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明治大学リバティアカデミー,オープン講座:「ドラッカーの世界」への誘い,
    明治大学駿河台キャンパス リバティタワー16階1163教室




 ドラッカーの社会生態学
                 Ver. 1.0 2012年10月12日(金)
                    saka1kaz@yahoo.co.jp
                明治大学法学部教授 阪井和男
              明治大学文明とマネジメント研究所所長
資料URL:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/la-pfd-social-ecology-sakai-20121012.pdf
<役職等>
                                                           明治大学震災復興支援センター(センター員)

                    略歴
                                                           明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表
                                                           明治大学文明とマネジメント研究所所長
                                                           明治大学サービス創新研究所所長
                                                           明治大学死生学・基層文化研究所研究者
                         明治大学法学部教授                         明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務局長
                         (理学博士)           <公職等>
                         阪井和男 Kazuo Sakai   サービス学会(Society for Serviceology)設立時発起人
                                            情報コミュニケーション学会会長
                         saka1kaz@yahoo.co.jp
                         facebook.com/saka1kaz             電子情報通信学会 思考と言語研究会(TL)研究会委員長
                                                           ドラッカー学会理事
<プロフィール>                                                   サービスデザイニング研究所所長
  http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/7/0000657/profi   次世代大学教育研究会事務局長
  le.html                                                  新世代デジタル教育研究会代表幹事
<最近の発表資料>                                                  オープンソース&リソース戦略研究会共同代表
  http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/               日本語プログラミング研究会会長
                                                           DPCマネジメント研究会理事
<略歴>                                                       Ja Sakai Community運営委員(設立発起人)
   1952年 和歌山県和歌山市生まれ                                       大学情報サミット初代代表幹事
   1971年 和歌山県立桐蔭高校卒業                                       早稲田大学メディアネットワークセンター講師(非常勤)
   1977年 東京理科大学理学部物理学科卒業                                   早稲田大学メディアネットワークセンター 教育の情報化:
   1979年 同大学院理学研究科修士課程物理学専                                     連携と支援研究部会 特別研究所員
      攻修了                                                  早稲田大学情報教育研究所招聘研究員
   1985年 同大学院理学研究科博士課程物理学専                                 早稲田大学商学学術院総合研究所WBS研究センター ド
      攻退学(6年間在籍)                                               ラッカー経営思想研究部会WG座長
         ソフトハウスに勤務                                     <NPO等>
   1987年 理学博士(論文,東京理科大学)取得                                 ネクストワールド・サミット第1回大会審査委員長(一般社
         サイエンスライター(フリー)                                      団法人日本儀礼協会)
   1990年 明治大学法学部専任講師                                       一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事
   1993年 明治大学法学部助教授                                        NPO実務能力認定機構理事
   1998年 明治大法学部教授                                          NPO法人 人材育成マネジメント研究会理事
                                                           NPO法人 日本地域活性力創出機構評議員
   2012年10月12日                                             特定非営利活動法人防災・市民メディア推進協議会理事
概要
 ドラッカーはマネジメントの父として著名ですが
 他方で「社会生態学」の提唱者としても知る人
  には知られています
 社会生態学とはあまり耳慣れない学問です
 社会生態学とは一体どのようなものでしょうか
 本講では
  社会生態学の概念内容を現代のさまざまな事
  例に則して見てみたいと思います
2012年10月12日   明治大学 阪井和男   3
目次
1.    はじめに
2.    社会生態学
3.    二項対立の構造
4.    生の営みとしての動的平衡
5.    方法論と適用例
6.    知識社会の教育
7.    自分を知る ~セルフマネジメント~
8.    自分の仕事の仕方を知る
9.    ドラッカーの特異な能力
10.   能力の潜在性 ~能力集中の原理~
11.   成果の偶発性 ~砂山モデルによる自己組織化臨界現象~
12.   社会生態学の先駆者
13.   まとめ
2012年10月12日      明治大学 阪井和男         4
はじめに
今回の底本
Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E.,
"Drucker's Lost Art of Management:
Peter Drucker's Timeless Vision for Building
Effective Organizations",
McGraw-Hill, New York, 2011.



              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                  6
Contents
   Chapter 1 Origins of Managements as a Liberal Art in Peter Drucker's Writings
   Chapter 2 Management and Liberal Arts Traditions: Bridging the Two Worlds
   Chapter 3 Contributions of Management as a Liberal Art
   Chapter 4 Federalism and Distribution of Power and Authority
   Chapter 5 The Human Dimension and Management as a Liberal Art
   Chapter 6 Effective Leadership as a Liberal Art
   Chapter 7 Social Ecology and the Practice of Management as a Liberal Art
   Chapter 8 Applied Social Ecology: Innovation and Change for a Hopeful and
    Bearable Society




                     Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                     Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                          明治大学 阪井和男                                                                  7
社会生態学
社会生態学とは何か?
   人と経済的、社会的、政治的組織の関係を究
    明すること
     「体系としての社会生態学は行動にかかわる」
           社会生態学が知見や結果に重点を置く学問
                 観察行為と具体的な成果を重視
         人間関係や制度を分析するが、それらの関係が生み出
          すものを重視
         理論よりも行動を重視する極めて実際的な手法を含む

         手法や過程以上に、社会生態学を実践した結果が重要

                    Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                    Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                         明治大学 阪井和男                                                                  9
社会生態学の究極の目的
   社会のあらゆる機関が機能するように改善す
    ること
     機能する社会をつくり、そこにいる個人がコミュニテ
      ィ内での尊厳や位置づけ、社会内での意味ある居
      場所を得られるようにすること
     社会の構成員を幸福にするために
    (富を創出し、患者を治療し、生徒を教育するために)
    行動し、社会の機関を機能させるべく活動すること
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                10
社会生態学者の目標
   「すでに起こった未来」を知ること
     課される要求を事前に管理したい経営陣や、社会
      福祉を向上させたい政策立案者などを助けるため
     分析や警告、政策に役立つ指示を行って問題への
      安易な対応を防ぎ、
      思慮深い行動を取らせなくてはならないから
     それができれば、
      避け難い変化の中でも、経営陣や官僚は継続性を
      保つ行動方針を立てて実行することができる
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                11
すでに起こった未来
   まだ社会の機関にはっきりした影響を与えてい
    ないが、すでに現われている、重要な変化
     「すでに起こった未来」
           ピーター・ドラッカーの雑誌特集論文("The Future That Has
            Already Happened", in 'The Futurist', Vol. 32, No. 8, 1998)
            のタイトル




                    Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                    Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                         明治大学 阪井和男                                                                12
すでに起こった未来
ドラッカーは、
     人々が気づくはるか以前にそれらを未来に当てはめて考え、
      その変化が機関や個人にどんな機会、あるいは危険を与え
      ることになるかを知らせた
     生じ始めの段階で変化を発見するため、生じた後の現実に
      照らし、慎重に考査を重ねる余裕があった
     コンサルタント、教師、著作家として活動していたゆえに、経
      営者が重要な変化と一時的流行を確実に区別し、生じつつ
      ある変化を最大限に利用することができるよう、折に触れて
      助言を与えることができた
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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マネジメントの実践へ
   ドラッカーは、社会生態学者として働く過程でマネジメン
    トの実践に行き着いた
     社会の諸機関のリーダーに、未来を形成するために必要な
      方針と実践、経営者としての能力を与えようとした
     ドラッカーのマネジメントに関する著書はどれも、社会生態学
      研究と、組織のリーダーへの詳細な規範とを統合させたもの
           『創造する経営者』(1964)を除く
     環境(人口、経済、技術、政治、社会)の変化の検証と、いか
      にマネジメントの実践を通してそうした変化を利用するか、と
      いう具体的助言とが分けて論じられることはほとんどない
                  Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                  Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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リベラルアートとしてのマネジメント
   社会生態学の実践=リベラルアートとしてのマネジメントの実践
    学問としてのマネジメントはあらゆる知識を動員し、その知識を
    他の学問にフィードバックするが、その目的は常に行動である
     「(マネジメントの)主題はプロセスである
     それは実行することを目的に始められる。(中略)
     そして、知識の所産として最終的に得たいのは、個人と社会
      に影響する価値の決定である。(中略)
     私たちが必要とするのは― 専門領域を多く含むことにはなっ
      ても―決して専門的な学問ではない。(中略)
     それは真に人間主義的な学問でなければならない
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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リベラルアートとしてのマネジメント
     共通のビジョンや価値観によって結びつき、同じ目的のため
      に共に働き、かつ、個々で行動する人間のための学問である
     情報、知識、見識、価値観、解釈、予想のすべてを、決定、行
      動、達成、結果に集中させねばならない
     考え、動き、感じ、評価する存在として人間を扱わねばならず
      、したがって、学問的、情緒的、美的、倫理的な知識を全て動
      員しなければない。(中略)
     マネジメントの学問は、人間の経験を扱う全ての知的領域か
      ら学ばねばならず、さらには、新しい知識をそれら全てにフィ
      ードバックしなければならないのだ」(『変貌する産業社会』)

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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二項対立の構造
維持と変革
   「社会生態学者の仕事について次に言えることは、変化が世の
    中に与える影響に焦点を合わせなければならないということで
    ある。社会生態学者の目的は、単なる知識の獲得ではない。
    その目的とするところは正しい行動である。
   そのような意味において、社会生態学は、医学、法学(中略)と
    同じように実学である。その目的は、継続や維持と、変革や創
    造とのバランスを図ることである。動的な不均衡状態にある社
    会をつくることである。そのような社会のみが、安定性とそして
    団結力をもちうるのである」(『ある社会生態学者の回想』)

                                                        動的平衡状態
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                18
動的平衡状態の意味
   富の創出はゼロサム・ゲームではない!
     生産性の向上やイノベーションによって新しい富が創られる
           治療も、新薬と生産性の向上、医療の革新によって進歩
           教育も、脳研究の発見を取り入れ、学習理論を進化させ、情報技術を
            利用して学習環境を向上させることで発展
   なぜイノベーションと変化が必要不可欠か?
     エントロピーの法則のように崩壊へと向かう動きに歯止めを
     かけ、継続性を保つため
    エントロピーの法則
           物質や人間、あるいは組織の体系が自然と衰退に向かう流れのこと
           この流れに反抗し前進し続けるために、イノベーションと変化が必要
                Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                     明治大学 阪井和男                                                                19
カオス理論からの学び
   ドラッカーは、数年間、数学を研究したこともある
     社会生態学の仕事に役立つかどうかを知りたいため
    カオス理論:複雑なシステムに現われる多様な相を調査する
    バタフライ効果
           初期条件に鋭敏なシステムの性向
           時間の経過とともに予測不可能になる
              世界のある場所で蝶が羽ばたくと遠く離れた場所で竜巻などが起きる

   ドラッカーの学び
       カオス理論は、未来を予言しようとしても無駄だという確信をドラッカーに
        抱かせた。それよりも、変化をとらえ、それを自らの未来を創るチャンスと
        して利用した方がよい
                  Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                  Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                       明治大学 阪井和男                                                                20
社会の継続性への配慮
   ドラッカーは、
     機関の経営者に対して常に、イノベーションを行い、チェンジ・
      リーダーになり、新しい現実を利用し、それによって社会に貢
      献せよと言い聞かせていた
     その一方で、長く存続した価値観を守ろうともしていた
           ユリウス・シュタール論の副題、『保守的国家論』(1933/2002)からも推
            察できる
     時の試練に耐えた伝統的価値観を重視することで、社会の
      継続性を高めたいと望んでいた


                 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                 Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                      明治大学 阪井和男                                                                21
維持と変革
   ドラッカーが定義する社会生態学者は、
     自由社会において不安定要素となる機関(社会的・
      公共的機関を含むが、特にビジネスの組織)にはイ
      ノベーションと変化を促し、
     社会を安定させる機関(家族、宗教組織、最高裁判
      所など)に対しては、継続性を見出してそれを維持
      できるように助力する


              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                22
維持機関と変革機関
   『維持機関』
     社会やコミュニティや家族
     安定を求め、変化を阻止し、あるいは少なくとも減速しようと
      する
   『変革機関』
     ポスト資本主義社会における組織
     組織の機能は、道具や工程や製品に対し、仕事に対し、そし
      て知識そのものに対し、知識を適用すること
     したがって組織は、つねに変化をもたらすように組織される
        (『ポスト資本主義社会』)
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                23
維持と変革のバランス論
   機関の機能する社会では、ある程度の継続が必要
   多くの場合、個人の利益とより大きなコミュニティのニ
    ーズの間でのバランスを取ること
   初期の社会生態学者たち
     大切なのは、変化に直面した際に過去のどの側面を維持し、
      何を放棄すべきかを見定めること
   変化と継続のバランスを取り、人間の尊厳や発展を促
    す
     困難ではあるが空想的なビジョンではない
              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                24
バランス論の2つの解
   静的バランス(静的平衡)
     つりあいの問題
        自然につりあいのとれる場所を探すこと
        空間の問題(新しい空間軸を見つける)
   動的バランス(動的平衡)
     ゆらぎの問題                ドラッカーの認識
        自然な状態がゆらいでいると認識すること
        時間の問題(時間軸を導入して理解する)


2012年10月12日     明治大学 阪井和男              25
安定か,不安定か



安定だから,                   不安定だから,
放っておいても勝手にバランスが取れる       バランスさせようとしても極めて難しい

 バランスさせることが困難ならば,
  根本的に不安定だからと考えるべき
 不安定ならば,
  原理的にバランスできない
トレードオフを解消するには・・・
2008年12月9日   明治大学 阪井和男                   26
弁証法!?
                             合
   阪井和男説                  ジンテーゼ
    ジンテーゼへの統合法
     次元を上げる
    (a)空間次元
          新次元を創造
      
         視点を動かす
                     反              正
    (b)時間次元       アンチテーゼ ア 止       テーゼ
        ダイナミクスを創造       ウ揚
        因果関係など          フ
                         ヘ
                         ー
                         ベ
                         ン
2011年10月15日        明治大学 阪井和男             27
生の営みとしての
    動的平衡
阪井和男,「第5回 死生学の視点と未
来」,2011年度明治大学・成田社会人
大学,成田市役所,2011年7月16日.
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/thana
tology-future-sakai-20110716.pdf (pp. 118-
153, 2012年10月12日アクセス)
成長と成熟



                              成熟




             成長


                                   時間
2009年7月13日        明治大学 阪井和男             29
成熟の構造

                         成長

                                   成熟




                              時間
2009年7月13日   明治大学 阪井和男                  30
成熟の構造

                         成長

                                   成熟



                         衰退



                              時間
2009年7月13日   明治大学 阪井和男                  31
成熟の動的平衡仮説
  成熟=成長+衰退
      •成長分+衰退分=0
         生    死           成長
      動的に入れ替わった結果,
      変わらないように見える?                  成熟



                          衰退



                               時間
2009年7月13日    明治大学 阪井和男                  32
動的平衡の例示
   河
    ゆく河の流れは絶えずして,しかももとの水にあらず。
    淀みに浮かぶうたかたは,
     かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。
           『方丈記』(鴨長明)冒頭より。
   成熟した生物
     代謝回転
     シェーンハイマーの動的平衡仮説
    なぜ食べるのか?
                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
2009年7月13日            明治大学 阪井和男                              33
なぜ食べるのか?
   生物エンジン仮説
     エンジン
        ガソリンを燃焼させる
        得られるエネルギーを生かして

        動力を生み出す

     生物
        食物を燃焼(酸化)させる
        得られるエネルギーを利用して

        生命活動を維持する
             福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.


