連する 患者の 患者の行動 感情・判断
  • 16. 今回の例で考えると・・・ 16 薬物療法 患者の価値観・ の現在と今後 ライフスタイル 薬の処方が変わってから数 外来通院をしている。(地 日が経過しているところ。 域で暮らしている。) 医療に関連する 患者の 患者の行動 気持ち(感情)や考え 現在のところ、服用も通院 薬が変わったことで出てき もしている。困りごとがあ た困りごと(吐き気)あ るときに電話をかけてきて り。副作用かもしれないと
  • 17. さきほどの問題を解説します。 (SSRIの副作用のひとつ:消化器症状) 17  SSRIの消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢) は、他の副作用よりも頻度が高い。 →ある論文では、SSRIを処方された患者の3分の1は、これらの 症状を理由に服薬をしなくなると言われている  SSRI服用しはじめの一過性の副作用であるこ とが多い。 →「服用中断」ではなく、心理的苦痛を和らげることが必 要。  ちなみに、吐き気に対する処方薬としては、 プリンぺラン、ナウゼリン、ガナトンなどが ある。
  • 18. ということは、SSRIを服用する患者さ ん 18 への看護では、どんなことを? この吐き気 は一過性の 一昨日から薬の量が ものである 増えて、そしたら、 可能性が高 ここでくすりをや 吐き気がでてきて、 い! めると、薬に対す 困ってるんです! る否定的な印象が 強く残る。だか ら、薬を飲み続け てもらえるような 言葉かけをした い。
  • 19. 選択肢を考えてみましょう 19  SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に よる治療開始後20日が経過した外来患者から電 話があった。2日前から薬の処方量が増え、その 通りに内服したところ、吐き気が出現して困っ ていると訴えている。対応で適切なのはどれ か。 1.心配する必要はありません 2.我慢して内服を続けてください 3.外来を受診して医師に相談してみましょ う 2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
  • 20. 選択肢を考えてみましょう 電話対応では、 相手の不安感を この患者は、これまで も抗うつ薬を飲み続け 20 取り除くくらい ているので、内服の意 の情報提供はで 味はわかっている。  SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に きない可能性が 行動の指示をすること よる治療開始後20日が経過した外来患者から電 高い はおそらく無意味。 話があった。2日前から薬の処方量が増え、その これまでも抗うつ薬を飲み 通りに内服したところ、吐き気が出現して困っ 続けているので、服用の意 ていると訴えている。対応で適切なのはどれ 味や医師への信頼はありそ か。 う。ので、おそらく即決し 1.心配する必要はありませんなくていい。 2.我慢して内服を続けてください 3.外来を受診して医師に相談してみましょ う 2009年度(今年)の看護師国家試験問題から
  • 21. 「知っている」だけじゃなく話し方も 重要 21 相手の話を適切にまとめて返す(要約)  「なるほど、薬の処方が変わった頃か ら具合が悪くなったと感じるように なって、それでお困りなのですね」 相手の気持ちを察して表明す る(反映的傾聴)  「処方が変わった時に困ったことがあ ると副作用かもしれない、とご心配で しょう。」  「できれば時間をかけてお伺いしたい ので、外来受診の時に、私か医師に相 行動の提案
  • 23. ここで、言い方を間違えると・ 23 ・・。 なんだ、この看護 師。自分の仕事じゃ ま、私の仕事じゃな ないって言ってる。 いから、せんせいに 俺の気持ちを知った 聞いてください。 上で話してるんじゃ なくてただ単に自分 が仕事したくないだ けか。
  • 24. ここで、言い方を間違えると・ 24 ・・。 なんだ、この看護 師。自分の仕事じゃ ま、私の仕事じゃな ないって言ってる。 いから、せんせいに 俺の気持ちを知った 聞いてください。 上で話してるんじゃ なくてただ単に自分 が仕事したくないだ けか。 結局深い溝
  • 25. ここまでのまとめ 25  救急・ごく急性期をのぞいては、敬意をもって 患者の考えを尊重することが重要。(コンコーダ ンス)  ただ話せばいいというものではなく、適切なコ ミュニケーションスキルが必要 薬の作用と副作用の知識 コンコーダンスな(調和した)関係づ くりに重要なコミュニケーションスキ ル (コンコーダンス・スキル)
