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数学を数学で数学した人々

4 de Feb de 2016
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数学を数学で数学した人々

  1. 数学を数学で数学した人々 数学基礎論見聞録
  2. 発表者紹介 一般人でーす 文系出身 サラリーマン・プログラマー 山口 暁
  3. そんな一般人が、 数学基礎論の歴史を 見聞(つまみぐい)してみました。
  4. 数学基礎論とは何か? ● 数学とは何か? を考える数学の分野 ● こんな内容が含まれます。 ○ 集合論 ○ モデル理論 ○ 記号論理学・数理論理学 ○ 証明論 ○ 計算機科学 ○ などなど 19世紀末頃から始まった、比較的新しい数学の分野 とても抽象的な学問だけど、実は、現代の私達の生活と密接に関わっています。
  5. 1890年代 黎明期 集合論の衝撃
  6. カントールの集合論 ● とにかく”もの”の集まり ● 自然数でも実数でも他の集合でもOK! ● 集合にはなんでもいくつでも入れてOK! ● ∅(空集合)、{1,2,3}、{x | xは素数}などなど ゲオルグ・カントール スゴイ〜 ナウい〜 集合マジ便利!
  7. しかし、調子に乗っていたら、 不思議な怪奇現象が 数学界で目撃されるようになった……。
  8. 集合論のふしぎ1 対角線論法 ● 0.0 〜 1.0の実数を並べたリストがあるとする。 ● そのリストの各n番目の数字の小数部n桁目を以下 のように変更する。 ○ 偶数なら1にする。 ○ 奇数なら2にする。 ● すると、対角線の数字はリストに乗ってないことにな る! ○ リストのどのn番目の数字とも、n桁目で異なる ● 全ての実数のリストにない実数がある。はい矛盾! ● 結論:全ての実数はリストできない→自然数の数よ りたくさんある。
  9. 集合論のふしぎ2 超限数 ● 空集合と集合だけで自然数(0を含む)が作れる。(順序数) ○ 0 = ∅、1 = {0}、2 = {0, 1} … ● 自然数全体の順序数(集合)がωとして定義できる。 ○ ω = {0, 1, 2, 3, 4, ….} ● ωの次の順序数(集合)がさらに作れる。 ○ ω + 1 = {0, 1, 2, …, ω}、ω + 2 = {0, 1, 2, …, ω, ω + 1} ● ωのω個次の順序数がさらに作れる。 ○ ω + ω = 2ω = {0, 1, 2, …, ω, ω + 1, … }、3ω、4ω ● ωのω倍次の順序数がさらに作れる。 ○ ω^2、ω^3、ω^4 ● ωのω乗の順序数がさらに作れる。 ○ ω^ω、ω^ω^ω、ω^ω^ω^ω ● 限界突破!ω^ω^ω^ω^ω^ω……よりも大きい数、ε0定義!!!
  10. そんな集合論でいいの? いいんだよ。 「数学の本質はその自由性にある」
  11. クロネッカーからパワハラ よくねーよ!! クロネッカーの思想 つーか、そもそも、具体的に計算できない超越数とかありえねーし。 (※円周率πとか自然対数の底eも超越数です※) 有限の手順で具体的に計算できることだけ考えようぜ! レオポルト・クロネッカー その他各方面からの批判による心労に耐えかねて、 カントールは精神病院に入院……。
  12. 数学臨死体験1「ラッセルのパラドックス」 ● 集合の集合が自由に作れる。 ● 自分自身を含む集合の集合も作れる。 ○ R = { x | x ∈ x } ○ すべての集合の集合、とか ……。 ● 自分自身を含まない集合の集合も作れる。 ○ R = { x | x ∈ x } ● あれ? ● 「自分自身を含まない集合の集合」にそれ自身は含まれるのか? ○ 「含む」と考えた場合、「自分自身を含まない」じゃないからダメ ○ 「含まない」と考えた場合、「自分自身を含まない」じゃなくなるので含んでないとダメ ● どっちもダメ。はい矛盾! バートランド・ラッセル
  13. 論理学から数学を作ろうとしていたフレーゲさん 爆死 「アリストテレス以来最大の論理学者」と言われる天才。 著作「算術の基本法則」で、論理から自然数論・実数論を導けた、はずだった ……。 あのパラドックスさえ無ければ ……。 ゴットロープ・フレーゲ
  14. 数学やばくね? 巷では非ユークリッド幾何学なんかも流行り出してるし ……。
  15. 1900年代 発展期 ヒルベルト帝国の隆盛
  16. ヒルベルト帝国の庇護 ● 無矛盾ならいいんだよ! ○ 無矛盾 = 数学的に存在する ● 形式主義 ○ 「点、直線、それに平面と言うかわりに、いつでもテーブル、椅 子、それにビール・ジョッキというように言い替えることができなく てはならないのだ」 ● 算術の公理は(多分)無矛盾! ○ 1900年に提起されたヒルベルト 23の問題のうち2番目 ○ 「算術(実数論)の公理が矛盾を導かないことを証明せよ」 ○ つまり、普通に計算している限りは矛盾が絶対出てこない! ■ はず、だから誰か証明して ……。 ダフィット・ヒルベルト
  17. 対立する直観主義 ● クロネッカーの思想を引き継いだブラウワーが筆頭 ● 数学は、数学者の直観から、構成的に作られるべき ● 背理法や排中律(PじゃないわけじゃなければP)は禁止 ○ あるとも無いとも決定できないものがあるかもしれない。 ○ 例えば、円周率の桁数字で 0が100個続く箇所があるか無いか分かる? ○ ただし有限集合については許してあげる(全部チェック可能なため) L. E. J. ブラウワー
  18. 「プリンキピア・マテマティカ」の支援 ● ラッセルとホワイトヘッドの共著 ● 単純な公理と推論規則だけで実数論まで作れた! ● ラッセルのパラドックスを回避するために、階型理論を採用 ○ 集合に型(第1型、第2型…第n型)を付けた。 ○ 各型の集合には自分自身より小さい型の集合しか要素にできないようにした。 ○ 自分自身を含めなくなるので、パラドックス回避!