2009年7月13日        明治大学 阪井和男                              34
エンジン

              燃焼   エンジン
      C:炭素
                           CO2:二酸化炭素
      H:水素
                           H2O:水
      O:酸素




                   環 境
       ガソリン


2009年7月13日     明治大学 阪井和男           35
生命エンジン仮説

                 燃焼   生命
      C:炭素
                              CO2:二酸化炭素
      H:水素
                              H2O:水
      O:酸素




       糖(炭水化物)
                      環 境
       脂質(油)


2009年7月13日        明治大学 阪井和男           36
生物
   成長期
     身体を構成するタンパク質の材料が必要
          アミノ酸
   成熟期
     完成されたエンジン
        エネルギー源の供給さえあれば活動できる?
        アミノ酸を食べても,
         燃やされればエネルギーが得られ,
         大部分は二酸化炭素と水になる
                  福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.


2009年7月13日             明治大学 阪井和男                              37
生物エンジン仮説の検証
   成熟したネズミ
    体重が変化しない
    1. タンパク質を含まないが
       カロリー的には十分な餌を与え続ける
    2. 数十日ももたずに衰弱して死ぬ
     なぜか?

             食物                           構成元素
    糖(炭水化物),脂質(油) C:炭素,H:水素,O:酸素
    タンパク質(アミノ酸)   C:炭素,H:水素,O:酸素,N:窒素
                  福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日             明治大学 阪井和男                              38
生物エンジン仮説の検証
   窒素の生体起源
     呼気や汗に含まれない。
     尿中に排泄。
    1. 尿素
          尿素排泄量は変動
                運動すれば増え,絶食すれば減る
    2. クレアチニン
          毎日一定量が排泄
                食べたタンパク質の量には無関係
                     福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.


2009年7月13日                明治大学 阪井和男                              39
生物エンジン仮説の検証
   窒素の生体起源
    なぜクレアチニン排泄量は一定?
        生体のエンジンを構成する筋肉・臓器などの組織(タン
         パク質)が磨耗
        体タンパク質の磨耗でクレアチニンが発生

     仮説
        わずかな消耗分を補給するために食物タンパク質の一
         部が転用
        修正生物エンジン仮説!
             福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.


2009年7月13日        明治大学 阪井和男                              40
修正生物エンジン仮説

                燃焼      生命
      C:炭素
                                  CO2:二酸化炭素
      H:水素               尿素
                         クレアチニン   H2O:水
      O:酸素   N:窒素




       糖(炭水化物) タンパク質
                        環 境
       脂質(油)   (アミノ酸)



2009年7月13日          明治大学 阪井和男             41
ブラックボックス法
 代謝研究の代表的方法
   インプット
        何かを食べさせる

   アウトプット
        排泄物を調べる

   ブラックボックス
        インプット・アウトプットの増減から,
         体内で起こっていることを推定する
             福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日        明治大学 阪井和男                              42
修正生物エンジン仮説の検証
   タンパク質の代謝実験
    1865年8月30日
     研究者
          スイス人のフィックとヴィスリセナス
     場所
          アルプスのファウルホルン山へ登山
     インプット
          タンパク質を一切食べない
          砂糖入りの紅茶,デンプンの油炒め
     アウトプット
          尿を集める   福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日              明治大学 阪井和男                              43
修正生物エンジン仮説の検証
     ブラックボックス
          尿素の排泄量を測定
          筋肉タンパク質の消耗量を推定
     結果=失敗!
          尿素排泄量は増加せず
          摂取エネルギーと消費エネルギーの関係は不明
          タンパク質代謝の姿も捉えられず
   ペニー・ガム法
     シェーンハイマーによる批判
          ガム販売機にペニー銅貨を入れたらガムが出た。
          したがって,銅がガムに変わった!
                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日            明治大学 阪井和男                              44
シェーンハイマーの実験
   問題意識
     消化
          肉や植物に含まれるタンパク質は,咀嚼され,消化管に送られる。
          消化酵素で20種のアミノ酸に分解される。
          消化管からアミノ酸が血液中に取り込まれる。
     吸収
          体内に入ったアミノ酸はどこに行ってどうなるのか?
          アミノ酸分子に何らかの目印をつけて,それを追えば,食べたもの
           がどうなるのかが分かる。
     目印の候補
          窒素14N:糖や脂質にはなくアミノ酸にだけ含まれる
                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日            明治大学 阪井和男                              45
シェーンハイマーの実験
   分子標識・追跡法
     目印
          重窒素15N:安定同位体
          アミノ酸ロイシンを合成:構造が簡単
          重さが違うので,質量分析計で測定可能
     実験
          成熟したねずみ(体重が変わらない)にロイシンを混入した餌
          三日後にすべての臓器と組織について重窒素15Nの行方を調べる
     予想
          餌は生命維持のエネルギー源となって燃やされ,排泄されるはず。
          餌に含まれる重窒素15Nは,尿中に現れるはず!
                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日            明治大学 阪井和男                              46
シェーンハイマーの実験
    結果
          重窒素15Nの含有量
             腸壁,腎臓,脾臓,肝臓,血清等             56.5%   半分以上
             尿                           27.4%   約1/3
             糞                            2.2%   ほんのわずか
    意味
        半分以上が身体を構成するタンパク質へ
        消耗しやすいはずの筋肉ははるかに少ない

        修正生物エンジン仮説は間違い!

                  福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.

2009年7月13日             明治大学 阪井和男                              47
シェーンハイマーの実験
    追究
          ロイシンはロイシンと置き換わったか?
    検証
          ロイシンだけではなかった!
                重窒素15Nを含んでいたのは,グリシン,チロシン,グルタミン酸など
    意味
          入れ替わっているのは,アミノ酸より下の分子レベル!
                アミノ酸はさらに細かく分断され,再配分され,各アミノ酸を再構成
                たった三日間で,身体を構成するタンパク質が,食事由来のアミノ酸で
                 がらりと置き換え!
          比較的安定な「生物エンジン」ではなかった!
                身体を構成しているタンパク質は,驚くべき速度で入れ替わっている!
                      福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
2009年7月13日                 明治大学 阪井和男                              48
脂肪の代謝回転?
   脂肪組織の常識
     余分のエネルギーを貯蔵する倉庫

   アナロジー
     大量の仕入れがあれば蓄え,不足すれば搬出

   実験
     重水素2H
          脂肪には窒素Nは含まれない
   予想
     摂取された脂肪のほとんどは燃焼され,
      ごくわずかだけが体内に蓄えられる
                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
2009年7月13日            明治大学 阪井和男                              49
脂肪の代謝回転?
   結果
       体重が減少しているときでさえ消化・吸収された脂肪の大部分を体内に
        蓄積!
   意味
       脂肪組織は驚くべき速さで中身を入れ替えながら,見かけ上,ためている
        ふうをよそおっている
   アナロジー
       軍隊
           大きさは大体一定,ごく狭い範囲内で変動,高度に有機化した決まった組織
           隊員はたえず変動,入隊・配置転換・昇進・降格・一定の兵役期間後に除隊
           退役と死亡は排泄に相当


                  福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
2009年7月13日             明治大学 阪井和男                              50
代謝回転の現代常識
   タンパク質の代謝回転
     一日に体タンパク質(約10kg,体重の約17%)の
      3.5%が分解され,新たに合成されている。
     タンパク質の寿命:
          数日から数週間のものが多いが,タンパク質により異
           なる。




              太田潤,「生化学・分子医化学講義」,1999年11月29日,
              http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~jo25/print/99mpmet1.htm (2007年12月21日アクセス)

2009年7月13日                 明治大学 阪井和男                                           51
代謝回転の現代常識
   代謝回転の対象
    身体を形作っているすべての組織のありとあらゆる
      構成分子
     タンパク質,脂質,
     消化管の上皮細胞,赤血球,
     心臓の細胞,脳の細胞,
     脳細胞のDNA,・・・
    代謝回転は,
      細胞レベルではなく,分子レベルで絶え間なく生起
             福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
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代謝回転のジグソーパズルモデル
   細胞一つ=ジグソーパズルの一枚の絵
     ピースが次々と入れ替えられても,
      絵柄全体は大きく変わらない
     タンパク質分子は常に入れ替えられるが,
      一つの分子の位置する場所は周りの分子群で規
      定されるから,
      新生された同じ分子がその場所へはまり込む
     見かけ上,保たれているように見える


             福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
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動的平衡の意味
   疑問
     本体そのものが常に作り変えられているというのは非効率
         ではないか?
   代謝回転の合理性
                                                             組
    1.   生物の可塑性・柔軟性を担保                                       織
            外界(環境)の変化に応答して,自らを変えられる                         の
    2.   生体内部に必然的に発生するエントロピーを排出                              健
                                                             全
            傷ついたタンパク質,変性したタンパク質を取り除く
                                                             性
    3.   細胞分裂サイクルをコントロールする時計                                 に
            タンパク質サイクリンの合成と分解による正確な振動                        必
                                                             須
                   福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
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シェーンハイマーの意義
   意義
     生命は流れの中にある。流れこそが生きている
          身体と環境は動的な平衡状態にあり,
           私たちが食べ続けなければ生命が流れないことを,
           分子のレベルの流れとして明らかにした
          還元論的な方法論の精度を上げながらも,
           逆に全体論的な生命観を示した
          環境と身体のあり方を考えるうえでもっとも基本的な観念
     東洋の生命観に欧米が気づいた瞬間
          鴨長明(『方丈記』),『四部医典(ギュー・シ)』


                  福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
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チベット医学の生命観
   『四部医典(ギュー・シ)』
    チベット医学の生命観を記した17世紀の膨大な書籍
     身体という小宇宙と環境という大宇宙は
      絶えず手をたずさえて「ダンス」を踊っている
     互いのステップが乱れたり,
      この両者を突き動かす原動力のリズムがずれると
      そこに疾病が生ずる
          私たちの生命が,世界の大きな流れから不可分の,ほんの一部で
           しかないという生命観



                 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章.
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動的平衡による生命観

                   生命
             分               分
             子     代謝回転      子




                  環 境
                    分子

2009年7月13日       明治大学 阪井和男       57
動的平衡による生命観
   「生」と「死」をつなぐ「生きる」
     「生」と「死」の二項対立から弁証法へ
          「死」から「生」,「生」から「死」への動的過程が「生きる」
   「生きる」に内包されている「生」と「死」
     生物の動的平衡仮説
     シェーンハイマーの実験
          代謝回転のジグソーパズル
   動的平衡による生命観
     生物は分子の「流れ」の中にある
2009年7月13日         明治大学 阪井和男          58
組織の動的平衡仮説
  継承=創造+衰退
      •創造分+衰退分=0
              生   死          組織の創造

                                  組織の継承



                             組織の衰退



                                     時間
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方法論と適用例
社会生態学の方法論
人文科学、社会科学、科学技術のレンズを通して周りの世界を注
意深く観察することを求める
       そして、認識される変化について5つの問いかけをする
   1.    通念に反することで、すでに起こっている変化は何か?
   2.    パラダイム・チェンジとは何か?
   3.    その変化が一時的なものではなく、本当の変化であることを示す証拠は
         あるか?
   4.    その変化は何か結果をもたらしたか? 言い換えれば、何か世のなかを
         変えたか?
   5.    もしその変化に意味と重要性があるのであれば、それはどのような機会
         をもたらしてくれるのか?
        (『ある社会生態学者の回想』)
                Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                     明治大学 阪井和男                                                                61
社会生態学の適用例
   『ネクスト・ソサエティ』(2001/2002)
       社会生態学者としてのドラッカーが使う手法を具体的に見せてくれる
       社会生態学を通してどのように知識だけでなく行動も生み出すか、ある
        いは、社会やマネジメントの中で見出された変化にどのように働きかけ
        るか、ということを、実例をもって示してくれる
        「未来はあなたが思うよりも近づいている。ピーター・ドラッカーは、それが今日とどう変
        わるのか、それに備えるためには何をしなければならないのかを教えてくれる」(『エコノ
        ミスト』紙の編集者)
       今日の社会と次の社会の違いの一つに、富を創出する資源として知識
        が登場する
       完全なる知識社会の到来と、そのことが個人や先進国の三つの領域(
        公共、民間、社会)にどのような意味をもつかを論じた

               Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
               Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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社会生態学の適用例
   『断絶の時代』(1969)
    経済の景色を変え次の社会を生み出しつつある変化の力について鋭く洞察
    し、知覚された未来を方向付けていくためのはっきりとした青写真を提供
     4つの断絶
        1.    重要な新産業を登場させる新技術の爆発的増加
        2.    国際経済からグローバル経済への移行
        3.    政治、哲学、精神面での重大な課題をもたらす、組織の多元化による社会
              政治上の新しい現実
        4.    大規模教育に立脚した新たな知識労働の世界とその意味
       ドラッカーはこれら4つの「断絶」が機関や人々にどのような影響を与える
        かを熟考し、「過去との継続性を保つ」と同時に、社会に「前向きな変化」
        を生み出すためには、こうした変化にどう対処すべきかを検討

                  Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                  Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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社会生態学の適用例
   『変貌する産業社会』(1959)
     知識労働と知識労働者の出現を追う
     第5章The Educated Society(教育のある社会)で、知識労
      働と知識社会が出現したことをはっきりと宣言
        「今日の社会・経済において生産性の高い仕事とは、ビジョンや知識、
        思想をもって行われる仕事である。つまり、手よりも頭を基盤とする仕
        事なのである」
     未来の視点から、第二次大戦後の教育に注目
           1944年の復員兵援護法により、全ての復員兵に有給で大学教育を
            受ける権利が与えられた結果、大学卒の人口が激増


                Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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社会生態学の適用例
   『企業とは何か』(1946)
     GMに関するドラッカーの初期の研究
     社会生態学の手法や、知的理論とマネジメントの実践を組
      み合わせる方法が実際に用いられた例
           断絶、継続、現代産業社会における人間の位置づけと尊厳といった
            問題を解決しようとするドラッカーの姿勢がはっきりと感じられる
     9人の社会生態学者と7人のマネジメント実践者の知性豊か
      な先達が告発した様々な力と闘うべく、「マネジメントされた
      組織が機能する社会」という思想の構築に乗り出していた


                Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
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知識社会の教育
知識社会の到来
   ドラッカーは『変貌する産業社会』(1959)で初めて知識
    労働と知識労働者について書いた
     フリッツ・マッハルプ
           1958年には、米国経済における知識労働の割合に注目
           著書『知識産業』を、ドラッカーの3年後の1962年に出版
               1958年の米国で、国民総生産の29%を知識産業が占めていた

           綿密な実地調査によって米国経済が知識産業の方向へ動いているこ
            とを証明したもので、ドラッカーの主張を裏付けるもの

   実際に知識労働の出現を研究し始めたのは、遅くとも『
    変貌する産業社会』(1959)が出版される十年前
                 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
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知識社会における教育
   知識労働や知識労働者が現われ、知識社会
    が到来すれば・・・
     知識労働者の生産性を上げることが個人、組織、
      国家の競争において何よりも重要になると確信
        →学校や教師の生産性を上げることも、知識社会を効果
        的に機能させる上では重要になる
        ところが、「教育の生産性の水準が低すぎる。貧しい国で
        は耐えがたい水準であり、すでに経済発展にとって最大の
        障害となっている」(『断絶の時代』(1969))

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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知識社会における教育
   知識が重要な資源となり始め、知識労働者の生産性
    を上げるという課題に取り組んだ
   Output:
     『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』(1999)
      の第5章
     「知識労働の生産性向上」(2002, Drucker Internet Module
      8105 Corpedia Education)
     『断絶の時代』(1969)、『経営者の条件』(1967)、『ポスト資本
      主義社会』(1993)でも扱われた

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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知識社会における教育
   『ポスト資本主義社会』(1993)
     ポスト資本主義社会=知識社会
           個人、組織、国家の競争力の源が、有形資本から人的
            資本へと替わりつつある
   学校の生産性の向上
     第2章「責任ある学校」でも取り上げている




               Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
               Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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知識社会における教育
   ドラッカーの方法論の2つの特徴
    1.   知識を新興資源とみなしたこと
         →「すでに起こった未来」を知覚する能力があったことの実
         例
    2.   個人や機関に規範的な助言したこと
         →断絶を最小限に抑え、過去との継続性を高める形で知
         識経済という現実に社会を適応させようとする彼の姿勢



              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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自分を知る
~セルフマネジメント~
セルフマネジメント
   知識社会において個人に課された新たな要求
     労働の基盤が知識に移行し始めると、雇用者の研
      修プログラムばかりに頼らず、積極的に自分をマネ
      ジメントしなければならないと説いた
         この新たな課題は、かなり早い時期から登場しているが、
          初めて系統的に扱われたのは『経営者の条件』(1967)
         このテーマは、彼の死去(2005年2月2日)の一カ月前に発
          表された『プロフェッショナルの条件』(2006)でも扱われて
          いる

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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セルフマネジメント
   知識労働者には、
    力を発揮するために自己を管理する責任がある
   そのためには自分を知る必要がある
     自分の強みや弱み、価値観を知り、目的を達成する際に自
         分はどんな行動をするかを知らなければならない
   それが分かれば、
    1. 自分が力を発揮できる場所はどこか、
    2. 成果をあげるにはどのように貢献すればよいか、
    3. 関係に責任をもつためにはどうしたらよいか、
    ―が見えてくるMaciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                           Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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自分を知る
   自分を知ること
    自分をマネジメントする第一歩
     自分の強みを知り、それを最大化するには何をすべきかを
      知り、強みを十分に伸ばす妨げとなっている悪癖を改める
    強みを知ることが極めて重要
     知識労働者の働くべき場所が、
      何よりもその強みによって最善の貢献ができる場所だから
     他人の助けがなければ、
      自分の強みを正確に把握するのは容易ではない

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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自分を知る道具「フィードバック分析」
   フィードバック分析
     ドラッカーは、その道具として「フィードバック分析」を推奨
     450年以上も前に、イエズス会創立者のイグナティウス・ロヨ
      ラが用いた
           イエズス会士たちは、仕事の中にフィードバック分析と継続学習の習
            慣を組み込んでいた
     ドラッカーによれば、イエズス会の成功はそのおかげ
           はるか昔からイエズス会士たちは、セルフマネジメント、フィードバック
            分析、継続学習を修得していた



                Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
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自分を知る道具「フィードバック分析」
   フィードバック分析
     「昔のイエズス会士は、
      毎年、その週を集中的に使って前年の行いを振り返り、献
      身の誓いを新たにした
     イエズス会の自己認識の技術(すなわち精神修養)は、
      変化に対応するために新会員に継続学習と日々の自省と
      いう習慣を浸透させた
     こうした技術は現代でも有効である
           なぜなら、これらはまさに、多忙な人々が『走りながら考える』ために
            生み出された技術だからである」(Heroic Leadership: Best Practices from a 450-
            Year-Old Company That Changed the World) (元イエズス会士でJPモルガン.アンド・カンパニー
            の取締役を務めたクリス・ローニー)
                      Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                      Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                           明治大学 阪井和男                                                                77
自分を知る道具「フィードバック分析」
1.   重要な決定や行動を行う前に、何が起きるか書く
2.   自分の決定と期待した結果、実際の結果と比べる
     このとき注目するのは、
           予想よりうまくいったところはどこか、
           悪かったのはどこか
3.   フィードバック分析の結果から
      強みと判明したところに集中し、
      強みの発揮を邪魔している弱みを補強し、
      自分の強みがさらに成果をあげそうな場所を判断する

                 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                 Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                      明治大学 阪井和男                                                                78
自分を知る道具「フィードバック分析」
4.   そして、強みを伸ばし続ける
     新たな知識や技術を身に着け、
     強みを伸ばす妨げになっている悪癖を改める
    フィードバックされた情報
     知識労働者に何をすべきでないかも教えてくれる
     ∴判明した弱みに頼るような仕事は引き受けるべきではない
     強みを活かして最高の成果をあげることへ力を注ぐべき



              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                79
自分の仕事の仕方を知る
自分の仕事の仕方を知る
   自分の仕事の仕方はどのようなものか?
    成果をあげるには、自分の仕事の仕方を知らなければならない
           人はそれぞれ違う動き方をする
     自分はどんな仕方や手順で動くのか
           自分は「読み手」か「聞き手」か、あるいは両方か
              「読み手」は文字になったメモや報告書を好み、「聞き手」は口頭
               での説明や意見交換を好む
              もし、自分が「読み手」よりも「聞き手」として動くほうが得意だ、あ
               るいはその反対だ、ということを知らなければ、能力を発揮できず
               に失敗する
           知識労働者は、自分や同僚がどちらかを知らなければならない
                 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                 Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                      明治大学 阪井和男                                                                81
自分の仕事の仕方を知る
   自分の仕事の仕方はどのようなものか?
    自分の学び方を知っておくことも必要
     学び方には様々な方法があり、一人ひとりの違いも
      大きい
         ある者は論点を繰り返し書き出すことで学び、
         ある者は皆とアイデアや不明点を話し合うことで学ぶ

         一方的にプレゼンテーションをした後、一人で振り返る時
          間をもつ、という方法が一番だという者もいるだろう
         他人に教えることほど自らの勉強になることはない

              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                82
5つの入り口
   どんな学習課題にも5つの入り口がある
     the Aesthetic(審美)
     the Narrative(説話)
     the Logical/Quantitative(論理/量)
     the Foundational(根拠)
     the Experiential(経験)
    将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい
      て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが
      可能になるであろう “Choice Points”

             ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
             http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年10月6日            阪井和男・有賀三夏                                                      83
5つの入り口
   どんな学習課題にも5つの入り口がある
     the Aesthetic(審美)
     the Narrative(説話)        ストーリーテリング・語り
     the Logical/Quantitative(論理/量)    論理的思考
     the Foundational(根拠)      科学的思考
     the Experiential(経験)       経験主義
    将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい
      て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが
      可能になるであろう “Choice Points”

               ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
               http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年10月6日              阪井和男・有賀三夏                                                      84
“…Improve education in and through arts”
      5つの入り口              (芸術によって教育を改革する)
                                ネルソン・グッドマン
                        (哲学者・ハーバード大学プロジェクト・ゼロ創設者)

   どんな学習課題にも5つの入り口がある
     the Aesthetic(審美)            芸術思考
     the Narrative(説話)        ストーリーテリング・語り
     the Logical/Quantitative(論理/量)    論理的思考
     the Foundational(根拠)      科学的思考
     the Experiential(経験)       経験主義
    将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい
      て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが
      可能になるであろう “Choice Points”

               ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
               http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年10月6日              阪井和男・有賀三夏                                                      85
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノ

         8つの知能                       ベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008年11月19日.原著:
                                     "Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns",
                                     Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008.


言語的知能                      言葉で考え,言語を使って複雑な意味を表現する能力

論理・数学的知能                   計算や数値化を行い,定理や過程を考察し,複雑な数学的
                           操作を行う能力
空間的知能                      3次元で考え,内的・外的イメージを認識し,様々なイメージ
                           を再現,変換,修正し,自らまたはものを使って空間を航行
                           し,図形情報を生み出す,または解読する能力
運動感覚的知能                    物体を操作し,身体的能力を微調整する能力

音楽的知能                      調子や和声,音律,音色を聞き分け,生み出す能力

対人的知能                      他者を理解し,人間関係を巧みに築く能力

内省的知能                      正確な自己認識を確立し,その認識を基に自分の人生を計
                           画し,方向付ける能力
博物的知能                      自然におけるパターンを観察し,観察対象を特定,分類して,
                           自然体系や人工の体系を理解する能力
クリステンセン・他(2008年,第1章)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用
1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた
 2012年10月6日                         阪井和男・有賀三夏                                                                 86
© 2008 R.
                                                                                     Sepulveda-EL

      ガードナーの知能観                                                                      TIEMPO
                                                                                     http://www.howard
                                                                                     gardner.com/bio/bi
                                                                                     o.html (2010年10
                                                                                     月21日アクセス)

   知能(Gardner, 1983)
    ある文化的背景において活性化され、問題を解いたり、その文化において
     価値があるとされるプロダクトを作ることができる、ある種の方法で情報
     を処理する生物学的、心理学的潜在能力
     それぞれの知能は単独で働くのではなく複合して働く
           音楽家が演奏で人を感動させるには、他人の動機や欲求を理解す
            る対人的知能が必要
           建築家には空間的知能も論理数学的知能も必要
    ∴知能テストや学校の学力テストで測れるのは、
     せいぜい言語的知能や論理数学的知能くらい

             恒安眞佐,「多重知能理論の概要」
             http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス)
              "Frames Of Mind: The Theory Of Multiple Intelligences", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1983/12.
2012年10月6日                              阪井和男・有賀三夏                                                              87
多元的知能理論(Multiple Intelligence)
   ガードナーによる知能の定義
     脳神経的基準
             その知能が独立したかたちで脳の中に存在しているか?*
     進化的基準
             その知能が解決するべき適応課題が、人類の進化の歴史のなかで
              重要な課題として存在してきたか?*
      当初7つだったが、今は8つ
            「博物的知能」が追加されている
             (1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年
             (Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた)

      *山岸俊男,『安心社会から信頼社会へ(日本型システムの行方)』,中公新書 1479,中央公論新社,pp. 164-165,1999年6月25日.


