宇宙での食料調達について、細胞農業という可能性

1. 宇宙細胞農業

2. 細胞肉 / Cell-based meat
筋肉細胞
バイオリアクター
（大型タンク）
培養液
など
成形・熟成
⇒出荷
純粋培養肉、「純肉」とも

3. 「細胞農業」
Cellular Agriculture
技術は医療
目的は農業
本来は動物や植物から収穫される産物を、
特定の細胞を培養することで生産する方法

4. 細胞農業の事例
Memphis Meats(米) 細胞肉 Perfect Day(米) 酵母から牛乳 Clara Foods(米) 酵母から卵白
どれも「もどき」ではなく、分子レベルで本物と同じを作っている（目指している）
Finless
Foods(米)
魚肉培養
Ginkgo
Bioworks(米)
香料･微量成分
Modern
Meadow(米)
皮革製品

5. 細胞農業がめざすもの：食糧生産の超省資源化
農地不要
超省資源

6. エネルギー変換効率
0.1%以下
(管理されていない)
微細藻類4~11%
人工光合成10%+
今後も効率向上が
見込まれる
4%
35%
50~90%
Shepon, Eschel et al, IOP Science
2016
http://iopscience.iop.org/article/10.10
88/1748-9326/11/10/105002/meta

7. 火星コロニー

8. 宇宙農業

9. JAXAでの検討：宇宙農業の要件定義
１．農業環境の整備
２．持続的農業での生活保障
元素循環効率を最大化し、極
めて限られた資源で生命維持
Biological Science in Space,
Vol21 No4 2007 135-141 和田秀徳
NASA

10. 「JAXA式、宇宙農業基本セット」
基礎栄養素:
米、大豆、サツマイモ、コマツナな
どの青菜、蚕(サナギ)、塩、ドジョ
ウ
・100人が20年生活することを想定
・植物だけではビタミンDとB12、蛋白、コ
レステロール、脂質が欠乏する
・蚕とドジョウで蛋白と脂質を補充
Space Utiliz Res 26 2010 ISAS/JAXA 2010 和田秀徳

11. 「元素サイクル構築」
・水を電気分解してO2生成
・アルカリ水でCO2を吸収して、石灰藻と
スピルリナ(藻類)を培養
・塩水で海藻を育て、高温好気堆肥菌で
Kを含む肥料をつくる
・土壌の通気性を改善することで
CaCO3・CaSO4を除去し、リン酸固定性
を低下させる
Biological Science in Space,
Vol21 No4 2007 135-141 和田秀徳
ほか要検討事項
・桑を栽培し、木材は建築内装へ、蚕を食用へ。
・一部の作物植物は受粉に蜂が必要だが、蜂は0.2atmでも飛べる？

12. 元素サイクル
炭素
C
リン
P
窒素
N

13. 入力と出力のシステムパズルを解く
入：培養液
出：食肉
入：肥料
出：栄養
入：肥料,大気
出：栄養
入：労働力
出：肥料
入：食肉
出：労働力,肥料
入：栄養
出：培養液

14. 最終形態：循環系プロセスの構築

15. 生鮮食品輸送
乾燥食品輸送
昆虫,菌類
培養食料
藻類蛋白
植物工場
栄養、食体験は優れており、元素調達性も高いが、打上
重量が非現実的で供給途絶リスクが高く、保存期間要
件を満たさない。包装の必要もある。
安定性と栄養に優れるが、元素の調達に藻類培養や植
物工場が必要。食体験が劣り、食品加工が必要。
安定性と栄養に優れるが、食体験が劣り、食品加工が
必要。
安定性と食体験に優れるが、栄養が偏る
現地生産
安定性と栄養と食体験に優れるが、元素の調達に藻類
培養や植物工場が必要。
植物工場と藻類蛋白と培養食料の組み合わせが最も有望と考えられる。
食糧調達の各選択肢の概要

16. 宇宙食料調達(農業)タイムライン
持参 細菌・藻類・昆虫 元素循環・宇宙農業
特殊数名 特殊数名が定住 一般多数が定住

17. まとめ
細胞培養技術で農産物を作る細胞農業(Cellular Agriculture)
宇宙農業とは、元素循環系の一部
蛋白源としての食肉の需要は、定住人口が増えてから
究極形態は「植物工場 + 藻類培養 + 培養食料」か