SlideShare uma empresa Scribd logo
1 de 37
2012.8.29    日本科学教育学会第36回年会




   リスク・コミュニケーションワーク
   ショップの学習評価手法の開発


             北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部
            科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
                                石村源生
本発表の目的

•   ワークショップで「リスクコミュニケーションのパターンラ
    ンゲージ」を作成することによって、参加者は、
    1. リスクコミュニケーションについての理解を深めることができ
       る。
    2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構え」を
       身につけることができる。

    という、リスクコミュニケーションの学習に関する仮説を
    検証する手がかりとなる学習評価手法を提案する。
ワークショップ概要
タイトル:サイエンス・メディア・センター夏期集中ワークショップ
 2012「『では、どう伝えればよかったのか』~リスクコミュニ
 ケーションの肝を考える~」
対象者:研究者、ジャーナリスト、大学院生、科学コミュニケー
 ター
開催日時:2012年8月10日~12日
会場:早稲田大学
参加者:20名 (レクチャーのみの参加者を除く)
スケジュール:
 8月10日 レクチャー1~3
 8月11日 レクチャー4+グループワーク
 8月12日 グループワーク
ワークショップの目的
• グループワークによって、様々なリスクコミュニケー
  ション場面に見られる共通の形式(=「パターンラン
  ゲージ」)を抽出すること。
• 抽出したパターンランゲージを活用することによって、
  参加者が多様なリスクコミュニケーション場面に対応
  できる「構え」を身につけることを目指す。
• 単一の「正解」を講師から学んだり、それを求めて参
  加者同士で討論することが目的ではない。
リスクコミュニケーションの
「パターンランゲージ」とは
• リスクコミュニケーションの場面で繰り返し起こ
  りうる類型的・普遍的な問題やジレンマ状況。
• 特徴
 – 容易に解決しがたい。
 – 分野をまたいだ共通点がある。
 – それぞれの解決手法にはメリットとデメリットがある。
パターンランゲージのフォーマット(構成要素)

• 問題
 – リスクコミュニケーション担当者の立場に立ったとき、起こり
   うる様々な問題
• 文脈
 – リスクコミュニケーション場面を規定する前提条件
 – 「何についてのリスクか」「リスクの情報源は誰か」等
• 対処案
 – 問題を解決ないし緩和するための対処案
 – 一般に、メリットとデメリットがある
ワークショップにおける作業のゴール
• レクチャー4(ナノ粒子のリスク評価に関する専門家
  による)、ならびに参加者自身の経験を元に、様々な
  リスクコミュニケーション場面に見られる共通の形式
  (=「パターンランゲージ」)を抽出すること。
• 第三者(リスクコミュニケーション担当者)が、ここで
  抽出したパターンランゲージを活用することによって、
  多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構
  え」を身につけられるような「わかりやすくて利用可能
  性の高い」ものをつくりあげることを目指す。
リスクコミュニケーション実践の性質

•   きわめて多様で文脈依存性が高い。
•   属人的な側面が大きい。
•   他方で、問題の性質は何らかの形で一定のパ
    ターンに分類されうる。
1.リスクコミュニケーションのパターン
ランゲージに関する仮説
1. 前述の「リスクコミュニケーション実践の性質」
   に基づき、「リスクコミュニケーションのパターン
   ランゲージ」を作成することが可能である。
2. 上記パターンランゲージは、特定の形式でデザ
   インされたワークショップによって効果的に作
   成できる。
3. 上記パターンランゲージを利用することはリス
   クコミュニケーション実践にとって有効である。
2.リスクコミュニケーションの学習に関
する仮説
•   ワークショップで「リスクコミュニケーションのパ
    ターンランゲージ」を作成することによって、参
    加者は、
    1. リスクコミュニケーションについての理解を深めるこ
       とができる。
    2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる
       「構え」を身につけることができる。
仮説の検証に向けて
項目          検証のための問い           結果
リスクコミュニケー   リスクコミュニケーションのパターン ワークショップにおいて60
ションのパターン    ランゲージを作成できたか?     個のパターンランゲージを
ランゲージ                         作成→一定の成果
            特定の形式のワークショップが上    一定の成果は得たが、ワー
            記パターンランゲージの作成に有    クショップのプログラムデザ
            効であるか?             インに即しての検証が必要
            上記パターンランゲージを利用す 今後実際の場面に適用し
            ることはリスクコミュニケーション実 ての検証が必要
            践にとって有効であるか?
リスクコミュニケー   リスクコミュニケーションについて
ション学習       の理解が深まったか?

            多様なリスクコミュニケーション場
            面に対応できる「構え」を身につけ
            ることができたか?
ワークショップの学習評価
学習評価の課題
• 単純な知識やスキルの習得を目的としているわけで
  はないので、いわゆる「テスト型」の評価は適さない。
• 一方、自己評価には、「満足度」「ワークショップ手
  法・ワークショップ運営への評価」が混入しがちである。
• 特に今回の場合、「パターンランゲージ自体に対する
  有効性の評価」と「それを作成することによる学習効
  果」を峻別しなければならない。
• また、「~を学べましたか」といった包括的な自己評
  価では、「ワークショップデザインの個々の要素」と
  「個々の学習効果」の具体的な関係をつかめない。
• さらにこのような自己評価では、個々人の知識、ス
  キル、モチベーションの多様性に対応できない。
2つのワークシートを導入
1 学習目標ワークシート 8月11日のレクチャー4終
             了後、ガイダンスの後に記
             入