    2012年10月6日                  阪井和男・有賀三夏                               88
多重知能理論の意味
   多重知能理論の意味
     個人がある知能を使うことに
      「より多くの時間をかけるほど、そして、指導と教材
      が良ければ良いほど、その人は賢くなる」
     差異が、否定されたり無視されることなく考慮に入
      れられたなら、教育は最も効果的に働く
          生徒に「自分は何者であり、何ができるか」を理解させら
           れることが重要である

             恒安眞佐,「多重知能理論の概要」
             http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス)
             "Intelligence reframed: Multiple intelligences for the 21st century", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1999.
2012年10月6日                                    阪井和男・有賀三夏                                                                89
多重知能理論の意味
   人は皆それぞれ一組の多重知能を持っており、少なく
    とも8-9つの知的活動の特定の分野で、才能を大いに
    伸ばすことが出来る(1983)
     知能は生徒が学習の過程にもたらす  “Smarts”(賢さ)を表
      わし、各個人は固有の、複数の知能のamalgam(*合成、組
      み合わせ)を持ち、それが我々一人ひとりを区別している
     知能は学び得るものであり、人は「よりスマート」になり得え
      、我々の知能プロフィールは変化する



             ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26))
             http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス)
2012年10月6日            阪井和男・有賀三夏                                                      90
クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノ

         8つの知能                       ベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008年11月19日.原著:
                                     "Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns",
                                     Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008.


    言語的知能                      言葉で考え,言語を使って複雑な意味を表現する能力

                               計算や数値化を行い,定理や過程を考察し,複雑な数学的
表 論理・数学的知能
                               操作を行う能力
現
系 空間的知能                        3次元で考え,内的・外的イメージを認識し,様々なイメージ
                               を再現,変換,修正し,自らまたはものを使って空間を航行
                               し,図形情報を生み出す,または解読する能力
    運動感覚的知能                    物体を操作し,身体的能力を微調整する能力

    音楽的知能                      調子や和声,音律,音色を聞き分け,生み出す能力

生 対人的知能                        他者を理解し,人間関係を巧みに築く能力
成 内省的知能                        正確な自己認識を確立し,その認識を基に自分の人生を計
系                              画し,方向付ける能力
    博物的知能                      自然におけるパターンを観察し,観察対象を特定,分類して,
                               自然体系や人工の体系を理解する能力
クリステンセン・他(2008年,第1章)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用
1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた
 2012年10月6日                         阪井和男・有賀三夏                                                                 91
芸術思考「五感で感じる感覚」
   私達が生まれながらに持っている「五感で感じる」感
    覚である
       子供の頃を思い出してほしい
       毎日が冒険の連続で、新しい発見があるたびにワクワクしていなかった
        だろうか?
       見るもの・聞くもの・触るもの、頭ではなく身体で感じていたのだ
   その感覚こそが「芸術=アート」なのである




        「芸術思考とは」,http://lifeofartisticmind.blog82.fc2.com/blog-entry-1.html (2012年7月25日アクセス)
2012年10月6日                          阪井和男・有賀三夏                                           92
芸術思考「最終命題の達成」
   芸術家は最終命題の達成から、
    一般人はプロセスから考える
    芸術家は最終命題の達成しか見ていない
     ルネサンスの三大巨匠、彫刻家ミケランジェロの言葉
            「石を観ていると、”このように自分を彫ってくれ”と語っているような気がする」
            「考えたこともない。素材が命じるままに彫るだけだ」
       「彫刻は、完成形に対していらないところを削って行く作業」
            芸術家が作品を作る時って、実は完成形を先に想定してからそれを具現化させる作業
             を行ってるだけ。頭の中に思い描いているコンセプトとそれを物体として具現化した場
             合の姿を想像し、それを自分の手によって創造していく。
    「いまあるものに関して、ここはこうゆう風に改善すべき」という思考回路
    は、芸術家的ではなくて、一般人の思考回路

 「芸術家的な思考回路と一般人の思考回路の違い」,http://ameblo.jp/masato119/entry-11175884545.html (2012年7月25日アクセス)
2012年10月6日                        阪井和男・有賀三夏                                        93
ビジネスにおける芸術思考
   ビジネスにおける未来予測(松丘啓司,2010年, p. 98)
     未来の自分の環世界*を描くこと
          *環境は人を含む生物が主観的に意味づけするものであり,主体に
           よって取り巻く環境の姿は異なる(ドイツの生物学者・ヤーコブ・フォン・ユクス
           キュル)

     客観的な環境がどのように変化するかを占うことではなく,
      自分の「なりたい姿」とそれを取り巻く環境を描くことである.
          内発的価値観に基づく自分の軸があるから,変化の意味がわかる
          もし,自分の軸が何もなかったとすると,変化事態にすら気づかない

              芸術思考=未来を構想し、実現に向う思考
                                       cf.ドラッカーの社会生態学
    松丘啓司,『論理思考は万能ではない(異なる価値観の調和から創造的な仮説が生まれる)』,ファーストプレス,2010年1月22日.
2012年10月6日                阪井和男・有賀三夏                          94
最終命題の達成
   芸術家が作品を作る時は、完成形を先に想定してか
    らそれを具現化させる作業を行うだけ*
     ルネサンスの彫刻家・ミケランジェロの言葉
       「考えたこともない。素材が命じるままに彫るだけだ」
       「石を観ていると、『このように自分を彫ってくれ』と語っているような気
       がする」
        頭の中に思い描いているコンセプトとそれを物体として具現化した
         場合の姿を想像し、それを自分の手によって創造していくのであっ
         て「彫刻は、完成形に対していらないところを削って行く作業」なので
         ある*


             *吉田将人,「芸術家的な思考回路と一般人の思考回路の違い」,http://ameblo.jp/masato119/entry-
             11175884545.html (2012年7月25日アクセス)
2012年10月6日                      阪井和男・有賀三夏                                      95
未来を構想し実現する芸術思考
   「芸術思考」=「未来を構想し、実現に向う思考」
     環境は人を含む生物が主観的に意味づけ
     主体によって取り巻く環境の姿は異なる

∴未来予測
    ×客観的な環境がどのように変化するかを占う
    ○自分の「なりたい姿」とそれを取り巻く環境を描く
        内発的価値観に基づく自分の軸がある
        自分の軸があるから,変化の意味がわかる

        自分の軸が何もなかければ、変化に気づかない*

             *松丘啓司,『論理思考は万能ではない』,ファーストプレス,2010年1月22日.
2012年10月6日      阪井和男・有賀三夏                       96
ドラッカーの特異な能力
ドラッカーの特異な能力
   ドラッカーは、リベラルアートとしてのマネジメントの精神のもと、
    良き社会生態学者であるべく、
    多種多様な学問を駆使して周囲を分析できた
     マネジメントや社会の諸問題に対処するため、様々な領域の
      知識を取り込んで組み合わせた
     多様な知識の関連性を見極め、思考をまとめ上げる達人
           明確なビジョンを提示する能力!(デザイン・芸術思考)
     著書二、三冊ならば同時に構想を練ることができた
           はじめに草案を書き、次に歴史、経済学、政治学、技術、芸術、宗教、
            ビジネス、心理学、国際関係論、数学などの知識から生じた思考をま
            とめ、講義やコンサルタント活動を通してそれを発展させた
                 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                 Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                      明治大学 阪井和男                                                                98
ドラッカーの特異な能力
   4分野の社会科学を組み合わせ
    「彼は経済学、政治学、産業心理学、産業社会学に極めて造詣
    力深い
    そしてこの4分野の研究結果を調和させ、
    それらを企業の現実問題に対して効果的に応用することに、
    見事に成功している」
    (ドラッカーの雑誌論文「新しい社会と新しい経営」の評論を書いたジョージ・G・ヒギン
    ズ)




              Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
              Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                   明治大学 阪井和男                                                                99
ドラッカーの特異な能力
   ドラッカーの奥行きの広さへの最大級の賛辞
       「さらに感心するのは、彼が、取り組んでいる課題のいずれに対しても威
        厳、学識、優雅、洗練をもって臨むことである
        彼が書く物はどれも、最先端を行くルネサンス人の輝きを放っている
        彼は異なる時代、異なる学問、異なる文化、異なる価値観の関連性を見
        抜くが、その一方で、古い関係の中に見出される新たな展開に驚き、それ
        を喜びもする
        例えばそれは、古くからの敵同士が予想外の憶測を働かせ、そこから新
        たな意味や方策が生まれてくることであり、由緒ある価値観や古来の道
        徳が自己主張をする際に新しい表現を使うことであり、科学、技術、人口
        変動、大量破壊兵器、コミュニケーションが、政治、経済、倫理、マネジメ
        ントに新たな責務を課すことである」
        ("The Living Legacy of Peter Drucker")(現代マーケティングのパイオニアでドラッカーの近しい友人でもあ
        る『ハーバード・ビジネス・レヴュー』誌の元編集長、セオドア・レビット)
                     Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's
                     Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011.
2012年10月12日                          明治大学 阪井和男                                                               100
能力開発の問題点
   能力開発の天才
    成果を出す=集中できること!
           能力を向上させることではない(←これは結果論)
   能力開発の困難性
     能力の潜在性:能力=潜在的なもの
        必要とされる状況のなかではじめて開発され顕在化する!
        ∴能力が必要となる状況で、能力が不足していて当たり前
     成果の偶発性:成果=偶発的なもの
        同じ努力が同じ成果を上げるとは限らない!
        ∴努力が実らないのは、努力や能力の不足とは限らない
2012年10月12日        明治大学 阪井和男          101
能力はどのように開発されるか
   阪井説
    1.   強い動機
    2.   制約し集中する:板に穴を開けるには、先を細くとがらせた錐が必要
         a.   情動の安定(不安からの解放=能力の分散を避ける)
         b.   前段階としての能力の解放
         c.   集中領域の限定(制約条件を明らかにする=能力の分散を避ける)
         d.   リハーサル(能力の準備体操)
         e.   能力の集中(一気に能力を集中させる)
    3.   能力の素早い解放
         (結果に引きずられない=次の能力集中への準備)


2012年10月12日           明治大学 阪井和男           102
能力の潜在性
    ~能力集中の原理~
阪井和男・栗山健,「複数課題遂行時の知的能力の限
界効用について」,第53回次世代大学教育研究会,早
稲田大学,2010年12月18日.
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/ne53-05-sakai-
plural_tasks-20101218.pdf (2011年9月10日アクセス)
力を出すということ
   筋肉のはたらき                能力のはたらき
    筋肉=緊張して縮むことしか           能力=集中することしかでき
    できない                    ない
     手足を動かせるとは?             能力を自在に操れるとは?
        筋肉が緊張して手足が動く            能力を集中して力を出せる
        骨の両側に対になった筋肉            いろんな能力がある!
         がある!                    他の能力が解放されていて
        他方が弛緩していてはじめ             はじめて集中できる
         て緊張が生かされる              ∴能力がすべて解放された状
       ∴筋肉がすべて弛緩した状態            態でないと集中できない!
       でないと動かない!


2011年12月9日     HRDM・明治大学 阪井和男             104
複数課題を遂行する困難
   複数課題の遂行
    「簡単な算数を,英語で話しながらやる」
     簡単な算数でも,英語で話しながらやらせるとまったくできな
      い
         原田康也(第47回次世代大学教育研究会でのディスカッションから,岩手大学, 2010年6月19日)
         原田康也・前坊香菜子・坪田康・壇辻正剛(「外国語の口頭運用時における数的処理について」
          ,第53回次世代大学教育研究会,早稲田大学,2010年12月18日)

   知的能力
    1.   算数をする
    2.   英語で話す


2011年12月9日            HRDM・明治大学 阪井和男                 105
複数課題を遂行する困難
   知的能力
    1. 算数をする
    2. 英語で話す
     2つの能力は,もともと独立とみなして良いはず
         独立なようでいて,独立ではない!
         何らかの理由で独立性が損なわれている
     複数課題の遂行可能性は何によって決定されるのか?

     知的能力     脳部位       心理学        意識         場の理論
    意識して使う   前頭前野が主   ワーキングメモリ    顕在的領域       自己的領域
                                          場
    無意識に使う   その他すべて               潜在的領域       場所的領域


2011年12月9日       HRDM・明治大学 阪井和男                 106
ワーキングメモリ
   脳の中でいくつの能力が使えるか?
     ワーキングメモリの容量

   ワーキングメモリ
    作業記憶、作動記憶
     情報を一時的に保ちながら操作するための構造や
      過程を指す構成概念
     前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基
      底核の一部がワーキングメモリに関与

              http://ja.wikipedia.org/wiki/ワーキングメモリ (2010年6月16日アクセス)
2010年12月18日              阪井和男・栗山健                                      107
ワーキングメモリの容量
            短期記憶に関する容量限界の定量化
               「マジカルナンバー7±2」(Miller , 1956年)
                記憶すべき要素が何であれ(数字、文字、単語、そ
                 の他)、若者が記憶できる量は「チャンク」と呼ばれ
                 る塊りで約7個




Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information. Psychological Review, 63, 81-97
       2010年12月18日                                                阪井和男・栗山健                                                                    108
ワーキングメモリの容量
            その後の研究
                容量はチャンクの種類に依存
                          数字なら約7個、文字なら約6個、単語なら約5個
                長い単語よりも短い単語の方が容量を取らない
                単語的内容(数字、文字、単語)は、音読にかかる時間と記
                 憶容量と関係し、内容の文脈的状態(その単語を知ってい
                 るか)にも依存(Hulme et al., 1995)
                若年成人の純粋な短期記憶容量は約4チャンクになる(子
                 供や老人ではもっと少ない) (Cowan, 2001)
                          厳密な条件の統制を行ったり適切な推定法を用いたりすることによ
                           って見かけ上の記憶を増やす要因をできる限り排除した場合
Hulme, C., Roodenrys, S., Brown, G., & Mercer, R. (1995). The role of long-term memory mechanisms in memory span. British Journal of Psychology, 86,
527-536.
       2010年12月18日                                               阪井和男・栗山健                                                                    109
Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24, 87-185
Cowanモデル(Cowan, 2005)
    ワーキングメモリは長期記憶の一部
        長期記憶は3つの状態,ワーキングメモリは内2つの状態

    第1の状態
        活性化した長期記憶の一部に対応
        活性化は量的には限界なく、多数の情報が活性化できる
        活性化には時間限界があり、リハーサルしないと減衰

