1. 導⼊入
• ⽂文部科学省省が導⼊入構想
– 多様な学習形態
電⼦子教科書 – タブレットPC、電⼦子教科書
〜～各国の試み、技術動向、これからの教育〜～ • 電⼦子教科書 ≠ 紙⾯面の電⼦子化
– ノートテイク、下線引き
– 調べ学習、協調学習の⽀支援
第３６回オープンソース・ – 認証、進捗管理理、達成度度評価
ソフトウェア＆リソース研究会
2012-‐‑‒9-‐‑‒4
上智⼤大学 ⽥田村恭久
2
⽂文部科学省省「教育の情報化ビジョン」 電⼦子教科書の国内動向
• ⽂文部科学省省
– 2011年年：「教育の情報化ビジョン」
• 教科書会社
– 2012年年：教師⽤用デジタル教科書の開発
• 学会、協議会
18
– JSiSE, JSET, JAET, JS-‐‑‒DT
– DiTT, JAPET, mLC …
– 2011〜～2012 議論論が活発化
3 4
電⼦子教科書の海外動向 関連団体
• 韓国：KERIS主体 電子出版
教科書
eラーニング
– 2008年年〜～：デジタル教科書実証実験 JSiSE
JEPA DiTT JAPET
– 2012年年：本格導⼊入 → 2013年年全国展開予定
教育システ
⽇日本電⼦子 ⽂文部科学省省 デジタル教科 ム情報学会
(P1+P３）
出版協会 書教材協議会
• シンガポール JSET MLC
日本
⽇日本教育
Mobile
Learning
⼯工学会
国内
Consortium
– 2008年年〜～：FutureSchool@Singapore
⽇日本デジタル
教科書会社 教科書学会
JAET
• 欧州：イギリス、シンガポール…
⽇日本教育
⼯工学振興会
• アメリカ
ISO/IEC ISO/IEC
JTC1 SC34 CourseSmart JTC1 SC36
vbk format
– 各州で実験推進中 外国
B & N
ePub format
Kindle Mobile
Learning
Initiative IMS ADL
– ⼤大学教科書の電⼦子化：CourseSmart, 国際
IDPF
(ePub)
KNO
PDF format? (LIP, CC) (SCORM)
Amazon … textooks.com
PDF format?
IEEE
Cengage Brain (LOM)
Kindle
Format
8
5 Amazon Kindle
AZW format
=
HTML5?
6
1

2. 「デジタル教科書」推進に際しての
電⼦子教科書への反論論 チェックリストの提案と要望
• 反対の著書 •
•
「デジタル教科書」の導⼊入が、⼿手を動かして実験や観察を⾏行行う時間の縮減につながらないこと。
「デジタル教科書」において、虚構の映像を視聴させることのみで科学的事項の学習とすること
– ⽥田中・外⼭山：頭脳の散歩 デジタル教科書はいらない が無いこと。
• 「デジタル教科書」の使⽤用が、児童・⽣生徒が紙と筆記⽤用具を使って考えながら作図や計算を進め
– ⽥田原：デジタル教育が⽇日本を滅ぼす る活動の縮減につながらないこと。
• 主な論論旨 • 「デジタル教科書」の使⽤用が、児童・⽣生徒が⾃自らの⼿手と頭を働かせて授業内容を記録し整理理する
活動の縮減につながらないこと。
– 学習が画⼀一的 • 「デジタル教科書」の使⽤用が、⽳穴埋め形式や選択肢形式の問題による演習の⽐比率率率増⼤大につながら
ないこと。
– 正解を求める学習に偏りがち • 「デジタル教科書」の使⽤用が、児童・⽣生徒どうしが直接的に考えや意⾒見見を交換しながら進める学
– 先⽣生と⽣生徒、⽣生徒同⼠士のコミュニケーション途絶 習活動の縮減につながらないこと。
• 「デジタル教科書」の使⽤用により、授業の「プレゼンテーショ 化」や、児童・⽣生徒に対するプレ
– ⾃自分たちは紙の教科書とノートを使って勉強した ゼンテーション偏重・⽂文章⼒力力軽視意識識の植え付けが起きないようにすること。
• 「デジタル教科書」の導⼊入に際して、教員の教科指導能⼒力力が軽視されることがないように、また
教員の教材研究がより充実するように配慮すること。
• 「デジタル教科書」の導⼊入に際しては、少なくとも当⾯面の間は、現⾏行行の紙の教科書を併⽤用し、評
価や採択においては紙の教科書を基準とすること。
7 h7p://www.ipsj.or.jp/03somu/teigen/digital_demand.html
8
⽣生徒⽤用タブレットPC タブレットPCの世界市場予測
• 可搬型PC Mil.
Units
450
– 教室内で移動可能、個別学習にも利利⽤用可能 400
– 無線LAN経由でネットワーク接続を提供 350
• LMSや各種サーバとの情報交換 300
250
PC
• インターネット上の情報取得
200
Tablet
• 簡便便なインタフェース 150
– タッチインタフェース：利利⽤用⽅方法の学習不不要 100
– キーボード不不要：⼩小学校低学年年でもOK 50
0
2012
2013
2014
2015
2016
2017
Source:
www.displaysearch.com,
2012-­‐7-­‐3
9 10
タブレットPCのOS実績・予測 タブレットPC・電⼦子書籍リーダー
350
• タブレットPC:2010〜～
300
– Apple iPad
– Samsung GalaxyTab
250
– Toshiba Folio 100
Million Units
Other
200
MS
– HP Slate500
150
Android
– Onkyo TW317
100
iOS
• 電⼦子書籍リーダー
– Amazon Kindle：2007 〜～
50
– Sony Reader：2009 〜～
0
– B&N Nook：2009 〜～
2010
2011
2012
2015
Source:
Gartner,
2011-­‐11
11 12
2

