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インドのガンガ病院での研修   われわれの第二番目の訪問した病院は南インドに位置するコインバトールのガンガ病院でした。 インドは皆さんも承知のごとく、国土は日本の約 10 倍で、領土が 330 万キロ平方あり、世界で 7 番目に大きい国です。また、 28 州と7のテリトリー(政府直轄地)があり人口は約 10 億 2  千万人で、世界第 2 位を誇っています。  インド亜大陸は、北部にはヒマラヤ山脈、インド中央部にはデカン高原、インドの東海岸にはベンガル湾、西海岸にはアラビア海があります。われわれの訪れたコインバトールは亜熱帯の南インドに位置していましたが、 11 月であったことと、高原の避暑地であったために、比較的すごしやすい気候でした。  ガンガ病院(写真 2 )はプライベートホスピタルではありますが、 500 床以上の大病院であり、最新鋭の施設をそろえた優れた病院でした。インドは 2000 km以上も離れた地域からも患者が列車で 3 日がかりで来院しており、ドバイの大富豪も高級個室に入院していました。病院長で脊椎外科の主任である Dr Rajasekaran (写真:左から織田先生、 Dr Rajasekaran 、田中)は非常に多くの手術経験があり、 JBJS のレフリーもされているインドでは 非常に有名な脊椎外科医でした。  病院内には Iso-C の 3D メージやブレインラボのコンピューターナビゲ-ションがそれぞれ 2 台ずつあり、それらを駆使した最先端の手術を行っていました。一方、頚椎のペディクルスクリューや人工椎間板など最先端の手術も積極的に行っており、脊椎外科のレベルは日本とほぼ同じように思いました。  インドも脊椎カリエスが多く、感染巣に積極的にケージを挿入して固定術を施行していました。  非常に印象的であったのは、最先端の医療施設の前に市場があり、そこで貧しい身なりの人々が働いており、その日給 500 円ぐらい(日本の 1/10 以下)ということでした。  彼らの話では、日本の医師はアメリカばかりを見ているが、文化が似ているアジアにもっと目を向けるべきであるとのことでした。アメリカの医療は、非常に特殊な構造になっており、エビデンスベイストメディスンから少しずつはなれて、保険会社や医療器メーカーにかなり左右された医療となってしまっていると嘆いていました。私も同感で、アジアでもっと交流をふかめて日本の脊椎外科医がAPOAにもっと積極的に参加するべきと痛切に感じました。最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださいました日本脊髄脊椎病学会の皆様に深謝いたしします。 彼らは歴史的なカーストがあるためか、この現状を受け入れているようにみえました。ちなみに世界 1 位と 4 位の大富豪はインド人であり、医療の幅を含めてこれがインドの現状であり、彼らはこのコントラストがインドの特徴であると説明してくれました。

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