    第2の状態
        注意の焦点(focus
                 of attention)
        容量には限界があり、同時に注意を向けられるのは、活性
         化した長期記憶の構成要素のうち最大で4つのチャンク
    Cowan, N. (2005). Working memory capacity. New York, NY: Psychology Press.
2010年12月18日                                       阪井和男・栗山健                       110
Cowanモデル


                          リハーサル
              チャンク


              ワーキングメモリ




2010年12月18日    阪井和男・栗山健           111
Oberauerモデル
Cowanモデルを拡張して、1つのチャンクにだけより大き
  な注意を向ける第3の状態を導入(Oberauer, 2002)
 Cowanモデルの欠点
        人間は同時に4つの数字に注意を向けることができるが、そ
         れら4つの数字にそれぞれ同時に 2 を足すことはできない
        ほとんどの人間は数学的な処理を並行して行うことは出来
         ず、順番に1つずつ足し算するしかない
    Oberauerモデルの利点
        4つの数字から1つだけを高次レベルの焦点に選んで処理
            を行っていくとすることでこれを説明できる(Oberauer, 2002)
    Oberauer, K. (2002). Access to information in working memory: Exploring the focus of attention. Journal of Experimental Psychology:
    Learning, Memory, and Cognition, 28, 411-421.
2010年12月18日                                          阪井和男・栗山健                                                              112
Oberauerモデル


                          リハーサル
              チャンク


              ワーキングメモリ




2010年12月18日    阪井和男・栗山健           113
能力の資源制約論
   チャンク=能力
     各能力を独立なものとして、直交座標に割り当てる
        能力A=x座標
        能力B=y座標

        ・・・

     能力には上限がある!
       (仮定)上限は能力が使える資源の有限性から決まる
Cowanモデルに資源の有限性を導入することで、
 Oberauerモデルを説明する・・・
2011年12月9日     HRDM・明治大学 阪井和男     114
資源の有限性とは
    y                            資源の有限性
                                   資源の総量=R
R
                                      r  x2  y 2  R
                                   (仮定)距離はユークリッド距離
                                    で表せるとする
                                   座標の制約
y
                                      x  R2  y2    または
           r
                                      y  R2  x2