3. 仕様の⽐比較 Apple iPadの特徴
Amazon
Kindle
DX
Apple
iPad
Mouse
LuvPad
HP
Slate
500
• iPhoneアーキテクチャを継承
CPU
Freescale
Apple
A4
NVIDIA
Tegra
Atom
Z540
– iOS, ３軸加速度度センサー、GPS
OS
Linux
iOS
3.3
→
4
Android
2.2
Windows
7
Memory
4GB
256MB
512M
2G
• 多彩なアプリ
Storage
↑
16/32/64GB
8G
64G
– iPhoneアプリ：そのまま稼働
Display
9.7
inch
9.7
inch
10
inch
8.9
inch
– iPad⼤大画⾯面向けアプリも普及
Display
1200
x
824
E-­‐Ink
1024
x
768
IPS
1024
x
600
1024
x
600
I/O
Micro
USB
Dock
connector
USB/HDMI
USB/HDMI
• 多⽤用途＆ハンディ
Wireless
3G
(Amazon)
Bluetooth/WiFi/3G
Bluetooth/WiFi
Bluetooth/WiFi
– PIM, ブラウザ、電⼦子書籍リーダ
Dim
264
×
183
×
9.7
243
×
190
×
13.4
260
x
169
x
14
228
x
150
x
15
Weight
540g
730g
730g
680g
– iBook Store の品揃えは貧弱（後述）
Ba7ery
4
–
14
days
up
to
10
hours
10
hours
5
hours
Web
NetFront
Safari
Chrome
IE
13 14
Amazon Kindle DXの特徴 その他のタブレット・電⼦子書籍端末
• E-‐‑‒Ink display Kindle (2007)
Kindle 2 (2009) • Google Android
Kindle DX (2009)
– 16階調モノクロ、視認性が⾼高い – スマホ⽤用OSとして普及
– 反応はLCDと⽐比べて遅い – Samsungなどがハードウェア供給
– タッチスクリーン実装せず • Windows 8
• 3G Wireless (WiFi実装せず） – Metro Style UI: タッチ操作を想定？
– Amazon負担、ユーザ出費なし (2010現在) – Intel CPU ⇔ WindowsRT (ARM CPU)
• OS: Linux, 環境設定不不可能 • Barnes & Noble: Nook
• NetFrontブラウザ：試験的に搭載？ – Android ベース, E-‐‑‒Ink
– Mosaicライクな操作
15 16
電⼦子教科書のフォーマット：機能⽐比較 現状の整理理
フォーマット名 PDF HTML Flash 電⼦子書籍 独⾃自規格 ストア
？
iBook
Store
Kindle
Store
コンテンツ開発
◯ ◯ △ ◯ ？
が技術的に容易易 SCORM
コンテンツ
電子書籍
著作権管理理 教材
◯ ✕ △ △ ？
（コピー禁⽌止等）
複数機種で iBooks
Kindle
◯ ◯ △ ◯ ✕ SCORM
(ePub)
(azw)
表⽰示・動作互換
コンテンツ
組んだレイアウト HTML,
JavaScript,
HTML,
JavaScript,
◯
✕
✕
✕ ？ 規格
Flash
を反映 Media,
LOM
Media,
LOM
対話的動作
✕
◯
◯
◯ ？
（正誤判定等）
ブラウザ
Webブラウザ
iBooks
Kindle
サーバとネット
△ ◯ △ △ ？ (IE,
FireFox,
Safari,
NF)
経由で情報交換
17 デバイス
PC
iPad
Kindle
18
3