2 ふりかえりワークシート 8月12日の、全てのグルー
              プワーク終了後に記入
学習目標ワークシート
a)   あなたが「リスクコミュニケーション」という言葉から連想するキーワード、
     フレーズを挙げて下さい。


b)   あなたが現在リスクコミュニケーションに関して抱えている課題、悩み、
     疑問があれば、挙げて下さい(ご自身が担当者でない場合、一般的に
     感じている課題、疑問等でも構いません)。

c)   リスクコミュニケーションにおいて特に難しいのはどのような点だと思い
     ますか(複数でも構いません)。


d)   この三日間であなたはどのようなことを達成したいと思うかを書いて下
     さい。
ふりかえりワークシート(1)
a)   「リスクコミュニケーション」という言葉から連想されるキーワード、フレー
     ズについて、学習目標ワークシートで挙げた内容以外に思いついたもの
     があれば挙げてください。
b)   学習目標ワークシートで答えた「リスクコミュニケーションに関して抱えて
     いる課題、悩み、疑問」に関して、本ワークショップを通じてどのような気
     づきや学びがありましたか。
c)   学習目標ワークシートで設定した達成目標はどの程度達成できましたか。



d)   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、興味深い、
     面白い、あるいは役に立つと感じたことがあれば挙げてください。


e)   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、難しい、あ
     るいはうまくいかないと感じたことがあれば挙げてください。
ふりかえりワークシート(2)
f)   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、その他に
     感じたこと、気づいたことがあれば挙げてください。


g)   今回作成したパターンランゲージの中で、自分が最も活用できそうなも
     の、あるいはリスクコミュニケーションの担当者にとって最も有効だと思
     われるものを一つ挙げるとするとどれですか。それはなぜですか。
h)   このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関して
     どのような気づきや学びがありましたか。


i)   これから自分自身でリスクコミュニケーションのパターンランゲージをつく
     るとしたら、どのようなことをもっと学びたいですか。
仮説の検証に向けて
項目          検証のための問い           結果
リスクコミュニケー   リスクコミュニケーションのパターン ワークショップにおいて60
ションのパターン    ランゲージを作成できたか?     個のパターンランゲージを
ランゲージ                         作成→一定の成果
            特定の形式のワークショップが上    一定の成果は得たが、ワー
            記パターンランゲージの作成に有    クショップのプログラムデザ
            効であるか?             インに即しての検証が必要
            上記パターンランゲージを利用す 今後実際の場面に適用し
            ることはリスクコミュニケーション実 ての検証が必要
            践にとって有効であるか?
リスクコミュニケー   リスクコミュニケーションについて
ション学習       の理解が深まったか?

            多様なリスクコミュニケーション場
            面に対応できる「構え」を身につけ
            ることができたか?
回答結果
リスクコミュニケーションについての
理解が深まったか?
学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例:
    d) この三日間であなたはどのようなことを   c) 学習目標ワークシートで設定した達成目
    達成したいと思うかを書いて下さい。       標はどの程度達成できましたか。
    優先事項を見極め、ミスリードしない情報伝    優先事項の決め方とミスリードしない情報の
1   達を行う。                   伝達が達成目標でしたが、前者は一応達成
                            しました。達成%は50%です。
    自分の研究に役立てられれば。少しでも考     欠如モデルを解決するにはどうしたら良いか、
2   えを先に進められれば。             という問題に対しては、互いに教え合うとい
                            う双方向の方法の案が得られたことで、考え
                            を少し前進させられたと思う。

    リスクコミュニケーションとは何で、誰が行う   85点/100点という感じです。何であるかは
3   ことで、どういう目的があって、それを達成    何となくつかめたかも。しかし、どうすれば上
    するのにどんな工夫が必要なのかを学びた     手く伝えられるかは「この3日間をヒントにこ
    い。(リスクコミュニケーションについて無知   れから」という感じです。
    なので、0からのスタート)
リスクコミュニケーションについての
    理解が深まったか?
•    設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し
     てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例:
    –   リスクコミュニケーションが社会の様々な場面で実施されて
        いる、すなわちその重要性を改めて認識した。
    –   受け手のリテラシ-、送り手のリテラシーとともに、マスコミ
        のリテラシーを高める必要があることを実感した。
    –   一方的な情報発信だけでなく、双方向的なリスクコミュニ
        ケーションについて知ることができた。
    –   リスクコミュニケーションについて、個人それぞれで理解の
        仕方に差があるし、持っている意見も違うのだなあと思った。
リスクコミュニケーションについての
    理解が深まったか?
•    設問「「リスクコミュニケーション」という言葉から連想されるキーワード、フ
     レーズについて、学習目標ワークシートで挙げた内容以外に思いついたも
     のがあれば挙げてください。」に対する回答例:
    –   信頼性/客観性/リテラシー/副作用/実害/リスクの
        関心が異なる/問題の設定、(問い対象)で答えは異なる
        /双方向のコミュニケーション/協力/協調/信頼/市民
        との対話/利害関係者/危機管理/コミュニケーター自身
        のリテラシー(能力) /情報伝達/一方向性コミュニケー
        ション/データ/企業/恣意性/相手の立場/感情/時
        間/正確さ/状況/背景/科学技術/危機/定義が困
        難/伝え方のテクニック/マスメディア/用語の難易度/
        過剰反応/専門用語/優先/不確実性/伝えるのが難
        しい/受け手と伝え手の認識の違い/ある特定の集団と
        他の集団のリスクをめぐる問題解決の手法
多様なリスクコミュニケーション場面に対応
    できる「構え」を身につけることができたか?
•    設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し
     てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例:
    –   リスクコミュニケーションには正確な答えはないということ、
        しかし、今回のようなワークショップをやっていくことでさま
        ざまなパターンランゲージが出てきて対処法が見出せていく
        と思いました。
    –   様々な立場やバックグラウンドを持つ参加者と議論する機
        会により、自分の考えの偏向性と多様な視点に気付いた。
    –   リスクの種類も、リスクコミュニケーションの形も、自分が
        思っていたよりずっと多様だということ。
    –   人間批判、批評はできるが、自分で表現するとなるとそれ
        ほど単純ではない。
多様なリスクコミュニケーション場面に対応
    できる「構え」を身につけることができたか?
•    設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し
     てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例:
    –   パターンランゲージを作ることで、現場でやくに立ちそう。
    –   リスクコミュニケーションを行う場面に出くわしたとき、まず
        はパターン化し、問題を分類することが有意義ではないか
        と考えた。
    –   リスクコミュニケーションと一口に言っても、伝える個人や内
        容によってコミュニケーションの上で考慮する問題や対処法
        がことなる想像力が必要。多くの人の考えや意見をきいて
        話すことで、解決の糸口になりそう。
多様なリスクコミュニケーション場面に対応
できる「構え」を身につけることができたか?
学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例:
    d) この三日間であなたはどのようなことを   c) 学習目標ワークシートで設定した達成目
    達成したいと思うかを書いて下さい。       標はどの程度達成できましたか。
    様々な立場の関係者の中でリスクを回避す     想像以上に自分の想定している範囲が狭く
1   るためあるいはリスクに対処するため、どの    特定の分野に集中していることを認識し、他
    ようなことを想定しなければならないのかに    の参加者との議論する中で様々な視点や留
    ついて、事例に基づいて実際的に体験する。    意点を得ることができた。
    行政向けにリスコミ研修を行っていて、マ     さまざまな立場の人からの視点を知ることが
2   ニュアル的なものを作成中です。将来的に     できた。
    役立つものを作れるようにと思うので、この
    WSを通じて、一般的なリスコミのパターン
    をみなさんからいろいろ見せてもらいつつ、
    個別事例に生かせるといいなと思っていま
    す。
    多様な方々のリスコミへの問題意識や考え     •150%
3   方を知りたい。                 •予想以上に多様なバックグラウンドの持ち
                            主と出合えた。
多様なリスクコミュニケーション場面に対応
できる「構え」を身につけることができたか?
学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例:
    d) この三日間であなたはどのようなことを   c) 学習目標ワークシートで設定した達成目
    達成したいと思うかを書いて下さい。       標はどの程度達成できましたか。
    •リスクの大小によらない普遍的なパターン    •リスク大小によらない普遍的なパターンラン
4   ランゲージを抽出すること            ゲージを書くことができた。
    •誰にでも分かりやすくリスクを伝える手法    •リスクコミュニケーションの具体的な手法に
    を体得すること                 ついては、今回取り組む時間がなかったの
    •未知なリスクを理解・表現するための方策    で、これからやる機会をもてたら良いと思う。
    について学び、実践できるようになること