  • 26. 患者とコンコーダンス(調和) するためのスキル
  • 27. コンコーダンス・スキルは英国生まれ 27  2004年にイギリスで開発  元々は地域精神科看護師向けのスキル集  日本の文化に合わせて追加したのもあり
  • 28. 以下のようなスキルがある 28 Ⅰ.基礎的スキル Ⅱ.かかわりを進めるスキル  (1) 相手の用いている言葉を使う  (1) コラボレーション  (2) オープン・クエスチョン  (2) 反映的傾聴  (3) クローズド・クエスチョン  (3) 面接を相互に関連づける  (4) 要約  (4) アジェンダの設定  (5) リフレーミング  (5) 柔軟に対応する  (6) 反応の引き出しと応答  (6) 積極的な治療的スタンス  (7) 支持と承認を示す  (7) 個人の選択とその責任を強調す る  (8) コーピング・クエスチョン
  • 30. 相手の用いている言葉を使う  相手と自分では、使っている言葉の意味が違 うかもしれない。 例)  「早く楽になりたいです。」 →「痛みから解放されたい」 →「倦怠感を感じないようになりたい」 →「人生を終わらせたい(死んでしまいた い)」
  • 31. 相手の用いている言葉を使う(2)  曖昧な言葉のときには「相手の言葉を使っ て」確認するとよい。  「なるほど、○○なんですね。」 「先ほどの○○は、××という意味です か?」 「先ほどの○○という言葉を聞いて、私は ××だという意味だと感じました。」 もし、相手に聞くことが難しい場合には、「そ の言葉を使って」報告する。
  • 32. 問いの開閉  「これから薬が自己管理になるわけですが、も ちろん、薬は飲み忘れないですよね??!」 質問の形をした 「確認」または「指 導」 もし、コンコーダンスの考え方に沿って話をするな ら・・・?
  • 33. 問いの開閉 (Open/Closedの選択)  閉じた質問は、相手が答えやすい/答えたくな る質問をするのが基本。会話にリズムが生ま れる。 (例:「今日はいい天気だね!?」)  相手への関心を示す場合は、開いた質問の方 が有効なことが多い。 (例:温泉に行くのが好きって言ってたけ れど、どんな温泉に行くのが好き?)
  • 34. 問いの開閉  「これから薬が自己管理になるわけですが、も ちろん、薬は飲み忘れないですよね??!」 質問の形をした 「確認」または「指 導」 もし、コンコーダンスの考え方に沿って話をするな ら・・・?
  • 35. 要約  相手の話を適切に聞き、要点とそれに関連す る重要な要素を返す。「なるほ ど、・・・・・なんですね。」 事実 解釈 反応 (経 (認 (感 験・行 知・判 情・情 動) 断) 動)
  • 36. 要約の実例  ある患者が外泊予定の日に同じ部屋の患者を 殴り、そのことについて事情を聞いたエピソ ードについて、以下の3要素に分けてお聞き ください。 事実(経験・行動) 解釈(判断・認知) 反応(感情・情動)
  • 37. このような発言を要素に分解する と・・・ 37  「今日は久々の外泊だから、朝から張り切って起 行動・事実 きたんです。  だけど、さっき同じ部屋のAさんに「どうせ外泊 したって、ただの外泊だろ。お前の母ちゃんは退 行動・事実 院させてはくれないだろ」って言われて、 感情・情動  なんだかすごい悲しくなって、  なんでAさんに言われなきゃならないんだって 解釈・判断 思って、 感情・情動  そう思ったら頭がカーッとなってきて、 解釈・判断  それで、「お前なんかに言われたくない」ってい いたくなって、でも言えなくて、  それに、なんかAさんが俺のことを馬鹿にした目 解釈・判断 で見てきた気がして、それで、 行動・事実  つい手が出てしまったんです。
  • 38. リフレーミング  患者の視点を変えて返答すること。否定的な 認識になっていることの肯定的な側面を見出 すことが多い。 感情・意図へのリフレーミン グ 消極的 慎重な 行動や経験へのリフレーミン グ だいたいうまく 最後にミスした いった
  • 39. コラボレーション  日本語で省略されがちな主語をつけたり、主語 を変えたりすると、少し見方が変わります。  コラボレーションでは、主語を制御します。 基本的には「私」「あなた」の主語で進める ただし、その背景にある重要な概念を 「私達」「ふたり」など、協働性を意識する主 語にする
  • 40. 支持と承認を示す  支持:相手の考えの一部または多くを支持的に 示す (医療職の場合、自分の立場を表明する事でも 支持的なニュアンスになる)  承認を示す: 1)ほめる、ねぎらう、正のフィードバック をする 2)標準的な出来事である部分を返す 3)ある考え方をすることは妥当だと伝える
