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高次脳機能障害の特性と雇用上の留意点
~当事者の立場から~
2016年3月
当事者の発表
平成27年度 第10回 雇用管理サポート講習会
全32枚(30分)
本日のポイント
■高次脳機能障害者の就労上の課題
• 見えない障害です。
• そのため、就労ギャップが発生しやすいです。
■解決の方向性
• 両者の就労ギャップの解消
• 障害者側:『何ができるか』『どこまでできるか』の掌握
• 企業側:適切な、就業環境の提供・就業内容の規程
■これからの企業・当事者に求められる視点
• バリアをバリューにする力
• 競走から共生へ
お話しさせて頂く内容
1. 私の障害について
2. 社会復帰で経験したこと
3. 就労継続のために工夫したこと
4. これからの障害者雇用に求められること
3
1. 私の障害について
■仕事
広告代理店勤務。薬学修士。
元:営業/企画立案⇒現:後方支援業務。
復職⇒転職⇒再転職⇒再転職で、現在受傷後4社目。
いわゆる「復転職を繰り返すパターン」で苦戦しま
したが、7.5年たって落ち着き始めました。
■病歴
急性心筋梗塞による心肺停止による蘇生後脳症(低
酸素脳症)による高次脳機能障害。
2008年夏。37歳の時に急性心筋梗塞を発症し、自宅
で心肺停止に。幸いにも家族の蘇生と救急搬送
+AED20回で助命。4日間の意識不明から現世に戻っ
てきました。
高次脳機能障害と付き合っている44歳3児のパパです!
自己紹介と病歴
5
※東京都のパンフレットより引用
私の主な症状
+記憶喪失を
有している
6
※東京都のパンフレットより引用
前頁の症状は、社会生
活上のこのようなシーン
で顕在化します!
7
2.社会復帰で経験したこと
燦燦たる、社会復帰前の経緯。
発症から7ヶ月。意気揚々と通常勤務に復帰していきました。
よくわからない
なんでリハ受けてるの
?ぐらいの認識。高次
脳機能障害の説明は受
けていたけど、理解は
していない。
回復期
いつ戻るの?
今でしょ。
就業にどれだけ影響を及
ぼすか、到底想像もつか
ず、「とにかく早く仕事
に戻せ」と豪語。
リハ後半
よくぞ生還!!
称賛と喝采モード。
よくぞ生きて戻ってきた。
称賛と賛美
の復職
やっと職場に戻
れる安心感。
リハも終わらせて意気
揚々と社会復帰に。
リハ終了急性期
祝!
卒業!!
祝!
卒業!!
9
散々たる、社会復帰後の経緯。
新しい業務が覚えられない
企画が組み立てられない
まとめられない
話が聞き取れない
話がかみ合わない
金銭処理にミス
スケジュールにミス
なんでもミス
しかし、通常勤務に戻ってわずか1-2カ月、今まであたりまえに出来ていたことが
できない、「あれれ?」の状況が多発。
毎日会社に「障害を気付きに行っている」、苦戦の日々が続いた。
周囲から
指摘される
周囲から
指摘される
自分でも
気付き始める
自分でも
気付き始める
10
通常勤務に戻って起きたこと。
結果、就業で苦戦することに。
11
「環境を変えれば何か変わる」「きっかけがあれば乗り越えられる」と勘違いし、結果、復
転職を繰り返すことに。壮絶なる「トライアンドエラー×回らないセルフPDCA」を、6年
回してみたが、自分で解決できる範囲を超越していると自認。。。
復職して7年後に障害者手帳を取得、障害者雇用での就労に切り替えたことにより、
苦戦から徐々に解放されつつある。
手帳取得手帳取得
A社(復職) B社 C社 D社
期間 1年10ヶ月 1年3ヶ月 3年10ヶ月 9ヶ月
障害開示 オープン クローズ(一部開示) オープン オープン
雇用形態 通常 通常 通常 障害者雇用
ストレス 高(訳がわからない) 高 高 低
2008年
8月
受傷後から現在までの就業の経緯
2016年
3月
うち7ケ月
間休職
苦戦の原因は、期待値と実質値のギャップ
12
「見えない障害」は、相手にも見えないし、自分でも初期は見えない。
そのため、雇用先も自分も、病前の学歴やキャリアで、期待・応対値を推測して就職に臨む。
しかし、見た目は普通でも、本人のパフォーマンスは相応に下がっている。
事前にそのギャップを100%掌握し、本人も受容していれば良いが、脳障害という自己モニタリ
ング機能が落ちる特性の故、事前掌握は厳しい。
復職上、何ができて何ができないか、場当たり体当りで確認していく過程が必ず発生するので、
そこを事前共有しておくことがポイントであると感じてます。
逆に、ある程度確認できれば、一定のパフォーマンスを継続して発揮することができると信じます。
当事者・雇用先のパフォーマンス推測値 当事者のパフォーマンス実質値
3.就労継続のために工夫したこと
1. 掌握: 受傷後の障害・パフォーマンス変化をつかむ。
2. 決断: 障害(パフォーマンス変化)を受容をする。
3. 挑戦: 就業範囲の規定と環境の整備。新しいフィールドへの挑戦。
1. 掌握: 受傷後の障害・パフォーマンス変化をつかむ。
2. 決断: 障害(パフォーマンス変化)を受容をする。
3. 挑戦: 就業範囲の規定と環境の整備。新しいフィールドへの挑戦。
「雇用先期待値」と「ジブン実質値」のギャップ解消
課題を解くためにどうしたか?