    •リスクコミュニケーションの際に考慮すべき   •50%
5   こと、考える流れを体系的に理解する。      •問題の設定はある程度できたが、それに対
    •学んだことをもとに、今後、自分がリスクコ   する対処はこれからの課題
    ミュニケーションを担当する際に活用できる
    フレームを自分の中で持てるようにする。
リスク・コミュニケーションワーク
ショップの学習評価手法の改善に
向けて
方法
1. ふりかえりワークシートの設問(d)~(f)
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、興味深い、面白い、あるいは役に立つと感じたこ
     とがあれば挙げて下さい。
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、難しい、あるいはうまくいかないと感じたことがあ
     れば挙げて下さい。
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、その他に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて
     下さい。
    に対する回答からキーワードを抽出し、それらに
   対応する設問を提案する。
2. ワークシートをテキストマイニングの手法を使って分
   析する。
考え方

         ワークシート回答データ




           キーワード抽出




      今後同様のワークショップを実施する際
       の学習評価に有効な設問の提案
設問(d)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、興味
 深い、面白い、あるいは役に立つと感じたことがあれば挙げて下さい。」に対
 する回答データからキーワードを抽出し、設問を提案
回答データ                キーワード抽出    設問案

•原因と問題を明確化することができ •問題の整理        ・自分が今後新たなリスクコミュニケー
る。                 •根本原因の探索     ションの問題に直面したとき、ワーク
•作業を通じて、表面的な具体的現象、 •パターンの分類     ショップ受講前と比較して、その問題の
問題の根本原因を探ることができた   作業の効果        構造を整理して対処することに対して自
と感じています。                        信を持って取り組めるようになったと思い
•リスクコミュニケーションにおける問              ますか。
題というのは、多様かつ複雑にから
んでいる場合が多いので、それをほど
いて分けて分類していくことは意義の
あることだと思った。
•個人の力だけでは達成できないレベ    •メンバー間の相   ・自分が今後新たなリスクコミュニケー
ルへ、アウトプットのレベルが高まった   乗効果        ションの問題に直面したとき、ワーク
と思う。                            ショップ受講前と比較して、より他者と協
•多くの人たちと議論することによりパ              力して問題に取り組もうと思うようになり
ターンランゲージをより一般化するこ               ましたか。
とができた。
設問(e)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、難しい、
 あるいはうまくいかないと感じたことがあれば挙げて下さい。」に対する回答
 データからキーワードを抽出し、設問を提案
回答データ               キーワード抽出     設問案

•ある程度の条件、しばりがあったほう •自由度(高すぎる    ・リスクコミュニケーション実践を抽象化・
が書きやすかった。          /低すぎる)       一般化して他者と共有することにどの程
•問題の設定がパターン化され、バラ •抽象化          度意義があると思いますか。それはなぜ
エティのある問題設定が行えなかった。              ですか。(事前/事後比較)
•抽象化と体験のプロセスを行き来さ               ・自分ならもっと良いパタンランゲージの
せる事が大変難しかったです。                  フォーマットを作ることができると思います
                                か。例えばどのような点を改善しますか。
問題設定のレイヤーをそろえること。   •レイヤー、カテゴ   ・今回作成したパターンランゲージの中で、
カテゴリーの区切りのレベルを決める   リーの整理       レイヤーが揃っていない、カテゴリーの区
こと。                             切りが不適切だと思うものがあれば挙げ
                                て下さい。
設問(f)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、その他
 に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて下さい。」に対する回答データから
 キーワードを抽出し、設問を提案
回答データ                キーワード抽出     設問案

•かなり時間がかかる作業。        •時間コストへの意   ・今回のパターンランゲージ作成プロセス
•もう少し時間をかけずに出来るので    識           をより短時間で行うためにはどのように
はと思いました。                         すればよいと思いますか。