0                x        x
                      R
    2011年12月9日       HRDM・明治大学 阪井和男                      115
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  • 1. 明治大学リバティアカデミー,オープン講座:「ドラッカーの世界」への誘い, 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー16階1163教室 ドラッカーの社会生態学 Ver. 1.0 2012年10月12日(金) saka1kaz@yahoo.co.jp 明治大学法学部教授 阪井和男 明治大学文明とマネジメント研究所所長 資料URL: http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/la-pfd-social-ecology-sakai-20121012.pdf
  • 2. <役職等> 明治大学震災復興支援センター(センター員) 略歴 明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表 明治大学文明とマネジメント研究所所長 明治大学サービス創新研究所所長 明治大学死生学・基層文化研究所研究者 明治大学法学部教授 明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務局長 (理学博士) <公職等> 阪井和男 Kazuo Sakai サービス学会(Society for Serviceology)設立時発起人 情報コミュニケーション学会会長 saka1kaz@yahoo.co.jp facebook.com/saka1kaz 電子情報通信学会 思考と言語研究会(TL)研究会委員長 ドラッカー学会理事 <プロフィール> サービスデザイニング研究所所長 http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/7/0000657/profi 次世代大学教育研究会事務局長 le.html 新世代デジタル教育研究会代表幹事 <最近の発表資料> オープンソース&リソース戦略研究会共同代表 http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/ 日本語プログラミング研究会会長 DPCマネジメント研究会理事 <略歴> Ja Sakai Community運営委員(設立発起人) 1952年 和歌山県和歌山市生まれ 大学情報サミット初代代表幹事 1971年 和歌山県立桐蔭高校卒業 早稲田大学メディアネットワークセンター講師(非常勤) 1977年 東京理科大学理学部物理学科卒業 早稲田大学メディアネットワークセンター 教育の情報化: 1979年 同大学院理学研究科修士課程物理学専 連携と支援研究部会 特別研究所員 攻修了 早稲田大学情報教育研究所招聘研究員 1985年 同大学院理学研究科博士課程物理学専 早稲田大学商学学術院総合研究所WBS研究センター ド 攻退学(6年間在籍) ラッカー経営思想研究部会WG座長 ソフトハウスに勤務 <NPO等> 1987年 理学博士(論文,東京理科大学)取得 ネクストワールド・サミット第1回大会審査委員長(一般社 サイエンスライター(フリー) 団法人日本儀礼協会) 1990年 明治大学法学部専任講師 一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事 1993年 明治大学法学部助教授 NPO実務能力認定機構理事 1998年 明治大法学部教授 NPO法人 人材育成マネジメント研究会理事 NPO法人 日本地域活性力創出機構評議員 2012年10月12日 特定非営利活動法人防災・市民メディア推進協議会理事
  • 3. 概要  ドラッカーはマネジメントの父として著名ですが  他方で「社会生態学」の提唱者としても知る人 には知られています  社会生態学とはあまり耳慣れない学問です  社会生態学とは一体どのようなものでしょうか  本講では 社会生態学の概念内容を現代のさまざまな事 例に則して見てみたいと思います 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 3
  • 4. 目次 1. はじめに 2. 社会生態学 3. 二項対立の構造 4. 生の営みとしての動的平衡 5. 方法論と適用例 6. 知識社会の教育 7. 自分を知る ~セルフマネジメント~ 8. 自分の仕事の仕方を知る 9. ドラッカーの特異な能力 10. 能力の潜在性 ~能力集中の原理~ 11. 成果の偶発性 ~砂山モデルによる自己組織化臨界現象~ 12. 社会生態学の先駆者 13. まとめ 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 4
  • 6. 今回の底本 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, 2011. Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 6
  • 7. Contents  Chapter 1 Origins of Managements as a Liberal Art in Peter Drucker's Writings  Chapter 2 Management and Liberal Arts Traditions: Bridging the Two Worlds  Chapter 3 Contributions of Management as a Liberal Art  Chapter 4 Federalism and Distribution of Power and Authority  Chapter 5 The Human Dimension and Management as a Liberal Art  Chapter 6 Effective Leadership as a Liberal Art  Chapter 7 Social Ecology and the Practice of Management as a Liberal Art  Chapter 8 Applied Social Ecology: Innovation and Change for a Hopeful and Bearable Society Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 7
  • 9. 社会生態学とは何か?  人と経済的、社会的、政治的組織の関係を究 明すること  「体系としての社会生態学は行動にかかわる」  社会生態学が知見や結果に重点を置く学問  観察行為と具体的な成果を重視  人間関係や制度を分析するが、それらの関係が生み出 すものを重視  理論よりも行動を重視する極めて実際的な手法を含む  手法や過程以上に、社会生態学を実践した結果が重要 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 9
  • 10. 社会生態学の究極の目的  社会のあらゆる機関が機能するように改善す ること  機能する社会をつくり、そこにいる個人がコミュニテ ィ内での尊厳や位置づけ、社会内での意味ある居 場所を得られるようにすること  社会の構成員を幸福にするために (富を創出し、患者を治療し、生徒を教育するために) 行動し、社会の機関を機能させるべく活動すること Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 10
  • 11. 社会生態学者の目標  「すでに起こった未来」を知ること  課される要求を事前に管理したい経営陣や、社会 福祉を向上させたい政策立案者などを助けるため  分析や警告、政策に役立つ指示を行って問題への 安易な対応を防ぎ、 思慮深い行動を取らせなくてはならないから  それができれば、 避け難い変化の中でも、経営陣や官僚は継続性を 保つ行動方針を立てて実行することができる Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 11
  • 12. すでに起こった未来  まだ社会の機関にはっきりした影響を与えてい ないが、すでに現われている、重要な変化  「すでに起こった未来」  ピーター・ドラッカーの雑誌特集論文("The Future That Has Already Happened", in 'The Futurist', Vol. 32, No. 8, 1998) のタイトル Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 12
  • 13. すでに起こった未来 ドラッカーは、  人々が気づくはるか以前にそれらを未来に当てはめて考え、 その変化が機関や個人にどんな機会、あるいは危険を与え ることになるかを知らせた  生じ始めの段階で変化を発見するため、生じた後の現実に 照らし、慎重に考査を重ねる余裕があった  コンサルタント、教師、著作家として活動していたゆえに、経 営者が重要な変化と一時的流行を確実に区別し、生じつつ ある変化を最大限に利用することができるよう、折に触れて 助言を与えることができた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 13
  • 14. マネジメントの実践へ  ドラッカーは、社会生態学者として働く過程でマネジメン トの実践に行き着いた  社会の諸機関のリーダーに、未来を形成するために必要な 方針と実践、経営者としての能力を与えようとした  ドラッカーのマネジメントに関する著書はどれも、社会生態学 研究と、組織のリーダーへの詳細な規範とを統合させたもの  『創造する経営者』(1964)を除く  環境(人口、経済、技術、政治、社会)の変化の検証と、いか にマネジメントの実践を通してそうした変化を利用するか、と いう具体的助言とが分けて論じられることはほとんどない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 14
  • 15. リベラルアートとしてのマネジメント  社会生態学の実践=リベラルアートとしてのマネジメントの実践 学問としてのマネジメントはあらゆる知識を動員し、その知識を 他の学問にフィードバックするが、その目的は常に行動である  「(マネジメントの)主題はプロセスである  それは実行することを目的に始められる。(中略)  そして、知識の所産として最終的に得たいのは、個人と社会 に影響する価値の決定である。(中略)  私たちが必要とするのは― 専門領域を多く含むことにはなっ ても―決して専門的な学問ではない。(中略)  それは真に人間主義的な学問でなければならない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 15
  • 16. リベラルアートとしてのマネジメント  共通のビジョンや価値観によって結びつき、同じ目的のため に共に働き、かつ、個々で行動する人間のための学問である  情報、知識、見識、価値観、解釈、予想のすべてを、決定、行 動、達成、結果に集中させねばならない  考え、動き、感じ、評価する存在として人間を扱わねばならず 、したがって、学問的、情緒的、美的、倫理的な知識を全て動 員しなければない。(中略)  マネジメントの学問は、人間の経験を扱う全ての知的領域か ら学ばねばならず、さらには、新しい知識をそれら全てにフィ ードバックしなければならないのだ」(『変貌する産業社会』) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 16
  • 18. 維持と変革  「社会生態学者の仕事について次に言えることは、変化が世の 中に与える影響に焦点を合わせなければならないということで ある。社会生態学者の目的は、単なる知識の獲得ではない。 その目的とするところは正しい行動である。  そのような意味において、社会生態学は、医学、法学(中略)と 同じように実学である。その目的は、継続や維持と、変革や創 造とのバランスを図ることである。動的な不均衡状態にある社 会をつくることである。そのような社会のみが、安定性とそして 団結力をもちうるのである」(『ある社会生態学者の回想』) 動的平衡状態 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 18
  • 19. 動的平衡状態の意味  富の創出はゼロサム・ゲームではない!  生産性の向上やイノベーションによって新しい富が創られる  治療も、新薬と生産性の向上、医療の革新によって進歩  教育も、脳研究の発見を取り入れ、学習理論を進化させ、情報技術を 利用して学習環境を向上させることで発展  なぜイノベーションと変化が必要不可欠か?  エントロピーの法則のように崩壊へと向かう動きに歯止めを かけ、継続性を保つため エントロピーの法則  物質や人間、あるいは組織の体系が自然と衰退に向かう流れのこと  この流れに反抗し前進し続けるために、イノベーションと変化が必要 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 19
  • 20. カオス理論からの学び  ドラッカーは、数年間、数学を研究したこともある  社会生態学の仕事に役立つかどうかを知りたいため カオス理論:複雑なシステムに現われる多様な相を調査する バタフライ効果  初期条件に鋭敏なシステムの性向  時間の経過とともに予測不可能になる 世界のある場所で蝶が羽ばたくと遠く離れた場所で竜巻などが起きる  ドラッカーの学び  カオス理論は、未来を予言しようとしても無駄だという確信をドラッカーに 抱かせた。それよりも、変化をとらえ、それを自らの未来を創るチャンスと して利用した方がよい Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 20
  • 21. 社会の継続性への配慮  ドラッカーは、  機関の経営者に対して常に、イノベーションを行い、チェンジ・ リーダーになり、新しい現実を利用し、それによって社会に貢 献せよと言い聞かせていた  その一方で、長く存続した価値観を守ろうともしていた  ユリウス・シュタール論の副題、『保守的国家論』(1933/2002)からも推 察できる  時の試練に耐えた伝統的価値観を重視することで、社会の 継続性を高めたいと望んでいた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 21
  • 22. 維持と変革  ドラッカーが定義する社会生態学者は、  自由社会において不安定要素となる機関(社会的・ 公共的機関を含むが、特にビジネスの組織)にはイ ノベーションと変化を促し、  社会を安定させる機関(家族、宗教組織、最高裁判 所など)に対しては、継続性を見出してそれを維持 できるように助力する Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 22
  • 23. 維持機関と変革機関  『維持機関』  社会やコミュニティや家族  安定を求め、変化を阻止し、あるいは少なくとも減速しようと する  『変革機関』  ポスト資本主義社会における組織  組織の機能は、道具や工程や製品に対し、仕事に対し、そし て知識そのものに対し、知識を適用すること  したがって組織は、つねに変化をもたらすように組織される (『ポスト資本主義社会』) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 23
  • 24. 維持と変革のバランス論  機関の機能する社会では、ある程度の継続が必要  多くの場合、個人の利益とより大きなコミュニティのニ ーズの間でのバランスを取ること  初期の社会生態学者たち  大切なのは、変化に直面した際に過去のどの側面を維持し、 何を放棄すべきかを見定めること  変化と継続のバランスを取り、人間の尊厳や発展を促 す  困難ではあるが空想的なビジョンではない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 24
  • 25. バランス論の2つの解  静的バランス(静的平衡)  つりあいの問題 自然につりあいのとれる場所を探すこと 空間の問題(新しい空間軸を見つける)  動的バランス(動的平衡)  ゆらぎの問題 ドラッカーの認識 自然な状態がゆらいでいると認識すること 時間の問題(時間軸を導入して理解する) 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 25
  • 26. 安定か,不安定か 安定だから, 不安定だから, 放っておいても勝手にバランスが取れる バランスさせようとしても極めて難しい  バランスさせることが困難ならば, 根本的に不安定だからと考えるべき  不安定ならば, 原理的にバランスできない トレードオフを解消するには・・・ 2008年12月9日 明治大学 阪井和男 26
  • 27. 弁証法!? 合  阪井和男説 ジンテーゼ ジンテーゼへの統合法  次元を上げる (a)空間次元 新次元を創造   視点を動かす 反 正 (b)時間次元 アンチテーゼ ア 止 テーゼ  ダイナミクスを創造 ウ揚  因果関係など フ ヘ ー ベ ン 2011年10月15日 明治大学 阪井和男 27
  • 28. 生の営みとしての 動的平衡 阪井和男,「第5回 死生学の視点と未 来」,2011年度明治大学・成田社会人 大学,成田市役所,2011年7月16日. http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/thana tology-future-sakai-20110716.pdf (pp. 118- 153, 2012年10月12日アクセス)
  • 29. 成長と成熟 成熟 成長 時間 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 29
  • 30. 成熟の構造 成長 成熟 時間 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 30
  • 31. 成熟の構造 成長 成熟 衰退 時間 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 31
  • 32. 成熟の動的平衡仮説 成熟=成長+衰退 •成長分+衰退分=0 生 死 成長 動的に入れ替わった結果, 変わらないように見える? 成熟 衰退 時間 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 32
  • 33. 動的平衡の例示  河 ゆく河の流れは絶えずして,しかももとの水にあらず。 淀みに浮かぶうたかたは, かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。  『方丈記』(鴨長明)冒頭より。  成熟した生物  代謝回転  シェーンハイマーの動的平衡仮説 なぜ食べるのか? 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 33
  • 34. なぜ食べるのか?  生物エンジン仮説  エンジン  ガソリンを燃焼させる  得られるエネルギーを生かして  動力を生み出す  生物  食物を燃焼(酸化)させる  得られるエネルギーを利用して  生命活動を維持する 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 34
  • 35. エンジン 燃焼 エンジン C:炭素 CO2:二酸化炭素 H:水素 H2O:水 O:酸素 環 境 ガソリン 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 35
  • 36. 生命エンジン仮説 燃焼 生命 C:炭素 CO2:二酸化炭素 H:水素 H2O:水 O:酸素 糖(炭水化物) 環 境 脂質(油) 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 36
  • 37. 生物  成長期  身体を構成するタンパク質の材料が必要  アミノ酸  成熟期  完成されたエンジン  エネルギー源の供給さえあれば活動できる?  アミノ酸を食べても, 燃やされればエネルギーが得られ, 大部分は二酸化炭素と水になる 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 37
  • 38. 生物エンジン仮説の検証  成熟したネズミ 体重が変化しない 1. タンパク質を含まないが カロリー的には十分な餌を与え続ける 2. 数十日ももたずに衰弱して死ぬ  なぜか? 食物 構成元素 糖(炭水化物),脂質(油) C:炭素,H:水素,O:酸素 タンパク質(アミノ酸) C:炭素,H:水素,O:酸素,N:窒素 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 38
  • 39. 生物エンジン仮説の検証  窒素の生体起源  呼気や汗に含まれない。  尿中に排泄。 1. 尿素  尿素排泄量は変動  運動すれば増え,絶食すれば減る 2. クレアチニン  毎日一定量が排泄  食べたタンパク質の量には無関係 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 39
  • 40. 生物エンジン仮説の検証  窒素の生体起源 なぜクレアチニン排泄量は一定?  生体のエンジンを構成する筋肉・臓器などの組織(タン パク質)が磨耗  体タンパク質の磨耗でクレアチニンが発生  仮説  わずかな消耗分を補給するために食物タンパク質の一 部が転用  修正生物エンジン仮説! 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 40
  • 41. 修正生物エンジン仮説 燃焼 生命 C:炭素 CO2:二酸化炭素 H:水素 尿素 クレアチニン H2O:水 O:酸素 N:窒素 糖(炭水化物) タンパク質 環 境 脂質(油) (アミノ酸) 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 41
  • 42. ブラックボックス法  代謝研究の代表的方法 インプット  何かを食べさせる アウトプット  排泄物を調べる ブラックボックス  インプット・アウトプットの増減から, 体内で起こっていることを推定する 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 42
  • 43. 修正生物エンジン仮説の検証  タンパク質の代謝実験 1865年8月30日  研究者  スイス人のフィックとヴィスリセナス  場所  アルプスのファウルホルン山へ登山  インプット  タンパク質を一切食べない  砂糖入りの紅茶,デンプンの油炒め  アウトプット  尿を集める 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 43
  • 44. 修正生物エンジン仮説の検証  ブラックボックス  尿素の排泄量を測定  筋肉タンパク質の消耗量を推定  結果=失敗!  尿素排泄量は増加せず  摂取エネルギーと消費エネルギーの関係は不明  タンパク質代謝の姿も捉えられず  ペニー・ガム法  シェーンハイマーによる批判  ガム販売機にペニー銅貨を入れたらガムが出た。  したがって,銅がガムに変わった! 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 44