  19. ヒルベルト・プログラム発動 ● プログラムでやることリスト ○ 全数学の形式化 ■ 意味抜きの規則だけで数学できること! ○ 完全性の証明 ■ 真の命題がすべて証明できること! ○ 無矛盾性の証明 ■ 規則の上で何やっても 0 ≠ 0 とか出てこないこと! ○ 以上を「有限の立場」で証明する! ■ よくわかんないけど、直観主義より緩くて有限回の操作で 証明可能な立場とかそんな感じらしいです。 ■ 「xが存在する」とか「全ての xについて」とか言わないこと か?
  20. 余談・広大なヒルベルト帝国 ● ゲッティンゲン大学で、大御所クラインや親友ミンコフスキーと一緒に数学の黄金時 代を築き上げた。 ● 「数学に人種の差別はない……まことに、数学にとっては、文化的世界の総体が、 単一の国なのである」 ● 多様な数学者を受け入れた。 ○ エミー・ネーター ○ 高木貞治 ○ フォン・ノイマン ○ ヘルマン・ワイル ○ ヴィルヘルム・アッカーマン ○ パウル・ベルナイス ○ ゲルハルト・ゲンツェン
  21. 「われわれは知らなければならぬ。 われわれは知るでありましょう」 1930年 ヒルベルト最後の講演「論理学と自然認識」より
  22. 1930年代 帝国の崩壊 不完全性定理
  23. ゲーデルの不完全性定理 ● 十分強力で無矛盾な公理系には、 ● 決定不能な問題が必ず存在する! な、なんだってーーー!!! クルト・ゲーデル
  24. ゲーデルの証明の方法1 ● ペアノ数論と「プリンキピア・マテマティカ」の型付き集合論を組み合わせるよ。 ○ 0と、次の数(S(x))を定義。これで0を含む自然数を定義 ■ S(0) = 1、S(S(0)) = 2・・・ ○ 変数と集合は型付きにして、自分自身が含まれないようにする。 ○ 次の公理も定める ■ 0はどんな数の次でもない ■ S(x) = S(y) なら x = y ■ 数学的帰納法 ■ その他普通の論理式の規則(トートロジーや交換法則など) ■ 変数に論理式を割り当てる方法
  25. ゲーデルの証明の方法2 ● 自然数論が使えるようになったので、自然数でこの公理系を表現するよ。 ○ “0” = 1、”OR” = 7、”(“ = 11、”)” = 13、”S” = 3 などなど ● つまり、文字コードを使って論理式を数値データ(ゲーデル数)として書く! ○ なんというテキストファイル ● ゲーデル数は数なので、自然数論で処理できる! ○ ある数字が定数・変数・論理式・証明図などを表しているかチェックできる! ○ やり方は論文参照。プログラミング言語の構文解析器の実装と大体同じ方法です。 ● ということは…… 「証明可能な論理式」を表現する論理式が 公理系の中で数字データとして作れて処理できる!!
  26. ゲーデルの証明の方法3 ● 「証明可能な論理式」が表現できるのだから、もちろん「証明不可能な論理式」も表 現できる。 ● 「R[n](n)は証明できない」という論理式を作る。 ○ Rは、すべての1変数論理式のリスト。 nはそのリストの添字。 ○ R[n]で出てきた論理式に nを渡して、証明不可能ならば真となる。 ● 「R[n](n)は証明できない」も1変数論理式なので、Rに含まれる。 ○ その添字をqとする。 ○ R[q] = 「R[n](n)は証明できない」 ● R[q](q)を証明してみる。 ○ R[q](q)が真なら、R[q](q) = 「R[q](q)は証明できない」ので矛盾! ○ R[q](q)が偽なら、「R[q](q)は証明できる」だがR[q](q) = 「R[q](q)は証明できない」で矛盾! ● どっちもダメ。はい決定不能!