•リスクコミュニケーション以外にも使   •汎用性への意識    •他にもパターンランゲージの手法を適用
えそうだ。                            してみたい分野、対象があれば挙げて下
                                 さい。
•今回まとめたパターンランゲージ以    •網羅性への意識    ・今回作成したパターンランゲージには
外にもパターンは存在するかもしれな                漏れていると思うパターンがあれば挙げ
い。                               て下さい。
方法
1. ふりかえりワークシートの設問(d)~(f)
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、興味深い、面白い、あるいは役に立つと感じたこ
     とがあれば挙げて下さい。
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、難しい、あるいはうまくいかないと感じたことがあ
     れば挙げて下さい。
 –   リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過
     程で、その他に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて
     下さい。
    に対する回答からキーワードを抽出し、それらに
   関する設問を使った評価用アンケートを作成する。
2. ワークシートをテキストマイニングの手法を使って分
   析する。
ふりかえりワークシートのテキストマイニング結果




         →サンプルを増やし、かつプレテストとポストテスト
         を比較する事で、一定の傾向を抽出できる可能
         性あり
結論
結論
1. ワークショップで「リスクコミュニケーションの
   パターンランゲージ」を作成した参加者は、
   一定程度、
  1. リスクコミュニケーションについての理解を深められる。
  2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構
     え」を身につけられる。
   ことが確認された。
2. また、このワークショップで用いた「ふりかえり
   シート」の回答結果から、新しい学習評価手
   法に結びつく手法を提案した。

Mais conteúdo relacionado

Semelhante a リスク・コミュニケーションワークショップの学習評価手法の開発

学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版
学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版
学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版nishio
 
デザイン思考 ワークショップ
デザイン思考 ワークショップデザイン思考 ワークショップ
デザイン思考 ワークショップYutakaTanabe
 
e-Learning Design for Teacher
e-Learning Design for Teachere-Learning Design for Teacher
e-Learning Design for TeacherSunami Hokuto
 
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月Jun Ohnishi
 
20110330 toc思考プロセス入門
20110330 toc思考プロセス入門20110330 toc思考プロセス入門
20110330 toc思考プロセス入門一法 山崎
 
なごや自由大学企画書
なごや自由大学企画書なごや自由大学企画書
なごや自由大学企画書大橋 弘宜
 
ファシリテーションを知る
ファシリテーションを知るファシリテーションを知る
ファシリテーションを知るReiko Yamashita
 
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成するPMeducaiton
 
ファシリテーション講座 Hlab2012
ファシリテーション講座 Hlab2012ファシリテーション講座 Hlab2012
ファシリテーション講座 Hlab2012Yasuhiro Yoshizawa
 
140409 taiwa quick tips 17 and coaching question 420
140409 taiwa quick tips 17 and  coaching question 420140409 taiwa quick tips 17 and  coaching question 420
140409 taiwa quick tips 17 and coaching question 420Yuta Suzuki
 

Semelhante a リスク・コミュニケーションワークショップの学習評価手法の開発 (20)

学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版
学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版
学び方のデザイン名古屋大学版 加筆版
 
第4回「試す」applim キックオフイベント基調講演
第4回「試す」applim キックオフイベント基調講演第4回「試す」applim キックオフイベント基調講演
第4回「試す」applim キックオフイベント基調講演
 
プロジェクト型学習プログラム「防災コミュニケーション実習」の設計・運営・評価
プロジェクト型学習プログラム「防災コミュニケーション実習」の設計・運営・評価プロジェクト型学習プログラム「防災コミュニケーション実習」の設計・運営・評価
プロジェクト型学習プログラム「防災コミュニケーション実習」の設計・運営・評価
 
デザイン思考 ワークショップ
デザイン思考 ワークショップデザイン思考 ワークショップ
デザイン思考 ワークショップ
 
e-Learning Design for Teacher
e-Learning Design for Teachere-Learning Design for Teacher
e-Learning Design for Teacher
 
持続可能なコラボレーション創出のためのワークショップ手法について
持続可能なコラボレーション創出のためのワークショップ手法について持続可能なコラボレーション創出のためのワークショップ手法について
持続可能なコラボレーション創出のためのワークショップ手法について
 
プロジェクト型教育プログラムの意義と課題
プロジェクト型教育プログラムの意義と課題プロジェクト型教育プログラムの意義と課題
プロジェクト型教育プログラムの意義と課題
 
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
IIBA日本支部 BABOK発表会 2014年5月
 
20110330 toc思考プロセス入門
20110330 toc思考プロセス入門20110330 toc思考プロセス入門
20110330 toc思考プロセス入門
 
デザイン思考入門クラス2015年2月24日
デザイン思考入門クラス2015年2月24日デザイン思考入門クラス2015年2月24日
デザイン思考入門クラス2015年2月24日
 
5
55
5
 
なごや自由大学企画書
なごや自由大学企画書なごや自由大学企画書
なごや自由大学企画書
 
Xp2
Xp2Xp2
Xp2
 
ファシリテーションを知る
ファシリテーションを知るファシリテーションを知る
ファシリテーションを知る
 
IHayato@NPOMAP#3
IHayato@NPOMAP#3IHayato@NPOMAP#3
IHayato@NPOMAP#3
 
Edify
EdifyEdify
Edify
 
広報担当者支援のためのワークショップ
広報担当者支援のためのワークショップ広報担当者支援のためのワークショップ
広報担当者支援のためのワークショップ
 
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する
【PMIJF2011】次世代のプロジェクト人財を育成する
 
ファシリテーション講座 Hlab2012
ファシリテーション講座 Hlab2012ファシリテーション講座 Hlab2012
ファシリテーション講座 Hlab2012
 
140409 taiwa quick tips 17 and coaching question 420
140409 taiwa quick tips 17 and  coaching question 420140409 taiwa quick tips 17 and  coaching question 420
140409 taiwa quick tips 17 and coaching question 420
 

Mais de Professional University of Information and Management for Innovation (情報経営イノベーション専門職大学)