  • 45. シェーンハイマーの実験  問題意識  消化  肉や植物に含まれるタンパク質は,咀嚼され,消化管に送られる。  消化酵素で20種のアミノ酸に分解される。  消化管からアミノ酸が血液中に取り込まれる。  吸収  体内に入ったアミノ酸はどこに行ってどうなるのか?  アミノ酸分子に何らかの目印をつけて,それを追えば,食べたもの がどうなるのかが分かる。  目印の候補  窒素14N:糖や脂質にはなくアミノ酸にだけ含まれる 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 45
  • 46. シェーンハイマーの実験  分子標識・追跡法  目印  重窒素15N:安定同位体  アミノ酸ロイシンを合成:構造が簡単  重さが違うので,質量分析計で測定可能  実験  成熟したねずみ(体重が変わらない)にロイシンを混入した餌  三日後にすべての臓器と組織について重窒素15Nの行方を調べる  予想  餌は生命維持のエネルギー源となって燃やされ,排泄されるはず。  餌に含まれる重窒素15Nは,尿中に現れるはず! 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 46
  • 47. シェーンハイマーの実験  結果  重窒素15Nの含有量 腸壁,腎臓,脾臓,肝臓,血清等 56.5% 半分以上 尿 27.4% 約1/3 糞 2.2% ほんのわずか  意味  半分以上が身体を構成するタンパク質へ  消耗しやすいはずの筋肉ははるかに少ない  修正生物エンジン仮説は間違い! 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 47
  • 48. シェーンハイマーの実験  追究  ロイシンはロイシンと置き換わったか?  検証  ロイシンだけではなかった!  重窒素15Nを含んでいたのは,グリシン,チロシン,グルタミン酸など  意味  入れ替わっているのは,アミノ酸より下の分子レベル!  アミノ酸はさらに細かく分断され,再配分され,各アミノ酸を再構成  たった三日間で,身体を構成するタンパク質が,食事由来のアミノ酸で がらりと置き換え!  比較的安定な「生物エンジン」ではなかった!  身体を構成しているタンパク質は,驚くべき速度で入れ替わっている! 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 48
  • 49. 脂肪の代謝回転?  脂肪組織の常識  余分のエネルギーを貯蔵する倉庫  アナロジー  大量の仕入れがあれば蓄え,不足すれば搬出  実験  重水素2H  脂肪には窒素Nは含まれない  予想  摂取された脂肪のほとんどは燃焼され, ごくわずかだけが体内に蓄えられる 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 49
  • 50. 脂肪の代謝回転?  結果  体重が減少しているときでさえ消化・吸収された脂肪の大部分を体内に 蓄積!  意味  脂肪組織は驚くべき速さで中身を入れ替えながら,見かけ上,ためている ふうをよそおっている  アナロジー  軍隊  大きさは大体一定,ごく狭い範囲内で変動,高度に有機化した決まった組織  隊員はたえず変動,入隊・配置転換・昇進・降格・一定の兵役期間後に除隊  退役と死亡は排泄に相当 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 50
  • 51. 代謝回転の現代常識  タンパク質の代謝回転  一日に体タンパク質(約10kg,体重の約17%)の 3.5%が分解され,新たに合成されている。  タンパク質の寿命:  数日から数週間のものが多いが,タンパク質により異 なる。 太田潤,「生化学・分子医化学講義」,1999年11月29日, http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~jo25/print/99mpmet1.htm (2007年12月21日アクセス) 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 51
  • 52. 代謝回転の現代常識  代謝回転の対象 身体を形作っているすべての組織のありとあらゆる 構成分子  タンパク質,脂質,  消化管の上皮細胞,赤血球,  心臓の細胞,脳の細胞,  脳細胞のDNA,・・・ 代謝回転は, 細胞レベルではなく,分子レベルで絶え間なく生起 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 52
  • 53. 代謝回転のジグソーパズルモデル  細胞一つ=ジグソーパズルの一枚の絵  ピースが次々と入れ替えられても, 絵柄全体は大きく変わらない  タンパク質分子は常に入れ替えられるが, 一つの分子の位置する場所は周りの分子群で規 定されるから, 新生された同じ分子がその場所へはまり込む  見かけ上,保たれているように見える 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 53
  • 54. 動的平衡の意味  疑問  本体そのものが常に作り変えられているというのは非効率 ではないか?  代謝回転の合理性 組 1. 生物の可塑性・柔軟性を担保 織  外界(環境)の変化に応答して,自らを変えられる の 2. 生体内部に必然的に発生するエントロピーを排出 健 全  傷ついたタンパク質,変性したタンパク質を取り除く 性 3. 細胞分裂サイクルをコントロールする時計 に  タンパク質サイクリンの合成と分解による正確な振動 必 須 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 54
  • 55. シェーンハイマーの意義  意義  生命は流れの中にある。流れこそが生きている  身体と環境は動的な平衡状態にあり, 私たちが食べ続けなければ生命が流れないことを, 分子のレベルの流れとして明らかにした  還元論的な方法論の精度を上げながらも, 逆に全体論的な生命観を示した  環境と身体のあり方を考えるうえでもっとも基本的な観念  東洋の生命観に欧米が気づいた瞬間  鴨長明(『方丈記』),『四部医典(ギュー・シ)』 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 55
  • 56. チベット医学の生命観  『四部医典(ギュー・シ)』 チベット医学の生命観を記した17世紀の膨大な書籍  身体という小宇宙と環境という大宇宙は 絶えず手をたずさえて「ダンス」を踊っている  互いのステップが乱れたり, この両者を突き動かす原動力のリズムがずれると そこに疾病が生ずる  私たちの生命が,世界の大きな流れから不可分の,ほんの一部で しかないという生命観 福岡伸一,『もう牛を食べても安心か』,文春新書 416,文芸春秋,2004年12月20日,第2章. 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 56
  • 57. 動的平衡による生命観 生命 分 分 子 代謝回転 子 環 境 分子 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 57
  • 58. 動的平衡による生命観  「生」と「死」をつなぐ「生きる」  「生」と「死」の二項対立から弁証法へ  「死」から「生」,「生」から「死」への動的過程が「生きる」  「生きる」に内包されている「生」と「死」  生物の動的平衡仮説  シェーンハイマーの実験  代謝回転のジグソーパズル  動的平衡による生命観  生物は分子の「流れ」の中にある 2009年7月13日 明治大学 阪井和男 58
  • 59. 組織の動的平衡仮説 継承=創造+衰退 •創造分+衰退分=0 生 死 組織の創造 組織の継承 組織の衰退 時間 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 59
  • 61. 社会生態学の方法論 人文科学、社会科学、科学技術のレンズを通して周りの世界を注 意深く観察することを求める  そして、認識される変化について5つの問いかけをする 1. 通念に反することで、すでに起こっている変化は何か? 2. パラダイム・チェンジとは何か? 3. その変化が一時的なものではなく、本当の変化であることを示す証拠は あるか? 4. その変化は何か結果をもたらしたか? 言い換えれば、何か世のなかを 変えたか? 5. もしその変化に意味と重要性があるのであれば、それはどのような機会 をもたらしてくれるのか? (『ある社会生態学者の回想』) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 61
  • 62. 社会生態学の適用例  『ネクスト・ソサエティ』(2001/2002)  社会生態学者としてのドラッカーが使う手法を具体的に見せてくれる  社会生態学を通してどのように知識だけでなく行動も生み出すか、ある いは、社会やマネジメントの中で見出された変化にどのように働きかけ るか、ということを、実例をもって示してくれる 「未来はあなたが思うよりも近づいている。ピーター・ドラッカーは、それが今日とどう変 わるのか、それに備えるためには何をしなければならないのかを教えてくれる」(『エコノ ミスト』紙の編集者)  今日の社会と次の社会の違いの一つに、富を創出する資源として知識 が登場する  完全なる知識社会の到来と、そのことが個人や先進国の三つの領域( 公共、民間、社会)にどのような意味をもつかを論じた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 62
  • 63. 社会生態学の適用例  『断絶の時代』(1969) 経済の景色を変え次の社会を生み出しつつある変化の力について鋭く洞察 し、知覚された未来を方向付けていくためのはっきりとした青写真を提供  4つの断絶 1. 重要な新産業を登場させる新技術の爆発的増加 2. 国際経済からグローバル経済への移行 3. 政治、哲学、精神面での重大な課題をもたらす、組織の多元化による社会 政治上の新しい現実 4. 大規模教育に立脚した新たな知識労働の世界とその意味  ドラッカーはこれら4つの「断絶」が機関や人々にどのような影響を与える かを熟考し、「過去との継続性を保つ」と同時に、社会に「前向きな変化」 を生み出すためには、こうした変化にどう対処すべきかを検討 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 63
  • 64. 社会生態学の適用例  『変貌する産業社会』(1959)  知識労働と知識労働者の出現を追う  第5章The Educated Society(教育のある社会)で、知識労 働と知識社会が出現したことをはっきりと宣言 「今日の社会・経済において生産性の高い仕事とは、ビジョンや知識、 思想をもって行われる仕事である。つまり、手よりも頭を基盤とする仕 事なのである」  未来の視点から、第二次大戦後の教育に注目  1944年の復員兵援護法により、全ての復員兵に有給で大学教育を 受ける権利が与えられた結果、大学卒の人口が激増 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 64
  • 65. 社会生態学の適用例  『企業とは何か』(1946)  GMに関するドラッカーの初期の研究  社会生態学の手法や、知的理論とマネジメントの実践を組 み合わせる方法が実際に用いられた例  断絶、継続、現代産業社会における人間の位置づけと尊厳といった 問題を解決しようとするドラッカーの姿勢がはっきりと感じられる  9人の社会生態学者と7人のマネジメント実践者の知性豊か な先達が告発した様々な力と闘うべく、「マネジメントされた 組織が機能する社会」という思想の構築に乗り出していた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 65
  • 67. 知識社会の到来  ドラッカーは『変貌する産業社会』(1959)で初めて知識 労働と知識労働者について書いた  フリッツ・マッハルプ  1958年には、米国経済における知識労働の割合に注目  著書『知識産業』を、ドラッカーの3年後の1962年に出版  1958年の米国で、国民総生産の29%を知識産業が占めていた  綿密な実地調査によって米国経済が知識産業の方向へ動いているこ とを証明したもので、ドラッカーの主張を裏付けるもの  実際に知識労働の出現を研究し始めたのは、遅くとも『 変貌する産業社会』(1959)が出版される十年前 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 67
  • 68. 知識社会における教育  知識労働や知識労働者が現われ、知識社会 が到来すれば・・・  知識労働者の生産性を上げることが個人、組織、 国家の競争において何よりも重要になると確信 →学校や教師の生産性を上げることも、知識社会を効果 的に機能させる上では重要になる ところが、「教育の生産性の水準が低すぎる。貧しい国で は耐えがたい水準であり、すでに経済発展にとって最大の 障害となっている」(『断絶の時代』(1969)) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 68
  • 69. 知識社会における教育  知識が重要な資源となり始め、知識労働者の生産性 を上げるという課題に取り組んだ  Output:  『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』(1999) の第5章  「知識労働の生産性向上」(2002, Drucker Internet Module 8105 Corpedia Education)  『断絶の時代』(1969)、『経営者の条件』(1967)、『ポスト資本 主義社会』(1993)でも扱われた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 69
  • 70. 知識社会における教育  『ポスト資本主義社会』(1993)  ポスト資本主義社会=知識社会  個人、組織、国家の競争力の源が、有形資本から人的 資本へと替わりつつある  学校の生産性の向上  第2章「責任ある学校」でも取り上げている Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 70
  • 71. 知識社会における教育  ドラッカーの方法論の2つの特徴 1. 知識を新興資源とみなしたこと →「すでに起こった未来」を知覚する能力があったことの実 例 2. 個人や機関に規範的な助言したこと →断絶を最小限に抑え、過去との継続性を高める形で知 識経済という現実に社会を適応させようとする彼の姿勢 Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 71
  • 73. セルフマネジメント  知識社会において個人に課された新たな要求  労働の基盤が知識に移行し始めると、雇用者の研 修プログラムばかりに頼らず、積極的に自分をマネ ジメントしなければならないと説いた  この新たな課題は、かなり早い時期から登場しているが、 初めて系統的に扱われたのは『経営者の条件』(1967)  このテーマは、彼の死去(2005年2月2日)の一カ月前に発 表された『プロフェッショナルの条件』(2006)でも扱われて いる Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 73
  • 74. セルフマネジメント  知識労働者には、 力を発揮するために自己を管理する責任がある  そのためには自分を知る必要がある  自分の強みや弱み、価値観を知り、目的を達成する際に自 分はどんな行動をするかを知らなければならない  それが分かれば、 1. 自分が力を発揮できる場所はどこか、 2. 成果をあげるにはどのように貢献すればよいか、 3. 関係に責任をもつためにはどうしたらよいか、 ―が見えてくるMaciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 74
  • 75. 自分を知る  自分を知ること 自分をマネジメントする第一歩  自分の強みを知り、それを最大化するには何をすべきかを 知り、強みを十分に伸ばす妨げとなっている悪癖を改める 強みを知ることが極めて重要  知識労働者の働くべき場所が、 何よりもその強みによって最善の貢献ができる場所だから  他人の助けがなければ、 自分の強みを正確に把握するのは容易ではない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 75
  • 76. 自分を知る道具「フィードバック分析」  フィードバック分析  ドラッカーは、その道具として「フィードバック分析」を推奨  450年以上も前に、イエズス会創立者のイグナティウス・ロヨ ラが用いた  イエズス会士たちは、仕事の中にフィードバック分析と継続学習の習 慣を組み込んでいた  ドラッカーによれば、イエズス会の成功はそのおかげ  はるか昔からイエズス会士たちは、セルフマネジメント、フィードバック 分析、継続学習を修得していた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 76
  • 77. 自分を知る道具「フィードバック分析」  フィードバック分析  「昔のイエズス会士は、 毎年、その週を集中的に使って前年の行いを振り返り、献 身の誓いを新たにした  イエズス会の自己認識の技術(すなわち精神修養)は、 変化に対応するために新会員に継続学習と日々の自省と いう習慣を浸透させた  こうした技術は現代でも有効である  なぜなら、これらはまさに、多忙な人々が『走りながら考える』ために 生み出された技術だからである」(Heroic Leadership: Best Practices from a 450- Year-Old Company That Changed the World) (元イエズス会士でJPモルガン.アンド・カンパニー の取締役を務めたクリス・ローニー) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 77
  • 78. 自分を知る道具「フィードバック分析」 1. 重要な決定や行動を行う前に、何が起きるか書く 2. 自分の決定と期待した結果、実際の結果と比べる このとき注目するのは、  予想よりうまくいったところはどこか、  悪かったのはどこか 3. フィードバック分析の結果から  強みと判明したところに集中し、  強みの発揮を邪魔している弱みを補強し、  自分の強みがさらに成果をあげそうな場所を判断する Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 78
  • 79. 自分を知る道具「フィードバック分析」 4. そして、強みを伸ばし続ける 新たな知識や技術を身に着け、 強みを伸ばす妨げになっている悪癖を改める  フィードバックされた情報 知識労働者に何をすべきでないかも教えてくれる ∴判明した弱みに頼るような仕事は引き受けるべきではない 強みを活かして最高の成果をあげることへ力を注ぐべき Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 79
  • 81. 自分の仕事の仕方を知る  自分の仕事の仕方はどのようなものか? 成果をあげるには、自分の仕事の仕方を知らなければならない  人はそれぞれ違う動き方をする  自分はどんな仕方や手順で動くのか  自分は「読み手」か「聞き手」か、あるいは両方か  「読み手」は文字になったメモや報告書を好み、「聞き手」は口頭 での説明や意見交換を好む  もし、自分が「読み手」よりも「聞き手」として動くほうが得意だ、あ るいはその反対だ、ということを知らなければ、能力を発揮できず に失敗する  知識労働者は、自分や同僚がどちらかを知らなければならない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 81
  • 82. 自分の仕事の仕方を知る  自分の仕事の仕方はどのようなものか? 自分の学び方を知っておくことも必要  学び方には様々な方法があり、一人ひとりの違いも 大きい  ある者は論点を繰り返し書き出すことで学び、  ある者は皆とアイデアや不明点を話し合うことで学ぶ  一方的にプレゼンテーションをした後、一人で振り返る時 間をもつ、という方法が一番だという者もいるだろう  他人に教えることほど自らの勉強になることはない Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 82
  • 83. 5つの入り口  どんな学習課題にも5つの入り口がある  the Aesthetic(審美)  the Narrative(説話)  the Logical/Quantitative(論理/量)  the Foundational(根拠)  the Experiential(経験) 将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが 可能になるであろう “Choice Points” ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26)) http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 83
  • 84. 5つの入り口  どんな学習課題にも5つの入り口がある  the Aesthetic(審美)  the Narrative(説話) ストーリーテリング・語り  the Logical/Quantitative(論理/量) 論理的思考  the Foundational(根拠) 科学的思考  the Experiential(経験) 経験主義 将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが 可能になるであろう “Choice Points” ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26)) http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 84
  • 85. “…Improve education in and through arts” 5つの入り口 (芸術によって教育を改革する) ネルソン・グッドマン (哲学者・ハーバード大学プロジェクト・ゼロ創設者)  どんな学習課題にも5つの入り口がある  the Aesthetic(審美) 芸術思考  the Narrative(説話) ストーリーテリング・語り  the Logical/Quantitative(論理/量) 論理的思考  the Foundational(根拠) 科学的思考  the Experiential(経験) 経験主義 将来には“同一の”教科コンセプトまたは教科構成概念につい て、まったく個人毎のアプローチを各生徒へ用意することが 可能になるであろう “Choice Points” ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26)) http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 85