  • 41. 反応の引き出しと応答 41 患者さんの言動 患者さんの (社会的に受け入れ 気持ちや考え られやすい応答) (自分の考え)  言語と非言語の不一致がある時には、非言語 で表出されているメッセージを無視しない事 が重要です。
  • 42. 反応の引き出しと応答 42  非言語で表出されているメッセージを表面化 する時には、事実で「違います」とはならな い部分を表面化する事が大事です。 例.声が大きくなっている、早口になってい る  それらの事実を表面化した後で、必要があれ ば、その事実がもたらす解釈を伝えるといい です。
  • 44. 認知行動理論と認知モデル  気分障害圏の患者の感情の動きを理解するに は、認知行動理論と認知モデルを知っておく とよい。 解釈 反応 (認 (感 経験 知・判 情・行 断) 動)
  • 45. 認知行動理論と認知モデル  気分障害圏の患者の感情の動きを理解するに は、認知行動理論と認知モデルを知っておく とよい。 解釈 反応 (認 (感 経験 知・判 情・行 出かけようと 断) 私って間が悪 動) とても、出か したら雨が い人間 ける気分じゃ 降ってきた! ね・・。 ないよ(>_<)
  • 46. 信念や価値観が認知のおおもと  その人の主体的な行動や、即時的(衝動的) 行動は、認知判断に影響を及ぼしている信念 または価値観が影響している。 経験 認知・ 反応 価値観・ 判断 (行動) 信念
  • 47. 信念や価値観が認知のおおもと  その人の主体的な行動や、即時的(衝動的) 行動は、認知判断に影響を及ぼしている信念 または価値観が影響している。 駐車場でドアに ぶつかられた 経験 認知・ 反応 価値観・ 判断 (行動) 信念 俺は死にたく 相手を殴る 世の中、生きる ない、生きる か死ぬかだ ぞ!!!
  • 48. その人を構成する価値観と信念がわか る と、介入しやすい  その人の信念または価値観を知ると、苦手な 場面がわかる。 ちょっと列が空 いているから割 り込んじゃえ! 経験 認知・ 反応 価値観・ 判断 (行動) なんで俺が 信念 相手を殴る 怒られなき 自由に生きるこ ゃいけない とが大事だ。 んだ?!
  • 49. その人を構成する価値観と信念がわか る と、介入しやすい  その人の行動を丹念に観察すると、認知や価 値観がみえてくる。 価値観・ 認知・ 反応 信念 判断 (行動) 世の中、序 先輩を差し バスで新入居 列はある。 置いて並ぶ 者を押す 先輩は敬う な! ものだ。 先輩が困っ 先輩入居者が たことが 入院したらお あったら協 見舞いする
  • 50. 価値観を尊重しつつ行動を変えるには、 両立しうる価値観に基づいた示唆をす る  その人の行動を丹念に観察すると、認知や価 値観がみえてくる。 価値観・ 認知・ 反応 信念 判断 (行動) 世の中、序 先輩を差し バスで新入居 列はある。 置いて並ぶ 者を押す前 先輩は敬う な! 先輩は後輩 に、バスでは ものだ。 先輩は後輩 に「優しく 新人より先輩 に「優しく 教える」と が前に並ぶべ 接する」べ よい きだと話す
  • 51. 価値観は、その人の 「発見」がないと変わらない。  価値観や信念は経験に対する考察の積み重ね で形成される。 価値観・ 秩序・役割 信念 自由・混沌 列に並んで 列に横入り 順番を守っ したら早く たら意外と ゲットでき 快適だった リーダーに任 リーダーが物 た せた方がいい 事を決めると ことがある ロクな事がな
  • 53. 患者の受療行動を改善する 心理社会的介入は大きく3種類  教育的介入(Education(al) ) 心理教育など  行動的介入(Behavioral) 行動療法など  情緒的介入(Affective) 今日は、この部分の話題です 動機づけ面接など
  • 54. 決断、行動するために必要な 3つの要素 教育 行動 (知識) (スキ ル) 情緒 (姿勢・感 情) Dolder CR,Lacro JP,Leckband S,et al: Intervention to Improve Antipsychotic Medication Adherence; Review of Recent Literature.J Clin Psychopharmacol 23(4): 389-398,2003
  • 55. 歯磨きを実際にやって 例えば、歯磨きの場合 みて、快適で効果的に 歯磨きが出来るように 練習する 虫歯の影響、 虫歯の成因、 歯磨きをする ことの予防効 教育 行動 果などを知る (知識) (スキ ル) 歯磨きをすることに前 情緒 向きになれない要因を 知り、それに応じた対 (姿勢・感 応をする 情) 安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,36(11),19-26,2009 を元に作成 安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,(11),22-33,2009 を元に作成