Mais de Professional University of Information and Management for Innovation (情報経営イノベーション専門職大学) (20)

各回授業への学生からのフィードバックコメントについての考察
各回授業への学生からのフィードバックコメントについての考察各回授業への学生からのフィードバックコメントについての考察
各回授業への学生からのフィードバックコメントについての考察
 
2022リサーチ入門3リサーチ戦略と調査テーマの理解2
2022リサーチ入門3リサーチ戦略と調査テーマの理解22022リサーチ入門3リサーチ戦略と調査テーマの理解2
2022リサーチ入門3リサーチ戦略と調査テーマの理解2
 
2022リサーチ入門2リサーチ戦略と調査テーマの理解1
2022リサーチ入門2リサーチ戦略と調査テーマの理解12022リサーチ入門2リサーチ戦略と調査テーマの理解1
2022リサーチ入門2リサーチ戦略と調査テーマの理解1
 
Education of science communication for graduate students
Education of science communication for graduate studentsEducation of science communication for graduate students
Education of science communication for graduate students
 
New Communication Formats for Effective Science Communication
New Communication Formats for Effective Science CommunicationNew Communication Formats for Effective Science Communication
New Communication Formats for Effective Science Communication
 
Homo Deus 読書会話題提供
Homo Deus 読書会話題提供Homo Deus 読書会話題提供
Homo Deus 読書会話題提供
 
科学技術・学術政策研究所講演20170731テイクホームメッセージ
科学技術・学術政策研究所講演20170731テイクホームメッセージ科学技術・学術政策研究所講演20170731テイクホームメッセージ
科学技術・学術政策研究所講演20170731テイクホームメッセージ
 
科学技術・学術政策研究所講演20170731ver.2(公開用修正版)
科学技術・学術政策研究所講演20170731ver.2(公開用修正版)科学技術・学術政策研究所講演20170731ver.2(公開用修正版)
科学技術・学術政策研究所講演20170731ver.2(公開用修正版)
 
科学情報の現在と未来[抜粋]
科学情報の現在と未来[抜粋]科学情報の現在と未来[抜粋]
科学情報の現在と未来[抜粋]
 
2016年度CoSTEP受講説明会(札幌)用資料ver.4
2016年度CoSTEP受講説明会(札幌)用資料ver.42016年度CoSTEP受講説明会(札幌)用資料ver.4
2016年度CoSTEP受講説明会(札幌)用資料ver.4
 
Application of Case Method to Education for Science and Technology Communication
Application of Case Method to Education for Science and Technology CommunicationApplication of Case Method to Education for Science and Technology Communication
Application of Case Method to Education for Science and Technology Communication
 
CoSTEPの事業構想(案)
CoSTEPの事業構想(案)CoSTEPの事業構想(案)
CoSTEPの事業構想(案)
 
カリキュラムに関わる各施策の目的―手段関係2
カリキュラムに関わる各施策の目的―手段関係2カリキュラムに関わる各施策の目的―手段関係2
カリキュラムに関わる各施策の目的―手段関係2
 
Development of Workshops for Handling Trans-Science Problems
Development of Workshops for Handling Trans-Science ProblemsDevelopment of Workshops for Handling Trans-Science Problems
Development of Workshops for Handling Trans-Science Problems
 
未来シナリオの描出と価値基準の構築のためのワークショップ手法の提案(第49回ことば工学研究会)
未来シナリオの描出と価値基準の構築のためのワークショップ手法の提案(第49回ことば工学研究会)未来シナリオの描出と価値基準の構築のためのワークショップ手法の提案(第49回ことば工学研究会)
未来シナリオの描出と価値基準の構築のためのワークショップ手法の提案(第49回ことば工学研究会)
 
看護ロボットについて考えるワークショップ20150829(確定版)
看護ロボットについて考えるワークショップ20150829(確定版)看護ロボットについて考えるワークショップ20150829(確定版)
看護ロボットについて考えるワークショップ20150829(確定版)
 
科学技術への市民参加としての「対話の場」とは何か20150613
科学技術への市民参加としての「対話の場」とは何か20150613科学技術への市民参加としての「対話の場」とは何か20150613
科学技術への市民参加としての「対話の場」とは何か20150613
 
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸20150517(本編)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸20150517(本編)科学技術コミュニケーションの原点と座標軸20150517(本編)
科学技術コミュニケーションの原点と座標軸20150517(本編)
 
北海道大学CoSTEP2015年度カリキュラムガイダンス イントロ部
北海道大学CoSTEP2015年度カリキュラムガイダンス イントロ部北海道大学CoSTEP2015年度カリキュラムガイダンス イントロ部
北海道大学CoSTEP2015年度カリキュラムガイダンス イントロ部
 
AHPにおける選択肢と評価基準の関係~「未来の科学館を考える」ワークショップを例として~
AHPにおける選択肢と評価基準の関係~「未来の科学館を考える」ワークショップを例として~AHPにおける選択肢と評価基準の関係~「未来の科学館を考える」ワークショップを例として~
AHPにおける選択肢と評価基準の関係~「未来の科学館を考える」ワークショップを例として~
 