  27. 数学臨死体験2 「ゲーデルの不完全性定理」 ● 第1不完全性定理 ○ 自然数論を含む公理系が ω無矛盾であれば、証明も反証もできない命題が存在する。 ● 第2不完全性定理 ○ 自然数論を含む公理系が無矛盾であれば、自身の無矛盾性を証明できない。 ■ 「(矛盾)は証明できない」-> 「R[q](q)は証明できない」 ■ 「R[q](q)は証明できない」-> R[q](q)が真 -> 矛盾! ■ ここの理解は特に自信ないです ……。 ● どうしてこうなった? ● 「証明可能な論理式」という表現は、つまり「【数字】(論理式)に対する【数字】(証明) があるか?」という命題でしかない。 ● 純粋に数字のことだけを問うているつもりが、公理系に表現力があると、数字の中 で自分自身を表現できてしまい、詰む。
  28. ヒルベルト帝国の瓦解 ● ナチスのせいで優秀なユダヤ人数学者はみんないなくなってしまうし……。 ○ 「もうゲッティンゲンに数学はなくなってしまいました」 ● ヒルベルト・プログラムは「不完全性定理」で大ダメージだし……。 1930年代以降、ゲッティンゲンに代わってアメリカのプリンストンが数学のメッカになる。 ● ノイマン ● アインシュタイン ● チューリング ● クリーネ ● ロッサー ● チャーチ ● ワイル ● ゲーデル
  29. ちょっと待った! ゲンツェン「超限帰納法を使えば、自然数論の無矛盾性が証明できる!」 ● 超限帰納法とは ○ 普通の数学的帰納法(自然数限定)を、超限数まで拡張した帰納法 ○ ここでは、カントールが考えた ω^ω^ω^ω^ω…… = ε0までを含めた帰納法のこと。 ● 「カット除去定理」で、どんな巨大な証明図でも矛盾していないことが確かめられる! ● が、そのためには無限の無限乗を無限に重ねた数 (ε0)が必要……。 ○ 可算無限のどんな証明図も扱わなければならないため。 ぶっちゃけ、ヒルベルトが夢見た世界とはだいぶ違う気がします ……。 なお、ゲンツェンは、 1945年にソ連の収容所で餓死するという非業の死を遂げてしまう ……。
  30. 1940年代 計算モデルの時代 コンピューターの誕生
  31. チューリングマシン ● 人間の計算の手順をモチーフに、仮想的な機械を考案 ○ 心の状態 → 機械の内部状態 ○ 紙の上の問題を読み、回答を書き込む → テープへの読み書き ○ 内部状態は1つだけ、記号は0と1だけで十分 ○ ただしテープは無限に必要 ● 計算手順は状態遷移表で表現できる ● うまく状態遷移表を作れば、テープの内容に応じてどんな 計算でもできる! アラン・チューリング 万能チューリングマシンの誕生
  32. ラムダ計算 ● すべてを関数とその適用で表現する。 ○ 0 = λ f x. x ○ 1 = λ f x. f x ○ 次の数 = λ n f x. f (n f x) ○ 加算 = λ m n f x. m f (n f x) ○ などなど……。 ● チューリングマシンと同等の計算力を持つ ● チャーチ・チューリングのテーゼ ○ 「計算可能である」とは、ラムダ計算 =チューリングマシンで計算可能であること アロンゾ・チャーチ
  33. コンピューター開発競争 ● アメリカ ○ ENIAC (1946年) ■ 10進計算 ○ EDVAC (1951年) ■ 2進数デジタル計算 ■ プログラム内臓方式 →ノイマン型コンピューター ● イギリス ○ ACE (1945〜47年) ■ チューリングが主導したが、色々あって頓挫 ……。 ○ “Baby”〜Mark 1 (1948〜49年) ■ 世界初のプログラム内臓方式コンピューター ■ チューリングもプログラマーとして参加
  34. 数学基礎論の成果 ● 完全性は証明できなかったけど……。 ○ ぶっちゃけ不完全性なんてみんなあんまり気にしない! ○ ゲーデル数のアイディアの方が偉大 ■ 万能チューリングマシン ■ ノイマン型コンピューター ■ 数学で数学できるようになった! →コンピューター ● 集合論が洗練されて、現代数学で幅広く使われる道具になった ○ 公理的集合論 ○ ZFC集合論 ● 「証明する」とはどういうことか、はっきり定義された ○ 「公理」から出発した「証明図」が存在すること ○ 証明そのものも数学の対象に ○ カリー・ハワード同型対応とか証明支援系とか ……。それはまた別の物語。
  35. 宣伝 「ゲーデル,エッシャー,バッハ」読書会開きます! 読めば自慢できる本です! 数学基礎論の愉快な本です! 興味のある方は是非こちらまで!! https://geb-egb.doorkeeper.jp/
  36. 参考文献 ● ゲーデル「不完全性定理」(林晋/八杉満利子 訳・解説) ● C・リード「ヒルベルト」 ● 竹内外史「集合とは何か」 ● E・T・ベル「数学を作った人びと」 ● アンドルー・ホッジス「アラン・チューリング伝 エニグマ」 ● 結城浩「数学ガール ゲーデルの不完全性定理」 ● 照井一成「コンピュータは数学者になれるのか?」 ● ダグラス・ホフスタッター「ゲーデル,エッシャー,バッハ」 ● 「ロジ・コミックス: ラッセルとめぐる論理哲学入門」
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