  • 56. 薬物療法(薬を 薬の仕分け、外出時の持ち運 びなどを練習する。 飲むこと)の場合 (認知行動療法の場合は)薬 に対する見方を知った上で具 体的な行動を練習する 症状の生活へ の影響、服薬 をすることの 予防効果、 教育 行動 (場合によっ ては)病態生 (知識) (スキ 理などを知る ル) 服薬をすることに前向 きになれない要因(例 えば副作用、辛い経 情緒 験)が解決する、将来 への希望と道筋が明ら (姿勢・感 かになる、など 情) 安保寛明,コンコーダンス・スキル概論,精神科看護,36(11),19-26,2009 を元に作成
  • 57. コンコーダンスに向けた関わりの 基本的な考え方 57 相手が話しにくいと 思われる心配や不安 など、前向きになり にくい話題も丁寧に 扱う
  • 59. スキルと介入のちがい  介入:両者または医療者に治療的な意図が あって行われる関わりのひと単位。 料理の「レシピ」、スポーツの「作戦」のよう なもの  スキル:介入や通常のコミュニケーションを 行う際に実施される、関わる技術。 非言語(雰囲気や文脈)で構成するスキルもとても重要だが、範囲が 広がりすぎるので今日は扱わない。 調理技術、スポーツの技のようなもの
  • 60. 慢性疾患患者の コンコーダンスの考え方で 60 服薬意欲を高める方法(介入)  患者が考える不利益や心配を明ら 両価性の探求 かにし、利益や期待も同様に扱う コンコーダンス・アセスメ 副作用や自信のなさなどの医療者  ント に不都合な情報も丁寧に聞いて活 かす 振り返り  経験と感情、時間の流れなどを整 理し、ネガティブな経験を再構成 実践的問題の整理 する  達成したい行動をしやすくするた 信念と懸念に関する対話 めの工夫を話しあう  強い思い込みに関する冷静な対話 先を見据える をする
  • 62. きちんと行えば結果はついてく る(1)  ロンドンで働く地域精神看護師に対して、一部 の看護師にのみ研修を行った。  研修を受けた看護師が受け持つ統合失調症患者 29名と、そうでない看護師が受け持つ統合失調 症患者24名を比べると・・・  研修を受けた看護師が関わった患者の方が、陰 性症状が改善し(PANSS)、服薬にも前向き (DAI-30)で、実際の服薬状況も良好という差 が出た。  Gray R, Wykes T, Edmonds M, Lees M, Gournay K: Effect of Medication management’s training package for nurses clinical outcomes for patients with schizophrenia. British
  • 63. きちんと行えば結果はついてく る(2)  タイのチェンマイで、32名の統合失調症患者 に対して、無作為に16名を選んで、アドヒア ランス・セラピー*という方法の介入を実施。  その結果、陰性症状の改善(PANSS)と服薬の 前向きさ(DAI-30)、薬への満足度(SWAM)で 有意に良好な結果。  Maneesakorn S, Robson D, Gournay K, Gray R.: An RCT of adherence therapy for people with schizophrenia in Chiang Mai, Thailand. J Clin Nurs. 2007 Jul;16(7):1302-12. *アドヒアランス・セラピーとは、コンコーダンス・スキルの多くを 用いて行う一連の治療的介入パッケージのこと。
  • 64. 英国では5日間、日本では6日間で 64 約30時間のトレーニング  先ほど紹介した論文のよう に、一定のトレーニングを積 んだ医療職者が定期的に面談 をすると、患者の考えや行動 は変わります。  日本で行っているスキル研修  (看護師) 5時間×6日  (福祉従事者)3時間×4日×2カ年
  • 65. コンコーダンスに向けた関わりの コツ 65 1.介入をする時には、出来るだけ事前に合意を得る 2.対話の内容を紙に書き、両者および医療チームで 共有 3.自分らしい暮らしの回復(リカバリーモデル)を 意識する 暮らしが前向きに回復していくために 重視すると良さそうな事 ・希望 ・安全な居場所 ・自分らしさ ・あたたかい人間関係 ・自己決定と自己主張 ・対処や工夫をする ・意味を感じること