4. 電⼦子書籍の規格 電⼦子書籍規格 ePub
• ePub: 後述 • IDPFが策定
• azw: Kindle⽤用 – International Digital Publishing Forum
• prc: MobiPocket⽤用 • OEBPS 1.0 (1999.9)
• 機能⽐比較：Wikipedia(en)に詳しい – Open eBook Forum (IDPFの前⾝身）
– http://en.wikipedia.org/wiki/ • ePub 2.0 (2007.9)
Comparison_̲of_̲e-‐‑‒book_̲formats • ePub 3.0 (2011.5)
– 縦書き、ルビ、禁則処理理等⽇日本語に適応
19 20
ePub パッケージ ePubの特徴
mimetype
• 仕様が公開
• Web制作と親和性が⾼高い
ファイル所在
META-­‐INF
container.xml
等の説明
• ページの概念念がない
著者、出版社
xx.ePub
content.opf
等のメタ情報
(zip圧縮）
toc.ncx
目次情報
– フォントサイズ可変：リフロー
cover.xhtml
OEBPS
chap1.xhtml
style.css
fig1.png
image
fig2.png
21 22
電⼦子書籍のマーケット ⽶米 電⼦子書籍 市場規模
• 書籍マーケット：⼤大きな既存市場 U.S.
Year-­‐end
Book
/
e-­‐Book
Sales
• 電⼦子書籍化のメリット 6000
600
– 在庫スペースの縮減 5000
500
– 決済の電⼦子化
eBooks:
M$
4000
400
Total:
M$
– ユーザの書庫スペースの縮減 3000
300
2000
200
1000
100
0
0
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
eBooks
Total
From: http://www.publishers.org/press/24/
23 24
4

5. ⽇日本 電⼦子書籍 市場規模（予想含む） 電⼦子書籍の書店・オンラインサービス
Book
/
e-­‐Book
Sales
in
Japan
• Amazon Kindle Store
10000
2000
– 40万点以上
• Apple iBook Store
8000
1500
– Project Gutenberg 中⼼心
書
籍
電
子
• eBookPie
全 6000
書 – 25万点以上販売
体 1000
籍
億 4000
億
• CourseSmart
円
円
– 6000点以上の⼤大学教科書を販売
2000
500
• Google Books
– Public Domain, 100万点以上、ePub
0
0
• Scibd
– 書籍・⽂文書のアップロードと共有, ePub
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
20
電子書籍
書籍
25 26
教育市場にとっての電⼦子書籍 電⼦子教科書・教材に必要な機能
• 教科書・参考書の電⼦子媒体化 • 機能
– 持ち運びが軽量量に – 個⼈人認証
• 販売：教科書売場からオンラインへ – マルチメディアの再⽣生／対話的動作
– ⽇日本語の電⼦子教科書は未開拓拓 – クイズの正誤判定／採点
• 電⼦子ブックリーダー ＝ 学習基盤？ – 適応型ナビゲーション
– PCに代わる Personal Platform • 現状では？
– 「電⼦子教材」としては機能不不⼗十分 – ブラウザ／書籍ビューアの動作未確認
– JavaScriptなどの未実装機能も
27 28
学習のタブレット利利⽤用とメリット例例 電⼦子教科書・教材に必要な機能とは？
• 複数の先⾏行行研究で⾔言及
項⽬目 タブレット利利⽤用 メリット
学習者への ⾃自動正誤判定 個別学習⽀支援 • 種類別に整理理
フィードバッ ⾃自動ヒンティング 即時FB→強化 – JSiSE全国⼤大会で発表
ク 履履歴取得・共有
– iPad2 – iBooks – ePub で実現可能性検証
学習者の反応 選択肢の提供 反応の即時集計
(Clicker等) 情報のサーバ転送 • 今後
教員⇄学習者 ⽇日誌やQ&A環境の 履履歴の⾃自動記録 – Android / Windows 環境での検証
双⽅方向コミュ 提供、情報共有 学習強化
ニケーション
– ePub規格では動作が保証されない
→ コンテンツ開発者の合意形成
グループ学習 発⾔言・作業履履歴取得 履履歴の⾃自動記録
協調学習 ⾃自動介⼊入 学習強化 動作保証へ働きかけ?
29 30
5