そのためにそのために
14
1.掌握 受傷後の自分をどう掴むか?
1.過去を確認_どんなジブンだったか確認する。
自分がそもそもどういう仕事人間だったかを振り返る。仕事の資料、メール、実績、記録、同僚の話な
ど。どういう仕事の回し方をしていたか再確認して、過去の自分の基準値を作成。(記憶喪失がある方の特徴)
15
何が残されて、何が苦手となったか?
過去のジブンと今のジブンのギャップを掌握。
2.現実を確認_今のジブンの残された機能を掌握する。
「再体験」によって、現在の自分を確認する。基本的なビジネススキル・コミュニケーションから、経験し
ていた関連業務など。ここが一番難しい。気分も凹みやすいので、できることづくりを意識して、できる
こと・できたことを把握する。
結果、業務職能の大半が喪失してることを認識。
情報収
集・レ
ポート
課題の
抽出
企画の
立案
業務の
遂行
効果の
検証
受傷により、病前職務の大半が失われたことを認識。
一方で、情報収集やレポーティング機能は残っていることも確認できた。
病前の業務:企画営業
非定形的かつ汎用的・広範な職務。対顧客業務。
16
2.決断 ~掌握した事実を受け入れる~
17
見えてくる
という事実
見たくない
という心理
働けば働くほど見えてくる障害。傷ついたジブンを見たくない心理。
心の中に葛藤を抱きながら、自分と向き合わなくてはいけない状況に
混乱していた。見えない故の性か。
就業がうまくいかない事実と、障害が見えてきた真実が重なったとき
意を決して障害者雇用に切り替えを決断。本当に苦しんだステージ。
一人解決スタイルから、共生解決スタイルへ。
3.挑戦 ~整地した飛躍の場に、飛び込む~
18
障害は、当事者一人では解決できない。
そのため、「障害」があっても、支障が出にくく活躍できる場づく
りを、雇用先と一緒に整えて社会復帰に挑戦。そのために、就
業環境の「整地」を行った。
 整地1.障害者雇用への転換
 整地2.業務範囲・内容の規定
 整地3.就業環境の調整
整地1 障害者雇用形態への転換
■取得の理由
自分の残された機能が、就労上活きるよう、
就業先のサポートを得たいため。
(障害は当事者一人で解決できない)
■取得に時間がかかった理由
取得が必要なほど重いとは思わなかった。
できれば持ちたくないという、心理もあった。
■取って不都合は(おもに職場で)?
