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ACTAに関して

  八田真行
駿河台大学経済学部

mhatta@gnu.org
ACTAとは
●    Anti-Counterfeiting Trade Agreementの略
●    偽造品の取引の防止に関する協定
ACTAとは

●    コピー商品、ジェネリック医薬品、海賊版へ
     の対応
●    知的財産権の執行に関して国際標準を確立
ACTAとは

●    署名→批准
●    署名した国:オーストラリア、カナダ、日
     本、モロッコ、ニュージーランド、シンガポ
     ール、韓国、アメリカ、メキシコ、EU、EU
     加盟22カ国
●    批准した国:なし
●    6カ国批准すると発効
ACTAの経緯

●    2004年ごろ 日本で議論開始
●    2005年 「知財計画2005」に盛られる
●    2005年7月小泉首相(当時)がサミットで
     構想発表
●    2008年∼2010年 9回のラウンド(会議)で
     議論(されていたらしい)
●    2011年11月15日 最終版公開
ACTAの背景

●    模倣品やら(モノとしての)海賊版などは
     ある意味隠れ蓑
●    何はともあれ知的財産権の保護強化を望む
     勢力の要望を反映
     –    プロコピーライト、プロパテント

●    その一環としてネット規制を望む勢力の要望
     を反映
ACTAへの批判
●    権利強化
     –    侵害の度合いに対してアンバランスな手段
          ●    「iPod警察」が される
          ●    (スリー)ストライクポリシーが   される
     –    インターネットの自由やプライバシーを侵害する
          おそれ
     –    ユーザの利便性を損ねる
     –    そもそも権利者にもプラスなのか怪しい
ACTAへの批判
●    秘密主義
     –    交渉過程がリークでしか分からない
          ●    2008年5月∼ ウィキリークスへの資料流出
     –    権利者団体は盛んにロビイング
●    ポリシーロンダリング
●    ショートカット
     –    WIPOやWTOを     回
●    ACTA委員会の設置
     –    民主的コントロールが及ばない
ACTAの現状
●    良きにつけ悪きにつけ「手遅れ」
良い方の「手遅れ」

●    最終版の中身はかなり骨抜きに
●    いずれにせよ発効の見込みなし
     –    2012年7月 EU議会は大差で否決(批准せず)
     –    他の国も批准に及び腰
悪い方の「手遅れ」

●    日本の法律はすでにACTA並み、あるいは
     ACTA以上に保護強化されている
     –    違法ダウンロード刑事罰化
     –    アクセスコントロール回避規制
国内法改正とACTA

•  ACTA批准のためにすでに必要な国内法はす
   でに改正済
•  第180回国会 参議院 外交防衛委員会にて
   玄葉大臣「本協定を我が国内で実施するため
   に必要となる国内法令の改正というのは、今
   国会で成立した著作権法改正において手当て
   済み」
•  改正著作権法は今年10月1日より施行。
ACTAとMIAU
•    2010年3月15日
     知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会へ
     ACTAの条文案の公開を求める意見書を提出。

•    2010年4月21日
     経済産業省及び外務省よりACTAの英語の条文案が公開される。

•    2010年5月3日
     公開された英語の条文案を元に独自に日本語への翻訳を開始。
     順次インターネット上で公開する。

•    2010年9月23日∼10月2日
     ACTA 第11回関係国会合(東京ラウンド)開催。
     交渉参加者との非公式会合に参加。

•    2010年11月8日
     「ニコニコ生放送」にてACTAについての解説番組を放送。
     8329名のインターネットユーザーが視聴。
今後
●    脅威はACTAだけではない
     –    米SOPA、PIPAの騒動
     –    CETA
     –    今後はTPPが懸念される
          ●    保護期間延長
          ●    非親告罪化
          ●    ダウンロード違法化を全著作物に
          ●    デジタルロック
          ●    輸入権の復活など

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  • 3. ACTAとは ●  コピー商品、ジェネリック医薬品、海賊版へ の対応 ●  知的財産権の執行に関して国際標準を確立
  • 4. ACTAとは ●  署名→批准 ●  署名した国:オーストラリア、カナダ、日 本、モロッコ、ニュージーランド、シンガポ ール、韓国、アメリカ、メキシコ、EU、EU 加盟22カ国 ●  批准した国:なし ●  6カ国批准すると発効
  • 5. ACTAの経緯 ●  2004年ごろ 日本で議論開始 ●  2005年 「知財計画2005」に盛られる ●  2005年7月小泉首相(当時)がサミットで 構想発表 ●  2008年∼2010年 9回のラウンド(会議)で 議論(されていたらしい) ●  2011年11月15日 最終版公開
  • 6. ACTAの背景 ●  模倣品やら(モノとしての)海賊版などは ある意味隠れ蓑 ●  何はともあれ知的財産権の保護強化を望む 勢力の要望を反映 –  プロコピーライト、プロパテント ●  その一環としてネット規制を望む勢力の要望 を反映
  • 7. ACTAへの批判 ●  権利強化 –  侵害の度合いに対してアンバランスな手段 ●  「iPod警察」が される ●  (スリー)ストライクポリシーが される –  インターネットの自由やプライバシーを侵害する おそれ –  ユーザの利便性を損ねる –  そもそも権利者にもプラスなのか怪しい
  • 8. ACTAへの批判 ●  秘密主義 –  交渉過程がリークでしか分からない ●  2008年5月∼ ウィキリークスへの資料流出 –  権利者団体は盛んにロビイング ●  ポリシーロンダリング ●  ショートカット –  WIPOやWTOを 回 ●  ACTA委員会の設置 –  民主的コントロールが及ばない
  • 9. ACTAの現状 ●  良きにつけ悪きにつけ「手遅れ」
  • 10. 良い方の「手遅れ」 ●  最終版の中身はかなり骨抜きに ●  いずれにせよ発効の見込みなし –  2012年7月 EU議会は大差で否決(批准せず) –  他の国も批准に及び腰
  • 11. 悪い方の「手遅れ」 ●  日本の法律はすでにACTA並み、あるいは ACTA以上に保護強化されている –  違法ダウンロード刑事罰化 –  アクセスコントロール回避規制
  • 12. 国内法改正とACTA •  ACTA批准のためにすでに必要な国内法はす でに改正済 •  第180回国会 参議院 外交防衛委員会にて 玄葉大臣「本協定を我が国内で実施するため に必要となる国内法令の改正というのは、今 国会で成立した著作権法改正において手当て 済み」 •  改正著作権法は今年10月1日より施行。
  • 13. ACTAとMIAU •  2010年3月15日 知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会へ ACTAの条文案の公開を求める意見書を提出。 •  2010年4月21日 経済産業省及び外務省よりACTAの英語の条文案が公開される。 •  2010年5月3日 公開された英語の条文案を元に独自に日本語への翻訳を開始。 順次インターネット上で公開する。 •  2010年9月23日∼10月2日 ACTA 第11回関係国会合(東京ラウンド)開催。 交渉参加者との非公式会合に参加。 •  2010年11月8日 「ニコニコ生放送」にてACTAについての解説番組を放送。 8329名のインターネットユーザーが視聴。
  • 14. 今後 ●  脅威はACTAだけではない –  米SOPA、PIPAの騒動 –  CETA –  今後はTPPが懸念される ●  保護期間延長 ●  非親告罪化 ●  ダウンロード違法化を全著作物に ●  デジタルロック ●  輸入権の復活など