6. 要求項⽬目 (1) 要求項⽬目 (2)
認証
31 32
要求項⽬目 (3) Active LearningとTEAL
• Active Learning
– 教⽰示型でない、⽣生徒／学⽣生参加型の学習
– 例例：後述
• Active Learning + ICT = TEAL
– Technology-‐‑‒enabled Active Learning
– ICTの利利⽤用により、Active Learningを⽀支援
• TEAL: タブレットPCを⽤用いた学習に好適
33 34
TEALの位置づけと効果 TEALの例例 (1)
紙媒体を⽤用いた学習 電⼦子媒体を⽤用いた学習 • 教員・TAから学習者へのフィードバック
– 履履歴の記録・共有
教⽰示型
学習
従来からの
教室での – 個別学習⽀支援 (C1-‐‑‒2) リアルタイムに
教⽰示型学習 e-‐‑‒Learning 閲覧・反応できる
(LMS) タブレット
を利利⽤用した • 学習者のアンケート、Clicker
学習
総合的な学習の時間 • 学習者の – リアルタイム集計
⾃自発的参加
Active 調べ学習 協調学習
TEAL: ↓ • 双⽅方向の情報発信
Learning Technology-‐‑‒enabled • 達成度度の増加
問題解決学習
Active Learning • 知識識・スキルの – ⽇日誌
内化を増進
– Q&A
• 学習者の活動や成果の記録・分析
– ディスカッション
• 学習者間の情報共有を⽀支援
• 教員・TAに代わって介⼊入・コントロール 35 36
6

7. TEALの例例 (2) TEALの例例 (3)
• グループ学習、協調学習 • 問題解決学習
– 議論論など情報の記録・分析 – Problem-‐‑‒based Learning
– グループへの介⼊入
– Project-‐‑‒based Learning
– Blended CL (C1-‐‑‒1)
– Serious Game
• プレゼンテーション、
ディベート
– 仮想的な状況表⽰示、学習者への情報提供
– 発表や議論論の記録・分析
• フィールドワーク、調べ – 判断に応じた適応型状況表⽰示
学習
– 調査の⽀支援
37 38
TEAL = 現代の学⽣生向け？ ネット世代の８つの⾏行行動基準
• デジタルネイティブ世代 • 仕事や⽣生活に選択・表現の⾃自由を求める
– ⽣生まれながらにしてITに親しんでいる世代 • カスタマイズ、パーソナライズを求める
⇔ デジタルイミグラント • 情報の調査能⼒力力に⻑⾧長けている
• デジタルネイティブの⾏行行動基準 • 情報公開の誠実性とopennessを求める
→TEALが提供する学習と親和性が⾼高い • 職場、学校、社会⽣生活において娯楽を求める
• 仕事や⽣生活の基がCollaborationとRelation
– cf. タプスコット「デジタルネイティブが世界
を変える」
• スピードを求める
• 新しいもの、イノベーションを求める
出典：タプスコット、デジタルネイティブが世界を変える、翔泳社 2009.
39 40
教育者のための７つのヒント 発表リスト
• テクノロジーを使うだけでなく、教育⽅方法の変⾰革が必要 • TEAL プラットフォームとしてのタブレット PC、
• ⼀一⽅方通⾏行行の講義を減らし、問いかけや質疑応答による学 JSiSE全国⼤大会ワークショップ 2012
習を増やす • ⽣生徒⽤用電⼦子教科書・教材の要求機能整理理と実現可能性の検討、
• 学⽣生による協調学習、外部の情報資源へのアクセスを取 JSiSE全国⼤大会／⽇日本デジタル教科書学会 全国⼤大会 2012
り⼊入れる • タブレット PC の可搬性を活かした協調学習⽀支援環境、
• 試験のための学習でなく、⽣生涯使える「学び⽅方」を教え JSiSE全国⼤大会 2012
る • 電⼦子教科書とTEAL、
• 個々の学習スタイル／ペースに適応するテクノロジーを 愛媛⼤大学教育学部FDセミナー 2012
利利⽤用する • 次世代教育のＩＣＴ活⽤用の可能性、
• ８つの⾏行行動基準に沿った教育プログラムを構築する 教育現場におけるクラウド活⽤用の最新事情セミナー 2012
• 従来と異異なる教育者の役割を再発⾒見見する • iBooksによるデジタル教科書の機能と利利⽤用可能性、
JSiSE第６回研究会 2012
出典：タプスコット、デジタルネイティブが世界を変える、翔泳社 2009.
41 42
7

8. ご意⾒見見よろしくお願いします
• E-‐‑‒mail: ytamura@sophia.ac.jp
• Facebook:
www.facebook.com/yasuhisa.tamura
43
8