リスク・コミュニケーションワークショップの学習評価手法の開発

  • 1. 2012.8.29 日本科学教育学会第36回年会 リスク・コミュニケーションワーク ショップの学習評価手法の開発 北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP) 石村源生
  • 2. 本発表の目的 • ワークショップで「リスクコミュニケーションのパターンラ ンゲージ」を作成することによって、参加者は、 1. リスクコミュニケーションについての理解を深めることができ る。 2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構え」を 身につけることができる。 という、リスクコミュニケーションの学習に関する仮説を 検証する手がかりとなる学習評価手法を提案する。
  • 3. ワークショップ概要 タイトル:サイエンス・メディア・センター夏期集中ワークショップ 2012「『では、どう伝えればよかったのか』~リスクコミュニ ケーションの肝を考える~」 対象者:研究者、ジャーナリスト、大学院生、科学コミュニケー ター 開催日時:2012年8月10日~12日 会場:早稲田大学 参加者:20名 (レクチャーのみの参加者を除く) スケジュール: 8月10日 レクチャー1~3 8月11日 レクチャー4+グループワーク 8月12日 グループワーク
  • 4. ワークショップの目的 • グループワークによって、様々なリスクコミュニケー ション場面に見られる共通の形式(=「パターンラン ゲージ」)を抽出すること。 • 抽出したパターンランゲージを活用することによって、 参加者が多様なリスクコミュニケーション場面に対応 できる「構え」を身につけることを目指す。 • 単一の「正解」を講師から学んだり、それを求めて参 加者同士で討論することが目的ではない。
  • 5. リスクコミュニケーションの 「パターンランゲージ」とは • リスクコミュニケーションの場面で繰り返し起こ りうる類型的・普遍的な問題やジレンマ状況。 • 特徴 – 容易に解決しがたい。 – 分野をまたいだ共通点がある。 – それぞれの解決手法にはメリットとデメリットがある。
  • 6. パターンランゲージのフォーマット(構成要素) • 問題 – リスクコミュニケーション担当者の立場に立ったとき、起こり うる様々な問題 • 文脈 – リスクコミュニケーション場面を規定する前提条件 – 「何についてのリスクか」「リスクの情報源は誰か」等 • 対処案 – 問題を解決ないし緩和するための対処案 – 一般に、メリットとデメリットがある
  • 7.
  • 8. ワークショップにおける作業のゴール • レクチャー4(ナノ粒子のリスク評価に関する専門家 による)、ならびに参加者自身の経験を元に、様々な リスクコミュニケーション場面に見られる共通の形式 (=「パターンランゲージ」)を抽出すること。 • 第三者(リスクコミュニケーション担当者)が、ここで 抽出したパターンランゲージを活用することによって、 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構 え」を身につけられるような「わかりやすくて利用可能 性の高い」ものをつくりあげることを目指す。
  • 9. リスクコミュニケーション実践の性質 • きわめて多様で文脈依存性が高い。 • 属人的な側面が大きい。 • 他方で、問題の性質は何らかの形で一定のパ ターンに分類されうる。
  • 10. 1.リスクコミュニケーションのパターン ランゲージに関する仮説 1. 前述の「リスクコミュニケーション実践の性質」 に基づき、「リスクコミュニケーションのパターン ランゲージ」を作成することが可能である。 2. 上記パターンランゲージは、特定の形式でデザ インされたワークショップによって効果的に作 成できる。 3. 上記パターンランゲージを利用することはリス クコミュニケーション実践にとって有効である。
  • 11. 2.リスクコミュニケーションの学習に関 する仮説 • ワークショップで「リスクコミュニケーションのパ ターンランゲージ」を作成することによって、参 加者は、 1. リスクコミュニケーションについての理解を深めるこ とができる。 2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる 「構え」を身につけることができる。
  • 12. 仮説の検証に向けて 項目 検証のための問い 結果 リスクコミュニケー リスクコミュニケーションのパターン ワークショップにおいて60 ションのパターン ランゲージを作成できたか? 個のパターンランゲージを ランゲージ 作成→一定の成果 特定の形式のワークショップが上 一定の成果は得たが、ワー 記パターンランゲージの作成に有 クショップのプログラムデザ 効であるか? インに即しての検証が必要 上記パターンランゲージを利用す 今後実際の場面に適用し ることはリスクコミュニケーション実 ての検証が必要 践にとって有効であるか? リスクコミュニケー リスクコミュニケーションについて ション学習 の理解が深まったか? 多様なリスクコミュニケーション場 面に対応できる「構え」を身につけ ることができたか?
  • 14. 学習評価の課題 • 単純な知識やスキルの習得を目的としているわけで はないので、いわゆる「テスト型」の評価は適さない。 • 一方、自己評価には、「満足度」「ワークショップ手 法・ワークショップ運営への評価」が混入しがちである。 • 特に今回の場合、「パターンランゲージ自体に対する 有効性の評価」と「それを作成することによる学習効 果」を峻別しなければならない。 • また、「~を学べましたか」といった包括的な自己評 価では、「ワークショップデザインの個々の要素」と 「個々の学習効果」の具体的な関係をつかめない。 • さらにこのような自己評価では、個々人の知識、ス キル、モチベーションの多様性に対応できない。
  • 15. 2つのワークシートを導入 1 学習目標ワークシート 8月11日のレクチャー4終 了後、ガイダンスの後に記 入 2 ふりかえりワークシート 8月12日の、全てのグルー プワーク終了後に記入
  • 16. 学習目標ワークシート a) あなたが「リスクコミュニケーション」という言葉から連想するキーワード、 フレーズを挙げて下さい。 b) あなたが現在リスクコミュニケーションに関して抱えている課題、悩み、 疑問があれば、挙げて下さい(ご自身が担当者でない場合、一般的に 感じている課題、疑問等でも構いません)。 c) リスクコミュニケーションにおいて特に難しいのはどのような点だと思い ますか(複数でも構いません)。 d) この三日間であなたはどのようなことを達成したいと思うかを書いて下 さい。
  • 17. ふりかえりワークシート(1) a) 「リスクコミュニケーション」という言葉から連想されるキーワード、フレー ズについて、学習目標ワークシートで挙げた内容以外に思いついたもの があれば挙げてください。 b) 学習目標ワークシートで答えた「リスクコミュニケーションに関して抱えて いる課題、悩み、疑問」に関して、本ワークショップを通じてどのような気 づきや学びがありましたか。 c) 学習目標ワークシートで設定した達成目標はどの程度達成できましたか。 d) リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、興味深い、 面白い、あるいは役に立つと感じたことがあれば挙げてください。 e) リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、難しい、あ るいはうまくいかないと感じたことがあれば挙げてください。