  • 86. クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノ 8つの知能 ベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008年11月19日.原著: "Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns", Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008. 言語的知能 言葉で考え,言語を使って複雑な意味を表現する能力 論理・数学的知能 計算や数値化を行い,定理や過程を考察し,複雑な数学的 操作を行う能力 空間的知能 3次元で考え,内的・外的イメージを認識し,様々なイメージ を再現,変換,修正し,自らまたはものを使って空間を航行 し,図形情報を生み出す,または解読する能力 運動感覚的知能 物体を操作し,身体的能力を微調整する能力 音楽的知能 調子や和声,音律,音色を聞き分け,生み出す能力 対人的知能 他者を理解し,人間関係を巧みに築く能力 内省的知能 正確な自己認識を確立し,その認識を基に自分の人生を計 画し,方向付ける能力 博物的知能 自然におけるパターンを観察し,観察対象を特定,分類して, 自然体系や人工の体系を理解する能力 クリステンセン・他(2008年,第1章)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用 1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 86
  • 87. © 2008 R. Sepulveda-EL ガードナーの知能観 TIEMPO http://www.howard gardner.com/bio/bi o.html (2010年10 月21日アクセス)  知能(Gardner, 1983) ある文化的背景において活性化され、問題を解いたり、その文化において 価値があるとされるプロダクトを作ることができる、ある種の方法で情報 を処理する生物学的、心理学的潜在能力  それぞれの知能は単独で働くのではなく複合して働く  音楽家が演奏で人を感動させるには、他人の動機や欲求を理解す る対人的知能が必要  建築家には空間的知能も論理数学的知能も必要 ∴知能テストや学校の学力テストで測れるのは、 せいぜい言語的知能や論理数学的知能くらい 恒安眞佐,「多重知能理論の概要」 http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス) "Frames Of Mind: The Theory Of Multiple Intelligences", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1983/12. 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 87
  • 88. 多元的知能理論(Multiple Intelligence)  ガードナーによる知能の定義 脳神経的基準  その知能が独立したかたちで脳の中に存在しているか?* 進化的基準  その知能が解決するべき適応課題が、人類の進化の歴史のなかで 重要な課題として存在してきたか?*  当初7つだったが、今は8つ  「博物的知能」が追加されている (1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年 (Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた) *山岸俊男,『安心社会から信頼社会へ(日本型システムの行方)』,中公新書 1479,中央公論新社,pp. 164-165,1999年6月25日. 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 88
  • 89. 多重知能理論の意味  多重知能理論の意味  個人がある知能を使うことに 「より多くの時間をかけるほど、そして、指導と教材 が良ければ良いほど、その人は賢くなる」  差異が、否定されたり無視されることなく考慮に入 れられたなら、教育は最も効果的に働く  生徒に「自分は何者であり、何ができるか」を理解させら れることが重要である 恒安眞佐,「多重知能理論の概要」 http://sky.geocities.jp/society_of_mile/page007.html (2010年10月26日アクセス) "Intelligence reframed: Multiple intelligences for the 21st century", Howard E. Gardner, Basic Books, New York, 1999. 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 89
  • 90. 多重知能理論の意味  人は皆それぞれ一組の多重知能を持っており、少なく とも8-9つの知的活動の特定の分野で、才能を大いに 伸ばすことが出来る(1983)  知能は生徒が学習の過程にもたらす “Smarts”(賢さ)を表 わし、各個人は固有の、複数の知能のamalgam(*合成、組 み合わせ)を持ち、それが我々一人ひとりを区別している  知能は学び得るものであり、人は「よりスマート」になり得え 、我々の知能プロフィールは変化する ハワード・ガードナー教授講演会資料(ソニー株・上條雅雄(2003.05.26)) http://www.japanmi.com/mifile/review/review/hglecturemidrft.htm (2010年10月21日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 90
  • 91. クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホール,カーティス・ジョンソン,『教育×破壊的イノ 8つの知能 ベーション(教育現場を抜本的に変革する)』,翔泳社,第1章,2008年11月19日.原著: "Disrupting Class: How Disruptive Innovation Will Change the Way the World Learns", Clayton M. Christensen, Curtis W. Johnson, Michael B. Horn, McGraw-Hill, 2008. 言語的知能 言葉で考え,言語を使って複雑な意味を表現する能力 計算や数値化を行い,定理や過程を考察し,複雑な数学的 表 論理・数学的知能 操作を行う能力 現 系 空間的知能 3次元で考え,内的・外的イメージを認識し,様々なイメージ を再現,変換,修正し,自らまたはものを使って空間を航行 し,図形情報を生み出す,または解読する能力 運動感覚的知能 物体を操作し,身体的能力を微調整する能力 音楽的知能 調子や和声,音律,音色を聞き分け,生み出す能力 生 対人的知能 他者を理解し,人間関係を巧みに築く能力 成 内省的知能 正確な自己認識を確立し,その認識を基に自分の人生を計 系 画し,方向付ける能力 博物的知能 自然におけるパターンを観察し,観察対象を特定,分類して, 自然体系や人工の体系を理解する能力 クリステンセン・他(2008年,第1章)による多元的知能論(ハワード・ガードナー)の引用 1983年(Frames of Mind)で1~7の知能が提唱され、のち1999年(Intelligences Reformed)で8「博物的知能」が加えられた 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 91
  • 92. 芸術思考「五感で感じる感覚」  私達が生まれながらに持っている「五感で感じる」感 覚である  子供の頃を思い出してほしい  毎日が冒険の連続で、新しい発見があるたびにワクワクしていなかった だろうか?  見るもの・聞くもの・触るもの、頭ではなく身体で感じていたのだ  その感覚こそが「芸術=アート」なのである 「芸術思考とは」,http://lifeofartisticmind.blog82.fc2.com/blog-entry-1.html (2012年7月25日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 92
  • 93. 芸術思考「最終命題の達成」  芸術家は最終命題の達成から、 一般人はプロセスから考える 芸術家は最終命題の達成しか見ていない  ルネサンスの三大巨匠、彫刻家ミケランジェロの言葉  「石を観ていると、”このように自分を彫ってくれ”と語っているような気がする」  「考えたこともない。素材が命じるままに彫るだけだ」  「彫刻は、完成形に対していらないところを削って行く作業」  芸術家が作品を作る時って、実は完成形を先に想定してからそれを具現化させる作業 を行ってるだけ。頭の中に思い描いているコンセプトとそれを物体として具現化した場 合の姿を想像し、それを自分の手によって創造していく。 「いまあるものに関して、ここはこうゆう風に改善すべき」という思考回路 は、芸術家的ではなくて、一般人の思考回路 「芸術家的な思考回路と一般人の思考回路の違い」,http://ameblo.jp/masato119/entry-11175884545.html (2012年7月25日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 93
  • 94. ビジネスにおける芸術思考  ビジネスにおける未来予測(松丘啓司,2010年, p. 98)  未来の自分の環世界*を描くこと  *環境は人を含む生物が主観的に意味づけするものであり,主体に よって取り巻く環境の姿は異なる(ドイツの生物学者・ヤーコブ・フォン・ユクス キュル)  客観的な環境がどのように変化するかを占うことではなく, 自分の「なりたい姿」とそれを取り巻く環境を描くことである.  内発的価値観に基づく自分の軸があるから,変化の意味がわかる  もし,自分の軸が何もなかったとすると,変化事態にすら気づかない 芸術思考=未来を構想し、実現に向う思考 cf.ドラッカーの社会生態学 松丘啓司,『論理思考は万能ではない(異なる価値観の調和から創造的な仮説が生まれる)』,ファーストプレス,2010年1月22日. 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 94
  • 95. 最終命題の達成  芸術家が作品を作る時は、完成形を先に想定してか らそれを具現化させる作業を行うだけ*  ルネサンスの彫刻家・ミケランジェロの言葉 「考えたこともない。素材が命じるままに彫るだけだ」 「石を観ていると、『このように自分を彫ってくれ』と語っているような気 がする」  頭の中に思い描いているコンセプトとそれを物体として具現化した 場合の姿を想像し、それを自分の手によって創造していくのであっ て「彫刻は、完成形に対していらないところを削って行く作業」なので ある* *吉田将人,「芸術家的な思考回路と一般人の思考回路の違い」,http://ameblo.jp/masato119/entry- 11175884545.html (2012年7月25日アクセス) 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 95
  • 96. 未来を構想し実現する芸術思考  「芸術思考」=「未来を構想し、実現に向う思考」  環境は人を含む生物が主観的に意味づけ  主体によって取り巻く環境の姿は異なる ∴未来予測 ×客観的な環境がどのように変化するかを占う ○自分の「なりたい姿」とそれを取り巻く環境を描く  内発的価値観に基づく自分の軸がある  自分の軸があるから,変化の意味がわかる  自分の軸が何もなかければ、変化に気づかない* *松丘啓司,『論理思考は万能ではない』,ファーストプレス,2010年1月22日. 2012年10月6日 阪井和男・有賀三夏 96
  • 98. ドラッカーの特異な能力  ドラッカーは、リベラルアートとしてのマネジメントの精神のもと、 良き社会生態学者であるべく、 多種多様な学問を駆使して周囲を分析できた  マネジメントや社会の諸問題に対処するため、様々な領域の 知識を取り込んで組み合わせた  多様な知識の関連性を見極め、思考をまとめ上げる達人  明確なビジョンを提示する能力!(デザイン・芸術思考)  著書二、三冊ならば同時に構想を練ることができた  はじめに草案を書き、次に歴史、経済学、政治学、技術、芸術、宗教、 ビジネス、心理学、国際関係論、数学などの知識から生じた思考をま とめ、講義やコンサルタント活動を通してそれを発展させた Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 98
  • 99. ドラッカーの特異な能力  4分野の社会科学を組み合わせ 「彼は経済学、政治学、産業心理学、産業社会学に極めて造詣 力深い そしてこの4分野の研究結果を調和させ、 それらを企業の現実問題に対して効果的に応用することに、 見事に成功している」 (ドラッカーの雑誌論文「新しい社会と新しい経営」の評論を書いたジョージ・G・ヒギン ズ) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 99
  • 100. ドラッカーの特異な能力  ドラッカーの奥行きの広さへの最大級の賛辞  「さらに感心するのは、彼が、取り組んでいる課題のいずれに対しても威 厳、学識、優雅、洗練をもって臨むことである 彼が書く物はどれも、最先端を行くルネサンス人の輝きを放っている 彼は異なる時代、異なる学問、異なる文化、異なる価値観の関連性を見 抜くが、その一方で、古い関係の中に見出される新たな展開に驚き、それ を喜びもする 例えばそれは、古くからの敵同士が予想外の憶測を働かせ、そこから新 たな意味や方策が生まれてくることであり、由緒ある価値観や古来の道 徳が自己主張をする際に新しい表現を使うことであり、科学、技術、人口 変動、大量破壊兵器、コミュニケーションが、政治、経済、倫理、マネジメ ントに新たな責務を課すことである」 ("The Living Legacy of Peter Drucker")(現代マーケティングのパイオニアでドラッカーの近しい友人でもあ る『ハーバード・ビジネス・レヴュー』誌の元編集長、セオドア・レビット) Maciariello, Joseph A. and Linkletter, Karen E., "Drucker's Lost Art of Management: Peter Drucker's Timeless Vision for Building Effective Organizations", McGraw-Hill, New York, Chap. 7, 2011. 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 100
  • 101. 能力開発の問題点  能力開発の天才 成果を出す=集中できること!  能力を向上させることではない(←これは結果論)  能力開発の困難性  能力の潜在性:能力=潜在的なもの 必要とされる状況のなかではじめて開発され顕在化する! ∴能力が必要となる状況で、能力が不足していて当たり前  成果の偶発性:成果=偶発的なもの 同じ努力が同じ成果を上げるとは限らない! ∴努力が実らないのは、努力や能力の不足とは限らない 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 101
  • 102. 能力はどのように開発されるか  阪井説 1. 強い動機 2. 制約し集中する:板に穴を開けるには、先を細くとがらせた錐が必要 a. 情動の安定(不安からの解放=能力の分散を避ける) b. 前段階としての能力の解放 c. 集中領域の限定(制約条件を明らかにする=能力の分散を避ける) d. リハーサル(能力の準備体操) e. 能力の集中(一気に能力を集中させる) 3. 能力の素早い解放 (結果に引きずられない=次の能力集中への準備) 2012年10月12日 明治大学 阪井和男 102
  • 103. 能力の潜在性 ~能力集中の原理~ 阪井和男・栗山健,「複数課題遂行時の知的能力の限 界効用について」,第53回次世代大学教育研究会,早 稲田大学,2010年12月18日. http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/ne53-05-sakai- plural_tasks-20101218.pdf (2011年9月10日アクセス)
  • 104. 力を出すということ  筋肉のはたらき  能力のはたらき 筋肉=緊張して縮むことしか 能力=集中することしかでき できない ない  手足を動かせるとは?  能力を自在に操れるとは?  筋肉が緊張して手足が動く  能力を集中して力を出せる  骨の両側に対になった筋肉  いろんな能力がある! がある!  他の能力が解放されていて  他方が弛緩していてはじめ はじめて集中できる て緊張が生かされる ∴能力がすべて解放された状 ∴筋肉がすべて弛緩した状態 態でないと集中できない! でないと動かない! 2011年12月9日 HRDM・明治大学 阪井和男 104
  • 105. 複数課題を遂行する困難  複数課題の遂行 「簡単な算数を,英語で話しながらやる」  簡単な算数でも,英語で話しながらやらせるとまったくできな い 原田康也(第47回次世代大学教育研究会でのディスカッションから,岩手大学, 2010年6月19日) 原田康也・前坊香菜子・坪田康・壇辻正剛(「外国語の口頭運用時における数的処理について」 ,第53回次世代大学教育研究会,早稲田大学,2010年12月18日)  知的能力 1. 算数をする 2. 英語で話す 2011年12月9日 HRDM・明治大学 阪井和男 105
  • 106. 複数課題を遂行する困難  知的能力 1. 算数をする 2. 英語で話す  2つの能力は,もともと独立とみなして良いはず 独立なようでいて,独立ではない! 何らかの理由で独立性が損なわれている  複数課題の遂行可能性は何によって決定されるのか? 知的能力 脳部位 心理学 意識 場の理論 意識して使う 前頭前野が主 ワーキングメモリ 顕在的領域 自己的領域 場 無意識に使う その他すべて 潜在的領域 場所的領域 2011年12月9日 HRDM・明治大学 阪井和男 106
  • 107. ワーキングメモリ  脳の中でいくつの能力が使えるか?  ワーキングメモリの容量  ワーキングメモリ 作業記憶、作動記憶  情報を一時的に保ちながら操作するための構造や 過程を指す構成概念  前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基 底核の一部がワーキングメモリに関与 http://ja.wikipedia.org/wiki/ワーキングメモリ (2010年6月16日アクセス) 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 107
  • 108. ワーキングメモリの容量  短期記憶に関する容量限界の定量化 「マジカルナンバー7±2」(Miller , 1956年)  記憶すべき要素が何であれ(数字、文字、単語、そ の他)、若者が記憶できる量は「チャンク」と呼ばれ る塊りで約7個 Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information. Psychological Review, 63, 81-97 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 108
  • 109. ワーキングメモリの容量  その後の研究  容量はチャンクの種類に依存  数字なら約7個、文字なら約6個、単語なら約5個  長い単語よりも短い単語の方が容量を取らない  単語的内容(数字、文字、単語)は、音読にかかる時間と記 憶容量と関係し、内容の文脈的状態(その単語を知ってい るか)にも依存(Hulme et al., 1995)  若年成人の純粋な短期記憶容量は約4チャンクになる(子 供や老人ではもっと少ない) (Cowan, 2001)  厳密な条件の統制を行ったり適切な推定法を用いたりすることによ って見かけ上の記憶を増やす要因をできる限り排除した場合 Hulme, C., Roodenrys, S., Brown, G., & Mercer, R. (1995). The role of long-term memory mechanisms in memory span. British Journal of Psychology, 86, 527-536. 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 109 Cowan, N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24, 87-185
  • 110. Cowanモデル(Cowan, 2005)  ワーキングメモリは長期記憶の一部  長期記憶は3つの状態,ワーキングメモリは内2つの状態  第1の状態  活性化した長期記憶の一部に対応  活性化は量的には限界なく、多数の情報が活性化できる  活性化には時間限界があり、リハーサルしないと減衰  第2の状態  注意の焦点(focus of attention)  容量には限界があり、同時に注意を向けられるのは、活性 化した長期記憶の構成要素のうち最大で4つのチャンク Cowan, N. (2005). Working memory capacity. New York, NY: Psychology Press. 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 110
  • 111. Cowanモデル リハーサル チャンク ワーキングメモリ 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 111
  • 112. Oberauerモデル Cowanモデルを拡張して、1つのチャンクにだけより大き な注意を向ける第3の状態を導入(Oberauer, 2002)  Cowanモデルの欠点  人間は同時に4つの数字に注意を向けることができるが、そ れら4つの数字にそれぞれ同時に 2 を足すことはできない  ほとんどの人間は数学的な処理を並行して行うことは出来 ず、順番に1つずつ足し算するしかない  Oberauerモデルの利点  4つの数字から1つだけを高次レベルの焦点に選んで処理 を行っていくとすることでこれを説明できる(Oberauer, 2002) Oberauer, K. (2002). Access to information in working memory: Exploring the focus of attention. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 28, 411-421. 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 112
  • 113. Oberauerモデル リハーサル チャンク ワーキングメモリ 2010年12月18日 阪井和男・栗山健 113
  • 114. 能力の資源制約論  チャンク=能力  各能力を独立なものとして、直交座標に割り当てる  能力A=x座標  能力B=y座標  ・・・  能力には上限がある! (仮定)上限は能力が使える資源の有限性から決まる Cowanモデルに資源の有限性を導入することで、 Oberauerモデルを説明する・・・ 2011年12月9日 HRDM・明治大学 阪井和男 114
  • 115. 資源の有限性とは y  資源の有限性  資源の総量=R R r  x2  y 2  R (仮定)距離はユークリッド距離 で表せるとする  座標の制約 y x  R2  y2 または r y  R2  x2 0 x x R 2011年12月9日 HRDM・明治大学 阪井和男 115