偏見?レッテルが張られた感?差別?を心配
していたが、以外に何もありません。
むしろ、日常生活や地域における偏見のほう
が大きい気がする。
19
⇒社会参加・社会共生への、パスポート。
整地2 業務・職能範囲の規程・見直しを実施。
情報の
収集
課題の
抽出
企画の
立案
業務の
遂行
効果の
検証
過去数年間の就労経験で、受傷により現業の大半が失われたことを体感。幸い
にも、残された情報収集能力とレポート機能を活かし、定型的かつペースを保
てる社内支援業務については、業務貢献できることをしっかりとアピール。
•情報探索・収集
•業界レポート
•社員教育
•ナレッジ蓄積・データベース作業
•提案支援
•ソリューション開発支援
現在の業務:社内支援業務
定型的かつペースの保てる職務。
病前の業務:企画営業(対顧客)
非定形的かつ汎用的・広範な職務。
20
数年間のトライアンドエラー
整地3 就業環境の調整
障害事象 困難と感じる部分 こうしてもらいたい・現在こうしている
コミュニケーション
スムーズに会話することに難がある。行き当たりばったりの会話になる。 事前に話の内容を規定したり、資料・アジェンダを用意して対話がそれないようして対応している。
複数人の会話・ディスカッションをキャッチアップすることに少し難がある。また内容を理解する
のが難しい。
終わった後の議事録を共有していただくと助かります(議事録作成は厳しい)。
早口かつ、複雑な会話を、聞き取るのが難しい。 シンプルかつ、ゆっくりわかりやすく話していただけると助かります。
電話でのやり取りが困難である(特に初めての方とのやり取りが難しい)。
連絡手段を、メール等に置き換えて対応している。ただしメールのやり取り数が多くなると経緯が把握できな
くなるので、なるべくシンプルなやり取りですむように意識している。
主に障害のことを伝えていない社外要員・外部機関とのやり取りが難しい。 外部への連絡業務はできるが、外部との交渉業務は外していただきたい。
話が行ったり来たりすると、会話に追い付いていけない 指示を、シンプルかつゆっくりわかりやすく話していただきたい。
話がかみ合わない、意図したことをキャッチアップできない、伝えづらい。 わからない時はわからないことを正直に伝えます。そのうえで対策を取りたいと思います。
交渉したり、複数人の意見をまとめることが苦手。 ネゴシエーション・調整系の業務は、外していただきたい。
注意欠陥
周囲のノイズ(音・振動・人が通り過ぎる・臭い)が入ると、集中が途切れる。作業中の
業務が止まる。
5感から入るノイズを抑えたいため、極力静かな場所にしていただきたい。イヤフォン着用、角席(逆に出入
り口扉やコピー・スキャナーからも離れた環境)、可能であればパーティッションがあると助かります。
ノイズが多い環境下で、対象者の声を聞き取ることができない 静かな環境でのやり取り、またはメール・メモでの指示だと助かります。
記憶
新しい業務要素をインプットするのに時間がかかる。 汎用業務から定型業務へのシフトを図る。
業務や打ち合わせ等の経緯を把握しきれない。 メモ、ICレコーダーの活用、ただし聞き返す時間がかかる。調整系の業務は外していただきたい。
中断した業務を途中から始めることが難しい。毎回、業務の最初に振り返って認識しなお
してから始めている。
マルチタスクを減らし、単発完結業務を多くしていただきたい。
過去の記憶が一部欠落しているため、「こんなこともできないのか」ということが頻繁にある。
回復期は、お金の払い方、公共機関の使い方、通勤の仕方などから記憶を取り戻してきた経緯あり。事
情をご理解いただければ幸いです。
スケジュール
スケジュールを頭に入れる力が弱い。 Googleカレンダー・スマホのカレンダーならびにアラート機能で対応。
スケジュールが煩雑になると、スケジュールミスが起こる。 なるべく定型的なスケジュール・タスク環境にして、スケジュールミスを防ぐ。
時間感覚(エピソード記憶)が弱いため、業務進捗を把握しておくことが難しい。
スケジュール作成・TODO表・タスク管理を活用して対応しているが、全ては対応しきれていないため、タス
クの多いプロジェクト業務は外していただけると幸いです。
遂行・先見性
業務スケジュールを、系統立てるのが苦手。 やるべきことを、その都度タスク表に起こして対応している。
業務プロジェクト自体を、組み立てることが苦手。 遂行機能(プランニング)が求められるので、基本的には外していただきたい。