  • 18. ふりかえりワークシート(2) f) リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、その他に 感じたこと、気づいたことがあれば挙げてください。 g) 今回作成したパターンランゲージの中で、自分が最も活用できそうなも の、あるいはリスクコミュニケーションの担当者にとって最も有効だと思 われるものを一つ挙げるとするとどれですか。それはなぜですか。 h) このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関して どのような気づきや学びがありましたか。 i) これから自分自身でリスクコミュニケーションのパターンランゲージをつく るとしたら、どのようなことをもっと学びたいですか。
  • 19. 仮説の検証に向けて 項目 検証のための問い 結果 リスクコミュニケー リスクコミュニケーションのパターン ワークショップにおいて60 ションのパターン ランゲージを作成できたか? 個のパターンランゲージを ランゲージ 作成→一定の成果 特定の形式のワークショップが上 一定の成果は得たが、ワー 記パターンランゲージの作成に有 クショップのプログラムデザ 効であるか? インに即しての検証が必要 上記パターンランゲージを利用す 今後実際の場面に適用し ることはリスクコミュニケーション実 ての検証が必要 践にとって有効であるか? リスクコミュニケー リスクコミュニケーションについて ション学習 の理解が深まったか? 多様なリスクコミュニケーション場 面に対応できる「構え」を身につけ ることができたか?
  • 21. リスクコミュニケーションについての 理解が深まったか? 学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例: d) この三日間であなたはどのようなことを c) 学習目標ワークシートで設定した達成目 達成したいと思うかを書いて下さい。 標はどの程度達成できましたか。 優先事項を見極め、ミスリードしない情報伝 優先事項の決め方とミスリードしない情報の 1 達を行う。 伝達が達成目標でしたが、前者は一応達成 しました。達成%は50%です。 自分の研究に役立てられれば。少しでも考 欠如モデルを解決するにはどうしたら良いか、 2 えを先に進められれば。 という問題に対しては、互いに教え合うとい う双方向の方法の案が得られたことで、考え を少し前進させられたと思う。 リスクコミュニケーションとは何で、誰が行う 85点/100点という感じです。何であるかは 3 ことで、どういう目的があって、それを達成 何となくつかめたかも。しかし、どうすれば上 するのにどんな工夫が必要なのかを学びた 手く伝えられるかは「この3日間をヒントにこ い。(リスクコミュニケーションについて無知 れから」という感じです。 なので、0からのスタート)
  • 22. リスクコミュニケーションについての 理解が深まったか? • 設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例: – リスクコミュニケーションが社会の様々な場面で実施されて いる、すなわちその重要性を改めて認識した。 – 受け手のリテラシ-、送り手のリテラシーとともに、マスコミ のリテラシーを高める必要があることを実感した。 – 一方的な情報発信だけでなく、双方向的なリスクコミュニ ケーションについて知ることができた。 – リスクコミュニケーションについて、個人それぞれで理解の 仕方に差があるし、持っている意見も違うのだなあと思った。
  • 23. リスクコミュニケーションについての 理解が深まったか? • 設問「「リスクコミュニケーション」という言葉から連想されるキーワード、フ レーズについて、学習目標ワークシートで挙げた内容以外に思いついたも のがあれば挙げてください。」に対する回答例: – 信頼性/客観性/リテラシー/副作用/実害/リスクの 関心が異なる/問題の設定、(問い対象)で答えは異なる /双方向のコミュニケーション/協力/協調/信頼/市民 との対話/利害関係者/危機管理/コミュニケーター自身 のリテラシー(能力) /情報伝達/一方向性コミュニケー ション/データ/企業/恣意性/相手の立場/感情/時 間/正確さ/状況/背景/科学技術/危機/定義が困 難/伝え方のテクニック/マスメディア/用語の難易度/ 過剰反応/専門用語/優先/不確実性/伝えるのが難 しい/受け手と伝え手の認識の違い/ある特定の集団と 他の集団のリスクをめぐる問題解決の手法
  • 24. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応 できる「構え」を身につけることができたか? • 設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例: – リスクコミュニケーションには正確な答えはないということ、 しかし、今回のようなワークショップをやっていくことでさま ざまなパターンランゲージが出てきて対処法が見出せていく と思いました。 – 様々な立場やバックグラウンドを持つ参加者と議論する機 会により、自分の考えの偏向性と多様な視点に気付いた。 – リスクの種類も、リスクコミュニケーションの形も、自分が 思っていたよりずっと多様だということ。 – 人間批判、批評はできるが、自分で表現するとなるとそれ ほど単純ではない。
  • 25. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応 できる「構え」を身につけることができたか? • 設問「このワークショップをふりかえってみて、リスクコミュニケーションに関し てどのような気づきや学びがありましたか。」に対する回答例: – パターンランゲージを作ることで、現場でやくに立ちそう。 – リスクコミュニケーションを行う場面に出くわしたとき、まず はパターン化し、問題を分類することが有意義ではないか と考えた。 – リスクコミュニケーションと一口に言っても、伝える個人や内 容によってコミュニケーションの上で考慮する問題や対処法 がことなる想像力が必要。多くの人の考えや意見をきいて 話すことで、解決の糸口になりそう。
  • 26. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応 できる「構え」を身につけることができたか? 学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例: d) この三日間であなたはどのようなことを c) 学習目標ワークシートで設定した達成目 達成したいと思うかを書いて下さい。 標はどの程度達成できましたか。 様々な立場の関係者の中でリスクを回避す 想像以上に自分の想定している範囲が狭く 1 るためあるいはリスクに対処するため、どの 特定の分野に集中していることを認識し、他 ようなことを想定しなければならないのかに の参加者との議論する中で様々な視点や留 ついて、事例に基づいて実際的に体験する。 意点を得ることができた。 行政向けにリスコミ研修を行っていて、マ さまざまな立場の人からの視点を知ることが 2 ニュアル的なものを作成中です。将来的に できた。 役立つものを作れるようにと思うので、この WSを通じて、一般的なリスコミのパターン をみなさんからいろいろ見せてもらいつつ、 個別事例に生かせるといいなと思っていま す。 多様な方々のリスコミへの問題意識や考え •150% 3 方を知りたい。 •予想以上に多様なバックグラウンドの持ち 主と出合えた。