突発的な事象への対応が弱くなった。 事前に予測練習する、または突発的なことが起きないような定型的な業務にシフトする。
記憶喪失もあり、次に行うべき行動が想起しづらい。 再体験により取り戻せることもあるため、そういう対応で少しづつ改善を図っている。
業務の全体像や次に行う行動が、予見しづらい。
作成した資料や議事録を共有してもらえると、業務の全体像が把握し易い。(自分では議事録を起こす
ことができない)
易疲労性 病前に比べ疲れやすい。特に午後のほうが現れやすい。
90分に1回は離席して休憩を入れる。常に飲み物・ガムを口にして気を紛らわしている。夜遅くの業務は
翌朝に回す。
金銭・時間
受注・発注・納品確認・支払い手続き業務が苦手。記憶とも絡みますが、複数の業務に
なると発注したことや支払い手続きがどこまで完了したかが混乱する。
お金が絡む業務は危険度が高いため現在外してます。今後も、受注・発注ともに金銭処理にからむ業務
は外していただけると幸いです(自分の経費は処理できます)。
精神面
全般的にインプット・作業が遅いため、サボっている、楽していると思われる。 健常な方と同じパフォーマンスを出すのに、2-3倍努力している事を理解いただけると幸いです。
威圧感、引け目を感じやすい。 障害を得ながら残りの人生を過ごしていかなくてはいけない状況に、少しでも理解をいただけると幸いです。
21
全ては上げられないため、ある程度「代表的なもの」を提示して、あとは雇用側にイメージ
してもらっている。
配慮してもらっている10個の点
1. 社内業務を主軸に。
2. 指示内容は、簡潔に。相談というオーダーはNG。
3. 指示方法は、紙またはメールまたは口頭+メモ。
4. 指示系統は、オーダーが重ならないよう1系統で。
5. 作業内容は、分解して単発で。
6. 作業工程は、マニュアル化&マニュアル化する時間を配慮。
7. ディスカッションは、業務状況の共有の場(聞くことを中心に)。
8. 時間にゆとりを。
9. 注意が失念するので、周囲が注意喚起(注意障害本人気づけません)。
10. 静かな環境を(角席、イヤホン、出入り少ない場所)。
記憶・注意・遂行機能・コミュニケーション障害が主である自分の場合、上記の10点
は特に留意してもらっている。
22
業務のマニュアル化
PCの操作法、プリンタの設定等、PC業務上のメモなど、対応可能な業務を、分解・マニュ
アル化することで、次回から人に聞かずに自分の仕事として対応できる。
就業先に、これを作る時間的余裕・配慮をもらうようにしてる。
タスクバーにキャ
プチャツールを
常駐させる
画面キャプチャする メモフォルダを作成
して放り込む
パワポで業務シートを作成
※次ページ参照
23
マニュアル例:印刷設定(カラー、A3、中綴じ、両面、 2in1 印刷 )
印刷設定
(カラー、A3、中綴じ、両面、 2in1 印刷 )
• プリンターのプロパティで設定したほうが、見
やすい2in1が出力される。
• 紙の節約時
• 社内資料時
24
マニュアル例:毎日の社内ニュース
 10の新聞・情報誌より、その日のニュースをチェック
 主要なニュースをピックアップ(この部分は慣れ必要)
作業時間帯:9:30-10:30
所用時間:1時間
 ピックアップしたものをwordにコピー&ペースト
 Wordの体裁・見出しを整える
 ファイル名確認(日付)
 データベースに保管
 メールのタイトルと見出し一覧をコピペ
 見直し・添付漏れチェック
 全社員に送付
高次脳当事者は、文字のみのマニュアルより、工程を分解した視覚的なマニュアルに落したほうが理解しやすい。そのマ
ニュアルは、万人(例えば新しく転職・転入・移動されてきた方、シニア再雇用の方など)にもわかりやすく、会社全体
のパフォーマンス向上につながる。
25
ニュースの
選択・抽出
ドキュメント
作成
情報発信
情報保管
視覚的整理で、PC内もバリアフリーに。
★階層を深くしない
記憶が悪いので、階層が増えると相関関係が
わからなくなる。第一階層を多くして、一覧で見
えるようにしている。
★ナンバリングによる整理
重要案件から1~22の番号を振り、ソートで
きるようして、優先度の高さを視認させている。
★一目でわかるフォルダ・ファイル名
記憶が悪いので、フォルダ・ファイル名でも視認
させる。
「一覧・一層・一目」というのがポイント。
注意や記憶に障害があると、工程が多く
なるほど、作業途中で目的を忘れる。
目的遂行までの工程を、少しでも障壁
の少ない形にする。
重要度高
重要度低
26
コミュニケーションもバリアフリーに。
27