  • 27. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応 できる「構え」を身につけることができたか? 学習目標ワークシートとふりかえりワークシートの回答比較例: d) この三日間であなたはどのようなことを c) 学習目標ワークシートで設定した達成目 達成したいと思うかを書いて下さい。 標はどの程度達成できましたか。 •リスクの大小によらない普遍的なパターン •リスク大小によらない普遍的なパターンラン 4 ランゲージを抽出すること ゲージを書くことができた。 •誰にでも分かりやすくリスクを伝える手法 •リスクコミュニケーションの具体的な手法に を体得すること ついては、今回取り組む時間がなかったの •未知なリスクを理解・表現するための方策 で、これからやる機会をもてたら良いと思う。 について学び、実践できるようになること •リスクコミュニケーションの際に考慮すべき •50% 5 こと、考える流れを体系的に理解する。 •問題の設定はある程度できたが、それに対 •学んだことをもとに、今後、自分がリスクコ する対処はこれからの課題 ミュニケーションを担当する際に活用できる フレームを自分の中で持てるようにする。
  • 29. 方法 1. ふりかえりワークシートの設問(d)~(f) – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、興味深い、面白い、あるいは役に立つと感じたこ とがあれば挙げて下さい。 – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、難しい、あるいはうまくいかないと感じたことがあ れば挙げて下さい。 – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、その他に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて 下さい。 に対する回答からキーワードを抽出し、それらに 対応する設問を提案する。 2. ワークシートをテキストマイニングの手法を使って分 析する。
  • 30. 考え方 ワークシート回答データ キーワード抽出 今後同様のワークショップを実施する際 の学習評価に有効な設問の提案
  • 31. 設問(d)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、興味 深い、面白い、あるいは役に立つと感じたことがあれば挙げて下さい。」に対 する回答データからキーワードを抽出し、設問を提案 回答データ キーワード抽出 設問案 •原因と問題を明確化することができ •問題の整理 ・自分が今後新たなリスクコミュニケー る。 •根本原因の探索 ションの問題に直面したとき、ワーク •作業を通じて、表面的な具体的現象、 •パターンの分類 ショップ受講前と比較して、その問題の 問題の根本原因を探ることができた 作業の効果 構造を整理して対処することに対して自 と感じています。 信を持って取り組めるようになったと思い •リスクコミュニケーションにおける問 ますか。 題というのは、多様かつ複雑にから んでいる場合が多いので、それをほど いて分けて分類していくことは意義の あることだと思った。 •個人の力だけでは達成できないレベ •メンバー間の相 ・自分が今後新たなリスクコミュニケー ルへ、アウトプットのレベルが高まった 乗効果 ションの問題に直面したとき、ワーク と思う。 ショップ受講前と比較して、より他者と協 •多くの人たちと議論することによりパ 力して問題に取り組もうと思うようになり ターンランゲージをより一般化するこ ましたか。 とができた。
  • 32. 設問(e)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、難しい、 あるいはうまくいかないと感じたことがあれば挙げて下さい。」に対する回答 データからキーワードを抽出し、設問を提案 回答データ キーワード抽出 設問案 •ある程度の条件、しばりがあったほう •自由度(高すぎる ・リスクコミュニケーション実践を抽象化・ が書きやすかった。 /低すぎる) 一般化して他者と共有することにどの程 •問題の設定がパターン化され、バラ •抽象化 度意義があると思いますか。それはなぜ エティのある問題設定が行えなかった。 ですか。(事前/事後比較) •抽象化と体験のプロセスを行き来さ ・自分ならもっと良いパタンランゲージの せる事が大変難しかったです。 フォーマットを作ることができると思います か。例えばどのような点を改善しますか。 問題設定のレイヤーをそろえること。 •レイヤー、カテゴ ・今回作成したパターンランゲージの中で、 カテゴリーの区切りのレベルを決める リーの整理 レイヤーが揃っていない、カテゴリーの区 こと。 切りが不適切だと思うものがあれば挙げ て下さい。
  • 33. 設問(f)「リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過程で、その他 に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて下さい。」に対する回答データから キーワードを抽出し、設問を提案 回答データ キーワード抽出 設問案 •かなり時間がかかる作業。 •時間コストへの意 ・今回のパターンランゲージ作成プロセス •もう少し時間をかけずに出来るので 識 をより短時間で行うためにはどのように はと思いました。 すればよいと思いますか。 •リスクコミュニケーション以外にも使 •汎用性への意識 •他にもパターンランゲージの手法を適用 えそうだ。 してみたい分野、対象があれば挙げて下 さい。 •今回まとめたパターンランゲージ以 •網羅性への意識 ・今回作成したパターンランゲージには 外にもパターンは存在するかもしれな 漏れていると思うパターンがあれば挙げ い。 て下さい。
  • 34. 方法 1. ふりかえりワークシートの設問(d)~(f) – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、興味深い、面白い、あるいは役に立つと感じたこ とがあれば挙げて下さい。 – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、難しい、あるいはうまくいかないと感じたことがあ れば挙げて下さい。 – リスクコミュニケーションのパターンランゲージの作成過 程で、その他に感じたこと、気づいたことがあれば挙げて 下さい。 に対する回答からキーワードを抽出し、それらに 関する設問を使った評価用アンケートを作成する。 2. ワークシートをテキストマイニングの手法を使って分 析する。
  • 35. ふりかえりワークシートのテキストマイニング結果 →サンプルを増やし、かつプレテストとポストテスト を比較する事で、一定の傾向を抽出できる可能 性あり
  • 37. 結論 1. ワークショップで「リスクコミュニケーションの パターンランゲージ」を作成した参加者は、 一定程度、 1. リスクコミュニケーションについての理解を深められる。 2. 多様なリスクコミュニケーション場面に対応できる「構 え」を身につけられる。 ことが確認された。 2. また、このワークショップで用いた「ふりかえり シート」の回答結果から、新しい学習評価手 法に結びつく手法を提案した。