高次脳機能障害×ノンバーバルコミュニケーションは極めて相性が悪い。「阿吽の呼吸」が通用
しないため「空気が読めない人」と思われることも。
会話や指示と一緒に付箋等でわかりやすくメモで助成すると、パフォーマンスが向上する。
日本人は言葉に依存しないコミュニケーション(ノンバーバルコミュニケー
ション)を好む。このようなコミュニケーションスタイルを持つ文化の人は、
言葉で全てを言い表さなくても意思伝達ができます。そのうえ日本の職
場では、従業員が比較的狭いスペースで一緒に長時間、そして長期間
働いているため、「阿吽(あうん)の呼吸」が通じやすい環境になってい
るのです。 ※アルクHPより抜粋
ノンバーバルコミュニケーション大国。日本。 付箋コミュニケーション
付箋は、todo・マニュアルにも転用可能。
28
※統合失調症の方のブログ「ペドローザの手帳」より引用
4.これからの障害者雇用に求められること
期待値と実パフォーマンス値の
「ギャップを解消するステップ」の設定・共有。
就労において困ったことは、相手の期待値と、当事者の実応対値のギャップ。
「見えない障害」は、相手にも見えないし、自分でも見えない。
ゆえに、お互いどうしたらいいのか、どうしてほしいのかが、わからない。
復職上、何ができて何ができないか、就労現場で体当りで確認していく過程が必ず発生するので、そこ
を事前共有しておくことがポイントであると感じてます。
逆に、ある程度ギャップが解消され場が整えば、残されたパフォーマンスを安定・継続して発揮することがで
きると信じます。
復帰のプロセスの共有
30
バリアをバリューに転換する視点。
脳障害者が就労現場で工夫している、
■「マニュアル術」
は、本人のみならず万人にわかりやすい。
■「視覚・整理術」
は、万人が使うデータベースとしてわかりやすい
■「みやすい資料術」
は、難しい仕事をとっつきやすくさせる不思議な
力がある。
■「コミュニケーション術」
は、社内間のやり取りをなぜか温和なものにす
る空気を生み出す。
31
今の会社の人に、この記事を教えていただきました。そういう会社にいるから活き活きしてるし、
こういう発想ができる人が世の中増えれば、もっと活躍できる障害者が増える。
目が見えない人は、目が見える人よりも記憶力が良かったり、空気を読むのがうまかったり
します。例えば、もともと相手の顔が見えない電話対応では、普通の人よりも目の見えな
い人のほうが優れた対応ができる可能性が高い。目が見えないことが、仕事の上でのアド
バンテージになることもあるのです。
目は見えないけれど人の話を聴くのが得意という人であれば、心理カウンセリングを行い
ながら社員の相談に乗るヘルスキーパーにも向いています。人と話すのが苦手な社員で
も、目の見えない人が相手なら安心して話せるというケースもあるからです。
障害があっても活躍できる場所を見つけてあげれば、「バリア」が「バリュー」に変わります
。それまで障害だと思っていたマイナス点が、いきなりプラスになるのです。目の見えない人
に他の社員でもできる仕事をさせるのではなく、目が見えないからこそのアドバンテージを
業務にすれば、社員も企業もハッピーになるんです。
※coFFee doctors 産業医 三宅 琢 氏インタビュー記事より抜粋
障害者雇用 ~これからの共生社会に向けて~
■画一的でない雇用・賃金制度
障害者の受傷背景やパフォーマンスは十人十色。業務内容・就労環境・賃金待遇面で、個人障害
特性にあわせる汎用的な雇用制度があれば、雇用・就労側両者のパフォーマンス向上に寄与できる。
得意なところは、健常者よりも得意かも。
■自己目標管理型のキャリア制度
障害者雇用のキャリア制度自体、まだ未整備が多いのが事実。健常人をベースとしたキャリアアップ制
度ではきつい。自分のペースを維持でき、かつ向上心も養える「自己目標管理型のキャリア制度」が合
致すると感じる。 マイペース+αの、キャリア制度へ。
■「健康経営」を超えた、「共生経営」の視点
昨今、 社員の健康管理・増進プログラムを推進する「健康経営」が注目され、法人税負担減や株銘
柄表記やの話も出てきているが、障害者雇用の概念・価値観の転換が必要。弱者を助ける視点から
、共生が企業価値の向上につながる価値転換が必要。
「弱者を助ける」という視点から、行きつく果ては、障害の有無にかかわらず一緒に働
くのが当たり前の社会環境になることを望みます!!
32
障壁があることで、活きる価値がある。

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